ただ、司令と主人公の関係を見せておきたいな、と考えたため登場してもらいました。
つまり何が言いたいかというと、今のところ司令はお荷物さんのお客さんです(笑)。
接近しつつあるムサイ級だが、どうやら残敵掃討の遊撃部隊らしい。
次々とMSを発進させているのが監視員からの追加報告で分かると、戦隊の緊張感は一気に高まった。
「監視員からの追加報告!敵MS更に視認!合計で8機になりました!」
「確か事前情報と戦闘中に収集した情報から、敵ムサイ級には1隻あたりMSを3機もしくは4機、搭載できるはずです。多ければあと4機、出てくるはずですが・・・」
CICから副長が報告するが、確かムサイ級って搭載できるの3機ではなかったか?
遥か昔の原作知識を思い出しながら考えるが、何せしっかりと意識して観ていたわけではないので自信がない。
いないと決めつけるより、いる前提で動いた方が安心できるか。
「各艦に伝達、第1001巡洋艦戦隊はメガ粒子砲の射撃始め!敵MSをまず落とせ!ミサイルは距離50000に接近してから斉射だ!ピッツバーグと第221防空戦隊の2隻には、それぞれ担当セクターに射撃をばらまくように伝えろ!弾幕を張れ!MSに懐へ入らせるな!!第1001巡洋艦戦隊のレールガンは敵ムサイ級を狙え。撃沈出来なくても良い。こちらがやられるばかりの羊ではないと教えてやれ!」
一気にそこまで命令を伝えてからCICのモニターを見る。そこには先ほど個室から駆けつけてきたクレッチマー司令も映っていた。
「司令、何か付け加えることはありますか?」
「ない、先ほどの打ち合わせでも伝えたがルナIIに着くまでは私はお客さんだ。細かな戦闘指揮は貴官の方が良いだろう。私の事は気にせず、存分に部隊を運用してくれ。」
実はクレッチマー司令と合同後、カニンガン提督の命令を確認してから今後の部隊運用についても打ち合わせを行った。本来ならサラミス型4隻、レパント型2隻の小艦隊。指揮をするなら最低でも中佐、出来れば大佐の位を持つものがふさわしい。それ以上の位は現状、准将であるクレッチマー司令しかいないため、当然今後の部隊指揮官はクレッチマー司令となるはずだった。ところが、
『第1001巡洋艦戦隊の立体陣形における迎撃戦闘は、見事なものだ。ところが私はこの立体陣形での戦闘経験がない。これから不意遭遇戦を行うことになるというのに、陣形に不慣れでは生き残るための戦いをするには不適格だろう。翻ってコープ少佐は臨時で加わった第35巡洋艦戦隊のピッツバーグも引き連れて戦闘を既に生き残ってきている。ルナII撤退までの指揮は、コープ少佐に一任したい。』
と仰ったのだ。任される方からすれば、認められていると嬉しいような、6隻合わせて乗組員480余名(サラミス型各90名、レパント型各60名)と救助した連邦軍将兵200余名の命を預けられた責任感で押し潰されそうになれば良いのか、複雑な心境だ。
ともかく、責任は司令がすべて取る、と断言してくれたことでミンスク、ペトロブルクの2隻もオレの指揮下に入ることを了承したのだった。(ピッツバーグのミタス副長は最初からオレの指揮下で戦うつもりだったらしい。なんでやねん。)
そのまま、陣形についても打ち合わせを行い、本艦の真後ろにピッツバーグ、ヤハギの後ろにミンスク、ウィンチェスターの後ろにペトロブルクがそれぞれ位置し、航路をトレースしながら立体陣形で戦うことも決まった。
レパント型にしても艦下方への射戦が取れない火器が複数あるため、この陣形の方が死角を減らせると判断したのだ。真後ろにつけるのは、複雑な陣形行動を取るには即席過ぎるため、もともと同一戦隊で艦隊運動を取りやすい第1001巡洋艦戦隊の動きをそのまま真似出来るようにするためだ。こうでもしないと、変針1つしただけで陣形が崩れ、下手すると艦同士が衝突してしまう。
だが、その打ち合わせのお陰で艦隊運動は良く統一されている。射界の調整も出来たので、簡易的ではあるが、僚艦防護も取れるようになった。より打たれ強くなったと言えるだろう。
とはいえ、MS8機(あるいは+4機の12機)を一度に相手するのは初体験だ。うまく退けられれば良いのだが。
おまけに各艦のミサイルの残量も乏しくなってきている。レパント型の2隻に至っては残弾無しとなっている。これまでの戦闘のように五月雨式に発射して牽制する、という使い方が出来ない分、タイミングを良く図らねば。
メガ粒子のバックショットに顔を照らされながら、ザクの動きを注視する。1機でも2機でも損傷を受けてくれれば儲けものなのだ・・・
「効果無しか!砲術、メガ粒子砲は撃ち続けろ!対空砲、並びにピッツバーグ、ミンスクとペトロブルクも主砲射撃始め!」
レーダーが本調子ではなく長距離射撃は不安が残るピッツバーグ、小型故にジェネレーター出力が低いレパント型の2隻はギリギリまで射撃を控えさせたかったがここで射撃命令を下す。ザクの接近を少しでも遅らせたい。
レールガンの射撃は定期的に行っている。艦全体に響く重低音の発射音と振動が身体に伝わってくるが、こちらもまだ成果は出ていない。
ムサイの奴、こまめに変針しているか?
「航海、並びに副長。ムサイ級の針路を細かく観察してくれ。どうもこまめな変針を行っている気がする。」
「砲術、メガ粒子砲の射撃レートを一時的にあげてくれ。MSの接近を少しでも遅らせたい。」
「「アイサー」」
急速に接近するザクを睨み付けつつも、意識のいくらかはムサイに向けておく。更に追加でザクを送り込まれては対処が追い付かなくなってしまうからな。
だが、先行して接近してくる8機がこちらの射程に入ってからも追加のザクが出てくる気配はない。射撃はするがザクの発進がないということは打ち止めなのだろうか?
「艦長、監視班からの報告です。読み通り敵のムサイはこまめな変針を行っていたようです!砲術へデータを転送しました。」
「了解した。砲術、どうだ?やれそうか?」
「3隻で加害半径を調整して再度射撃してみます。少しお待ちを!」
砲術長の返答の後、さほど時間を置かずにレールガンの射撃振動が伝わってくる。さて、何度目の射撃で結果が出るか、だな。
頭の片隅でそう考えつつも、意識はすぐに未だ損害を出さずに接近してくるザクに向ける。野郎、どうやらエース級のパイロット達のようだ。うまくショットガン射撃も掻い潜って来やがる。
「ミサイル、第4斉射!左舷側のMSの鼻面で爆発させる!続いてその周囲へメガ粒子砲を撃ち込め!そろそろ当てろよ!」
命令に従ってのミサイル発射と同時にやっと嬉しい報告が上がってきた。
「艦長、ムサイ級1隻に直撃弾!艦首のコムサイを破壊しました!」
ウィンチェスターからの報告を復唱する副長の声にムサイへの意識の割合を増やす。右舷側に位置する1隻から確かに火が見えるようだ!
「よくやった!砲術、更にレールガンを撃ち込め!」
「本艦へ敵MSよりミサイルパンツァー3発来ます!迎撃間に合わないっ!?」
「なっ!?面舵最大!緊急回避っ!」
オレの命令と被さるように聞こえた報告に咄嗟に転舵を命令するがその直後、ミカサは直撃の衝撃に激しく揺さぶられたのだった。
はい、ということでルナIIへの撤退戦、途中経過です。
新年度になり、仕事が忙しくなっている関係で次の話からは投稿間隔が延びると思います。
よろしくお願いします。