旧型サラミスで生きる1年戦争   作:カズkaz

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前話にて、被害を出しつつもリーア近傍での哨戒任務から帰還を果たした主人公たち第41任務部隊。
サンフランシスコの撃沈という被害は出していますが、ジオン側も大きな被害を被ることになりました。
今話ではそのジオン側の内部事情についても少し書くことが出来れば、と考えています。
ではどうぞ。


22話 新たなる剣

リーア近傍でジオン部隊に半包囲されつつもなんとか包囲網を突破してルナIIへの帰還航路を辿るオレたち第41任務部隊だが、ピッツバーグとウィンチェスターの被弾箇所の応急修理や怪我人の手当てなど、ルナIIに帰りつくまでにもすることは山ほどあった。

特に応急修理ではウィンチェスターの補助推進器が被弾により損傷していることが分かり、下手をするとそこから推進材が漏れてしまう可能性が出てきたため、一時的にとはいえウィンチェスターをミカサとデトロイトで曳航しながら修理を行っている。

それでもなんとか5隻で生き残り、ルナIIの管制宙域に戻ってきた時には乗組員一同、大きなため息をついたものだ。

 

「なんとか帰ってこられたな。」

 

「はい、復路でジオン側に追撃されなかったのは幸いでした。」

 

「さすがにジオンもムサイ2隻にMSも多数撃破されては追撃どころではなかっただろうさ。もとより国力ではあちらの方が劣るのだから。」

 

「それもそうですね。しかし、サンフランシスコの乗組員達は無事でしょうか。」

 

参謀長とオレ、副長の3人で話していると話題は沈んだサンフランシスコの事になる。あの戦闘の後、ミノフスキーの散布された宙域を脱した我々にはリーア管制からサンフランシスコ乗組員74名を保護した旨の連絡があった。彼らは連邦とリーア政府で交渉の上、近々解放されるだろうが、それがいつになるかは、哨戒任務から帰還中の我々にはまだ分からない。おそらく、連邦向けの輸出品を運ぶ輸送船に便乗、という形でルナIIへ帰還することになるのだろう。

 

「カワベ艦長達には早くまた会いたいものだが、ジオン側もまたぞろ干渉してくるかもしれんし、どうなるやら、だな。ほとんど全員が脱出出来たらしいのは不幸中の幸いだったが。」

 

「そうですね。戦訓の反映、という意味でも彼らの報告はぜひ必要です。貴重な経験を積んだクルーでもありますし、無事に戻ってきてくることを願うばかりです。」

 

「司令、お話し中失礼します。ルナII管制より通信です。今回より、我々は5隻揃って第62ポートに入港するように、とのことです。」

 

「了解した。ありがとう通信長。管制に了解信号を返信してくれ。航海長、艦隊進路調整。第62ポートへの入港の指揮を頼む。」

 

「「アイサー!」」

 

さて、入港ポートが変更されたのは第4艦隊の所属艦が更に増えたからかな?確か今回の任務中にも何隻か改装が完了したサラミスやマゼランといった艦が新たに配属されることになっていたはずだが。

 

「司令、ヤハギのリヒャルト少佐より通信です。ピッツバーグの姿勢制御スラスタに不具合があるようで、進路変更に時間が掛かるようです。」

 

「了解した。姿勢変更に支援が必要なら艦載艇を出すよう伝えてくれ。」

 

「アイサー。返信送ります。」

 

「ピッツバーグもやはり被弾の影響がありますね。被弾した2隻の補修にはかなり時間が掛かりそうです。」

 

リューネブルク参謀長がそう呟くが、艦載機の補充や戦隊の陣形なども含め、どちらにせよ今回の整備期間は長くならざるを得ないな。

 

「致し方ない。リーア近傍に行けば戦闘になることは予想していたことだし、戦う以上は被害が出ることも覚悟せねばならんさ。人的被害が抑えられただけでも良しとしよう。」

 

「我が軍の戦力も徐々に回復してきていますしね。我々の負担が多少なりとも減ってくれるなら万々歳です。」

 

「違いない。」

 

ミカサ艦橋での和気藹々とした雰囲気は入港が完了するまで続いたのだった。

 

 

「第41任務部隊、只今帰還いたしました。サンフランシスコを喪いましたが、接敵したジオン軍の部隊に対しても損害を与えております。詳細はこちらの報告書にてご確認ください。」

 

敬礼をしながら一息に報告をすると、司令席に座るクレッチマー少将は頷きながら手招きをしてきた。

 

「ご苦労だった、コープ大佐。まさか7隻もの敵に半包囲されるとはな。にもかかわらずこの被害に抑えたのだ。貴官はよくやったよ。むしろムサイ2隻にパプア1隻を沈め、MSも多数撃破とは。艦載機とレールガンの統合運用の威力、凄まじいものだ。お前さんに試験任務を任せて正解だったな。」

 

「はい。いいえ、そのようなことは。乗組員総員の努力の結果ですから。それに、今回の戦闘でもジオン側にレールガンへの対応をしようとする様子が見られました。戦果は徐々に上げにくくなるのではないかと。」

 

オレの返答にうんうん、と頷きながらスクリーンを操作するクレッチマー司令。なんだ?

 

「確かに、今回の戦闘相手は母艦の位置取りや軌道変更を不規則に行い、レールガンの照準を定めさせないようにしている節があったな。今のままの戦力では効果が薄まると言うのなら、新たな戦力、もとい新たな剣を手に入れ、それにあった戦術を考案しなければならん。そこでだ、実は第41任務部隊に新たな試験任務を依頼したい。もちろん、艦の補修が済んでから、だが。」

 

「はっ?新たな試験任務ですか?それは一体?」

 

「V作戦。以前に話したことがあったな。連邦のMS開発計画だ。その支援任務だ。」

 

「っ!!!!」

 

半ば予想はしつつも、やはり言われた内容には驚くしかない。ガンダムに関わるのか!

 

「まだ内々の話だが、間もなく開発されていた試験機体のロールアウトを迎えるらしい。地上、宇宙、コロニー内、それぞれで試験を行うのだがそのうち宇宙空間での試験はここ、ルナIIが拠点となる。そしてその任を我々第4艦隊が担うことになった。」

 

「そこで我々が?」

 

「そうだ。3週間後を目処に試作MSを託す。ジャブロー工廠と連携しての開発だが、宇宙でしか作成できない部品もあるらしくてな。そのあたりも含めてルナIIが担う責任は大きい。また、これは極秘だがサイド7ノアの1バンチコロニーにも開発拠点が置かれている。ルナIIと1バンチコロニーは連携して試験を行うことになっている。」

 

すごく知っている。赤仮面がノアコロニーに襲撃をかけてくることも、そこでガンダムが大地に立つことも、白い悪魔こと天然パーマが乗り込むことになることも。

 

って、そういえば今はテム・レイとアムロ・レイ親子はノアコロニーにいるのか。テム・レイは今後の連邦製MS開発に欠かせない存在だ。原作のように襲撃の際に宇宙へ吸いだされてしまうことがあってはならない。

関わるのなら、そこも対応策を打っておくべきか?

 

「試験内容については了解いたしました。司令、ひとつ意見具申をよろしいですか?」

 

「どうした?コープ大佐?」

 

「お話を聞いていると開発拠点がノアにも置かれる、と言うことですがルナIIやジャブローに比べノアは防諜体制に不安があります。仮にジオン部隊が襲撃をした場合の防衛体制についても対策をしておくべきではないでしょうか?」

 

「ふむ?ノアはルナIIのお膝元だ。襲撃される可能性は高くないと思うが、大佐は備えておくべきだと?」

 

「はい。現在の戦況は一重にジオンのMSによるものです。連邦がMSを開発すれば国力差が如実に現れるでしょうから。ジオンからすればなんとしても防ぎたいはずです。万が一にも備えておくべきかと。」

 

「なるほどな。確かに備えておいて損はないか。上申しておこう。では、大佐。試験についての詳細は後程データチップを渡す。極秘情報だ。くれぐれも扱いには注意をしてくれ。」

 

「はっ!」

 

敬礼をして司令室を退室すると、データチップを受け取ってからミカサへ戻る。艦長室で確認していく。

V作戦。RXシリーズを産み出した計画だ。

戦前のスミス海の戦いで投入されたガンキャノン。更にその前型としてコロニーの治安維持にも投入されていたガンタンク。これらは対MS戦を想定しておらずザクIIに対応出来なかった。V作戦では両機を対MS戦闘も視野に改装しつつ、更にフラッグシップ機としてRX-78と呼ばれるハイエンド機とその量産型となるRX-79の開発を主目的とする。開発主任はやはりと言うべきかテム・レイ技術少佐。テム・レイの階級が記憶と違うし、もともとはガンキャノンがMBT扱いだったとか書かれているが、大まかな部分は原作とあっているようだ。

そして第41任務部隊に配属されるのは試験機として生産されたRX-78プロトタイプが1機とRX-79試作機が3機。

試験用の様々な機材と共にカーゴ・ベイに余裕のあるミカサで運用し、ミカサ艦載機は新たに配属するネルソン型にスライドさせる。

 

プロトタイプと試作機とは同じ意味では?と疑問だったが、詳しい要目を見るとRX-78プロトタイプは外見はほとんど天パの乗る(事になる)ガンダムと変わらない。ただ、装甲材質が試験の終わっていないルナ・チタニウムではなく、まだ通常のチタニウム製であること。エネルギー出力が低めなこと。コアブースターの学習型コンピューターがまだまだヒヨコ状態であるらしい。

一方のRX-79試作機はRX-78を簡素化するにあたってどの程度部品を簡素化するのか、性能の低下をどこまで許容するかを試すためのもので、3機とも要目が異なる。

性能の低下が一番少ないセミ・ハイエンド機仕様、記憶にあるジムのような性能の簡素化仕様、正直乗りたくないと思ってしまう鉄騎兵時代のガンキャノンと変わらないような性能のローエンド仕様。

我々の試験任務の目的は、学習型コンピューターに宇宙空間での機動を経験させること。そして3機の試作機の中でどの仕様が一番良いかを使いながら試すことらしい。

 

同様の試験は地上、コロニー内でも行っており、それぞれの試験(と同時並行で行う学習型コンピューターの経験蓄積)によって今年の10月頃までには実戦投入が可能な段階まで機体の成熟度を引き上げたい、と言うのが狙いのようだ。

 

「これ、宇宙で使用可能性なようにするための重要データの蓄積をオレたちに任された、ってことか。しかも進捗度合いによってはノアコロニーの試験とも連携して、か。こりゃいよいよ原作登場人物、むしろ天パやその関係者と出会うことになりそうだなぁ。やれやれ。」

 

脳内では参謀長や副長たちにどう伝えるかを考えつつも、原作主人公達と出会うことになる、と言うのがいまいち現実味がないせいで、落ち着かない。

 

「とりあえず、艦載機の移動やら人員と機材の受け入れ準備をしていかないと行けないか。航空長がなんというか、だな。というかMSはどの分掌になるんだ?航空長か?」

 

連邦が手に入れるはずの新たな剣。鋭利な刃物に仕上げてやろうじゃないか。戦争の趨勢が、変わろうとしているのを感じる。




ということで、いよいよMS開発に主人公たちが関わります。更に初代原作主人公も天パ呼びで登場です。果たして今作ではどのように絡んでいくのか、お楽しみになさってください。
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