旧型サラミスで生きる1年戦争   作:カズkaz

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いよいよルウム戦役です。
旧型サラミスはどこまで闘えるのか。
拙い文章ですが、お楽しみいただけると幸いです。


5話 ルウム戦役①

サイド5ルウムを巡る決戦は、オレの記憶通りの砲撃戦から始まった。

ティアンム提督指揮下の艦隊だけでもジオンの総戦力を上回るのだから当然、砲撃戦は連邦軍の圧倒的優位に推移している・・・・・、

といえたら気が楽だったのだが、ミノフスキー粒子散布下での悪条件の通信越しに切れ切れに届く情報を精査すると、どうも連邦側にも想定より多い被害が出ているようだ。

 

「副長、どう思う?砲撃戦でここまで被害が出るというのは。」

 

オレは戦闘艦橋で、そしてCICから同じ情報を確認している副長へ質問を投げ掛ける。連邦軍の練度が低いのか?正直、転生前のにわか知識でも、今世の士官教育・実務経験での知識でも連邦側の行動に瑕疵があるようには思えないのだが。

 

「艦長、これは仕方ないですよ。おそらく、前線の環境は開戦前には我々が想定しきれていなかった状況ですから。」

 

思案顔のオレに対して苦笑いをしながら副長が答えた。

 

「想定しきれていない?どう言うことだ?」

「現在の連邦軍の砲術ドクトリンは、ミノフスキー粒子散布というイレギュラーが戦場で起こる前に策定されていたものが雛型となっているのです。当然、レーダーや艦隊データリンクを前提とし、精密射撃、僚艦との連携射撃を組み合わせたものでした。そこに、ミノフスキー粒子の影響を加味して、泥縄式に小改訂を繰り返して現在のドクトリンとなっています。」

 

専門分野ということもあって普段よりやや饒舌になっているオットー大尉だが、砲撃理論で伊達に論文を書いている訳ではない。かなり精密な、いやむしろ精密すぎるくらいの連邦軍の砲撃理論をかいつまんで説明してくれた。

 

それによれば従来の連邦軍の射撃法は可能な限り無駄を省き、砲火力を多くの目標に振り分けることで短時間で勝利を得るというものだった。当然、その為には入念な観測による対象の状況把握が必要だがミノフスキー粒子散布によってそれが不可能になった。

結果として砲火の重複、それぞれの砲撃による光学照準の阻害、こちらの狙いから漏れた対象が出てきて手痛い反撃を食らうことだってある、というのだ。

 

「要はミノフスキー粒子散布下という環境に適応しきれていないせいか。となると・・・・」

 

呟いたオレは有線接続しているヤハギとウィンチェスターのデータリンクが問題ないことを確認すると命令を下す。

 

「第1001巡洋艦戦隊、第一種戦闘配備。対MS戦闘用意。コードM4。砲撃戦が膠着状態に陥りつつあるいま、敵MSが奇襲を掛けてくる可能性があるぞ。

落とさなくても良い。近づけないことを最優先させろ。」

 

「第一種戦闘配備。対MS戦闘。砲術長、主砲メガ粒子砲を会議での検討通り、ショットガンモードへ。ジオンのお人形さんが近づいてきたら射ちまくってやれ。」

 

 

必死に前世の記憶を掘り起こして組んだ即席のMS迎撃用の戦術アルゴリズムを戦術コンピューターから起動させる。

オレの指示に即座に反応し、具体的な命令を出す副長を心強く思いながら更なる打てる手を指示していく。

 

「ヤハギ、ウィンチェスターにも同様の命令を。

いよいよ立体陣形に移行する時が来るぞ。」

 

今はまだ、レビル提督旗下の第二連合艦隊は接敵していない。ここで考えている立体陣形など取ろうものなら即座に叱責が飛んでくる。

そこで現状は第1001巡洋艦戦隊の3隻は進行方向から見てミカサを頂点とする三角形を描いている。各艦の艦橋は天頂方向にある。だが、既に有線ケーブルは繋いでおり、命令すれば即座にヤハギ、ウィンチェスターが艦を120度回転させて立体陣形に移行出来るように準備しているのだ。

 

「艦長、本当に敵のお人形たち、来ますかね?あんなもので艦隊がやられるとは思えないのですが」

 

副長からの連絡に、サブウィンドウに写っているヤハギ、ウィンチェスターの両艦長も頷いている。まぁ確かに今までの常識からすれば信じがたいだろうな。おまけにMSは工事用の重機という認識だ。

 

「中世期、第二次世界大戦で旧アメリカの戦艦が初めて航空機に沈められるまで、同じような議論がされていた筈だ。航空機で戦艦は沈まない、ってな。起きないだろう、ではなくもし起きたら、で考えた方が良い。起きなければオレの心配性を笑い飛ばせば済む話だしな。」

 

口ではそう言って冗談めかしているが、内心ではMSでこの艦隊の過半が沈められることをオレは知っている。

いつだ、いつ来やがる。そう焦れた時、ついにその瞬間がやってきた。

 

 

「艦隊前方、戦艦戦隊にて爆発光を確認!戦艦フォレスタルが内部から爆発している模様です!!!」

 

 

遂に来た、赤いMSによって初撃がなされたのだ!!

 

 

 




色々と資料で確かめなければ、と思いつつ仕事が忙しく調べられないまま見きり発車で書いています。おかしな点などあればご指摘をお願いします。
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