旧型サラミスで生きる1年戦争   作:カズkaz

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ルウム戦役の終結、それはルウム宙域から連邦軍が撤退することです。
しかし、司令部を叩かれ、三々五々に撤退する連邦軍は組織だった動きが出来ない一方で、ジオン軍は組織的な残敵掃討を行うことが出来ました。そのあたりを今話では書いてみたいと思います。それでは第9話どうぞ。


9話 ルナII撤退戦①

第4艦隊司令クレッチマー准将。我々、第1001巡洋艦戦隊を含む第4艦隊の司令官として辣腕を振るう提督だ。

第5艦隊のカニンガン提督や第2連合艦隊(第7・第8艦隊)を率いるティアンム提督などに比べればまだ若いとはいえ、専門の航宙機戦闘に関しては一家言を持つ筋金入りの『航宙屋』というやつだ。

 

今回の第一連合艦隊においても、コロンブス改型空母を率いる役目を負い、コロンブス改型指揮空母(正式艦種ではなく、航宙戦の指揮を主にとる艦としてそう呼ばれていた)インディファティガブルに座乗していた。

ただ、会戦のかなり早い段階で乗艦が沈んでしまったようで我々第1001巡洋艦戦隊とピッツバーグが後方部隊の救援にたどり着いた時には既に艦はデブリとなって救難信号も出ていなかったのだが・・・。

 

「クレッチマー司令、よくぞご無事で!座乗艦のインディファティガブルが沈んだとお聞きした時はどうなるかと思いましたが。またこうしてお会いできましたこと、嬉しく思います!」

 

接舷したミンスクとの移乗ハッチを潜ってきた将校、まさしくミハイル・クレッチマー准将その人に敬礼しながら声を掛ける。

 

「少佐こそよくぞ生き残ってくれたな。敗軍の将とはいえ、私が今こうして生きていられるのはミンスクの乗組員に助けられたお陰だ。私は運が良かったのだろうな。」

 

答礼しつつ苦笑して答えるクレッチマー司令。訓練戦隊司令の立場として、第4艦隊司令部とはやり取りが多かった方であるオレだが、司令本人と話した回数はそれほど多くはない。それでも生き残っていてくれて良かったと素直に喜べるのはこの人の人柄故だろうな。

 

「生きていてくださらねば困ります!

今やレビル提督は捕虜となられ、カニンガン提督も撤退戦で苦しい戦いを強いられている模様です。司令までも失われてしまえば連邦軍は再建も出来なくなります!」

 

「そうそう、そのカニンガン提督の件だが我々のいた後陣には通信が切れ切れにしか届かなかったのだ。すまんが少佐、内容を確認させてくれないか?」

 

「では提督、どうぞ第一艦橋へ。現状も含めご報告させていただきます!」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

艦内通路をガイドレールに掴まりながら進む我々だが、その間にも戦隊各艦に合同したレパント型2隻の合わせて6隻からなる臨時艦隊は進路をルナIIに取りつつあった。

 

 

「カニンガン提督は死ぬ気だな。」

 

それがクレッチマー司令が艦橋で情報を精査した後の第一声だった。

 

「カニンガン提督が、ですか?」

 

「あぁ、間違いない。第5艦隊の殿をマゼラン型のネレイドが務めている。しかも直掩はいずれも手負いのマゼラン型だ。ジオンの足止めをしつつ、味方を逃がす気だろう。自分達を犠牲にしてでもな。」

 

オレの質問に答えた司令は苦り切った顔だ。確かカニンガン提督と司令は士官学校の先輩後輩の間柄だったはず。本当なら助けたいのだろうな。

 

「しかし司令、今はカニンガン提督のことより、我々第4艦隊がどう逃げるか、・・・あっ、いえどう撤退するかを考えるので精一杯ではありませんか?」

 

「それはもちろんだ。少佐のお陰でサラミス4隻という強力な味方と合同できたとはいえ、ムサイ級とザク?だったか、MSに襲われれば厳しいだろうからな。第4艦隊の戦艦戦隊は前衛に割り振られていたから合同は難しいかもしれんが、中央から後陣にかけてのサラミス型やレパント型を糾合できればあるいは・・・」

 

考え込む司令には悪いが、そこまで戦力として数えられる艦が残っているようには思えない。

我々だって幸運に幸運を重ねてなんとか生き残っているようなものなのだ。

 

「司令、申し訳ありませんがそこまで多くの艦が生き残っているようには思えないのですが」

 

おずおずと、しかしはっきりと進言したのはやはりリューデッツ艦長だった。よくぞ言ってくれた!と内心オレが激しく同意していたのは秘密だ。

 

「確かにな。ミンスクで退避する間も、生き残っている艦は貴艦たち第1001巡洋艦戦隊しか会わなかった。それ以外はみな退艦中の損傷艦や既に沈んだ艦ばかりだ。」

 

しばらく黙考した上でクレッチマー司令が出した結論は我々が合同前に考えていたものとほぼ同じだった。

 

「よし、コープ少佐。戦隊針路このまま。連合艦隊の後方に展開しているであろうジオンの艦隊を避けるようにして、ルナIIへの航路を策定してくれ。」

 

既にオレからの指示により、慣性航行でその針路を取っていることを考えれば、クレッチマー司令はオレの考えを追認してくれた、ということだろう。

 

「艦長了解。戦隊各艦に改めて下令。針路そのまま、慣性航行を継続。敵に探知されないよう留意せよ。またレーザー通信にてピッツバーグと第221防空戦隊にも同様に通達を送れ。」

 

「「アイサー!」」

 

「通信長、ミンスクのライエン大尉に修理状況を問い合わせてくれるか?どこまで戦闘が可能かを確認しておきたい。」

 

オレの命令に付け加える形でクレッチマー司令が通信長に命令を出す。

確かに合同時に被弾していた2隻(ミンスクは艦の左舷に装備していた大型のミサイルサイロを、ペトロブルクも両舷に多くの被弾を受けていた。ミンスクはミサイルを撃ち尽くしていなければ沈んでいただろう。)

 

「了解しました。レーザー通信のため、少しお時間をいただきます。」

 

「ミンスクと繋がります。司令どうぞ!」

 

「こちらミンスク。ライエン艦長です。クレッチマー司令、本艦とペトロブルグの応急修理ですが、現時点では破口を完全に塞ぐことは難しいため、気密の確保と推進系の修理を最優先して行っています。推進系については幸い、予備部品を第1001巡洋艦戦隊より融通していただけましたので、修理出来るものはすべて完了しております。なお、ペトロブルグはメガ粒子砲についても修復に成功しました。これもやはりミカサより予備部品を提供してくださったお陰です。コープ少佐ありがとうございます。」

 

呼び出されたライエン艦長はハキハキと答える。艦の状態も改善され、心なしか表情も明るくなったようだ。

クレッチマー司令もうんうんと頷きながらも笑顔が出ている。

 

「ライエン艦長、よくぞやってくれた。戦闘行動もなんとかなりそうかね?」

 

「全力は難しいかもしれませんが、自艦の防衛と第1001巡洋艦戦隊の邪魔にならぬように動くことは出来るかと。」

 

「今はそれで十分だ。生きて帰るぞ!」

 

通信を切ると我々、臨時小艦隊は慣性航行のままで更にルナIIを目指す。

今も周囲では遥か遠方とはいえ戦闘とおぼしき閃光がときおり光っている。

あの光の元では残存艦がやられていっているんだろう。

我々もいつまで見つからずに行けることか・・・

今は静かに航行できている我々ももしジオンの部隊と出会えば全員無事とはいかないだろう。

 

 

俺たちの静寂は結局その後30分ほどで終わることになる。

「艦長、前方距離約100000、ムサイとおぼしき艦影3を監視員が発見しました。」

 

「ベクトル分析は?」

 

「ベクトル方向170度。ほぼこちらに正対して向かってきています!」

 

「クレッチマー司令にCICへお越しいただけ!総員第一種戦闘態勢!レールガン並びにメガ粒子砲エネルギー充填始め。僚艦にも伝え!」

 

アラームと共に一気に騒がしくなった艦橋内。

ルナIIへの航路はまだまだ遠い。

副長からの報告に司令を




年度末、仕事が忙しく投稿が遅れてしまいました。
なんとか戦闘シーンまで今話に入れたかったのですが、更に遅くなりそうなのでここで一度投稿させていただきます。
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