あと明日と明後日はちょっと投稿が難しいかと……。
「────そろそろ着くかもな。大丈夫そうか?」
「っ何とか…!」
「はぁ…はぁ…っ!」
「キツかったらいつでも言えよ?背負ってやるし」
「「キツイ!!」」
「早すぎるし露骨すぎんだろ!?」
辺り一帯が銀世界の中、いつもの三人組は雪を踏みしめる。鬼は温かみのみを与える炎を纏い、その温度を頼りとしながらアヤメとナグサは鬼に続く。遭難しないように二人の腰元には面がぶら下がっており、もしもの時はこの面を目印に鬼が飛んでくることになっている。
何故三人が雪山を登ることになったのか。それは鬼からの提案だった。
◇◆◇◆◇
春になり、二人が進級して新しい後輩が出来たころ。鬼にとある相談をしていた。それは次の委員長にナグサがなりたがっているということについてだった。
「ナグサが委員長って、早くねぇか?まだ二年生になったばっかだろ」
「そうだよ。前の委員長と今の委員長が私とナグサのどっちが委員長に良いのか話してたらしくてね、先に伝えた方がいいだろうってことで私が推薦されたんだ。だから先輩が卒業したら次は私が委員長!」
「なるほどな…今の百花繚乱紛争調停委員会の二年生はお前さんらだけだから、結局どっちかが委員長でもう片方が副委員長になるのか。ナグサはそれに納得してんのか?」
「うん。私はアヤメを支える人間になりたいって思ったから、傍で立つ副委員長の方がいい」
「…なら聞くが、アヤメはそれに納得してんのか?前も聞いたが────」
「私がやりたいって思ったことなんだ」
「!」
「鬼さんの心配もわかってる。私が委員長になってみんなの助けてって声に応え続けたら、私はいつか潰れちゃうと思う。…でも大丈夫。私はもう一人で抱え込まないから。ナグサに支えてもらうし、後輩の子達にだって助けてもらいながら委員長をする。それに私、やっぱり誰かが困ってたら助けたいって思っちゃうしさ!」
「……そうか」
「あ、でも鬼さんにも助けてほしいときは助けてほしいなーって……」
「馬鹿野郎、ガキが大人に助けを求めんのに遠慮すんじゃねぇよ。お前さんの力を振り絞っても駄目だった時、絶対にオレが助けてやるさ」
「~~ッ!!鬼さんありがとう!!」
「どわぁっ!?おまっ飛びつくんじゃねぇよ!?ナグサ、そっちから引っ張って引き剝がしてくれ!」
「…いいな」
「ナグサ!?」
雑談する時の固定位置と化した鬼の家にある広間の炬燵で、三人はいつものように話し合う。同じように炬燵に入っているユメは寝ており、すやすやと夢の世界に旅立っていた。
抱きしめてくるアヤメを引き剥がし、一息つくために湯呑みを傾ける鬼。「ケチ」と文句を言うアヤメをデコピンで黙らしながら、ある提案を二人に投げかけた。
「まぁ、ちゃんと決意が決まってんならオレも何も言うことはない。……逆にちょっとだけ世話を焼いてやろうかな?」
「世話?」
「おうよ。お前さんらは、
「クズノハ、って……」
「百花繚乱に伝わる、伝承で聞いたことはあるけど……でも御伽噺なんじゃ」
「いんや、あいつは黄昏の寺院ってとこで今も世界を眺めている。大預言者として、初代百花繚乱紛争調停委員会の委員長として」
「「……!」」
思わず息を飲む。クズノハのことを語る鬼に嘘の気配は感じられず、それが本当であると信じるほかない。だがあまりにも突拍子のない話だ。だって鬼は御伽噺の話を本当だと言った。それがどれだけ昔の話なのか、分かっているのだろうか。
「ちなみに見た目は狐耳が生えてるやつでな、オレからしたらガキみたいなもんだがお前さんらからしたら婆ちゃんみたいな年齢だ。お前さんらが抱いた疑問はおかしくないさ」
「え、本当に言ってるの?!」
「本当に、実在してる人だったんだ…」
「ちなみにこのことはちゃんとあいつにも聞こえててな、多分次会った時はボッコボコにされる。オレとクズノハ相性悪すぎるんだよな…」
「鬼さんがボコボコにされるの!?」
「噓でしょ…!?」
炬燵にめり込むほどに顔を伏せ、「はっはっはっは後悔先に立たずってやつだな。行きたくねぇ」なんてぼやいているが、それ以上の衝撃が襲ってきている二人は反応できなかった。
二人にとって鬼は最強の存在だ。一対一に関してはいくら強くなろうと勝てる未来が見えず、二人でかかってもまるで歯が立たない。もし新しく出来た後輩達を含めた四人でかかってもやっと影を纏う鬼とやり合える程度だろう。しかも真剣無しの鬼となのだから、もし真剣ありだったら……。
「……駄目、想像できないや…」
「私も、鬼さんが負けるところが浮かばない…」
「まぁ伊達に初代委員長をやってなかったってことだ。んで話を戻すけどな、その黄昏の寺院ってところは百鬼夜行の北に位置していて、今はほぼ廃墟みたいなもんだ。…だが百花繚乱紛争調停委員の委員長、より詳しく言えば百蓮を使うことが出来る生徒はクズノハがいる黄昏の寺院にいける。その条件は…まぁ後で言うか。ていうわけで!ちゃんと百蓮が使えるかの確認と新年の挨拶に行かねぇか?クズノハに会えなかったら必要なことが分かるし、会えればちゃんと委員長として戦えることがわかる」
「どうだ?」
◇◆◇◆◇
「────って言われて付いてきたのはいいけど…!寒すぎない!?」
「仕方ないだろ。ここら辺は雪が降らない時期の方が少ないんだしな」
「……鬼さん、本当にこっちで合ってるの?ずっと同じ景色を繰り返してるみたいで…」
「合ってる。本当はもう少しショートカットしたかったんだけどな、いつかお前さんらだけで来るかもしんないから道を覚えていて欲しかったんだよ。まぁ視界の情報だけで覚えられるほど優しくないけどな、ハハ」
「それハハッで済ますことじゃなくない?」
「まぁ来年も来れそうだったらまた来るつもりだし、そんときには道を覚えてなくても行けるようになっとけ。後々役立つだろうし」
「簡単に言ってくれるよね…!」
そう言いながら歩みを止めない三人。すでに雪山は上り終え、大雪原に辿り着いた。時々鬼が炎で作った円に入って食事を取り、休憩が終わったらまた歩く。それの繰り返し。
「そういえばさ、鬼さんのその炎ってなんなの?なんていうか、本当の炎みたいじゃなくて…」
「お日様の光みたい」
「そう、そんな感じ!」
「『鬼火』のことを言ってんだったら、その予想はちょっと違うな。今はただ温める目的で使ってるからそう思うだけで、歴とした攻撃だぞ」
「…鬼さんって影のこととか、その炎のこととか…なんか、凄いよね」
「アヤメの語彙力が死んだ…」
「草」
「草って何さ!?あとナグサも似た感じでしょ!って、ここは…」
「…喋ってる間に着いたみたいだな。今日の目的地、黄昏の寺院の跡地に」
足を止めるといつの間にか雪が止んでいたことにも気づく。そして見えやすくなった視界で見渡せば、目の前に何かしらの寺院の跡地が存在していた。しかしどこにもクズノハらしき姿は見えず、殺風景な景色ばかりが広がっている。
「鬼さん、本当にここであってるの…?どこにもクズノハさんらしき姿は見えないよ?」
「んー説明すんのを忘れてたな。クズノハが実際にいるのはこの寺院じゃない。あいつがいるのは彼岸の境界であり、時間の概念が限りなく薄い場所でな。ここが入り口ではあるのに辿り着けないのはそのせいだ」
「え、じゃあどうやって会うの?もしかしてここまで来たのって徒労だったり…」
「いや、そうでもない。二人とも、目をつむれ。そんでオレがいいって言うまで開けるんじゃない」
「目を?…わかった」
「……閉じたけど…」
「そんじゃあそのまま待て」
鬼の言うことを聞いて数秒。突然、先程まで体に叩きつけられていた風が鳴りやんだ。思わず目を開けそうになるが、鬼の言ったことを思い出して我慢する。
「…よし、もういいぞ。開けてみな」
「…わぁ」
「彼岸花が、咲いてる…」
「よく来たのう。鬼に妾の後輩たちよ」
上から声が降ってきたと感じて見上げてみれば、大きな鳥居の上に一人の少女らしき誰かが足を組んで座っていた。トッと鳥居から飛び降り、いつの間にか水浸しになっていた地面に不自然なほど音を立てずに着地する。
白桃色の長い髪を持ち、狐耳の後ろ辺りで黒いリボンでまとめられている他、白い袖広上着を大きくはだけながら着崩す形でかなり地肌が露出しているなど特徴的な容姿をしていた。
だが容姿以上に感じ取れるものがある。目の前の少女は異質な存在であり、ただの生徒ではないことがわかる。事実その体が漂う神秘は、百蓮のものをさらに何倍も強めたもののようだった。
「年明けの挨拶と言いながらここを訪れるのは変わらんの。しかしお主が付き添ったからよかったものの、一人はここに入れんかったんじゃぞ?捨て置いてしまった場合はどうするつもりだったんじゃ」
「その場合はオレが迎えに行ってここまでの道を切り開くつもりだったな。そんで、やっぱり無理だったか…二人一気にって思ったんだが、ままならんな。あとあけおめことよろ、これ土産な」
「本当に変わらんのう?うむ、どうぞよしなに。そしてこれは…ほう!油揚げではないか、これはよいものじゃな」
「あのっ!」
「む?」
鬼が懐から取り出した紙袋の中身を見て嬉し気に尻尾を揺らすクズノハへアヤメは声を掛ける。そして確信する。これは夢ではなく、幻覚でもない。確かに目の前に存在する────
「実体じゃ」
「!」
「ホホホ。確かに妾は遥か過去の残滓に過ぎず、覚えておる者もそこにおる鬼程度じゃ。しかし御伽噺でもなければ眉唾の存在ではない。百花繚乱の初代委員長とは妾のことじゃ」
「……本当に実在したんだ。じゃあ、鬼さんがお婆ちゃんって言ったのも」
「げっ」
「ナグサ!?」
「おぉ、忘れてしまうところじゃったな。ホレ、逃げるでないぞ」
「ぐえっ!?」
初めて見る鬼の逃走態勢に驚いていると、虚空に現れた見えない手に捕まれるかのように鬼の襟首が宙に浮いた。その反動で首が締まったのか、苦しそうな呻き声が鬼から聞こえた。ちゃぷちゃぷとクズノハが鬼に近づけば宙で離されるようにして落下する。その衝撃で水が飛び散るが、鬼は気にせず正座へと移行した。
「鬼よ、いや…
「神じゃないんで鬼で頼む」
「却下じゃ。さて…妾がお主に申したいことはわかっておろう?」
「ウッス」
「申し開きは?」
「ありません。煮るなり焼くなり好きにしてください……」
「うむ、潔し。ならば言わせてもらうがの……」
「───妾とて女子じゃあッ!あやつらに話すべき内容にも気を遣わんかアッ!!」
「ゴベッハアァッ!!?」
初代委員長の黄金の右腕が唸りを上げ、鬼のあご目掛けてアッパーカットが放たれる。ドゴシャアッ!!という音を立てながら墜落した鬼の姿からは、その威力の高さが推測できる。
たった一発で鬼がノックアウトされた姿にアヤメとナグサは呆気にとられ、先程までの緊張感が吹き飛んでしまう。鼻を鳴らして二人へとクズノハが振り向いても、やはり背筋が伸びる程度で動けなくなるほどの緊張感は無い。
「まったく、付き合いが長かろうと乙女は乙女じゃのにあやつは……七稜アヤメ、そして御稜ナグサよ」
「「は、はい」」
「……うむ。七稜アヤメは既に己を見つめ直したか。しかし御稜ナグサは寄りかかる先を失くしたとて、一人立ちは今だ遠い、か。鬼神がおったとはいえ、やはり完全とは言えんのう」
「え、っと」
「おぉ、独り言ばかりですまんのう。安心せい、お主らがお主らのまま百鬼夜行で立ち続ければ、いずれその身が己を正すじゃろう。今は新しき仲間と力を合わせ、精進せよ」
「は、はい!」
「頑張り、ます」
「うむ、うむ。妾から続き、あの者たちから百花繚乱を継ぐ者がお主らでよかった。さて、そろそろ開きとしようか……その前に確認するべきか。鬼神よ!お主、まだあれは持っておるか?」
「持ってるよ…」
いまだ仰向けのまま水面につかる鬼が懐へ手を入れ、何かを探す。そして目当ての物を見つけたのか、握りしめたまま腕を掲げる。
そこには『無我一如』と書かれており、どこか神聖なものを感じぜざるをえないお守りが一つだけあった。少し古く見えるが、新品のようにきれいなままだった。
「ならばよい。決して失くすでないぞ」
「命を救ってくれた大事なもんを失くすつもりなんぞない。ずっとオレの中にいれてんだからな」
「それがよいじゃろうて。ではの、次にここへ来る時は便りを寄こすんじゃぞ」
「了解、そんじゃあまたな。アヤメとナグサも早く帰るぞ、ユメを待たせるわけにはいかんし」
「うん、クズノハ様!また今度!」
「貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。それでは、さようなら」
「うむ、またの邂逅を待っておるぞ」
立ち上がった鬼が小さな鳥居に向かい、続くナグサと共に姿を消す。アヤメもまた二人に続こうとして鳥居をくぐる……が、元いた寺院の跡地には一向に戻らない。あれ?と首を傾げていると、「すまんすまん、お主に伝え忘れておったことがあっての」とクズノハが声を掛けてくる。
「伝え忘れたこと…?」
「うむ、あの者のことでの。お主は知っておかなければいかんことがある」
「…そういえば、鬼さんのことをクズノハ様は鬼神って仰ってましたよね?あれってどういう……」
「────不完全故に曖昧。あやつを知る自称芸術家が言っておったことじゃが、まさにその通りとしか言えん」
体が止まる。それは、ユメを助けた時のことを語っていた鬼が口にした言葉。クズノハがそれを知っていることに関してはあまり動揺はない。鬼の失言を知っていたことから、彼女がキヴォトスで起きたことを認識しているというのはわかっている。ならばなぜ己はその言葉に驚いたのか、それはアヤメ自身わかっていなかった。
「それって、どういう…」
「いずれ知ることになろう。すべてを妾から伝えようにも困難じゃ、鬼神の機嫌が悪くなるからのう…」
「それってまるで、鬼さんが知ってほしくないみたいなことじゃ」
「そうじゃ。あやつはそれを隠すじゃろう、己の歪さを。阿婆擦れによって狂い、羅刹へと身を落としかけ、今にも失いかける自我を」
「っ!?」
「あやつが子を宝と考え、己の背中を見せることで大人であろうとすることを信念とするのはあやつが移ろう煙のようじゃからじゃろう。お主にはそれを知ってほしかった。あやつを好いた七稜アヤメに」
「!?!?!?」
己の心を言葉にされてしまい、いつもの凛としながら子供らしさの残る表情がどこかへと飛んでいく。金魚のように口をパクパクとするが言葉にならず、熱が上った顔から湯気が上る。
そんな後輩の姿を見ながらクズノハは笑みを零す。
「お主が羨ましいものよ。あやつが黄昏に燻ぶるのであれば、妾と結ばれてほしいと願うというのに…口惜しや」
「はい!?!?今なんて言いました!?」
「ホッホッホ!何、あやつを好く者はお主らだけじゃないということじゃ。掠め取られたくなくば、あやつが崩れ落ちし時に傍にいてくりゃれ。お主にしかそれが叶わんのじゃからの」
言いたいことは言い終えたのか、アヤメの意識が薄れていく。別れる最後の時までクズノハは笑みをアヤメに向け、桃色の煙をくゆらせる。
「あやつを頼む、七稜アヤメ。子供に涙を流させる世界を許さぬ、心優しき鬼神を」
「────メ、───ヤメ!どうしたの!?」
「っぁ」
「アヤメ、気が付いた?今鬼さんが私達のことを運んでくれてるの」
「運んで、って…速っ!?」
気が付くと、辺りの景色がコマ送りのように過ぎ去っては遥か後方へと消えていく。目の前へと目線を戻せば、何故かナグサの顔が真正面にあった。
「え、これどういう…??」
「私が鬼さんにおんぶされてて、アヤメは鬼さんに抱っこされてるの」
「え??」
「お、気が付いたかアヤメ。なんだ、クズノハのやつが引き止めでもしたか?」
「鬼、さん」
現状の把握が出来たアヤメは気づく。これ、お姫様抱っこでは?でなければナグサと顔が合うわけないし、足元と頭上で景色が過ぎ去る理由にならない。
そこまで思考が追いついてしまい、アヤメの顔にまた熱が上り始める。
「あ?どうしたアヤメ、顔が赤くなってるが…そんなに恥ずかしかったか?悪いな、これか脇に抱えるかじゃないと動けなかったんだが」
「私は嫌だよ。アヤメも嫌がる」
「って言ってな。嫌だったか?」
「ぜんぜんです」
「そうか、ならよかった」
速度を緩めない鬼に顔が見られないように顔を手で覆うが、隠せている気がしない。嬉しく思うのにキャパオーバーしてしまいそうだった。
◇◆◇◆◇
百鬼夜行に戻り、自宅の布団に包まって考え込む。手元には鬼がくれた面があった。なんでも、自分が危機に陥った時にこの面を媒介に鬼が現れるんだとか。
そんな面を抱きしめながら眠りにつく。脳裏には大預言者の言葉が浮かんでいた。
『あやつが崩れ落ちし時に傍にいてくりゃれ。お主にしかそれが叶わんのじゃからの』
(…鬼さんが崩れ落ちる時なんて、あるのかな。それに私にしか出来ないって……鬼さんが、鬼神、ってどういうこと、なんだろう……)
誰もが眠りにつき、鬼が静かに百鬼夜行を巡回する夜。黄昏に佇む大預言者はキセルから煙をくゆらせては静かに息を吐く。
その手元には、
「……鬼神よ……妾を忘れぬ、ただ一人の男よ。どうか、己の鬼に打ち勝っておくれ……」
その瞳の裏側に映る光景はある一夜のことだった。ボロボロになった街並みに傷だらけで倒れ伏す百花繚乱紛争調停委員会……それだけではない。忍者の装いをした生徒達も、獣耳を持ちし生徒達も皆倒れていた。
道の中心で気絶する包帯を巻いた小柄の少女を庇うように、一人の大人が一方へ視線を向けている。その一方にいたのは……見覚えのある袴に抜き身の刀を大人へ向け、銀色の髪が風に吹かれてたなびいているもう一人の大人だった。
しかしそこに人間の顔はなく、灰色でおどろおどろしい形相と捻じれた角を持った