頭脳派たちよ、ようこそ実力至上主義の教室へ 作:NO NAME NO LIFE
僕、梶隆臣は、貘さんに指定されたとおりに、桃喰綺羅莉さんの寮へと赴いた。そこには、貘さん、綺羅莉さん、一ノ瀬さんの3人がすでにいた。
「すみません、待たせてしまいしたか?」
僕は質問するも、綺羅莉さんは「いいのよ、時間通りに来てくれたわけだし」と言った。
「で、勝利した褒美が何か先に決めておきたいのだけれど、よろしいかしら?」
そう聞いたのは綺羅莉さんだった。やはり、最終確認は必要だよな。
「俺が勝ったらBクラスの情報を喋ってもらう。俺が負けたら、渡久地チームの情報を喋る」
それで二人とも納得したようだ。あとは、俺と一ノ瀬さんでギャンブルの内容を考えるだけだ。内容は、運要素が絡まないポーカーにしよう、という一瀬さんの提案をもとに、僕が考えた変則ポーカーを行うことにした。
そして、みんなでコンビニに行きトランプを買った後、そのトランプで勝負をすることになる。
「それでは、僕が考えた変則ポーカー、クエスチョンポーカーのルールを説明します」
僕はルールを説明する。
「お2人は、それぞれ最初に100チップ持ってます。最終的に相手のチップを0にした方が勝ちです。」
「なるほど、勝利条件は単純ね」
ええ、だって口頭で説明するのだから、単純な方がわかりやすくていいでしょう?と、返してみた。ディーラーって意外と楽しいものなのかもしれない。チームの情報が懸ってさえなければ。
「そして、ゲームの準備は簡単です。貘さんに一ノ瀬さんが、綺羅莉さんに僕がついて、そのままトランプを5枚引きます。どちらも役ができてることを確認してゲームスタートです」
「流石梶ちゃん。信頼できる配慮もあっていいね」
貘さんにそう言ってもらえると自分がとても誇らしくなるが、そんな自惚れをしてる自分が嫌にもなってくる。不思議な感覚だ。
「そして、このゲームは先攻と後攻の2つに分かれてプレイすることができます。また、先攻と後攻はターンごとに入れ替えます。自分のターンでは、コール、レイズ、フォールドを選択した後、質問、もしくは回答することができます」
「質問と回答……詳しく聞かせてちょうだい?」
「わかりました。質問は、カードの数字に直接関係のないYSEかNOの質問をすることができます。質問に回答するのは、貘さんの質問には僕が、綺羅莉さんの質問には一ノ瀬さんが答えます」
お互い、それなら質問に対する答えは安心、と言った様子だった。
「そして回答は、質問で得た情報を元に自身の予想する答えを話すことができます。なお、答えは相手の役、カード一つ一つの数字とスートを全て当てなければ、当てたことにはなりません。この回答で正解した場合、相手の賭けたチップが全て自分のものに、不正解だった場合は、自分の賭けたチップが全て相手のものになります。これがクエスチョンポーカーの全てのルールです。何か質問はありますか?」
「お互い全てのチップを賭けて答えが分からずじまいだった場合、ゲームが進まなくなるけどどうするの?」
「その場合は考えてませんでしたが、とりあえず仕切り直す……と言うことでいいですか一ノ瀬さん?」
僕は一ノ瀬さんに同意を求めた。そして同意を得ることができたので、正式に答えが分からずじまいだった場合は仕切り直しということになった。
「それではゲームスタートということでよろしいですか?そしたら、最初の先攻と後攻はコイントスで決めます」
「じゃあ、俺は表で」そういう貘さんに対し、綺羅莉さんは「裏にするわ」と答えた。そしてコインは表だったので、最初は貘さんが先攻になった。
そしてカードを5枚引く。カードはハートの5ダイヤの5スペードの3クラブのKクラブのAだった。
「では、最初は貘さんのターンです」
そういうと貘さんは、1チップ賭けたあと確信を持ってこう言った。
「その役は、ワンペアか?」
!?さすが貘さんだ。役はもうすでに気づいていたのか。僕はYESと答え、貘さんはそのまま続けて答えた。
「綺羅莉ちゃん、思考バレバレだから気をつけた方がいいよ。ワンペアかツーペアの弱い役なんだろうなって表情見てわかっちゃったもん」
僕にはそんなことわからなかったが、貘さんにはわかるのか。関心してると、綺羅莉が口を開く。
「何を言ってるの?確率的にワンペアがほとんどだからワンペアか聞いただけでしょ?ハッタリが上手ね」
そうだったのか。確かに、よくよく考えればわかることか。すると、綺羅莉さんはコールして、貘さんと全く同じことを聞いた。しかし、一ノ瀬さんはNOと答えた。貘さんの手は、ワンペアじゃないのか?このゲームの都合上、ディーラーの僕もゲームの全体像がわからないので、そんなことを思考していた。
「なるほどね、あなた、ワンペアじゃなくて有利だからこそ、そんなに自信があったのね。でも、ワンペアじゃないって本当に有利なのかしら?ワンペアは同じカードが2枚しかないから、カードを特定するのに時間がかかるでしょ?その点、強い役は役を当てたあとのカード絞りがワンペアに比べて圧倒的に楽なのよ」
確かに、そうとることもできるな。するとターンが回ってきた綺羅莉さんは、1チップ賭けてこう質問した。
「質問、その役には、スートが3つ以上存在してる?」
そうすると一ノ瀬さんはYESと答えた。なるほど上手い。フラッシュ、ストレートフラッシュ、ロイヤルストレートフラッシュを選択肢から消した。しかし、貘さんはこう言い放った。
「ストレートフラッシュもロイヤルストレートフラッシュも、最初からあってないようなもんだろ。俺は安全策で行くぜ。」
確かに、確率的に見れば、ストレートフラッシュもロイヤルストレートフラッシュも、あってないようなものかもしれない。今はなんの役かわかってる貘さんが優勢か。すると貘さんはコールした。
「質問、その役は、全てのスートが存在するか?」
僕は当然YESと答える。貘さんは綺羅莉さんを本気で潰す気なんだろう。次のターンで、さらに1枚賭けた貘さんは、一枚賭けて、2つ被ってるスートを聞きにきた。
「質問、被ってるスートはハートか?」
間違ってたためにNOと答えた。綺羅莉さんのいうとおり、このゲームは低い役は役を当てたあとのカードを絞る段階で苦労をする。貘さんは勝つことができるのだろうか?
「みんな質問なんだけどね、これすこしだるくない?ちょっと飽きてきちゃったからさ。もう終わらせちゃいましょ」
そう言い、綺羅莉さんはなんとチップを全賭けして、このように言い放ったのだ!!
「質問、その役にトランプは含まれているか?」
どういうことだ?なぜ全賭けして質問をするんだ?すると、貘さんが全てを悟ったように俺に解説してきた。
「梶ちゃん、わかってないみたいだから説明するけど、俺は負けたんだ。ごめんね」
「あらあら、まだ負けてないのに負けを認めちゃうの?自分から振ったギャンブルなのに。あなたって案外ギャンブル弱いのね」
すると貘さんは、知略で負けたんだから潔く負けを認めるよ。と話した。
「どう言うことですか!!意味がわかりません!!説明してください!!」
「まずこのルール、全部賭けてお互い分からずじまいなら仕切り直しになるだろ?そして、回答で間違えれば間違えた方の負けとなる。こいつはその2つのルールを利用して、俺が綺羅莉ちゃんの役を予想して脳のキャパを消費してるあいだに、何も考えてない質問をした。そして、全賭けして質問するという行為をすることで、俺に全賭けしなければならない状況を作り出させた。そうすることで、精神力勝負に自然と持ち込んだんだ」
そんな……貘さんが負けるなんて……僕は少し絶望していたが、貘さんに、「綺羅莉に情報を話すから、一ノ瀬ちゃんと出てくれないか?」と言われ、綺羅莉さんもそれを承認したので、綺羅莉さんの寮から出た。この時は、悔しくて仕方なかったが、僕は後で思い知ることとなる。
この勝負……貘さんは勝っても負けてもどちらでもよくて、綺羅莉さんに興味を持ってもらうことが目的だったのだと。そして、このギャンブルは、貘さんと僕ら渡久地チームが、Aクラスになるための計画の一部だったのだと。