『トリプルティアラ』それは『桜花賞』『オークス』『秋華賞』を勝ったウマ娘だけが手に入れる称号。私も必ず、この称号を手に入れて王道を走り続けるのが私の夢…。
「お姉ちゃーん!トレーナーがご飯食べろって言うの〜!」
私に抱きついて泣き始めているのがヴィブロス。
「でも…ヴィブロスは実際細いでしょ…。」
ヴィブロスに泣きつかれてる私の横に立っているのがシュヴァルグラン。そして、私がヴィルシーナ。
「シュヴァルの言う通りにヴィブロスは細すぎるわ…。ちゃんと食べてるの?」
「もー!お姉ちゃんまで!食べても太らないんだもん!」
「「それはそれで羨ましい…。」わ。」
3人で食堂へ向かっていると、前から強者のオーラを感じた。
「あらヴィルシーナさん。それにシュヴァルグランさんにヴィブロスさん。ご機嫌よう。」
「ジェンティルドンナ…。」
私が睨みつけるようにジェンティルさんを見ていると、ヴィブロスがジェンティルさんに話しかけ始める。
「ジェンティルさんこんにちは〜」
「ヴィブロスさんはこんなにいい子なのに、どうしてヴィルシーナさんは私のことを睨むのかしら?」
悲しそうな演技をしながら、私の方を見る。確かに、出会ってすぐに睨みつけるのは宜しくなかったのかもしれない。ここは謝ることにしておこう。
「ごめんなさいジェンティルさん。改めてご機嫌よう。」
「ほほほ…、珍しくヴィルシーナさんが素直ですわね。」
本当に嫌味を言う方。けど、謝った直後睨むこともできず下を向く。
「(やっぱり苦手だ…この方…。)」
「それでは桜花賞でお待ちしておりますわ。ヴィルシーナさん。」
そう言って、ジェンティルさんは食堂とは別方向へ歩いていく。
「姉さん大丈夫?」
「え、ええ…。大丈夫よ。私はあなた達のお姉ちゃんだもの…。」
「それ理由になってないけどね…。」
私は落ち込んでいる気持ちを何とか震い立たせて、妹たちと一緒に食堂へと向かう。
「やっぱりジェンティルさんはかっこいいよね!お姉ちゃん!」
「ええ!?ヴィブロス…それ私に聞くの…?確かに…綺麗出し、かっこいいけど…性格があれではちょっと…。」
私が苦笑いをしているとシュヴァルが私の方を見て「でも姉さんの方が僕はいいかな。」と嬉しいことを言ってくれる。
「シュヴァル!おいで!頭撫でてあげるわよ!」
「わー!違うから!そういう意味で言ったわけじゃないから!」
「そんなに恥ずかしがることないでしょ!ほらほら!」
私は頭を撫でる仕草をしながら、シュヴァルに近づく。しかし、目の前を遮られる。
「シュヴァちばっかりずるいよ!お姉ちゃん私も褒めてよ!」
顔をふくらませて怒るヴィブロスだ。うーんこれはこれで可愛いわけなのだが…ジェンティルさんを褒めたヴィブロスを褒めるのは私のプライドが許さない。でも、可愛いのでとりあえず撫でておこう。
「仕方ないわね。ほらヴィブロス撫でてあげる。」
「やった!」
こういう幼い感じが可愛い末っ子というものだ。
私は今この時に思ってしまった。この2人の夢ってなんだろうと。私はトリプルティアラを取ること。改めて考えてみると、2人の夢は聞いたことがない。聞くのなら今か?と思いながら声にする。
「ねぇ、2人とも。」
不思議そうに私を見る2人。やっぱりやめようかと思ったが、声は自然と出てしまった。
「2人の夢ってなにかしら?」
私の言葉を聞いて、2人は悩む仕草をする。それもそうだ。考えてなかったのかもしれない。ヴィブロスもシュヴァルも最近トレーナーが付いたばかり、私のようにトレーナーが付く前に夢を決めてるなんてことは珍しいのかもしれない。
「うーん…僕は、やっぱりキタサンとかに勝つことかな?これって考えたことないけど…一緒にレースするわけだし、勝たないとって感じかな?」
なるほど…同期に勝つ。確かに、それも夢だ。しかし、私の同期と言えば…あのジェンティルさん。いや、深く考えるのはやめよう。私とシュヴァルは自然的にヴィブロスの方を向く。シュヴァルが夢を語ったのであれば、ヴィブロスも夢を語るのも自然な流れだからだ。
「えー…夢ね〜…。夢って言われてもわかんないなぁ…。けどけど!こうは考えてるよ!いつかはドバイに行きたい!」
ドバイか…なるほど。それはもちろんレースに出たいということなのだろうか?それとも、普通に旅行なのだろうか?
「ヴィブロス?それは旅行なの?レースなの?」
「そう言われるとね〜。難しいよー。簡単に考えたらそうなっただけだもん!」
「いや、これはお姉ちゃんが悪かったわ。ごめんなさい。」
「こんな感じでいいなら夢はさっき言ったやつになるかも!」
フンスフンスとドヤ顔気味のヴィブロス。夢といえば夢であろう。
やっぱり、トリプルティアラに向けた夢は大きすぎなのかもしれない。
「あっ!トレっち!シュヴァち!お姉ちゃん!またね!」
「ちょ!ヴィブロス!ご飯はどうするの…って行っちゃった…。姉さんどうする?」
私は本当にトリプルティアラが取れるのだろうか?トレーナーさんには「君なら問題ない。君ならあのジェンティルドンナにも勝てる。」と言ってくれているが、いざ本人を目の前にすれば、その褒め言葉もお世辞に聞こえてきて仕方ない…。本当にトリプルティアラは取れるの?私が取っていいものなの?
「姉さん!」
「えっ…ああ。どうしたの?シュヴァル」
「ヴィブロスがヴィブロスのトレーナーさん見つけたからって走って行っちゃって、ご飯残ってるんだけど…。」
「そ、そうね。二人で分けましょうか。」
ヴィブロスが残したご飯をシュヴァルと私で分ける。その間も、私の頭の中を暗くさせることばかり考えさせる。
「姉さん?大丈夫?」
「え…ええ。大丈夫よシュヴァル。」
「何かあったら、僕に言ってよね。力になれるか分からないけど…。」
心配そうな顔でそう言われてしまうと、空元気で返事してしまうのが長女の性なのだろう。
「ありがとうシュヴァル。けど、私は大丈夫だから。」
「そう…ならいいけど。」
ごめんねシュヴァル。今の言葉、嘘だから。
初めましての方が多数ですかね。
綾凪九尾でございます。私の小説を読んでいる方はありがとうございます。
約1年ぶりの新作小説を書き上げました。途中から、重くなりましたが病んでいる訳ではなく、ヴィルシーナならこうなるかな?と思い書いております。
特にヴィルシーナのキャラソン。あれ…ジェンティルドンナのことを歌ってるの凄いですよね。
さて、次の話はいつになることやら…。気分次第ですので、気長にお待ちください。