最狂の呪詛師   作:ボタン

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 今話は、作者の独自解釈が含まれています。不快な方は申し訳ありません。


真人VS最狂

 

 あの後、俺と順平は別れた。

 

 憑き物が取れてスッキリとした顔で、『ありがとうございました!!』と言って小走りで帰って行く順平君を見て、俺は僅かながらに“嫉妬”が浮かんでしまった。

 

「ーー俺が、壊しちまったからな。順平、お前はまだ戻れるぞ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 順平と話して二日後、俺は不自然な呪力反応の確認のために、里桜高校付近で待機していた。

 

 最初は潜入しようと思ったが、『呪術高専』の呪術師が俺より早くに到着していた。

 

「七海君か、結構久しぶりだなぁ」

 

 俺の目の前のグラウンドで七海と薄い青色の髪をした、青年?のような呪霊…なのか?

 

 いや、流石に自分の体をあんなグネグネと変形させてたら、流石に呪霊だよな?

 

「んー。どーすっかなぁ。俺の術式は別に言っても問題ないけど、あの呪霊と()()()()()()()。まぁ、七海君に危害を加えてるって理由で参戦はできるけど」

 

 ふと校舎に、俺が見知った呪力反応があった。

 

「これは……虎杖君と順平か?」

 

 校舎を縦横無尽に高速で動いている反応は、おそらく虎杖君で弱々しいが、()()()()()()()()()()()のが順平だと思う。

 

「ーー順平の方に行ってみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「順、平?」

 

 俺の目の前にいたのは、()()()()()()()()()()()()()()()肉塊がそこにあった。

 夢であって欲しかった、しかし無情にも、俺の呪力探知には目の前の肉の塊を順平だと、訴えている。

 

 呼吸が、五月蝿い。

 

 手が震えて、目眩がしてきた。

 

 口の中が乾いて、ヒリヒリしている。

 

 ーーあぁそうか、俺はまた、壊したのか。

 

「あの時……止めてたら。変わったのかなぁ」

 

 順平の顔に、そっと手を置いてゆっくりと瞼を下ろす。

 

 

 俺の再現した()()で順平の遺体を見ると、誰かが術式を行使した後…“残穢”と呼ばれるそれを検知した。

 その反応は、あそこで七海と戦っている、青髪の呪霊。

 

 思い出すのは、順平と話した、僅かな時間。

 

 

「ーーあいつか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 七海と青髪の呪霊……真人が一対一で鎬を削っている。

 

「埒があきませんね……」

 

 七海が手にしている鉈を振るう。刃には黒い斑点がある布でぐるぐる巻きにされて切れないはずが、嘘のように真人の腕を切断する。

 

 ーー『十割呪法』

 

 対象の全長を線分にした時、七対三の点に強制的に弱点を作り出す術式。

 

 この術式を使えば通常の攻撃よりも、はるかに高い威力の攻撃が可能である。故に刃が無い鈍だとしても、切断する事が可能なのだ。

 

「フッ!!」

 

 鉈を払い、こちらに伸ばして来た真人の腕を切断する。通常の呪霊ならば多少の怯みは見えるはずだが、真人はそんな事を気にせず七海に突貫する。

 

「ハハッ!!」

 

 そして七海の体に、真人の手が触れる。

 

 その直後、七海の中に何か異物が入り込んで、何かを弄られている。七海の“魂”に触れられたのだ。

 

 青髪の呪霊……真人の術式は『無為転変』

 

 真人の掌に触れた肉体の“魂”を、自由自在に()()することが出来る術式である。

 

「ーーあと二回だ」

 

 ニタァと真人が顔を歪めて笑う。七海が後ろに飛び退く、真人から距離を稼ぐ。

 

「虎杖悠仁は来れないよ。アイツに()()は殺せない」

 

 虎杖悠仁は今、真人によって化け物に変えられた元人間……改造人間を大量に仕向けられ、七海と分断されている。

 

 七海建人を確実に殺すため、虎杖と分断したのだ。虎杖は真人にとって唯一と言って良い()()

 “魂”を知覚している人の攻撃は、真人にとっては猛毒に近い。

 

 七海にまた触れようとした瞬間、後ろからガラスを突き破る音が聞こえた。

 

「ーーまさか殺して来るなんてなぁ!!虎杖悠仁!!」

 

「ーー真人!!!」

 

 虎杖の拳が、真人の顔面を撃ち抜く。

 

 呪力によって強化された拳は、真人の体を十数メートル後ろに吹き飛ばした。

 

「大丈夫ですか、虎杖君ーー」

 

「大丈夫。大丈夫だよ、ナナミン」

 

「そうですか……あまり、気負いすぎないようにして下さい」

 

「おうっ!!」

 

 吹き飛ばされた真人が起き上がる。目立った外傷は見当たらないが、七海の目に真人の鼻から血が垂れているのが見えた。

 

「虎杖君、正直に答えて下さい。あの傷はいつ付けましたか?」

 

「え?えっと…多分、さっき殴った時だと思う」

 

「そうですか……虎杖君、どうやらあの呪霊に対しては、私の攻撃はあまり意味がありません」

 

「え!?そうなのナナミン!?」

 

「ですが、虎杖君の攻撃があの呪霊に対する有効打となっています……私が隙を作るので、虎杖君はその隙を突いて下さい」

 

「分かった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 しまったな、予想よりも早くに虎杖悠仁が帰って来た。

 

「面倒だな……」

 

 再開際に虎杖に殴られたが、“魂”はまだ大丈夫な域だ。そこまで深い傷は負っちゃいない。

 

「『無為転変』!!」

 

 俺の体を針山のように変換するが、どうやら隙間がデカすぎたな。避けられるし、七三術士にバッサバッサと切られてるな。

 

「ーーこれは雑魚専用かな?」

 

 それに、唯一俺にダメージを与えられる虎杖相手に、体の面積を無駄に広げるのは、やっぱ得策じゃ無いね。

 

 とりあえず元の姿に戻り、七三術士の方を狙って向かうが虎杖に邪魔をされる。

 

「チッ!!」

 

「ハハッ、あっぶね〜」

 

 虎杖の拳が俺の頬をかする、あと少し動いていたらまた真正面から飛ばされる所だったな。

 

 虎杖の“魂”に触れようと、手を伸ばすがバッサリと切られる。

 

「虎杖君、落ち着いてください。相手の思う壺ですよ」

 

 あと少しの所で邪魔が入った。こいつの攻撃は俺にダメージは無いが、ここぞの時で邪魔をして来る。

 

 虎杖に触れようとしたら七海が邪魔をし、かと言って七海の方に行けば虎杖が俺を殺そうとして来る。

 

 挟まれたーー!!

 

 俺に足りなかったのは!“死”に対するインスピレーション!!生まれて初めての『殺し合い』!!

 

 

 

 

 

 

 ーー今なら出来るかな?

 

 

 

 

 

 

「【領域展開】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【自閉円ーー」

「させねぇよ」

 

 

 

 

 傍聴した呪力が霧散した。

 

 天が、静かに割れた。

 

 真人が展開した【領域】を破壊して、真上から落ちて来るのはーー

 

 

 

 ーー『最狂』天神崇徳

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はな、“暇”を平和を愛している。だから、それを“侵害”する奴は()()()()()()容赦しねぇ」

 

「マジか!!」

 

 領域を展開した事により、真人は今術式の使用が困難になっている。

 

 その状態で、天神崇徳を相手しないといけない。

 

 真人に、生まれて初めて“死”を感じた先程よりもはるかに高い緊張が襲う。

 

「今更、俺に何のようだよ?崇徳」

 

「なに、知らねぇなんて言わせねぇぞ?吉野順平(俺の友達)の事だよ。あいつを殺したの……お前だろ?」

 

「それがなんだってーー」

 

 ーー『ありがとうございました!!』

 

 順平……ごめんな。

 

 

 

 

「もういい、喋るな。『蒼』」

 

 その瞬間、目の前にいた崇徳が消え去ったように見え、最後に見えた俺の視界には、“帳”で淀んだ空だった。

 

 空間が収縮する。真人の頭が抉れ、一つの塊になっていく。

 

 血のような液体を撒き散らしながら、頭を失った真人の体が倒れた。

 

 七海と虎杖が信じられないと目を見開く。

 

 

「危ない危ない。噂に聞く『数値化呪法』ってのはやばいね」

 

「ーーそう言う感じね。どうやら最低限ではあるが、術式は動くと」

 

 まぁ、そりゃそうだろうな。領域が閉じきる前に破壊して術式は一時的に焼き切れたが、こいつは呪霊。人間よりも密接に呪力と繋がりがある。

 

「無意識のうちに反転術式を回してたのか。それでもまだ幼稚で拙いが、数十秒で術式をここまで直すか……」

 

 誰よりも“魂”と肉体に精通していたおかげか?

 

「しょうがねぇ……おい!七海!虎杖君!!」

 

 俺は後ろを向いて、唖然と立っていた二人の方に向いて

 

「三人でこいつを祓うぞ」

 

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