ソードアート・オンライン〜絶えることのない剣と七夜の願い星〜 作:Hiroto115
まだまだの文章ですがお楽しみください。
7月7日
午後11時30分
ジラーチと出会ってから7日目。
ボクとジラーチはグラードン討伐の打ち上げに参加していた。
なぜ、グラードン討伐がこんなに遅くなったのか、それはみんな突然ジラーチによって強制転移させられ、準備もできずにグラードン討伐を行ったための疲労によるものだ。
グラードン討伐が終わったのち、打ち上げをすることを討伐に参加した者たちで約束をした。
場所はキリトとアスナ達のプレイヤーホームのログハウスだ。
場所がそこに決まったのは周りの空気に押し切られたアスナ達が苦笑いしながらも了承したからという経緯だ。
打ち上げは大いに盛り上がった。
それぞれ色々な種族のプレイヤーがグラードン討伐の話題で盛り上がっている。
「おーい!みんなで記念写真撮ろうぜ!」
とクラインの提案に全プレイヤーが同意する。
すごい数のプレイヤーを写真に撮るためにみんなでギュウギュウに詰める。
真ん中はユウキとジラーチ、その周りにスリーピングナイツのみんなやキリト達が囲んで、その周りをそれぞれのプレイヤーが思い思いに並ぶ。
「はい、それじゃ撮りますよー」
っクラインがタイマーをスタートさせる。
クラインもしっかりと並び、シャッターが切られようとしたその瞬間、
「ブァックション!!」
レコンの大きなくしゃみが鳴り響いた。
そのくしゃみのせいで今までギュウギュウになっていた全員がズッコケかけたり、押し出されたり、大笑いしたり、みんなが色んな表情をした瞬間がカメラに収められた。
その中で、ジラーチとユウキだけはカメラに向かってVサインをして写っていたことがわかるのは少し後の話だ。
みんながまたそれぞれ話題に盛り上がり始めたときに、ジラーチとユウキはその賑やかな場所から離れる。
夜空は綺麗で、空にはこの日だけの天の川が輝いている。周りの森林からは小動物達の鳴き声による合唱が聞こえる。
「ジラーチ…天の川、綺麗だね」
「ウン」
その綺麗な天の川に見惚れる。
「ねぇ、ジラーチ?」
「なに?ユウキ」
「この7日間、楽しかった?」
この7日間にあったことを思い出しながらジラーチに問いかける。
「ウン!すっごく楽しかった!ユウキといろんな場所に行ったり、いろんなことができてよかった!」
「そっか、よかった…。ボクもこの7日間とっても楽しかったよ。ありがとう、ジラーチ。」
そして、時計が12時まで15分となったことを確認する。
「そろそろ時間だね。それじゃ行こっか、ジラーチと最初に出会った場所に…。」
羽を出し、ジラーチを抱え、一気に夜空へと舞い上がる。そして、あの場所へとボクは向かった。
薄暗く、明かりは月光が一筋だけ。
その場所はグラードンの復活の影響で少し崩れていたが、原型はしっかりと残っていた。
そう、ここはジラーチとボクが初めて出会った場所。≪願いの洞窟≫だ。
その願いの洞窟のまさにジラーチの卵を見つけた場所に立ち、ゆっくりと目を閉じる。
目を閉じると、この7日間のジラーチとの思い出がスラスラと思い浮かんだ。
7日間、それはとても短い様でとっても長い7日間だった。
ジラーチとアスナ達のログハウスへ行ったこと、ジラーチの前で思いっきり泣いたこと。グラードンの討伐。
大変なこともあったけど、それも含めて全部、掛け替えのない思い出だ。
「ユウキ?」
ジラーチの声とともにゆっくりと目を開く。
目を開くとそこには白い毛に覆われ、頭部に黒い鎌の様なものを持ったモンスターがいた。そう、それはあのジラーチが攫われたその日にボク達に襲いかかったモンスターだ。名前は≪アブソル≫。
アブソルはボクにゆっくりと近づくと体から強い光を放った。
目が眩むほどの強い光に思わず目を背ける。
光が消えるとそこにいたのはアブソル…ではなく、1人の老人が立っていた。
「この7日間、色々あったようじゃが。ジラーチと一緒に過ごしてくれたことに感謝するよ。そのお礼じゃが、ジラーチはここの守り神であると同時に願いを叶えることができるモンスターでもあるのじゃ。ジラーチ、できるかの?」
「ウン!ユウキのお願いなんでも叶えてあげる!!」
おじいさんがアブソルだったことへの衝撃からようやく思考を離し、願い事について考える。
「う〜ん…」
しかし、いくら考えようとも出てこない。
どうするか悩んでいるとふとあることが思いついた。
「そうだ、じゃぁ…………」
ーーーーーーーーー
「その願いでいいのかい?」
おじいさんが思わずボクに問いかける。
「ユウキ………」
ジラーチも不安そうにボクを見つめる。
「うん!これでいいんだ!」
ボクの返事を聞くとジラーチは目を閉じジラーチの身体がグラードン討伐の時と同じように光を放つ。
その光と同時にジラーチの腹部の瞳がゆっくりと開く。その瞳はシヴァとの闘いの時とは違い、とても澄んだ青緑色をしていた。
目の前が数秒だけ真っ白になる。
そして徐々に光が弱まっていき、ジラーチの腹部の瞳もゆっくりと瞼を閉じた。
「…ありがとう、ジラーチ…。」
「ううん…ボクこそ本当にありがとう。」
クエストのクリアボーナスを受け取り、≪congratulation≫の文字が浮かび、ついにその時がくる。
また、ジラーチの身体が光を放つ。
その光はだんだん強くなっていく。
「お別れだね、ジラーチ…」
「ううん、ボクとユウキはきっとまた会えるよ!」
そうだ、きっと…きっとまた出会える。
なら、さようならなんて寂しいことは言わない。
ボクは別れの言葉ではなく、この言葉を言った。
「また会おうね!ジラーチ!!」
ただ、今できる最高の笑顔でジラーチに言う。
「うん!また会おうね、ユウキ」
ジラーチも笑顔でそう言った。
次の瞬間、ジラーチの体はまるで夜空に溶けるように光となって消えていった。
守り人であった老人もいつの間にか消えていた。
暗闇の中の月の光がユウキだけを照らす。
夜空を見上げ、ボクはつぶやく。
ありがとう、ジラーチ…
その言葉もまた、夜空に溶けて消えた。
続く…?