BanG Dream! It's MyGO!!!!!×Re・Load   作:ビンカーフランス

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10時に投稿するつもりが忘れてしまいました……

すまぬ!!


第六話:ライブ終わり

 そして、一曲目が終わると同時に、ライブフロアが、一斉に拍手と歓声の渦に包まれた。

 

 その渦を肌で感じながら、練馬は思わず、胸を打つ感情のままに拳を握り締めた。

 

「ほらな……だから言っただろ。MyGO!!!!! は、マジで良いって!」

「確かに可愛いだけじゃなくて、音楽もちゃんとしてるね。練馬君が推す気持ちも少しは分かったかも」

「だろ!」

 

 八神が何時もとは少し違った笑顔をしている。練馬は確かな感触を覚えて、

 

「良い感じじゃ~ん。ドラムとベースもちゃんとリズム取ってるし。しかも、あのリードギターの子って、菊池よりも上手いんじゃないの~?」

「そ、そんな事ねぇッスよ! いやまぁ? 確かに上手いッスけどぉ? お、俺ならアレの三倍速く弾けるッスからね!!」

「もう人間技じゃ出来ねぇだろ。アホな嘘付いてんじゃねぇよ」

「そうだぜ~、諦めて「私はド下手です」って認めた方が楽だぞ~」

「それはちょっと違くないッスか? 自分ド下手じゃなくて天才何スけど!?」

 

 初めて来た朝日奈や菊池も好感触なようで、黒崎も交えて何やら盛り上がっている。

 

 最初連れて来た時はどんな反応をされるかと思ったが、そんな心配は必要なかったらしい。これで心置きなくMyGO!!!!! のライブを楽しむ事が出来ると、練馬が内心ホッと一息付く。

 

 そうして練馬が再びステージ上へと眼を向ける。MyGO!!!!! の楽器隊は、既に次の曲の準備も終わって、丁度そろそろライブが再開しそうな雰囲気だった。

 

 ──―そんな時。

 

「ぁ……!!」

 

 マイクには乗らない、燈の短い声が聞こえた気がした。

 

 直後、見上げていた練馬の眼が、ステージ上の燈の眼と合う。そして小さくだが──ー確かに手を振ってくれた。

 

「……そうか」

 

 初めて練馬がライブを見たあの時は、まだ顔も名前も知られてなくて、無数の観客に紛れたタダの一人だった。

 

 だけど今は違う。こうして大勢の中からでも、燈は練馬を見つけてくれる。

 

 それがどうにも嬉しくて──ーあの時より前に進めた事を実感し、練馬の口元からつい笑みがこぼれてしまった。

 


 

 ──―無数の拍手と共にステージを降りた燈は、舞台裏の暗がりに入ると同時に、ようやく大きな息を吐く事が出来た。

 

 スポットライトの眩しい光も、観客の熱狂も──ーそして、チラリと目が合ったあの人の笑顔もまだ、身体の中に残っている。火照ったままの体温は暫くの間冷めそうにない。

 

 そんな身体で引きずる様に歩いていると、後ろから肩をポンポンと、軽く叩かれた。

 

「お疲れ~、ともりん! 今日メッチャ良くなかったぁ?」

「愛音ちゃん……」

 

 後ろを振り返ると、そこにはさっきまで一緒にステージに立っていた自分の友達──―愛音が、満面の笑顔で立っていた。

 

「う、うん。すごく、良かった……」

「だよねぇっ!! なんかスッゴイ盛り上がってたし! もしかしたら今までで一番かもぉ!!」

 

 愛音が両手を大袈裟に広げ、はしゃいだ様子で声を跳ね上げる。そんな楽しそうな友達の姿に、燈はクスリと笑いを漏らした。

 

 だがそこに水を差すように、先にステージから降りていた立希が、呆れたような冷ややかな目線を向けた。

 

「……どこがだよ。三回も間違えてたくせに」

「ゔっ!!」

 

 気まずそうに顔を歪める愛音。だが、それでもと口を尖らせ、今度は両手をバタバタさせ始めた。

 

「で、でもぉ! みんなメッチャ盛り上がってたし、よくない!? 気にしすぎだって~」

「そういうのって、後で見返したら恥ずかしくなるんだよねぇ」

 

 しかし通り過ぎさまに、そよが優しい笑みを浮かべながらも、鋭い一言で愛音に止めを突き刺した。とうとうメンタルがボコボコにされた愛音は、「みんなひっど~い」と項垂れ出した。

 

 そんな時、パリッとした音が、ステージ裏で妙に響いた。

 

「クッキー、美味しい」

 

 舞台裏に並べられたテーブルの方を見れば、楽奈がマイペースにも、差し入れに置かれていたクッキーを、モグモグと齧っていた。

 

「楽奈ちゃん。今食べたら、晩ご飯食べられなくなっちゃうよ~?」

「ん~……でも、今食べたい」

 

 そよが注意したにも関わらず、口の端にクッキーの欠片を舐め取りながら、楽奈はふわっとした笑みで、もう一口食べ始めた。

 

「全く……後でどうなっても知らないからねぇ」

「なんか、そよりんお母さんみたいだね」

「愛音ちゃん、それ止めて」

「良いんじゃない? 野良猫の世話してくれるなら助かるし」

「……にゃーん?」

 

 そんなやり取りを眺めながら、燈は小さく笑った。

 

 一度は壊れたバンドの絆──―だけど、今はまた繋がっている。この光景は自分が諦めずに、また手を繋ごうとしたからだと思えば、こんな自分だとしても、燈は少しだけ誇らしく思える。

 

「とっもり~ん! 何してるのー? 先行っちゃうよー」

 

 ──―と、そんな事を考えていると、愛音の呼び声が耳を差す。見れば、既に自分以外のメンバー全員が、舞台裏から外に出る扉を開いて待っていた。

 

「あっ、ごめん……!!」

 

 少し小走りになりながら、急いで歩き出す。暗い舞台裏でそれは危険だと分かっていても、咄嗟の行動を止める事は出来なかった。

 

 故に、肩にぶつかったケースの山が、頭上から崩れ落ちて来たとしても、燈は咄嗟に気が付く事は出来なかった。

 

「燈っ!!」

「あっ……」

 

 立希が切羽詰まった声で叫ぶが、もう遅かった。燈が見上げた頭上には、まるで自分を圧し潰すように、重厚なケースが既に落ちて来ていた。

 

 燈は咄嗟に目を閉じてしまう──ーだが、幾ら待っても、堅いケースの衝撃はやって来なかった。

 

「──―燈ちゃん、大丈夫?」

 

 代わりに声が聞こえる──ーそして目を開けると、背中に伸し掛かるショーケースの山から、知っている顔が暗闇に浮かんでいた。

 

「練馬……君?」

 




燈と練馬の関係を知りたい方は是非とも、前作をお読みに。
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