「…ん……。」
目が覚めると俺はそこにいた。見たことのある景色。あれ?ここって俺が今ハマってるゲーム《フェアリードール》の世界…?
俺はいつの間にか寝ていたベンチから体を起こし辺りを見渡した。
「どーなってんだ…?てか、あれ?俺家にいなかったっけ。」
考えれば考える程こんがらがってくる。いや、確かに好きなゲームの世界に来れたのは嬉しい。これ以上にない嬉しさだ…。けど、なんでこんないきなり…夢か?そう思い顔をあげると見慣れた顔がそこにあった。
「こんにちわ。「俺」さん」
その見慣れた顔はにっこりと微笑みながらそう言った。
「あれ?分からないかな…。私、《フェアリードール》、通称フェアドル。あのゲームの所長よ?」
「あぁ!…え?あれ?え?」
いきなりすぎて戸惑う私に所長は言った。
「いきなりでごめんなさいね。あなた、現実の世界をつまらないと思っていたでしょう?このフェアドル…フェアリードールの世界に行きたい!って願っていたでしょう?その想いが強すぎて、本当にこの世界に来てしまったのよ。」
クスクスと笑いながら話す所長。
「え…?」
ぽかんと口を開けたままの俺を見てさらに笑い出す所長。
「つまらなかったんでしょ?現実の世界。なら、いいじゃない、ここで私たちと一緒に暮らしましょう?あなたのフェアドルちゃん、ちゃんとあなたを迎えに来ているのよ?」
所長が指さす先を見ると俺が育てていたフェアドルがいた。
「わかると思うけど改めて紹介するわね。この黒髪のロングちゃんが神弥(かぐや)ちゃん。そして、この白色ボブがしょぼちゃんで、この灰色の髪の子が神伯(みはく)ちゃんよ。ほら、あなたたち、そんな所でいないでこっちにおいで~」
所長が手を振ると最初に俺の方へかけてきたのはしょぼだった。
「俺さん、私…。俺さんにものすごぉ~く、会いたかった…。あははっ、俺さんってやっぱり素敵だわ」
そう言いながらものすごい力で抱きついてくる。息ができなくなるくらいに抱きしめられる。
(そういやしょぼって…ヤンデレだったな…うっ‥)
「ちょ、ちょっと!しょぼ!俺!…さん!あなたたち!こんなとこでそんなことするんじゃないわよ!こっちが恥ずかしいじゃない!てか!しょぼ!ちょっと!!!どきなさいよ!」
しょぼを俺から離す神弥。それに負けじとしょぼはさらに俺を抱きしめる力を強くする。
「私たちの出会いを邪魔しないでよ…!あっちいって!神弥なんか嫌いよ!!」
(ちょ‥あ、あかん…ちょ…ぁ、くるし…)
窒息寸前。もうどうしようもないと思った時だった。
「ちょっと、あんた達。やめなさい、みっともないわよ。はぁー…。あ、しょぼさん。こんにちわ。」
神伯が二人の首の後ろをつかみひっぱる。
「ごめんなさいね。この二人、さっきから俺さんに会えるってのが嬉しいんだろうね、興奮状態でさぁー。んでこの二人って犬猿の仲って言っていいほど仲悪いじゃん?もう、めんどくせーのなんの。あ、私も俺さんに会えてすごーい嬉しいよ。」
ウインクしながら俺にそう言い、二人を沈める神伯。
「ふぅ、騒ぎは静まったかしら…。私もこんな事になるなんてわかんなくて…。なんだかごめんなさいね。」
申し訳なさそうに話し出す所長。
「んー。とりあえず。俺さんにはこれから神弥、しょぼ、神伯と同居してもらいますね。お家はそこの噴水の所を真っ直ぐ行けば着くわ。今日から色々と頑張って。そして、めいいっぱい楽しんで。私、もう時間ないからまた、詳しいことっていうか、説明みたいなのはまた今度しますね。ごめんなさいね。さよなうなら」
相変わらずのかわいい微笑み顔で所長は去っていく。
「ちょ、まって…」
所長を止めようとしたときにはもう遅かった。
とりあえず、ここにいても仕方がないと想い神弥、しょぼ、神伯を連れて所長が言っていた通りに噴水を真っ直ぐ歩き家を目指すことにした。
「なぁ、いつもお前らが住んでる家じゃないのか?」
家への行き道を知らない三人を疑問に思い聴いてみる。
「えぇ、なんか、俺さんと同居するにあたって、所長が新しいお家をって。引っ越し業者の人がもう私たちの家具を運んでくれているみたい。」
神弥が俺の顔を見て言う。
ふぅ~ん、と前を見ると白い三階立ての大きな家が建っていた。表札には「俺」と黒い字で書いてある。
(俺。って…w)
「ここかしら…」
神弥が玄関のドアを開ける。玄関をあけると正面に廊下があり、手前から順に色々な部屋がある。トイレ、浴室、洗面台…。リビング…。
「ねぇねぇねぇねぇ!私の部屋ってどこかな!ちょっと見てくるわ!」
神伯が新居を見て興奮したらしく家中を楽しそうに探索しだす。
…さっきまでは普通だったのにな…w
それに次いで神弥も楽しそうに自分の部屋を探し出す。
「あれ?しょぼは行かないのか?」
「うん。いいの。私の部屋どこか知ってるから。」
おいでと手をひっぱり俺を案内するしょぼ。
ここだよ。と着いた所はダブルベッドが置かれた普通の部屋。
「ここ。私と俺さんの部屋…。引っ越し屋さんに言って同じ部屋にしてもらったの…」
にこっと不適な笑みで俺を見つめるしょぼ。なんだか地味に怖さを感じる…。この事をしって神弥が怒るんだろうなと思うとなんとなく可愛らしさが芽生えてくる。神弥は確かツンデレだから、すごいツンツンしてるわりには顔真っ赤っかなんだよなぁ~なんて考えていると、自分の部屋を見終わった神弥が後ろから覗いていた。
「なにそれ!!!ずるいんじゃない!しょぼだけ!!俺さんはどうなのよ!!?」
「うーん。そうだねぇ…。しょぼ…。嬉しいよ。嬉しい、ほんと嬉しい。けどね、その…恥ずかしいからとりあえず最初は自分の部屋で寝るから…。ね?んと…そのぉ…」
俺があたふたしているとしょぼはそんな俺の姿を見てかわいい。なんて小声にしながら言う
「わかったよ。俺さんがそう言うなら我慢する。そのかわり、最初だけだからね?。ていうか‥…そんな事言う俺さん…すごいかわいい////////食べちゃいたいなぁ…////」
えへへ、えへへとしょぼが笑い出す。さっきは少し怖かったけど…ここまでされたら一種の愛情表現というか…そんなものに見えてきてかわいいと思えてしまう俺がいた。
***
その後、俺達はご飯を食べてお風呂に入り、眠りについた。
もっとも、自分の部屋を一番最初に探しに行った神伯は見つけたあとすぐにベッドで寝たらしくご飯も食べずにずっと寝てる…。
とりあえず今日は疲れた…。なんにがなんだか未だに分からない自分。きっと明日になりゃ元に戻ってんだろうなんて思い眠りについた。
続く…