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深夜0時……
バンカーの冷たい静寂が個室内を包み込んでいた。2Bを相手に「女子の嗜み」を熱弁し、ガールズトークの濁流で彼女の意識を逸らしてきたメイリンだったが、ついにその限界が訪れた。
命懸けの脱走からの慣れない異世界への漂着、異形との戦い、そしてヨルハたちの狂信的なホスピタリティ。人間である彼女の肉体は鉛のような疲労感に押し潰されようとしていた。
「……ふわぁ。……ごめんなさい、2Bさん。……もう、目が……」
メイリンは緑のザフト軍服を脱ぎ捨て、薄い肌着姿になると吸い込まれるようにベッドへと倒れ込む。トレードマークのツインテールも解かれ、柔らかな髪が枕に広がる。その腕には11Bの死の証拠が眠るあのデバイスが宝物かであるかのようにぎゅっと抱きしめられていた。
「2Bさん……お休みなさいぃ………。」
数分後、部屋に響くのは彼女の深い眠りを示す寝息だけとなった。
「メイリン様……ゆっくりとお休みなさってください……。貴女様との2人きりだけの会話……光のような記録になりました。」
2Bは深く眠りについた可憐な少女の寝顔を見つめながらも、デバイスに手を伸ばすも触れる直前に震えてしまう。
〔………っ!!私は何をしようとしてる!?私は命令通りに動くアンドロイドのハズ………。だけどメイリン様は私のことを“アンドロイドも人間の垣根を無し”として1人の“友達”として見てくださったのに………これは人間様に対する“叛逆”行為ではないのか!?〕
手が止まった。プログラムとかのエラーでは説明ができない。これ以上の線を越えてはならないと義体が動きを止めてる。
〔…………“友達”の大切なモノを寝ている隙に奪うと言うのは適切な行動では無いはず………。〕
人工頭脳の中で思考が駆け巡る。そして2Bはメイリンから離れて、向かいの据えられたベッドに腰を下ろす。
〔………時間をかけて信頼を積み上げれば、きっとそのデバイスを私に委ねてくれる時が来るだろう。……メイリン様……おやすみなさいませ。〕
黒の目隠し型ゴーグルを外し、彼女も横になりスリープモードへ移行したのだった。
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アスラン達の居住区から離れた区画にて静謐なバンカーとは場違いな笑い声が響いてる。
「ララララー♩ラララーラーララー♩ハッヒーィィィ♩ララララ♩天使は笑うー♩天女の温もりー♩ハーハーハーハー♩」
そこには、メイリンに手を握られた瞬間の“触覚データ”を読み出し専用メモリに永久保存し、一秒間に数千回のループ再生を繰り返している末期症状のヨルハ機体がいた。
「メイリン様ぁぁぁ♩貴女様の温もりはー♩天女のごとくぅぅぅ♩スーパァァァァハイテンショォォォォォォン!!ウィーァァァァァァァァァァッザァァァァベストォォォオォォォ!!!!ヤッフォォォォォッオオオオオオっっ!!」
必要以上にピョンピョンと跳ねながら、義体を1回転させて謎のリズムに足捌きをしながら踊り狂ってる。
「ラララララララ♩天使は笑うゥゥぅ ウタヒメ笑ううぅぅぅ♩ウタイタイ♩ウタウタイ♩聖女ルナマリア様ぁぁぁ!!お姉ちゃんと呼ばせる不審者の聖女と異なる性女ルナマリア様ぉぁぁぁっ♩」
『警告:当該個体のバイタルの異常なる熱暴走を検知。推奨:速やかなるスクリーニングチェック。繰り返す。早急なるスクリーニングチェックと記憶領域の再調整………。』
「うるさーい♩うるさーい♩だまれー♩だまれー♩ポッド153よー♩オヌシの独断と偏見にー♩基づく論理的かつ意見と発言を御法度にするでーござるー♩何故ならー♩お姉ちゃんと呼ばせたい聖女ルナマリア様と天使のメイリン様を守るための最適解のアップデートでござるぅぅぅぅ!!」
その正体はヨルハ九号S型、通称“9S”であった。
彼は今アイドルに握手された後に手を洗えないオタクと、変な方向で「人類の古式ゆかしい文化」を誤学習した侍が融合したハイブリッドな狂気に取り憑かれていたのだ。
「……はぁ、はぁ……ッ!ハァハァ……ハシューハシューハシュー!! メイリン様の御手……。あのような柔らかき
カツン、カツンと硬質なブーツの音が廊下の静寂を切り裂いて近づく。
「9S、いい加減にしてください。貴方の情動ログから溢れ出すパルスがバンカーの基幹通信にノイズを撒き散らしています。極めて不快です」
現れたのは彼の担当オペレーターの
「オペレーター殿ぉぉぉっ!! 某、もはや……もはや止まれぬのでござる!!」
「……殿? 呼び方までバグったのですか?貴方は2Bのバディでしょう。浮ついている暇があるなら地上の機械生命体の最新座標を……」
「2Bよりもッ! 拙者は今ぁぁぁぁっっっメイリン様のお姉様であらせられる『ルナマリア様』に興味津々で候!! 姉妹丼!! メイリン様とルナマリア様に挟まれ甘美なるひと時を過ごすのが真の『栄光』でござるぅぅ!!」
9Sは左手で股間を抑え、悶絶しながら21Oに詰め寄った。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!想像しただけで、拙者の股間が……この出力調整弁がオーバーヒートしたでござる!! オペレーター殿ぉぉっ!!拙者はどうすれば良いのでござるか!? 冷却液が止まらぬ!!」
21Oはゴミ捨て場のジャンクパーツを見るような、底冷えする視線で彼を見下ろした。
「……
「……ハッ! 失礼しました、オペレーターさん」
9Sは一瞬だけ正気に戻り、いつもの口調で21Oに向き直ったがゴーグル越しの瞳に宿る光は濁り歪んでいた。
「ですが……オペレーターさん。その……ルナマリア様の服を………オペレーターさんが着用することは可能ですか?」
「…………は?」
「メイリン様から聞いたんです。お姉様は赤くて、少しだけ丈の短い情熱的な軍服を着ていらっしゃると。……オペレーターさん、前の砂漠調査の時に言ってましたよね? 『家族』という共同体に興味があるって……」
あの時、地上で9Sが回収した過去の遺物――「家族」という概念のアーカイブ。そこに記されていたのは血の繋がりなどなくとも互いを守り、温もり合うという概念に21Oは密かに憧れを抱いていた。
冷たい義体と命令だけで生きるヨルハにとって極めて甘美であり、叶わぬ夢だった。
今の9Sはそれを“ルナマリア・ホーク”という「推し」の
「ルナマリア様はこの世界にはいません。……だから、代わりにオペレーターさんが“ルナマリア様”役になってくれると、僕………とっても嬉しいんです!!」
彼は無垢な子供のような笑顔を浮かべて言い放った。意味は全く分かっていないが人類の秘儀だと思っているらしい。
「そうしてくれたら、ぼ、ぼ僕……毎日『オナってシコシコ』するので!!」
「………………は?」
「メイリン様が仰ってたんです! 『不甲斐ない男の子を見ると、お姉ちゃんはつい手伝ってあげたくなるものだよ』って! だから、僕も精一杯頑張ります! オナってシコシコ!!」
21Oの回路が数秒間だけ完全に停止した。
「家族」という密かに抱いていた夢。それが目の前のスキャナーモデルによって最低ランクの猥褻語と共にゴミ箱へと叩き落とされたのだ。
「……9S」
「はい! オペレーターさんっ!!」
「……貴方の論理回路を、今すぐ物理的に
21Oの手が通信デバイスへと伸びた。
ヨルハ部隊員及びオペレーター全機に司令官による翌日の「公式顔合わせ」の通知が鳴り響いたからだ。
「……それに明日、アスラン様とメイリン様の前で貴方のその発言をすべてリプレイ公開してあげます。……楽しみにしていてください」
「えっ!? 良いんですか!? 拙者の熱き想いがルナマリア様に届くのでござるか!?」
「……死ねばいいのに」
しかし9Sの熱き想いは更なる暴徒へと化していく……。
「何を言いなさりますかオペレーター殿ぉ!!死んでしまってはメイリン様とルナマリア様にご奉仕する事が出来なくなってしまうでござるぅぅ!!」
『報告:オペレーター21Oの提言の承諾を強く推奨。対象個体9Sの人工頭脳と情動システムは過度な熱暴走により、発言と命令そのものにバグとエラーの比率が大きく占めていると断定。』
ポッド153の機械的な音声に“呆れ”が含んだかのように警鐘を鳴らすも彼には全く響いてなど居なかった。
「オペレーターさん!!僕の股間にある出力調整弁が更なる滾りを見せてきたござる!!!!これこそ“ダーク・ダイブ・ボンバー”に相応しいで候!!」
「ダーク・ダイブ・ボンバー!?……9S………地上の調査で任務外の非生産的なアーカイブでも拾ったのですか?」
「ヌハハハハハハハハ!!オペレーターさん!!非生産的なアーカイブですとぉ?何を言いなさるかぁぁっ!!メイリン様とルナマリア様との交わるための儀式の名前でござりまする!!」
「儀式?まさかマンモス団地の奥で遭遇した機械たちによる理解不能な模倣とかでは有りませんよね?」
「ヌハハハハハハハハ!!!何を言いなさりまるかオペレーター殿ぉぉぉっ!!機械どもの知性も品もない無意味な機体同士の接続行動とは全く異なる神聖行為にあたるでござる!!」
9Sは両手を広げて何かを鷲掴みするような動作で指を動かしながら熱弁を続ける。人類史で例えるならカルト教団の宣教師の再現をしてるかの如く。
「メイリン様とルナマリア様の
「…………………………………………。」
21Oの眉間に凄まじい皺が寄っていた。目の前の担当ヨルハが一線を超えた言ってはならない言葉を平然と口に出してる。
声には決して出さないが彼女の極めて鋭い目。そんな事を気にも留めずに9Sは息を荒げながら21Oの手を両手で包むように掴む。
「…………あ………あの!?オ……オペレーターさん!?ぜひ良ければ、僕の
「ハァ!?」
「ほら?オペレーターさんの憧れる“家族”と言うのを実現させる為にもね?ね?まずはルナマリア様の服を着て、そこから両脚を広げて僕に向けてくださいっ!!“家族”という共同体の第一歩ですね!?ねっ!?ねっ!?ならば僕の隆起した股部調整弁をオペレーターさんの“謙虚な壺”の中にドッキングしますので!!」
21Oの目が完全に殺意に満ちたモノになった。しかしホーク姉妹の熱暴走した9Sは彼女の目つきですら“恥ずかしさのあまりの緊張”と身勝手極まりない認識で迫る。
「さぁ!!オペレーターさん!!ルナマリア様の服を直ぐに用意できなくても良いです!!メイリン様とルナマリア様の“強欲で貪欲な肉壺”に耐える為にオペレーターさんの“謙虚な肉壺”の中に僕のダーク・ダイブ・ボン・・・」
言い切ろうとした瞬間、21Oの鋭利な刃物のようなブーツを伴った右足が迷いなく9Sの股関節接続部と感度センサー集約ユニットを正確無比に撃ち抜いた
「バャア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
バンカーの無機質な回廊に肉体と金属が衝突する。鈍くあまりにも非情な音が響き渡った。
21Oによる「金的処置」は9Sの急所を的確に捉え、彼の視覚ユニットを一瞬にして真っ赤な警告色で染め上げた。
「……あ、がががが、アアアあぁぁぁガァァァァッ……ッ!! 摂氏……摂氏4000度の熱が……ぼ・・ぼ・・僕の、僕の聖域を焼き尽くすでござるぅぅッ!!オーゥーオーッ!!オゥーウ!!オオオオオオオオオオオっ!!!」
かつてないほどの絶叫を上げながら、その場にエビ反りになってのたうち回った。アンドロイドに生殖機能はないが、人間を模倣するための高密度な触覚センサーが密集しており、21Oの一撃は彼のニューラルネットワークに「存在しないはずの激痛」を強引に書き込んだのだ。
「少しは沸騰したメインメモリが冷えましたか? 9S」
21Oはレース状の裾を整え、冷徹な仮面を一切崩さずに見下ろした。その瞳には慈悲の欠片もなく「不快なバグを物理的に修正した」という事務的な達成感だけが宿っている。
しかし、9Sはすでに通常の論理回路の範疇を超えていた。
彼は股間を押さえ冷却オイルをダラダラと流しながら、震える唇で信じがたい言葉を吐き出した。
「……あ、ありが……とう、ござい……ます……。ですが……どうせだったら……。」
「……何ですか?」
「どうせだったらぁッ!! メイリン様とルナマリア様に交互に蹴り上げられて、踏みにじられたかったでござるぅぅッ!!その衝撃で拙者のブラックボックスが物理的に
「………………」
21Oの手が護身用のスタンバトンへと伸びた。目の前のスキャナー型ヨルハに「家族」を求めていた頃の面影はない。SNSの深淵、それも底辺の猥談掲示板から抽出したような低レベルな欲望を
「オペレーター殿ぉぉぉっっ……ッ!! もっともっと踏んでくだされぇぇぇっ!! ルナマリア様の代わりに、その冷たいブーツで拙者の尊厳を蹂躙して……っ! その動画をメイリン様に送りつけて僕の不甲斐なさを蔑んで頂きたいでござるぅぅッ!!」
「……9S。貴方は明日お二方との『顔合わせ』があることをその腐り落ちたメモリから完全にデリートしたのですか?」
21Oの冷徹な一言が9Sの悶絶をピタリと止めた。
「……あ」
「明日AM10:00、ブリーフィングルームにてアスラン様とメイリン様に向けて全ヨルハ隊員の対面式が行われます。……貴方がその股間を押さえたまま『シコシコでござる』『ホーク姉妹の
「……そ、それは……不覚ッ!!」
股間の痛みも忘れたかのような驚異的な
「そ……某はメイリン様に『清廉潔白な、可愛い弟分』として認識されねばならぬのでござるな!? ……承知した!! 明日の朝までに某の全情動ログを偽装し聖人君子のような振る舞いをラーニングしてみせるでござる!!」
「……その言葉自体が信用に値しません」
21Oは深い深いため息を吐いた。9Sは姉妹丼という名の深淵に堕ちたのだから。
「……9S、一つだけ警告しておきます。明日、もし一言でも『下劣な言葉』を口走ったら……、貴方のブラックボックスを私が直接、地上の超巨大機械生命体の排泄孔に放り込みます。……いいですね?」
「ううっ!?機械生命体の排泄孔でござりまするか!?……それはそれで“新たなプレイ”の予感がするでありますれば……ッ!!」
「死ね」
21Oの二度目の金的が炸裂した!!しかし9Sは絶叫悶絶しやがら床に転がったまま腰を小刻みに振り続けていた。
「……アガかがガガガが……ガガギゴォ……、メイリン様の暗黒秘部に僕の“滅びの
衰えない彼の喚きに対してポッド153の機械的な声が21Oへと淡々と告げた。まるで故障した家電を放棄するかのような冷え切った判断だった。
『警告:当該支援対象機体9Sの情動システムは臨界点を大幅に超過。現在の状態での随行支援は不可と判断。正常値に戻るまでオペレーター21Oに一時的な随行権限を委譲へ緊急移行。』
「……了解しました。ポッド」
ポッド153が突然、細いワイヤーを複数展開して9Sの義体を拘束した。両腕、胴体、脚部。まるで危険な害獣を捕らえるように容赦なく締め上げる。
「ぐえっ!? ポッドォォォッ!?何をするのでござるかァァ!!」
『オペレーター21Oへの随行権限に基づき、対象の暴走抑制処置を発動。脱走および更なる汚染拡大を防止の実行を開始。』
ワイヤーがギチギチと食い込み、9Sの義体がビクンビクンと跳ねる。
21Oはそんな彼を無表情で見下ろすと、近くの整備用台車を呼び出した。彼女は9Sの左足首を片手で掴み、台車の上に乱暴に放り投げるように乗せた。
「今より強制的にスクリーニングメンテナンス及び情動コントロール損失危機の緊急処置“エラッタ”を施工するため、整備区画へ連行します」
21Oは短く答え、9Sの襟首を乱暴に掴み上げた。青筋の引かないこめかみを押さえながら低く吐き捨てるように言った。
「明日のアスラン様とメイリン様の公式顔合わせで、今の貴方を出すわけにはいきません。担当オペレーターである私までもが、同じような目で見られるなど……絶対に許容できません」
「やめてくだされぇぇぇ!!スクリーニングメンテナンスなんて不当でござるぅぅぅぅ!!エラッタなんて鬼畜の所業でありまするぅぅぅっ!!メイリン様とルナマリア様の記憶は無くさないでくだされぇぇぇっ!!ホーク姉妹の“強欲で貪欲な肉壺”にシンクロしてDDBするまでァァァ!!」
9Sは台車の上でのたうち回りながら、ワイヤーに締め上げられた義体を必死にくねらせる。ゴーグル越しの瞳は完全に狂気と恍惚に染まり、拘束された股間が小刻みに震えていた。
「黙りなさい」
21Oの拳が9Sの腹部に深くめり込み、体の内側で何かが軋む音がした。
「貴方の汚染されたログが私の記録にまで残る可能性があります。……考えただけで回路が汚染危機を感じます。」
『同意。対象9Sの情動ログはヨルハ基準値の約847倍の猥褻性を記録。保存自体を完全なる非推奨と判断。』
ポッド153が淡々と補足する。その声には機械ながらも微かな「呆れ」が混じっているように聞こえた。
台車の車輪がカツン、カツンと無機質な音を立てて動き始め、21Oは9Sを乗せた台車を前方に押しながら歩き出す。
「せめて・・せめてェェぇ!!ルナマリア様やメイリン様が叶わぬのなら・・せめてェェェェっ!!せめてもの情けでェェェェェェェ!!!2Bの“謙虚な壺”で我慢するからぁあああああああっ!!いゃああああああ!!フォーマットとエラッタだけは勘弁してくだされぇえっぅ!!」
台車の上でのたうち回りながら、ワイヤーに締め上げられた義体を必死にくねらせる9S。ゴーグル越しの瞳は完全に狂気と恍惚に染まり、拘束された股間が小刻みに震えていた。
「うるさいです」
21Oの冷たい声が彼の狂態を遮った。
「貴方がどれだけ暴走しようと明日はアスラン様とメイリン様の前で『人類を守る誇り高きヨルハ』として振る舞ってもらいます。」
台車を引きずる音と9Sの絶叫が交互に響きがら整備区画への長い回廊の奥へと消えていったのだった。
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その頃、バンカーの他の区画では明日の「顔合わせ」を前に、多くのヨルハ部隊員たちが異常な行動を取っていた。
16Dは11Bの遺品である“香水”を自分の体に浴びせて鏡に向かって不穏な自己暗示を繰り返してた。
「アスラン様……私のことは“カガリ”と呼んでください……うふふふふふ」
人間様専用の特別室ではTシャツとトランクス姿でぐっすりと眠るアスランはまだ知らない。
人類を敬愛するヨルハたちによる妄信的な混乱、狂気的な勘違い、そして崩壊した家族ごっこへと取り返しのつかない速度で加速させていくことを………。明日の「顔合わせ」は果たして歓迎会になるのか?あるいは……。
マリオ×NieRのコラボ小説の執筆に入るので、一時更新鈍ります。