穂乃果「これが私、高坂穂乃果、高校2年。いま、私の通う音ノ木坂学院が大ピンチなの!」
思い返してみると、こんな日々もあったものだ。
あの頃は夢があって、楽しい日常があって、とても充実した高校生活だった。
今でもとても楽しかったのを、私は覚えている。
あの頃の自分は、ずっと先にある未来も充実したものとなると、ずっと夢を見ていたものだった。
しかし、今は……
先生「……」
穂乃果「どう、ですか…?」
私は今、あるテストを受けている。
先生は和菓子の先生で、親の師匠でもあった方だった
私も将来、親のようになりたくて、高校を卒業した後大学は行かずに親が紹介してくれた、この方の元で和菓子について学ぶことになった。
通い始めて3年、私は何度目か、数える事すら億劫になるほどのテストを受けていた。
今まで何度も何度も失敗をし、学んでは失敗をし、ずっと失敗ばかりをしていた。
そして、今日のテストでも…
先生「高坂、お前今までここで何を学んだんだ?」
穂乃果「え…?」
これまでより自信のあった和菓子も、否定された。
先生「やっぱりお前、この仕事は向いてないんじゃないか?」
穂乃果「…」
穂乃果「やっぱり、私には向いてないのかな…」
帰路につき、家に帰った。
家といっても小さい、老朽化のしたアパートだった。
ガチャ
ドアを開く。
ずっと前までおかえり、という声があったのを思い出す。その度に私はただいま、と言ったが、今ではその一連の会話もなく
穂乃果「一人暮らしだもんね…」
こう呟くしかなかった。
部屋に入り、風呂に入ろうとしたが
穂乃果「掃除も面倒だし、シャワーでいいや…最後に風呂に入ったの、いつだっけ…?」
今ではこう考える気力もない。
私は服を乱雑に脱ぎ、カゴに入れた。
そのカゴにも脱ぎ捨てられた服がたくさんあり、溜まっていた。
穂乃果「洗濯物も週末でいいや。」
私は目を背き、浴室に入った。
シャワーの栓を開ける。弱々しい冷たい水が出てきた。
穂乃果はお湯が出るようにした。前まではお湯が出るまでの間はぼーっとしたものだったが、最近までは冷たい水も頭からかぶるようになった。
穂乃果「うぅ…ぁぁ」
その時思い出したのは、高校時代のことだった。
あの頃は夢があり、友達がいて、とても楽しかった高校生活。暖かい思い出がたくさんあった。
そうしてる間にもお湯に切り替わった。
でも、どうしても自身が暖かくならない。
穂乃果は、心が冷たかったのだ。
昔に比べ、もう大人になった。子供ではない。失敗できてもやり直せる、そんな子供時代はもう終わったのだ。
私は浴室を後にし、部屋に戻った。
冷蔵庫を開け、ビールを取り出す。
ビールを飲むと、今まで溜め込んでいた感情が涙となり、流れた
穂乃果「ひっぐ…うぅ…」
明日も仕事がある、早く飲んで寝なければならない。
私はビールを飲むと、ベッドにダイブした。
穂乃果「皆…」
思い出すのは、高校時代の友達だった。
また泣き、枕を濡らす。
そろそろ洗濯しなきゃ、もう枕もダメになりそう。
穂乃果「会いたい…」
会いたい、感情が溢れ出してきそうになるが、疲れていたのか、その日はすぐに夢の世界に落ちていった。
続く