天が讃えし転生馬   作:びりーばー

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オーシャンS

イン付き岩田おめでとう!!


坂路4ハロン

 

 

黒富士の調教師になる予定の小東は自厩舎所属騎手と黒富士がいる高平牧場に来ていた。

 

 

「テキ、この牧場になんかあるんすかあ」

 

 

眠い目を擦りながら話すのは厩舎所属騎手である横川富雄。1年前に騎手免許を取得した新人だが腕は折り紙付きである。2年目である1962年では6勝を挙げるも4/29の落馬事故で再起を危ぶまれる重傷を負ったが回復傾向にあり、来年頃から復帰する予定。

 

 

「お前に追い切ってもらいたい馬がいるんだ、俺の厩舎に入厩予定なんだが入厩する前に動きを確認したくてな。お前怪我明けだろう?感覚を取り戻すためにも頼むよ」

 

 

「そこまでテキがするってことは…期待馬ですね?それも相当の期待馬でしょう?」

 

 

「その通りだ、なんてたってセントライトの息子なんだからな。楽しみで仕方ないさ」

 

 

小東は少し図星を突かれた表情をしたが、すぐに照れ臭そうな微笑みに変わった。小東は黒富士を初めて見た時から一目惚れような状態に襲われていた。愛馬セントライトの産駒であることも拍車をかけて愛着が更に湧いてきそうなのもまた事実。

 

 

「セントライトの産駒ですか、そりゃテキも楽しみな訳ですよ」

 

 

「そうなんだよ!楽しみで仕方ないんだ、セントライト産駒であそこまで体付きが良い馬はそうそう見れん!しかもブランドソールの仔なんだ!いやあ本当に黒富士に出会えてよかった!」

 

 

「まだレースも走ってないでしょう…」

 

 

 

 

色々と話しながらも2人は坂路に移動。

待っていたのは高平牧場のスタッフ 小野寺 だった。

 

 

「おお!また馬体がデカくなったなあ!体付きもいい!」

 

 

「おわあ…黒光りしてますね…」

 

 

満面の笑みになった小東と、驚きと感心した表情が混ざったような顔を浮かべた横川。対照的な表情を見せた2人だったがそれを見た小野寺は困ったような表情で2人に話した。

 

「こいつね、よく食って走るんですよ。走る分には問題ないんですが食費が…」

 

 

「ははは!そりゃこんな体付きが良くなりますわ! 」

 

 

「活躍してもらわないとうち潰れちゃいますよ… 横の方は?」

 

 

「あ、紹介が遅れましたね。こいつは俺の厩舎所属の横川っていいます。本来は私が乗りたいんですが今回は動きの確認なので、コース横でじっくり見させてもらいますよ」

 

 

「どうも、東京競馬場 小東厩舎所属の 横川富雄 と申します。それにしてもこいつ良い馬ですね、今後とも何卒御贔屓にって痛い!」

 

 

「何さらっと媚び売ってんだこの野郎」

 

 

横川がお辞儀をして下を向いている頭を叩いたのは小東。

結構痛そうな音が周りに響いた。

 

 

「いやここ育成牧場じゃないんですか?こんな設備揃ってるところで育成された馬とか強いに決まってるじゃないすか!贔屓にして欲しいんですよ!」

 

 

「あー… ここはな生産牧場でもあるんだよ、黒富士の生まれもここだ。」

 

 

「え、嘘でしょ?それだったら小岩田ぐらい大きいじゃないですか、ならもっと御贔屓にしてくださいね!」

 

 

「はあ…」

 

小東は疲れたように溜め息をついた。

もう叩く気力もないような顔をしている。

 

 

「すまんね、うちの横川が… ほら追い切るぞ!」

 

 

「はーい… おいしょ、ヨシヨシ」

 

 

「どうだ?乗り味は?」

 

 

「まだ追い切ってないでしょうが!だけど…落ち着いてますね、嫌がるそぶりはまったくありません。もしかしたら闘争心に欠けるかもしれませんね。ま、乗ってみないと分かりませんよ」

 

 

「分かった、じゃあ移動するから輪乗りでもしといてくれ。位置に付いたらライトを点けるから追い切りを始めてくれ」

 

 

 

—————————————

 

 

「ライトを点けてっと… いやあ楽しみですね小東さん」

 

 

「そうですねえ」

 

 

小野寺と小東は興奮した様子で黒富士と横川が来るのを待っていた。特に小東はどのくらいの早さで来るのか、今か今かとタイマーを握りしめて待っている。

 

 

「小東さん、黒富士はとてつもなく知能が高いんですよ。たまに人の言葉理解してるんじゃないかってぐらいの高さなんです」

 

 

「ほお、そりゃいいですな」

 

 

「え?」

 

 

「言葉がわかっていたらこっちも扱いやすいってもんですよ、ありがたいぐらいです」

 

 

一瞬呆気に取られた表情を浮かべた小野寺。

だがすぐに表情が戻り、少し納得したような顔に変わった。

 

 

「なるほど…良かったです」

 

 

「そんな心配してたんですか?お、来ますよ小野寺さん」

 

 

「50秒後半ぐらいがベストですか?まだ入厩前ですしね」

 

 

「そうですねえ58-59秒であれば大丈夫ですよ」

 

 

望遠鏡を覗いている小東は少し笑みを浮かべた。

この時期での58-59であれば仕上がりは良い、3歳戦にも期待が持てるのだ。某ディープインパクトは入厩後初めての坂路4ハロンタイム計測で54秒3という、すぐにでも実践に使えるタイムを叩き出したとかなんとか…

 

 

「お!来た… え!?」

 

 

 

 

「ど、どうしました小東さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「早過ぎる… なんだよ54秒3って… もうレース使えるじゃないか…」

 

 

 

 





騎手のお話と黒富士の会話はまた次回!
明日はチューリップ賞ですね、楽しみましょう!
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