アンケートありがとうございました!
主戦騎手は竹邦彦さんに決定しました!
「て、テキ!こいつとんでもないですよ!」
興奮気味に小東に話しかけたのはさっきまで黒富士に跨り坂路4ハロンを追い切った横川富雄だった。
「ああ、こいつは化物…いや怪物以上だ」
「ちょ、ちょっと僕は黒富士を連れて厩舎に戻っておきますね、こんなとんでもないタイムで走ったから状態を見ないと!」
小野寺は黒富士を引っ張り厩舎に戻った。
あんなタイムを出したのにまだ黒富士は走れそうな雰囲気が満載である。
「富雄、お前新馬で騎乗し「駄目です」え?」
「テキ、俺は黒富士を捌き切れない。こいつを捌き切れるにはまだ騎乗技術が足りないんです。 ましてや俺は今手負い、こんな状態でこいつに乗るのは忍びないんです…」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた富雄。
だが小東は困ったような表情で話し始めた。
「そもそもこんな怪物捌き切れる騎手なんかそうそういないぞ… リーディング上位は大体新馬の話は決まり始めてる、やっぱり富雄お前しか…」
「俺は無理です… まだ全然万全じゃない、こいつを勝利に導いてやれない。導かれる側になっちまう…」
常に馬のためを思って行動する富雄にとっても苦渋の決断であることは明らかだ。悔しそうな表情を浮かべながら俯く富雄を見た小東は何も言えなくなってしまった。
「富雄、お前もうちょっと自信持った方が良いよ。お前はアグレッシブな騎乗をする、できる奴はそうそういない」
「でも…駄目なんです」
「…そうか」
「だけど… 他の代役を探すことはできます。まだ新馬に乗鞍がなくてリーディング30位より上ら辺がいいですか?」
「…うん、それで頼むよ 」
「そうだなあ…確か京都所属の今年20位台に入ってる竹さんとかどうですか?」
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竹邦彦
1957年にデビューした若手騎手。
成績的には中堅騎手として位置し、昨年の1960年には重賞初勝利、29勝を挙げた。騎手にしては身長や手足が長く、それを上手く使うためのフォームを模索しているらしい。
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「京都か… だけどお前の太鼓判付きなら任せようかな。ちなみどこの厩舎所属なんだ?」
「京都の竹平三さんとこです、下藤さんとテキが行ったら二つ返事で竹さんの予約はできますよ」
「じゃあすぐにでも向かわないとな… 東京に戻って下藤さんに予定を合わせてもらわないと…」
黒富士と主戦騎手として依頼する予定である竹邦彦が他に取られてしまうことを恐れた小東は考えた表情ではブツブツと予定を唱え始めた。
「そういえば東京競馬場への出張を近頃考えてるらしいですよ、邦彦さん」
「そうなのか?」
「はい、前に会った時に身元引受人が見つからないって嘆いてm「急いで電話だ!」えっあっえ?」
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「少しの間ですが、よろしくお願いします」
竹邦彦は緊張した面持ちで小東厩舎を訪れた。
なんてたって三冠ジョッキーである小東の厩舎が中堅騎手の身元引受人になってくれるとは思いもよらなかったからだ。
「お前は京都の中でも上手いと聞いていたんだよ。これからは鞍も依頼もするだろうし、よろしくな」
「ほ、ほんまですか!」
「おう、少し仕事を任せたいんだがな… このヤマカブトをな、角馬場で…」
「了解しました」
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東京競馬場に出張して2週間がたった竹邦彦。
どうやら騎乗フォームを変えたようでそれについて小東が質問した。
「クニヒコ、お前来た時とフォーム変わってないか?」
「そうなんですよテキ!保多さんと野原さんの騎乗フォームを間近で見してもらったらね、僕の長い手足をうまく使った騎乗スタイルを身につけたんですわ!」
この2週間で邦彦はメキメキと成長した。
リーディング上位である保多と野原の騎乗フォームに触れて乗り方がどんどん変わっていった。最終的にスタンディングと呼ぶ上体を起こすフォームで馬に負担を掛けないスタイルでの騎乗をこの2週間で確立した。
「ありゃ良いフォームだな、それを見越して…だ。ある新馬を任せたい」
「ぼ、僕に新馬ですか!?来年の騎乗予約なんかされるの初めてや…」
邦彦はこれ以上ないくらいの喜びと驚きに襲われた。
大体新馬の騎乗予約されるのは東と西の各リーディング上位&フリーのリーディングトップぐらいで成績的には中堅騎手の自分が新馬の依頼が来るとは思っていなかった。
「あのフォームで騎乗すりゃ勝ち鞍も乗鞍もグングン増えるさ、だから取られる前に…な」
「もう入厩してるんですか?」
「もう馬運車で運ばれてくるよ、名前は
テンザン
牡 青鹿毛
父 セントライト
母 ゴールドウエツデイング
母父: プリメロ
馬主 下藤雄策
調教師 小東喜蔵
生産者(産地) 高平牧場 (浦河町)
中央獲得賞金 0万円
地方獲得賞金 0万円
主な勝ち鞍 -