天が讃えし転生馬   作:びりーばー

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ほんっとに…

レースの描写が難しい…
(誤字報告ありがとうございます)


1963年11月10日

 

 

《東京3R 3歳未勝利、1着10番セイゴウ、2着1番シンプル、3着2番ウインドールで確定しました。払い戻しです。単勝………》

 

 

1963年 11/10(日) 東京競馬場 6回東京4日目。

 

メイン10Rは第57回目黒記念(秋)OP 4歳以上 芝2500m。

12頭が揃い、人気は58kgのヒロキミが1番人気でアサマフジ、クニイサミが続く。芝ダート共に良で天候は晴れ。前日の開催で少し内馬場が荒れており、外差しが決まるトラックバイアス。

 

 

 

 

 

 

テンザンはこの日、デビューを迎える。

 

 

 

調教でも猛タイムを連発させ、ウメノチカラと並ぶ関東の 有力馬としての立場を確立させていた。

 

 

猛タイムを出す秘訣ではないが、テンザンは踏み込みが強いため蹄鉄の消費が他馬より早く、耐用期間3週間のところ1、2週間ほどで使用できなくなる。そのため通常の蹄鉄に比べ2倍以上の重量があり、底が厚い蹄鉄を使用。脚部に負担がかかり故障を招く恐れがあったが、テンザンはリスクを克服した。

 

 

 

(竹邦彦によると京都の武山文吾厩舎に入厩しているシンザンという馬も特殊な蹄鉄を使用しているらしい。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《2番 テンザン 馬体重502kg………》

 

 

 

その502kgという雄大な馬体はパドックで少しの歓声を巻き起こした。当時の日本では500kg台を超える競走馬が珍しいのだ。しかし解説者の評価は辛辣だった。

 

 

 

《全体的にずんぐりむっくりで、仕上がり途上な感じはしますよね。歩様もまだ幼くて覇気があまり感じられません》

 

 

 

 

 

解説者からの酷評を受けながらもパドックの周回を続けるテンザン。やがて騎手の号令が掛かり騎乗を始める。

 

 

「いやあ目立ちますね、馬体はデカいし真っ黒やから」

 

 

余程テンザンと分かりやすいのか、号令が掛かってから一直線で向かってきたのはテンザンに騎乗する竹邦彦だった。

 

 

「こいつ500kg超えたんだよ、だけど加速力は追い切りからまったく変わってないから安心してくれ。馬を信じろよ、クニヒコ」

 

 

横で待っていたのはテンザンの調教師である小東。小東はテンザンに対して大きな期待を抱いており、強さは勿論だが血統面に運命的なものを感じている。だからこそ期待は膨らむばかりなのである。

 

 

「分かってますよ!で、指示は?」

 

 

「こいつは頭が良い… 直線になったら勝手に速度を上げるだろう。だからな、1周だけ回ってこい」

 

 

「了解!」

 

 

側から見たら意味が分からない指示かもしれないが、厩舎関係者や東京競馬場の関係者からすると納得の指示なのである。

 

 

朝は目覚ましがあるかのように決まった時間に起き、飯を食べる。調教をすれば毎回猛タイムを計測。毎週日曜日は『RFサンデー』という競馬ラジオを聞くというおっさんの様な習慣があるものの、関係者からのテンザンの評価はとても高かった。

 

 

 

 

パドックでは本当に見栄えしなかったのか、本馬場入場を迎えようとしたとき人気が3番人気まで落ちた。ほどなくしてテンザンが出走するレースの本馬場入場が始まった。

 

 

 

《4R出走各馬の入場。東京3歳新馬、芝の1200m戦……》

 

 

馬番が1番から続々と馬場入りしていき、スタート地点に集合し始める。テンザンの馬主である下藤は愛馬の返し馬をまるで昔を懐かしむ様な目で、じっと見つめていた。

 

 

「小東君、俺たちの愛馬の息子が走るぞ」

 

 

「ええ、これまたあなたの愛馬ですがね…」

 

 

「ははは、これも運命のような物だ」

 

 

小東と下藤は強者の余裕とも言える雰囲気をスタンドで醸し出していた。そしてあっという間に発走時間を迎えファンファーレが鳴った。テンザンに騎乗する竹邦彦はまったくといっていい程緊張していなかった。

 

 

《7番のフクイサミがゲート入りを渋っていますが… 収まりました。……ゲートが開いてスタートが切られました!16頭綺麗なスタート、さあ先行争い内からカネサカエ野原が行きます、オーシオ、それから外からはケンヒカルが出ていこうかというところであります》

 

 

『ゲートの出はいいけど… 下げるんかテンザン』

 

いざとなったら自分が指示を出す覚悟で騎乗しているが、邦彦はテンザンに全幅の信頼を置いていた。そんなことを考えて騎乗していると残り600のハロン棒が見えた所でテンザンが仕掛けた。

 

 

 

《……そしてここにいますのはテンザン、後方から2頭目の位置…おっと!とんでもない脚で上がってまいりましたテンザン!もう先頭集団にとりつこうかという勢いだが!さあ逃げるカネサカエに並びかけるのは3番のイソキヨ!2頭が並んで4コーナーから最後の直線に入ってまいりました!》

 

 

 

しっかり捕まってろよと言わんばかりにテンザンがピッチ走法からストライド走法に変えたと同時にとてつもないスピードが爆発。後方2頭目から一気に押し上げて6.7番手まで上がってきた。

 

 

《先頭は変わって3番のイソキヨ!そして外外からすんごい脚で飛んできたのはセントライトの子テンザンだ!持ったままで!一完歩ごとに差は縮まるばかりだ!並んで、交わした!もう竹は鞭を入れていない!2馬身、3馬身突き放して今ゴールイン!そして2着に粘りましたのは3番のイソキヨ、離れて3着入線はフガク!ウメノチカラよ待っていろ!テンザンがクラシックの有力馬として名乗りを挙げましたァァ!》

 

1963/11/10(日) 東京4R

 

3歳新馬 芝1200m 晴 良 

6回東京4日目

 

 

 

100 100 2 000テンザン00000000 牡4 .竹邦彦 

 

200 200 3 000イソキヨ00000000 牡4 .山丘忞  3馬身

 

300 600 1100 フガク000000000a牡40高地啓之 1.1/4

 

 

 

 

 




テンザン
牡 青鹿毛

父 セントライト
母 ゴールドウエツデイング
母父: プリメロ
馬主 下藤雄策

調教師 小東喜蔵
生産者(産地) 高平牧場 (浦河町)
主な勝ち鞍 3歳新馬
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