天が讃えし転生馬   作:びりーばー

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投稿遅くなりましたが!
デキは過去一です()


朝日盃という名の公開調教

 

 

相変わらず解説者からのテンザンのパドック評価は悪く『落ち着き過ぎている』や『なにか物足りない』など酷評を下されていた。

 

だがテンザンの関係者側は新馬戦よりも成長していることを実感していた。調教タイムは上々、飼葉はめっちゃ食べる。これで成長しないはずがないのだ。

 

 

 

号令が掛かり青い帽子の邦彦がテンザンに騎乗する。

邦彦はパドックの電光掲示板を見上げてテンザンが2番人気という評価に甘んじていることに驚いていた。

 

 

中山10R.0 朝日盃3歳ステークス ..あ芝•右:1600m  晴れ 良     発走時刻 15:25     28分前

 

     馬名  ..0 単勝人気      騎手名

. 1 フラワーウツド 0  6番人気   保多 隆芳 (51.0)

. 2 キオー       11番人気   街田 精生 (52.0)

. 3 カネツオー     13番人気   伊馬 竹男 (52.0)

. 4 ナスノカゼ     10番人気   野原 好男 (52.0)

. 5 テンザン 00000000 2番人気   竹  邦彦 (52.0)

. 6 サンマリノ  0   9番人気   喬松 三太 (51.5)

. 7 カネケヤキ .00000... 1番人気   野原 裕二 (51.0)

. 8 ツキホマレ  .  12番人気   弓野 一博 (52.0)

. 9 サンダイアル 00000 3番人気   滋賀 武見 (52.0)

10 マルサキング    14番人気   川之内 豊 (52.0)

11 グレートサンキユウ.05番人気   山丘  忞 (52.0)

12 ミツフク 00000000 4番人気   新山 良司 (51.0)

13 フラミンゴ     8番人気   幸長 正人 (51.0)

14 ウメノチカラ    5番人気   古河 一隆 (52.0)

 

 

「デキは過去一なはずなんだが… テンザンは落ち着いてるから覇気が無いと言われるのかもしれないな」

 

 

小東は残念そうに語るが、確かにテンザンは他馬と比べてチャカつきもしないし暴れもしない。幾ら気性が大人しくてもここまで落ち着いている馬は珍しい。

 

 

「デキは絶対いいですよ、好馬体って感じがしますもんね」

 

 

「しっっかりと仕上げたからな!テンザンは2番人気だ、勝機はたっぷりとあるぞ」

 

 

「1番人気は野原さんか… こりゃ楽しみや」

 

 

邦彦は新馬戦の時、検量室で話したことを記憶していた。

野原が騎乗するカネケヤキは牝馬。だが後にカネケヤキとは菊花賞で再度激突する。この頃は牝馬クラシック最終関門である秋華賞(エリザベス女王杯)がなく、牡馬・牝馬共にクラシック最終戦である菊花賞で激突するというとんでもなく面白い構図だったのである。

 

 

「勝ってきますよ、テキ!」

 

 

「作戦は()()でいけよ!」

 

 

「分かってます!()()っすよね〜」

 

 

そうして朝日盃3歳ステークスに出走する14頭は本馬場入場へと脚を運んで行った。

 

 

 

 

 

 

《ファンファーレが鳴りまして続々と各馬ゲート入りが進んでいます。残りは偶数番枠のミツフクと大外ウメノチカラ……収まりました》

 

 

本馬場入場が終わりあっという間にレースの発走時刻を迎えた。単勝人気は変わらず1番人気にカネケヤキ野原裕二、続くのがテンザン。ウメノチカラは5番人気だった。

 

 

《3歳チャンプはどの馬に、朝日盃3歳ステークス!》

 

 

『もうすぐでゲートが開くぞ… スタートはそんなに良くない方が俺にとっちゃ嬉しいんやけど…』

 

 

いつもの様に邦彦はテンザンを信頼しているが、一抹の不安があった。それは他馬によるマークである。新馬戦を強い印象で勝利したテンザンはここでも上位人気で有力視されている。

 

 

有名なのはテイエムオペラオーの2000年有馬記念だろう。

 

 

— — —

 

2000年有馬記念。勝ち続けるとすべての馬が敵になる。その馬は完全に包囲された。道は消えたはずだった。テイエムオペラオー、お前は何故走れたのか。その戦いに人は夢を見る。さあ、夢を見よう。

 

2013年有馬記念 JRACM THE LEGEND より抜粋

— — —

 

 

マークされると馬を外に出したくても進路が塞がれ出せないことや、仕掛けが遅れるなどの様々な悪影響をテンザンに及ぼすのだ。だからこそ出遅れて欲しさが邦彦にはあった。

 

 

《スタートが切られました!ちょっとテンザンが出負けしましたがその他は揃ったスタート》

 

 

テンザンは右に見えた黄色の旗に目を奪われていた様でまったくスタートに集中しておらず、少し出遅れてしまった。が、それは邦彦からするといい方向に傾いたようだ。

 

 

『よし、これで誰にもマークされない最後方に位置を置くことができる。そこから捲って終いや』

 

 

《そろりそろりと前へ出て行きましたのはサンマリノです、サンマリノが後ろを見ながらそしてカネケヤキが2番手から前に。ちょっと顔を見合わせた野原と喬松三太、カネケヤキが交わして先頭に立ちました》

 

 

カネケヤキの鞍上はデビューからここまで全戦手綱を握っている野原裕二。

前走OP戦を快勝して1番人気に推されている。

ここまでの戦績は4戦3勝、うちオープン勝ちは2戦。

1番人気に推されるのも当然だろう。

 

 

《その後ろ3番手には13番のフラミンゴ、そしてサンダイアルは現在4番手滋賀武見とのコンビ。その後ろから古河一隆背中をちょっと丸めながらウメノチカラ》

 

 

ウメノチカラは前走を勝ったものの、2走前の大敗が響き5番人気まで評価を落としていた。テンザン陣営が最も警戒している一頭でもある。

 

 

《外からグレートサンキュウです。そして内を通ってカネツオー、その間に入っているのが8番のツキホマレ。1馬身差10番がおっと5番テンザンが捲っていきました。テンザンと竹邦彦が先頭集団に果敢に挑んでいきました。10番マルサキングここにいます。そしてミツフクはこの位置、中団グループを見る形になりました》

 

 

実況が少し驚く様子を見せた。

それはテンザンがとてつもない勢いで捲っていったからである。抑えが効かなかったと判断されるかもしれないがこの大捲りは陣営の作戦だった。

 

理由は中山の直線は短く、後方馬に取っては不利なこと。

あと調教師である小東が「レコード取りたい」と発言したことがきっかけである。そのためレコードを出すために大捲りを仕掛けたのだ。

 

 

《フラワーウッドはちょっと後ろから、そして4番のナスノカゼ。その後ろはちょっとバラけて2番のキオー》

 

 

『先頭集団に付けれたらこっちのもんや、野原さん。お先に!』

 

 

邦彦は言葉を口に出してはいないものの、表情では自信満々という表情を浮かべていた。

 

「はやっ!」

 

 

野原は上がっていくテンザンを見て思わず心の声が漏れ出してしまい、恥ずかしさか顔を歪ませながら追い出した。

 

 

《3コーナーのカーブ、先頭7番のカネケヤキ内側にコースを取って先頭。そして外側からテンザンが一気に交わして先頭に立ちました、差が開いていきます!》

 

 

テンザンはとてつもない勢いで先頭集団を交わして単独先頭に。3馬身4馬身と差を広げて4角を先頭で駆け抜けていった。

 

 

《4コーナーを回って先頭は5番のテンザン!差は開く差は開く!グングン突き放す!テンザンこれは強い!テンザンこれは強い!差を広げます!テンザンの圧勝です、テンザンの圧勝!断然のリードを保ったままゴールイン!2着以下は接戦のゴール!》

 

 

《勝ちタイム1:35.2!レコード!日本レコードです!鞍上竹邦彦騎手、左手を挙げて大きくガッツポーズ!》

 

 

 

 

 

 

1963/12/15(日) 中山10R

 

朝日盃3歳ステークス 芝1600m 晴 良

7回中山6日

 

100 400 5 00テンザン00000000 牡4 .竹邦彦  R1:35.2

 

200 800 14 0ウメノチカラ00000 牡4 .古河一隆 大差

 

300 500 700 カネケヤキ.000000..牡40野原裕二 アタマ

 

 

 

 

 

 

レース後のコメント

 

1着 テンザン(竹邦彦騎手)

「鞭は入れてない。ちょっと追っただけ。良い背中をしていますしこれからが楽しみな馬なので、春に向かってもっと良くなると思う」

 

2着 ウメノチカラ(古河一隆騎手)

「勝ち馬が強過ぎた。それだけです…」

 

3着 カネケヤキ(野原裕二騎手)

「良い競馬が出来たんだけど… どちらも上手くいけば菊花賞でぶつかると思うからその時にやり返したいね、うん…」

 

 

※他騎手が意気消沈しており、検量室内があまり取材できるような状態ではなかったのでレース後コメントは3着まで。

 

 

 

 

 

 

 

テンザン

牡 青鹿毛

 

父 セントライト

母 ゴールドウエツデイング

母父: プリメロ

馬主 下藤雄策

 

調教師 小東喜蔵

生産者(産地) 高平牧場 (浦河町)

主な勝ち鞍 朝日盃3歳S

 

 

 

 





《実況の参考レース》
スタートから第3コーナーまで
2006 朝日杯FS (勝ち馬:ドリームジャーニー)

最後の直線
1976 朝日杯3歳S(勝ち馬:マルゼンスキー)
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