世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第10話 「少年修行編① ― 折れぬ刃」

 

ヒャッハー!

 

災害ヒャッハーによって集落崩壊!

生存者はただ一人!

 

荒野に放り出された少年は悟る――

 

この世界に必要なのは正義ではない!

理屈でもない!

 

死なないための力であるゥ!!

 

そして彼が選んだ答えは――

あまりにも物騒な巨大武器だったァ!!

 

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荒野では、

 

強さとは倫理では測られない。

 

理想でもない。

 

信念でもない。

 

単純な結果のみが評価基準となる。

 

死ななかった者が強者。

 

それだけだった。

 

少年は歩いていた。

 

乾いた大地。

 

果てなき荒野。

 

背には巨大な鉄塊。

 

常識外れの重量。

 

だが彼の歩みは止まらない。

 

「……足りない」

 

独り言。

 

誰に聞かせるでもない呟き。

 

この世界へ放り出されてから、

何度繰り返したか分からぬ言葉。

 

生き延びた。

 

だが理解した。

 

自分は弱い。

 

圧倒的に。

 

「力が足りない」

 

視線を落とす。

 

背に担いだ武器。

 

分厚く。

 

無骨で。

 

鈍く黒ずんだ鉄の塊。

 

重刃刀。

 

それは刀の形をしていた。

 

だが本質は違う。

 

優美さなど存在しない。

 

芸術性もない。

 

あるのは質量のみ。

 

少年の脳裏に蘇る声。

 

忘れられぬ怪物の言葉。

 

「刀は折れる」

 

あの男。

 

あの災害。

 

あの笑顔。

 

「折れる武器は信用ならねぇ」

 

少年の拳がわずかに震える。

 

だが否定はしない。

 

それは事実だからだ。

 

荒野では刃物は脆い。

 

骨。

 

装甲。

 

瓦礫。

 

コンクリ。

 

すべてが刃の敵だった。

 

斬る武器は理想に過ぎない。

 

現実では通用しない。

 

「なら……」

 

少年は立ち止まる。

 

眼前。

 

風化した岩塊。

 

硬質。

 

重量。

 

荒野では珍しくない障害物。

 

だが彼は刀を抜いた。

 

通常の刀とは異なる構え。

 

刃の中程。

 

そこにも握り手がある。

 

前後二点保持。

 

異様な武器構造。

 

「こう使う」

 

踏み込み。

 

回転。

 

加速。

 

ゴンッ!!

 

轟音。

 

岩が砕け散る。

 

斬撃ではない。

 

打撃。

 

純粋な質量破壊。

 

だが刃は機能している。

 

重さで叩き潰し。

 

角度で断ち切る。

 

暴力的合理性。

 

「……悪くない」

 

少年は静かに呟く。

 

この世界で必要なのは理想ではない。

 

適応。

 

生き残るための最適化。

 

ヒャッハーを思い出す。

 

異様な武器。

 

異様な挙動。

 

異様な耐久。

 

「砕く力」

 

彼の暴論。

 

だが。

 

否定できなかった。

 

あの怪物は、

 

確かにこの世界の理へ適応していた。

 

ならば。

 

超えねばならない。

 

砕く力を。

 

理不尽な暴力を。

 

受け止め、

 

凌ぎ、

 

叩き込める武器。

 

少年の視線が重刃刀へ向けられる。

 

「折れない刃」

 

それが彼の結論だった。

 

振るう。

 

叩き込む。

 

破壊する。

 

日々の反復。

 

筋力ではない。

 

制御の習得。

 

重量との対話。

 

武器との同調。

 

やがて動きが変わる。

 

無理な振り回しではない。

 

計算された破壊動作。

 

荒野向けの戦闘様式。

 

「まだ足りない」

 

再び呟く。

 

ヒャッハーは異常だった。

 

単純な暴力では届かない。

 

必要なのは決定打。

 

確実に通す一撃。

 

少年は刃を見つめる。

 

重さ。

 

質量。

 

運動エネルギー。

 

「……一点……」

 

思考が深まる。

 

破壊とは分散ではない。

 

集中。

 

衝撃を一点へ叩き込む。

 

通常の斬撃ではなく。

 

通常の刺突でもない。

 

「通す力……」

 

まだ形にならぬ概念。

 

だが確かな兆し。

 

重刃刀が鈍く光る。

 

荒野の風が吹き抜ける。

 

少年は静かに歩き出した。

 

この武器ですら、

 

まだ完成形ではないと理解しながら。

 

彼の行き着く先。

 

目指す対象。

 

ただ一つ。

 

ヒャッハー。

 

怪物。

 

災害。

 

そして――

 

必ず越えねばならぬ壁。

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