世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!
災害ヒャッハーによって集落崩壊!
生存者はただ一人!
荒野に放り出された少年は悟る――
この世界に必要なのは正義ではない!
理屈でもない!
死なないための力であるゥ!!
そして彼が選んだ答えは――
あまりにも物騒な巨大武器だったァ!!
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荒野では、
強さとは倫理では測られない。
理想でもない。
信念でもない。
単純な結果のみが評価基準となる。
死ななかった者が強者。
それだけだった。
少年は歩いていた。
乾いた大地。
果てなき荒野。
背には巨大な鉄塊。
常識外れの重量。
だが彼の歩みは止まらない。
「……足りない」
独り言。
誰に聞かせるでもない呟き。
この世界へ放り出されてから、
何度繰り返したか分からぬ言葉。
生き延びた。
だが理解した。
自分は弱い。
圧倒的に。
「力が足りない」
視線を落とす。
背に担いだ武器。
分厚く。
無骨で。
鈍く黒ずんだ鉄の塊。
重刃刀。
それは刀の形をしていた。
だが本質は違う。
優美さなど存在しない。
芸術性もない。
あるのは質量のみ。
少年の脳裏に蘇る声。
忘れられぬ怪物の言葉。
「刀は折れる」
あの男。
あの災害。
あの笑顔。
「折れる武器は信用ならねぇ」
少年の拳がわずかに震える。
だが否定はしない。
それは事実だからだ。
荒野では刃物は脆い。
骨。
装甲。
瓦礫。
コンクリ。
すべてが刃の敵だった。
斬る武器は理想に過ぎない。
現実では通用しない。
「なら……」
少年は立ち止まる。
眼前。
風化した岩塊。
硬質。
重量。
荒野では珍しくない障害物。
だが彼は刀を抜いた。
通常の刀とは異なる構え。
刃の中程。
そこにも握り手がある。
前後二点保持。
異様な武器構造。
「こう使う」
踏み込み。
回転。
加速。
ゴンッ!!
轟音。
岩が砕け散る。
斬撃ではない。
打撃。
純粋な質量破壊。
だが刃は機能している。
重さで叩き潰し。
角度で断ち切る。
暴力的合理性。
「……悪くない」
少年は静かに呟く。
この世界で必要なのは理想ではない。
適応。
生き残るための最適化。
ヒャッハーを思い出す。
異様な武器。
異様な挙動。
異様な耐久。
「砕く力」
彼の暴論。
だが。
否定できなかった。
あの怪物は、
確かにこの世界の理へ適応していた。
ならば。
超えねばならない。
砕く力を。
理不尽な暴力を。
受け止め、
凌ぎ、
叩き込める武器。
少年の視線が重刃刀へ向けられる。
「折れない刃」
それが彼の結論だった。
振るう。
叩き込む。
破壊する。
日々の反復。
筋力ではない。
制御の習得。
重量との対話。
武器との同調。
やがて動きが変わる。
無理な振り回しではない。
計算された破壊動作。
荒野向けの戦闘様式。
「まだ足りない」
再び呟く。
ヒャッハーは異常だった。
単純な暴力では届かない。
必要なのは決定打。
確実に通す一撃。
少年は刃を見つめる。
重さ。
質量。
運動エネルギー。
「……一点……」
思考が深まる。
破壊とは分散ではない。
集中。
衝撃を一点へ叩き込む。
通常の斬撃ではなく。
通常の刺突でもない。
「通す力……」
まだ形にならぬ概念。
だが確かな兆し。
重刃刀が鈍く光る。
荒野の風が吹き抜ける。
少年は静かに歩き出した。
この武器ですら、
まだ完成形ではないと理解しながら。
彼の行き着く先。
目指す対象。
ただ一つ。
ヒャッハー。
怪物。
災害。
そして――
必ず越えねばならぬ壁。