世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!
折れぬ刃を手に入れた少年!
だがそれだけでは足りない!
相手はあのヒャッハー!
ただの暴力では通用しない!
必要なのは決定打!
絶対に通す理不尽な一撃!
世紀末少年――
ついに物騒すぎる技術研究へ突入するゥ!!
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ヒャッハーは硬い。
少年の結論は単純だった。
だが極めて重大な事実。
装甲ではない。
防具でもない。
あの男そのものが異常な耐久を誇っていた。
「……通らない」
重刃刀を振るう。
叩き込む。
砕く。
だが想像するだけで理解できる。
足りない。
単純な質量破壊では届かない。
必要なのは――
「通す力」
少年は刃を地面へ突き立て、静かに思考を巡らせる。
荒野の戦闘は単純だ。
殴る。
撃つ。
焼く。
だがヒャッハーは違った。
被弾。
爆発。
衝撃。
それらをまるで意に介さぬ挙動。
常識の外側。
ならば同じ土俵では勝てない。
「貫く……」
呟き。
少年は重刃刀を持ち上げる。
通常の構えではない。
刃の中程の握り。
後部の柄。
二点保持。
重量武器特有の不安定な姿勢。
だが彼の視線は揺るがない。
「違う……」
踏み込み。
停止。
角度修正。
再試行。
「ただの突きでは弱い」
重刃刀は重い。
質量は十分。
だが刺突としては不向き。
速度が出ない。
初速が足りない。
「なら……」
少年の思考が一段深まる。
斬撃の理屈。
打撃の理屈。
刺突の理屈。
それらは本来別系統の攻撃様式。
だが荒野では常識など意味を持たない。
必要なのは結果のみ。
「融合させる」
刃を構える。
低姿勢。
重心固定。
そして。
踏み込みと同時に全身を回転させる。
遠心力。
質量加速。
慣性利用。
「――通せ」
次の瞬間。
ドォンッ!!
轟音。
衝撃。
地面が爆ぜる。
突き。
だがそれは通常の刺突ではない。
重量武器の運動エネルギーを極限まで圧縮し、
一点へ叩き込む暴力的技法。
衝撃が遅れて響く。
土煙。
砕けた岩盤。
深々と穿たれた地面。
少年の瞳がわずかに見開かれる。
「……これだ」
確信。
理屈ではない。
感覚的理解。
破壊ではなく貫通。
叩き潰すのではなく侵徹。
質量を通すための技。
彼は名付けた。
『重破貫(じゅうはかん)』
打撃の質量。
刺突の集中。
両者を強引に融合した荒野的必殺技。
極めて世紀末向き。
極めて物騒。
試し撃ちが始まる。
廃車両。
コンクリ塊。
鉄骨残骸。
すべてが同じ末路を辿る。
ズドォン!!
貫通。
破壊。
内部崩壊。
「いける……!」
少年の呼吸がわずかに荒れる。
興奮ではない。
確信の高まり。
ヒャッハーの異常耐久。
それすら貫ける可能性。
だが。
彼は知らない。
ヒャッハーという存在の本質。
あの怪物が最も得意とする行為。
それは暴力ではない。
狂気でもない。
適応。
「まだ改良の余地がある……」
少年は冷静だった。
衝撃角度。
踏み込み速度。
回転効率。
さらなる精度向上。
荒野では停止は死を意味する。
ゆえに進化は必須。
重刃刀が唸る。
風を裂く。
大地を穿つ。
繰り返し。
繰り返し。
繰り返し。
少年の技は研ぎ澄まされていく。
やがて彼の瞳には迷いが消えていた。
「待っていろ……ヒャッハー……」
それは怒りではない。
憎悪でもない。
因果の確認。
精算の予告。
荒野の風が吹き抜ける。
遠く。
災害拠点ヒャッハーダム。
そこに棲む怪物を思い浮かべながら。
少年は再び刃を構えた。