世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第2話:熱水という暴力

ヒャッハー!

 

前回、意味もなく荒野を爆走しながら堂々と登場したヒャッハー!

 

世紀末世界において遭遇とは戦闘を意味する!

それは挨拶でも会話でもない。

視線が交わった時点で生存競争が始まるのだ!

 

そして今日もまた――

運の尽きた連中が犠牲になるのだったァ!!

 

--------------------

 

荒野では、遭遇とは戦闘を意味する。

 

それはこの世界における絶対法則。

例外は存在しない。

ためらいは死を意味する。

 

砂煙の向こうに影が揺れた。

 

三台のバギー。

荒野では珍しくもない光景だった。

 

略奪者。

武装車両。

獲物を探す視線。

 

この世界では誰もが同じことを考える。

 

奪えるか。

殺せるか。

生き残れるか。

 

倫理など存在しない。

ためらいはただの敗因。

 

ゆえに彼らの判断は極めて合理的だった。

 

単騎のバイク。

孤立した標的。

包囲すれば終わり。

 

――のはずだった。

 

彼らはまだ知らない。

 

世紀末世界には、

理屈そのものを踏み潰す存在がいることを。

 

災害。

例外。

分類不能。

 

ヒャッハーという名のバグを。

 

歪な装甲板。

粗雑な溶接跡。

安定性を無視した銃座。

 

そして響く下品な笑い声。

 

略奪者。

 

この世界でもっともありふれ、

もっとも救いのない存在。

 

「獲物だァ!!」

 

「単騎だぞ!!」

 

「燃料を奪え!!」

 

実に世紀末らしい判断。

実に希望のない選択。

 

だが彼らは知らなかった。

 

相手を。

 

運命を。

 

そして何より――

ヒャッハーという現象を。

 

 

 

「ヒャッハー!!」

 

爆音。

 

咆哮。

 

砂煙を切り裂き飛び出す黒塗りのバイク。

 

減速なし。

躊躇なし。

恐怖なし。

 

一直線。

 

常識的に考えれば自殺的突撃。

 

だが操縦者は常識の外側にいた。

 

 

 

「なッ――」

 

略奪者の理解が追いつくより早く。

 

噴射ノズルが跳ね上がる。

 

圧力弁、解放。

 

ドバァッ!!

 

 

 

白煙。

 

熱気。

 

絶叫。

 

 

 

「熱ッ!?」

 

「ぎゃあああああ!!」

 

放たれたのは炎ではない。

 

超高温の熱水。

 

皮膚を焼き、

呼吸を乱し、

視界を奪い、

戦意を粉砕する暴力。

 

極めて単純。

 

極めて非人道的。

 

そして極めて有効。

 

 

 

隊列崩壊。

 

操縦不能。

 

混乱。

 

 

 

そこへ。

 

ヒャッハーは迷いなく突っ込んだ。

 

 

 

手に握られた武器が唸る。

 

黒ずんだ重金属。

節の刻まれた鉄塊。

 

硬鞭。

 

 

 

ゴキィッ!!

 

乾いた破砕音。

 

人体構造を無視した角度で折れ曲がる脚部。

 

 

 

「ヒャッハー!!」

 

純粋な歓喜。

 

暴力そのものを楽しむ声。

 

 

 

叩きつける。

 

薙ぎ払う。

 

叩き潰す。

 

 

 

骨も。

 

装甲も。

 

肉も。

 

区別なく粉砕される。

 

 

 

銃声が響く。

 

だが遅い。

 

すべてが遅い。

 

接近戦に持ち込まれた時点で、

勝敗はすでに決していた。

 

 

 

最後の略奪者が地面を這う。

 

熱水で焼かれ、

四肢を砕かれ、

抵抗の意思すら失った敗残兵。

 

ヒャッハーはそれを見下ろす。

 

わずかに首を傾げる。

 

 

 

「……ヒャッハー」

 

 

 

そして。

 

ゴッ!!

 

容赦なき終撃。

 

 

 

荒野に静寂が戻る。

 

残されたのは、

 

湯気と、

破壊されたバギーと、

転がる物資だけ。

 

 

 

バイクのエンジンが唸る。

 

再加速。

 

何事もなかったかのように。

 

 

 

「ヒャッハー!!」

 

その叫びだけが、

 

再び荒野へ解き放たれた。

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