世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!
前回、意味もなく荒野を爆走しながら堂々と登場したヒャッハー!
世紀末世界において遭遇とは戦闘を意味する!
それは挨拶でも会話でもない。
視線が交わった時点で生存競争が始まるのだ!
そして今日もまた――
運の尽きた連中が犠牲になるのだったァ!!
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荒野では、遭遇とは戦闘を意味する。
それはこの世界における絶対法則。
例外は存在しない。
ためらいは死を意味する。
砂煙の向こうに影が揺れた。
三台のバギー。
荒野では珍しくもない光景だった。
略奪者。
武装車両。
獲物を探す視線。
この世界では誰もが同じことを考える。
奪えるか。
殺せるか。
生き残れるか。
倫理など存在しない。
ためらいはただの敗因。
ゆえに彼らの判断は極めて合理的だった。
単騎のバイク。
孤立した標的。
包囲すれば終わり。
――のはずだった。
彼らはまだ知らない。
世紀末世界には、
理屈そのものを踏み潰す存在がいることを。
災害。
例外。
分類不能。
ヒャッハーという名のバグを。
歪な装甲板。
粗雑な溶接跡。
安定性を無視した銃座。
そして響く下品な笑い声。
略奪者。
この世界でもっともありふれ、
もっとも救いのない存在。
「獲物だァ!!」
「単騎だぞ!!」
「燃料を奪え!!」
実に世紀末らしい判断。
実に希望のない選択。
だが彼らは知らなかった。
相手を。
運命を。
そして何より――
ヒャッハーという現象を。
「ヒャッハー!!」
爆音。
咆哮。
砂煙を切り裂き飛び出す黒塗りのバイク。
減速なし。
躊躇なし。
恐怖なし。
一直線。
常識的に考えれば自殺的突撃。
だが操縦者は常識の外側にいた。
「なッ――」
略奪者の理解が追いつくより早く。
噴射ノズルが跳ね上がる。
圧力弁、解放。
ドバァッ!!
白煙。
熱気。
絶叫。
「熱ッ!?」
「ぎゃあああああ!!」
放たれたのは炎ではない。
超高温の熱水。
皮膚を焼き、
呼吸を乱し、
視界を奪い、
戦意を粉砕する暴力。
極めて単純。
極めて非人道的。
そして極めて有効。
隊列崩壊。
操縦不能。
混乱。
そこへ。
ヒャッハーは迷いなく突っ込んだ。
手に握られた武器が唸る。
黒ずんだ重金属。
節の刻まれた鉄塊。
硬鞭。
ゴキィッ!!
乾いた破砕音。
人体構造を無視した角度で折れ曲がる脚部。
「ヒャッハー!!」
純粋な歓喜。
暴力そのものを楽しむ声。
叩きつける。
薙ぎ払う。
叩き潰す。
骨も。
装甲も。
肉も。
区別なく粉砕される。
銃声が響く。
だが遅い。
すべてが遅い。
接近戦に持ち込まれた時点で、
勝敗はすでに決していた。
最後の略奪者が地面を這う。
熱水で焼かれ、
四肢を砕かれ、
抵抗の意思すら失った敗残兵。
ヒャッハーはそれを見下ろす。
わずかに首を傾げる。
「……ヒャッハー」
そして。
ゴッ!!
容赦なき終撃。
荒野に静寂が戻る。
残されたのは、
湯気と、
破壊されたバギーと、
転がる物資だけ。
バイクのエンジンが唸る。
再加速。
何事もなかったかのように。
「ヒャッハー!!」
その叫びだけが、
再び荒野へ解き放たれた。