世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第18話 「軍閥総崩れ」

ヒャッハー!!

 

荒野最強火力・戦車軍団壊滅!!

 

絶対優位のはずの軍閥側に走る異変――

 

理解してしまった恐怖!!

 

組織という幻想が音を立てて崩れ始めるゥ!!

 

そして戦場は、

 

戦争から災害へと変質するゥ!!

 

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「……撤退だ」

 

軍閥指揮官の声は、異様なほど静かだった。

 

怒号ではない。

 

激情でもない。

 

事実確認。

 

感情を排した、純粋な判断。

 

戦車群壊滅。

 

重装甲喪失。

 

火力優位消滅。

 

戦況、致命的破綻。

 

合理的結論。

 

極めて妥当な決断。

 

だが。

 

部隊は動かなかった。

 

「……おい」

 

副官が呟く。

 

「命令が聞こえなかったのか?」

 

違う。

 

理解していた。

 

理解していたからこそ、

 

動けなかった。

 

視線の先。

 

爆煙の向こう側。

 

ゆらり。

 

揺らめく影。

 

「ヒャッハー……♪」

 

鼻歌。

 

ただの鼻歌。

 

だが。

 

それだけで、

 

戦場の空気が凍り付く。

 

誰もが思い出していた。

 

先ほどまでの光景。

 

砲撃を突き破り、

 

爆炎を踏み越え、

 

戦車を叩き潰したモヒカン。

 

あれは敵ではない。

 

脅威でもない。

 

理不尽。

 

災害。

 

常識の外側。

 

「……撃てェェ!!」

 

半ば悲鳴の号令。

 

銃撃。

 

掃射。

 

爆発。

 

火力の洪水。

 

だが。

 

止まらない。

 

ヒャッハーは、

 

被弾しながら前進していた。

 

避けない。

 

隠れない。

 

恐れない。

 

ただ歩く。

 

ただ笑う。

 

「ヒャッハッハァ!!」

 

楽しそうに。

 

実に楽しそうに。

 

この事実が、

 

何より恐ろしかった。

 

勝つためではない。

 

殺すためですらない。

 

楽しんでいる。

 

戦争を。

 

破壊を。

 

恐怖を。

 

「ば……化け物……」

 

誰かの呟き。

 

その瞬間だった。

 

軍閥の統制が音を立てて崩壊した。

 

「逃げろォォ!!」

 

一人が叫ぶ。

 

それを見た別の兵が後退する。

 

さらに別の兵が走り出す。

 

連鎖。

 

恐怖の連鎖。

 

理性は伝染しないが、

 

恐怖は爆発的に伝染する。

 

「隊形を維持しろ!!」

 

指揮官の絶叫。

 

「持ち場を離れるな!!」

 

だが。

 

誰も聞いていなかった。

 

視界に映るのは、

 

迫り来るヒャッハーのみ。

 

戦術も規律も意味を失う。

 

なぜなら。

 

相手が理屈で倒せる存在ではないと、

 

全員が理解してしまったからだ。

 

ヒャッハー、加速。

 

次の瞬間。

 

ゴシャァッ!!

 

硬鞭一閃。

 

装甲車粉砕。

 

鉄板が紙のように歪む。

 

機械が悲鳴を上げる。

 

火炎放射。

 

ゴォォォォ!!

 

兵士焼却。

 

悲鳴が空気を裂く。

 

掃射。

 

破壊。

 

粉砕。

 

蹂躙。

 

戦場という概念が崩壊していく。

 

「撃て!撃ち続けろ!!」

 

なおも抵抗する部隊。

 

だが。

 

止められない。

 

被弾。

 

爆炎。

 

衝撃。

 

すべてを受けながら前進するモヒカン。

 

物理法則すら疑いたくなる光景。

 

「なぜだ……!」

 

兵士の絶叫。

 

理由は単純。

 

ヒャッハーだからである。

 

軍閥。

 

荒野最大級の武力集団。

 

暴力の象徴。

 

秩序の代行者。

 

支配の装置。

 

それが。

 

たった一人の存在によって、

 

瓦解していく。

 

これほどの屈辱があるだろうか。

 

これほどの理不尽があるだろうか。

 

「……無理だ」

 

誰かが膝をつく。

 

「勝てる相手じゃねぇ……」

 

その言葉は、

 

戦場全体の真実だった。

 

ヒャッハーは笑う。

 

「ヒャッハッハァ!!」

 

歓喜。

 

狂喜。

 

愉悦。

 

戦場の中心で、

 

まるで祭りでも眺めるかのように。

 

「いいねぇ……!!」

 

破壊の只中で、

 

心底楽しそうに。

 

数十分後。

 

軍閥総力戦部隊。

 

壊滅。

 

荒野に沈黙が訪れる。

 

焼け焦げた大地。

 

転がる残骸。

 

歪んだ装甲。

 

溶けた鉄。

 

崩壊した常識。

 

そして。

 

ダム上部。

 

「ヒャッハー……♪」

 

怪物は、

 

満足げに笑っていた。

 

まるで。

 

すべてが予定調和だったかのように。

 

まるで。

 

この結末以外あり得なかったかのように。

 

「さて……」

 

ヒャッハーが呟く。

 

誰もいない戦場を見下ろしながら。

 

「次は誰が楽しませてくれるんだァ?」

 

荒野に風が吹く。

 

誰も答えない。

 

答えられる者が、

 

もう存在しないのだから。

 

だが。

 

この沈黙は終わりではない。

 

むしろ始まり。

 

軍閥という巨大勢力の敗北。

 

それは荒野全域へ拡散する。

 

恐怖。

 

噂。

 

狂気。

 

そして。

 

新たな火種。

 

ヒャッハーという存在が、

 

伝説ではなく、

 

現実の災害であることを示した日。

 

荒野の歴史に刻まれる、

 

決定的瞬間であった。

 

「ヒャッハー……♪」

 

鼻歌だけが、

 

いつまでも荒野に響いていた。

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