世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
第20話 「宣戦布告イベント」
ヒャッハー!!
軍閥との意味不明停戦成立!!
荒野に訪れる束の間の静寂!!
……だが忘れるな!!
相手はあのヒャッハー!!
平和?理性?自制心?
そんなもん存在するわけねぇ!!
そして今回――
世紀末史上最悪のイベントが発動するゥゥゥ!!
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ハンターギルド。
荒野における数少ない中立地帯。
情報。
依頼。
賞金。
そして欲望が渦巻く場所。
昼下がり。
いつも通りの喧騒。
酒。
怒号。
取引。
その空気を――
ブチ壊す爆音が響いた。
バラララララララララ……!!
「……は?」
入口付近のハンターが振り向く。
次の瞬間。
ドォォォン!!
扉が開く。
いや、ほぼ爆音で侵入。
黒塗りのバイク。
溶接跡だらけの装甲。
異様な威圧感。
そして――
「ヒャッハー!!」
絶叫。
完全に場違いな歓喜。
場の空気が一瞬で凍り付いた。
「おい……」
「まさか……」
「本物……か……?」
ざわめき。
恐怖。
伝説。
災害指定存在。
帰らずのダムの怪物。
生存者ゼロの男。
ヒャッハー。
受付カウンター。
受付嬢の顔が引き攣る。
職業的笑顔が完全に崩壊していた。
「……ほ、本日は……どのようなご用件で……」
声が震える。
当然だった。
苦情対応の相手ではない。
災害の受付である。
だが。
ヒャッハーは笑顔だった。
異様なほど爽やか。
異様なほど機嫌がいい。
「ちょっとなァ」
軽い調子で言う。
「車両が溜まっててよォ」
ギルド内がざわつく。
嫌な予感しかしない。
「まとめて買い取ってくれ」
沈黙。
意味が理解できない。
受付嬢が恐る恐る尋ねる。
「……ど、どちらからの車両でしょうか……」
ヒャッハーは即答した。
「帰らなかった連中のだ」
空気が死んだ。
一瞬で。
誰もが視線を逸らす。
誰もが理解してしまう。
帰らなかった。
つまり。
全滅。
「ヒャッハッハァ!!」
当の本人だけが楽しそうだった。
だが本題はここからだった。
「ついでだ」
懐へ手を突っ込む。
ギルド側が一斉に身構える。
武器か。
爆薬か。
狂気の何かか。
だが。
取り出されたのは。
大量の通貨チップ。
ジャラジャラジャラ!!
無造作に机へ叩きつける。
「……は?」
受付嬢が固まる。
ヒャッハーは満面の笑み。
「ここに俺の全財産がある」
騒然。
ギルド中がどよめく。
桁が違う。
異常な量。
だがさらに続く。
「あとダムの支配権もだ」
完全フリーズ。
誰も理解できない。
意味不明。
理屈崩壊。
ヒャッハーは笑っていた。
実に楽しそうに。
実に狂っている。
「賞金に足しとけ」
静寂。
耳鳴りのような沈黙。
受付嬢の思考が停止する。
「……え……?」
ヒャッハーは続けた。
異様に楽しそうに。
「一ヶ月後だ」
ざわめき。
緊張。
異様な空気。
「俺の首が欲しい奴」
「ダムが欲しい奴」
「復讐したい奴」
ニヤリと笑う。
完全に楽しんでいる顔。
「全部まとめて来い」
誰も言葉を発せない。
理解不能。
異常宣言。
「最終決戦だ」
場の全員が理解する。
こいつは。
本気だ。
止められない。
思考が違う。
次元が違う。
受付嬢が震えながら問う。
「……な、なぜそんな……」
ヒャッハーは笑った。
心底楽しそうに。
「ヒャッハッハァ!!」
そして。
この男の本質を語る一言。
「その方が面白ぇだろ?」
理屈ではない。
戦略でもない。
利益でもない。
娯楽。
純粋な娯楽。
戦争すら遊び。
殺し合いすらイベント。
この瞬間。
荒野最大の厄災は。
正式に。
自らの首へ賞金を積み上げた。
宣戦布告。
いや違う。
祭りの告知である。
ヒャッハーはバイクへ跨る。
爆音再来。
「じゃぁなァ!!」
最後に振り返り、
満面の笑みで叫ぶ。
「ヒャッハー!!」
ドォォォン!!
走り去る怪物。
残されたギルド。
完全沈黙。
誰かが呟いた。
かすれた声で。
「……なんなんだ……あいつは……」
誰も答えない。
だが。
荒野全域へ。
最悪の噂が解き放たれた。
ヒャッハー最終決戦。
全財産投入。
ダム争奪戦。
世紀末最大級の殺し合い。
開幕確定。