世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!!
レーザーバズーカ二連射!!
戦車蒸発!!
部隊消失!!
大地抉り飛ばし!!
だが世紀末世界に後退の文字はねぇ!!
恐怖?絶望?関係ねぇ!!
なぜなら――止まった者から死ぬからだァ!!
全軍!!理性焼却突撃開始ィィィ!!
--------------------
「突撃ィィィィィ!!」
絶叫が荒野を引き裂いた。
誰の声だったのか。
もはや判別不能。
軍閥の指揮官か。
賊徒の頭目か。
錯乱した誰かか。
だが。
その一声だけで十分だった。
戦場の均衡。
理性。
恐怖。
すべてが吹き飛んだからだ。
戦車が前へ出る。
履帯が大地を噛み砕く。
装甲車が加速する。
エンジンが悲鳴を上げる。
武装バイクが雪崩れ込む。
爆音。
振動。
煙。
炎。
地獄が一気に沸騰する。
レーザーで抉られた地面など障害にならない。
消滅した部隊の痕跡など意味を持たない。
死はこの世界の日常。
問題はただ一つ。
今、生きているかどうか。
「進めェ!!」
「距離を詰めろォ!!」
「撃ち続けろォ!!」
砲撃。
銃撃。
ロケット。
ミサイル。
あらゆる火力が空間を埋め尽くす。
弾幕が荒野を塗り潰す。
だが。
ダム上部。
ただ一人。
ヒャッハーは笑っていた。
「ヒャッハー!!」
心底楽しそうに。
狂気そのものの笑顔で。
「いいぞォ!!」
まるで祝祭を見るかのような眼差し。
「それでいい!!」
次の瞬間。
ドバァァァァァッ!!
熱水。
超高温。
超圧力。
超理不尽。
白煙が噴き荒れる。
前進部隊が悲鳴を上げる。
「ぎゃあああああ!!」
「熱ィィィィ!!」
皮膚が焼ける。
視界が奪われる。
戦意が崩壊する。
だが。
止まらない。
止まれない。
後続が押し寄せる。
押し流す。
踏み越える。
世紀末の真理。
仲間の悲鳴より前進優先。
「どけェェ!!」
賊徒車両が横入りする。
衝突。
転倒。
爆発。
「邪魔だァ!!」
軍閥兵が掃射する。
敵か味方か。
そんな区別は曖昧だった。
「まとめて吹き飛べェ!!」
戦車砲が咆哮する。
轟音。
爆炎。
衝撃。
混沌が加速する。
統制は崩壊し、
秩序は溶解し、
戦場は純粋な暴力空間へ変質する。
ヒャッハーは爆炎の中で笑っていた。
「ヒャッハッハァ!!」
銃撃を浴びながら。
熱水を撒き散らしながら。
火炎を背負いながら。
まるで舞台の主役。
いや違う。
舞台そのものだった。
「最高じゃねぇか……!!」
狂喜。
純粋な狂喜。
戦場を見下ろしながら叫ぶ。
「もっとだァ!!」
「もっと暴れろォ!!」
「もっと足掻けェ!!」
理性ではない。
戦術でもない。
ただの生存衝動。
世紀末の住民たちは理解していた。
恐怖に飲まれた者から死ぬ。
立ち止まった者から撃たれる。
怯えた者から潰される。
ならば。
進むしかない。
撃つしかない。
暴れるしかない。
それがこの世界の生存論理。
戦場は完全な混沌へ沈む。
車両同士が衝突し、
砲撃が交錯し、
銃撃が乱舞する。
ヒャッハーは笑い続ける。
絶対的中心で。
「ヒャッハー!!」
戦場。
暴力。
混乱。
絶望。
そのすべてを歓喜へ変換する怪物。
誰も止まらない。
誰も退かない。
誰も正気ではない。
なぜなら。
ここは世紀末。
理性の価値が最も低い世界なのだから。
そして。
その地獄の頂点で。
ヒャッハーは満面の笑みを浮かべていた。
「ショーはまだ始まったばかりだぜェ……!!」