世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
第25話 「ギルドの切り札」
ヒャッハー!!
総力突撃!!
戦場完全崩壊!!
だが荒野にはまだ“管理者”が存在する!!
ハンターギルド!!
均衡維持機構!!
秘匿戦力!!
そして今――
空より舞い降りる真の理不尽!!
対怪物決戦兵器、投入であるゥ!!
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轟音。
それは戦場の音ではなかった。
砲撃でもない。
爆発でもない。
エンジンでもない。
空だった。
誰かが反射的に顔を上げる。
「……は?」
白く濁った世紀末の空。
そこに。
異物。
鋭角的な影。
高速で接近する鋼鉄の鳥。
「航空機……!?」
驚愕が連鎖する。
荒野において航空戦力は極めて希少。
燃料。
整備。
部品。
すべてが贅沢品。
ゆえに。
それは象徴だった。
ギルドの本気。
「ついに出しやがったか……」
軍閥兵の顔が強張る。
賊徒たちの歓声が止まる。
ハンターたちの視線が鋭くなる。
上空。
旋回。
機体は異様な安定を保っていた。
無駄のない挙動。
訓練された動き。
ただの飛行機ではない。
ギルド所属戦術機。
対災害級目標専用機。
「照準固定……!」
誰かが叫ぶ。
機体下部。
開く装甲。
露出する異様な装置。
「まさか……EMP!?」
次の瞬間。
バチィィィィィン!!!
閃光。
電磁衝撃。
空間を歪ませる不可視の一撃。
衝撃波が荒野を薙ぎ払う。
ダム設備。
制御盤。
兵器群。
車両。
武装。
すべてが沈黙した。
エンジン停止。
照準喪失。
駆動停止。
戦場から音が消える。
あまりにも異様な静寂。
「……決まった」
誰かの呟き。
それは確信だった。
どれほどの怪物であろうと、
機械依存兵器はEMPに抗えない。
ダム停止。
武装無効。
補給遮断。
勝利条件成立。
……のはずだった。
沈黙の中心。
ただ一人。
「……ヒャ?」
間抜けな声。
ヒャッハーだった。
首を傾げる。
止まった兵器を見る。
沈黙した設備を見る。
そして。
ニヤリと笑う。
「なるほどなァ……」
妙に楽しげな声音。
「そう来たか」
戦場の誰もが凍り付く。
嫌な予感。
最悪の確信。
ヒャッハーは腰の装置へ手を伸ばす。
カチリ。
スイッチ。
次の瞬間。
ゴウンッ!!
駆動音。
「なッ!?」
再稼働。
ダム設備復活。
圧力計起動。
兵器再起動。
エンジン再始動。
EMP無効。
戦場絶句。
ヒャッハーは笑っていた。
「ヒャッハッハァ!!」
狂喜。
「対策済みだぜェ!!」
あり得ない。
常識外。
EMP対策装備。
完全独立回路。
旧世界技術の塊。
上空の戦術機が即座に回避行動へ移る。
だが。
遅い。
ヒャッハーはすでに構えていた。
レーザーバズーカ。
対空照準。
異様な速さ。
「ヒャッハー!!」
閃光。
光。
消失。
次の瞬間。
空が爆発した。
戦術機。
粉砕。
炎上。
四散。
残骸が荒野へ降り注ぐ。
「バカな……」
誰かが呟く。
ギルドの切り札。
対怪物最終兵器。
それが。
一撃で消えた。
ヒャッハーは満面の笑みだった。
「いいねぇ……!!」
心底嬉しそうに。
「最高じゃねぇか!!」
戦場を見渡す。
絶望。
沈黙。
硬直。
そのすべてを肴に笑う。
「まだだろォ?」
狂気の問いかけ。
「まだ終わらねぇだろォ!?」
そして。
ゆっくりと宣言する。
「さぁ第二ラウンドだァ……!!」
戦場の理性が再び崩壊する。
理解してしまったからだ。
ギルドの最終手段。
それすら。
通じない。
ヒャッハーという存在の異常性。
災害指定の意味。
規格外の証明。
そして再び。
銃声が鳴り響いた。
誰かの恐怖が引き金を引いた。
連鎖。
爆発。
絶叫。
戦場は再び地獄へと沈む。
ヒャッハーは笑い続けていた。
世界の中心で。
「ヒャッハッハァ!!」
歓喜。
暴力。
理不尽。
怪物は止まらない。