世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!
前回、熱水という外道兵器で略奪者どもを消毒したヒャッハー!
荒野では死体より物資が重要!
感傷?倫理?そんなものに価値はない!
そして今日もまた――
ヒャッハーは世紀末らしく略奪に勤しむのだったァ!!
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略奪の後。
荒野にはいつも同じ光景が残る。
転がる残骸。
歪んだ装甲。
熱を失いかけた鉄屑。
そして。
物資を漁るヒャッハー。
「ヒャッハー……♪」
鼻歌交じり。
実に上機嫌だった。
弾薬。
保存食。
燃料。
工具。
使えるものはすべて回収する。
それが荒野の理。
それが世紀末の常識。
奪われた側の事情など関係ない。
生き残った者だけが正義なのだから。
だが。
ヒャッハーの手が止まった。
地面に転がる一振りの刀。
先ほどの略奪者の持ち物だったのだろう。
刃は欠け、
歪み、
無残な姿を晒している。
ヒャッハーはそれを拾い上げた。
しげしげと眺める。
沈黙。
そして。
「……チッ」
露骨な不満の舌打ち。
「だから信用ならねぇんだよなァ」
誰に向けた言葉でもない。
独り言。
だが妙に理性的な声音。
「斬る武器なんざよォ」
刀を軽く振る。
かつては命を奪ったであろう刃。
だが今やただの不安定な鉄片。
次の瞬間。
ガンッ!!
硬鞭が振り下ろされる。
刀身があっけなくへし折れた。
「ほら見ろ」
当然の結論のように言い放つ。
「折れる」
それだけだった。
ヒャッハーの手にある武器。
黒ずんだ金属棒。
節の刻まれた重金属兵器。
硬鞭。
彼は軽く振り回す。
鈍く、重い風切り音。
「武器ってのはなァ」
さらに一振り。
ゴッ!!
折れた刀の残骸が粉砕される。
完全に原形を失う。
「壊れねぇことが第一だろ?」
笑う。
実に楽しそうに。
「斬る?」
「裂く?」
「貫く?」
鼻で笑う。
「甘ぇんだよ」
この世界は柔らかくない。
この世界では、
武器の評価基準が根本的に異なる。
切れ味ではない。
精度でもない。
美しさなど論外。
重要なのはただ一つ。
どれだけ雑に扱っても壊れないこと。
荒野ではすべてが敵になる。
気候。
砂塵。
衝撃。
経年劣化。
整備環境など期待できない。
部品供給など夢物語。
ゆえに繊細な武器は死ぬ。
高性能な機構?
精密な可動部?
笑わせるな。
そんなものは世紀末では贅沢品だ。
「頑丈さこそ正義」
それが荒野の現実。
ヒャッハーは硬鞭を軽く振る。
鈍い風切り音。
その表情には確信しかない。
「結局なァ……」
低く呟く。
「最後に信用できるのは質量なんだよ」
骨は硬い。
装甲は硬い。
コンクリはさらに硬い。
綺麗な理屈で通用するほど優しくない。
「必要なのはなァ……」
硬鞭を肩に担ぐ。
異様なほど自然な姿。
「砕く力だ」
実に単純。
実に極端。
だが荒野においては異様な説得力を持つ暴論。
遠く。
砂煙が揺れた。
新たな気配。
ヒャッハーの視線が即座に変わる。
躊躇なし。
思考停止なし。
ただ反射的な行動。
「ヒャッハー!!」
バイクへ跨る。
エンジン咆哮。
爆音。
加速。
その背に揺れる硬鞭だけが、
異様な存在感を放っていた。
まるで。
次の破壊を予告するかのように。