世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第3話:砕くための武器

ヒャッハー!

 

前回、熱水という外道兵器で略奪者どもを消毒したヒャッハー!

 

荒野では死体より物資が重要!

感傷?倫理?そんなものに価値はない!

 

そして今日もまた――

ヒャッハーは世紀末らしく略奪に勤しむのだったァ!!

 

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略奪の後。

 

荒野にはいつも同じ光景が残る。

 

転がる残骸。

歪んだ装甲。

熱を失いかけた鉄屑。

 

そして。

 

物資を漁るヒャッハー。

 

「ヒャッハー……♪」

 

鼻歌交じり。

 

実に上機嫌だった。

 

弾薬。

保存食。

燃料。

工具。

 

使えるものはすべて回収する。

 

それが荒野の理。

それが世紀末の常識。

 

奪われた側の事情など関係ない。

 

生き残った者だけが正義なのだから。

 

 

 

だが。

 

ヒャッハーの手が止まった。

 

地面に転がる一振りの刀。

 

先ほどの略奪者の持ち物だったのだろう。

 

刃は欠け、

歪み、

無残な姿を晒している。

 

ヒャッハーはそれを拾い上げた。

 

しげしげと眺める。

 

沈黙。

 

そして。

 

「……チッ」

 

露骨な不満の舌打ち。

 

 

 

「だから信用ならねぇんだよなァ」

 

誰に向けた言葉でもない。

 

独り言。

 

だが妙に理性的な声音。

 

 

 

「斬る武器なんざよォ」

 

刀を軽く振る。

 

かつては命を奪ったであろう刃。

 

だが今やただの不安定な鉄片。

 

 

 

次の瞬間。

 

ガンッ!!

 

硬鞭が振り下ろされる。

 

刀身があっけなくへし折れた。

 

 

 

「ほら見ろ」

 

当然の結論のように言い放つ。

 

 

 

「折れる」

 

それだけだった。

 

 

 

ヒャッハーの手にある武器。

 

黒ずんだ金属棒。

節の刻まれた重金属兵器。

 

硬鞭。

 

彼は軽く振り回す。

 

鈍く、重い風切り音。

 

 

 

「武器ってのはなァ」

 

さらに一振り。

 

ゴッ!!

 

折れた刀の残骸が粉砕される。

 

完全に原形を失う。

 

 

 

「壊れねぇことが第一だろ?」

 

笑う。

 

実に楽しそうに。

 

 

 

「斬る?」

「裂く?」

「貫く?」

 

鼻で笑う。

 

 

 

「甘ぇんだよ」

 

 

 

この世界は柔らかくない。

この世界では、

 

武器の評価基準が根本的に異なる。

 

切れ味ではない。

精度でもない。

美しさなど論外。

 

重要なのはただ一つ。

 

どれだけ雑に扱っても壊れないこと。

 

荒野ではすべてが敵になる。

 

気候。

砂塵。

衝撃。

経年劣化。

 

整備環境など期待できない。

部品供給など夢物語。

 

ゆえに繊細な武器は死ぬ。

 

高性能な機構?

精密な可動部?

笑わせるな。

 

そんなものは世紀末では贅沢品だ。

 

「頑丈さこそ正義」

 

それが荒野の現実。

 

ヒャッハーは硬鞭を軽く振る。

 

鈍い風切り音。

 

その表情には確信しかない。

 

「結局なァ……」

 

低く呟く。

 

「最後に信用できるのは質量なんだよ」

 

骨は硬い。

装甲は硬い。

コンクリはさらに硬い。

 

綺麗な理屈で通用するほど優しくない。

 

 

 

「必要なのはなァ……」

 

硬鞭を肩に担ぐ。

 

異様なほど自然な姿。

 

 

 

「砕く力だ」

 

 

 

実に単純。

 

実に極端。

 

だが荒野においては異様な説得力を持つ暴論。

 

 

 

遠く。

 

砂煙が揺れた。

 

新たな気配。

 

 

 

ヒャッハーの視線が即座に変わる。

 

躊躇なし。

思考停止なし。

 

ただ反射的な行動。

 

 

 

「ヒャッハー!!」

 

 

 

バイクへ跨る。

 

エンジン咆哮。

 

爆音。

 

加速。

 

 

 

その背に揺れる硬鞭だけが、

 

異様な存在感を放っていた。

 

まるで。

 

次の破壊を予告するかのように。

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