世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!
旧世界の残骸――自律戦車群出撃!!
帰らなかった者たちの愛車が牙を剥く!!
だが世紀末の住民は止まらない!!
恐怖?絶望?そんなもん知ったことかァ!!
火力 vs 火力!!
暴力 vs 暴力!!
荒野の全軍勢、怒涛の反撃開始であるゥ!!
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砲撃が荒野を裂いていた。
爆炎。
衝撃。
振動。
視界のあらゆる方向で土煙が立ち上がり、
焦げた砂と鉄の臭いが戦場を満たしている。
自律戦車群。
鋼鉄の群れ。
旧世界の残骸。
だがそこに宿るのは、紛れもなき現役の暴力。
ドォン!!
砲身が火を噴く。
装甲車が吹き飛ぶ。
車体が宙を舞い、次の瞬間には原形を失っていた。
「撃てェェェ!!」
怒号が重なる。
軍閥兵。
ハンター。
賊徒。
普段ならば絶対に交わらぬ勢力が、
同じ方向へ砲口を向けていた。
戦車。
それは荒野における絶対強者の象徴。
通常ならば出会った瞬間に敗北が確定する存在。
だが今。
その常識が崩れ始めていた。
「止めろォ!!」
ロケット弾が走る。
着弾。
爆発。
だが戦車は止まらない。
装甲が爆炎を弾き、履帯が前進を続ける。
鈍重。
だが圧倒的。
質量そのものが迫ってくる恐怖。
「クソがァ!!」
賊徒車両が加速する。
通常なら自殺行為。
戦車への突撃など正気の沙汰ではない。
だが彼らは躊躇しなかった。
世紀末世界において最も信用できる理屈。
止まった者から死ぬ。
それだけだった。
「どけェェ!!」
装甲板をガチャガチャ鳴らしながら突っ込む即席改造車。
砲塔旋回。
ギュイ……
照準。
ドォン!!
直撃。
車両爆散。
だが。
その爆炎の陰から別の影が飛び出した。
「今だァ!!」
別の賊徒。
別の車両。
別の狂気。
戦車の死角へ潜り込む。
「喰らえェ!!」
爆薬投擲。
装甲へ吸い込まれる黒い塊。
次の瞬間。
ドォォン!!
衝撃。
装甲が歪む。
履帯が跳ねる。
「効いたぞ!?」
戦場がざわめく。
「やれる……!」
空気が変質する。
恐怖対象。
絶対強者。
不可侵領域。
それらの認識が崩れ去っていく。
「自律制御だ!!」
ベテランハンターが叫ぶ。
「人間じゃねぇ!!」
その一言が戦場の思考を切り替えた。
敵ではない。
狩猟対象。
機械。
癖がある。
死角がある。
対応できる。
理屈が通じる。
それだけで十分だった。
「囲めェ!!」
集中砲火。
爆炎の嵐。
履帯へ。
観測機器へ。
関節部へ。
戦場の知恵が一斉に機能し始める。
ドォン!!
一台停止。
「止まったァ!!」
歓声。
だがその直後。
「ヒャッハー!!」
爆音混じりの狂笑。
ダム上部。
観客席の怪物。
ヒャッハーが腹を抱えて笑っていた。
「いいねぇ……!!」
まるで舞台を眺める狂人。
「そうだァ!!」
「それでいい!!」
戦場全体へ響く声。
「壊せェ!!」
「奪えェ!!」
「喰らい尽くせェ!!」
完全に楽しんでいた。
自ら放った悪夢が攻略されつつある状況を。
戦場ではさらなる異変が起きていた。
停止した戦車へ群がる影。
賊徒たちだった。
「ヒャッハァ!!」
狂喜の絶叫。
「武装の塊じゃねぇか!!」
叩き壊す。
装甲を剥ぐ。
砲塔を引き剥がす。
弾薬を漁る。
破壊ではない。
略奪。
世紀末の本能。
「使えるぞコイツ!!」
強奪された機銃。
引きずり出された弾薬。
無理やり自前車両へ接続。
理屈なし。
規格無視。
倫理観崩壊。
だが機能していた。
「強化完了だァ!!」
戦場がさらに歪む。
軍閥兵も理解する。
「真似ろ!!」
「奪え!!」
敵兵器。
鹵獲。
再利用。
通常なら高度な技術を要する行為。
だがここは世紀末世界。
細けぇ理屈は不要だった。
ハンターたちも加わる。
「なるほどな……」
冷静な分析。
「中身はただの兵器だ」
撃破。
解体。
強奪。
戦車が次々と資源へ変質していく。
恐怖の象徴が、狩りの獲物へと堕ちていた。
ヒャッハーはそれを見て歓喜していた。
「ヒャッハッハァ!!」
「最高じゃねぇか!!」
戦場はもはや地獄ではなかった。
祭り。
暴力の宴。
理性なき進化の坩堝。
そして。
その混沌の中で。
一つの異質な存在が、静かに前進していた。
少年。
血塗れ。
満身創痍。
だが視線は揺るがない。
見ているのはただ一点。
ダム上部。
ヒャッハー。
怪物。
因果の対象。
彼の歩みには迷いがなかった。
周囲の戦車も爆発も、
すでに意識の外へ排除されている。
「……そこだ……」
呟き。
重刃刀を握り直す。
戦場の誰もがまだ気付いていなかった。
この戦争の本当の主役。
この世界最大級の異常同士の衝突が。
すでに始まりつつあることを。