世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第32話 「ヒャッハー狂喜」

ヒャッハー!

戦場を貫通した少年、ついに怪物領域へ到達!!

 

爆炎も弾幕も意味を失う異常空間!!

相対する二つの災害級存在!!

 

そして今――

 

あの男のテンションが、

ついに限界を突破するゥ!!

 

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戦場の音が遠のいていた。

 

爆発。

 

銃撃。

 

砲撃。

 

怒号。

 

すべてが存在しているはずなのに、

まるで別世界の出来事のように霞んでいた。

 

ヒャッハーダム最上部。

 

そこだけが異様な静寂に包まれていた。

 

少年。

 

ヒャッハー。

 

対峙。

 

ただそれだけで、

空間の性質そのものが変質していた。

 

「……ヒャッハー……」

 

ヒャッハーは笑っていた。

 

だが違う。

 

今までのそれとは明らかに異なる笑み。

 

震えていた。

 

全身が。

 

歓喜で。

 

「ヒャッハァァァ!!」

 

爆発する狂喜。

 

空気が震える。

 

声というより衝撃。

 

「いいぞォォォ!!」

 

両腕を広げる。

 

まるで長年探し求めた宝物を前にした子供。

 

瞳が異様に輝いていた。

 

「やっとだ……!」

 

その声には偽りがなかった。

 

純粋な感情。

 

歪みなき喜び。

 

「やっと現れやがったなァ!!」

 

硬鞭を握り締める。

 

金属が軋む。

 

異様な握力。

 

「この俺をォ!!」

 

息を吸い込む。

 

肺が軋むほどに。

 

「楽しませる奴がァ!!」

 

絶叫。

 

歓喜。

 

恍惚。

 

狂気。

 

戦場を見上げていた兵士たちが息を呑む。

 

「……なんだ……?」

 

誰かが呟く。

 

理解不能。

 

だが本能が告げていた。

 

ここから先は別次元。

 

通常の戦闘ではない。

 

災害同士の衝突。

 

少年は静かに刃を構える。

 

呼吸は荒い。

 

身体は限界。

 

血が流れ続けている。

 

それでも。

 

視線は一切揺るがない。

 

ヒャッハーのみを捉えていた。

 

「……倒す」

 

低く。

 

短く。

 

それだけだった。

 

ヒャッハーは笑う。

 

「ヒャッハー……♪」

 

実に嬉しそうに。

 

「いい目だ」

 

本気の称賛。

 

「最高じゃねぇか……!」

 

次の瞬間。

 

ドォンッ!!

 

ヒャッハー、跳躍。

 

常識を拒絶する軌道。

 

爆音。

 

衝撃。

 

空気が爆ぜる。

 

一直線に少年の眼前へ着地。

 

大地が砕け散る。

 

「なッ……!?」

 

周囲が絶句する中。

 

すでに両者は動いていた。

 

少年、踏み込み。

 

重刃刀が唸る。

 

斬撃。

 

質量を伴う暴力。

 

ヒャッハー、硬鞭一閃。

 

ゴシャァッ!!

 

衝突。

 

火花。

 

衝撃波。

 

通常の人間なら即死する威力。

 

だが。

 

双方、一歩も退かない。

 

「ヒャッハー!!」

 

歓喜の絶叫。

 

ヒャッハーの攻撃が連鎖する。

 

振り下ろす。

 

薙ぎ払う。

 

叩き込む。

 

地面が爆発する。

 

構造物が歪む。

 

空間そのものが悲鳴を上げていた。

 

少年、回避。

 

跳躍。

 

着地。

 

反撃。

 

刃が閃く。

 

ゴォン!!

 

装甲すら断ち切る一撃。

 

だがヒャッハーは笑っていた。

 

「いいねぇ!!」

 

弾く。

 

逸らす。

 

叩き落とす。

 

人間離れした反応速度。

 

異様な適応能力。

 

「まだ足りねぇぞォ!!」

 

突進。

 

硬鞭が唸る。

 

衝撃。

 

少年吹き飛ぶ。

 

コンクリ壁へ激突。

 

「ぐ……ッ!」

 

肺から空気が吐き出される。

 

だが。

 

即座に立ち上がる。

 

瞳は死んでいない。

 

ヒャッハーは恍惚としていた。

 

「ヒャッハッハァ……」

 

心底楽しそうに。

 

「最高じゃねぇか……!」

 

まるで長年退屈していた獣。

 

ようやく現れた玩具。

 

いや違う。

 

対等な存在。

 

少年が踏み込む。

 

全身の力を振り絞る。

 

「――通す!!」

 

『重破貫』

 

必殺。

 

重量圧縮。

 

衝撃集中。

 

一点突破。

 

ズドォォッ!!

 

直撃。

 

確かな手応え。

 

だが。

 

ヒャッハーの身体がわずかに傾いただけだった。

 

致命傷にはならない。

 

「な……ッ!?」

 

少年の目が見開かれる。

 

ヒャッハーは笑う。

 

「効くぜ?」

 

余裕の声音。

 

「だがなァ……」

 

不気味な言葉。

 

「その程度は想定済みだ」

 

次の瞬間。

 

拳。

 

ドォンッ!!

 

少年吹き飛ぶ。

 

地面を転がる。

 

戦場が凍り付く。

 

必殺が通じない。

 

それが意味するもの。

 

絶望。

 

だがヒャッハーは歓喜していた。

 

「ヒャッハァァァ!!」

 

狂喜。

 

恍惚。

 

「いいぞォ!!」

 

「それでいい!!」

 

理解不能の興奮。

 

「もっと見せろォ!!」

 

少年は立ち上がる。

 

満身創痍。

 

呼吸崩壊寸前。

 

だが。

 

退かない。

 

ヒャッハーが笑う。

 

「そうだ」

 

狂気じみた笑み。

 

「それがいい」

 

戦場の誰もが理解していた。

 

これはもう戦闘ではない。

 

思想の衝突。

 

生存理論の激突。

 

人間という存在の極北。

 

ヒャッハーが呟く。

 

「いいねぇ……」

 

震える声。

 

歓喜で。

 

「最高じゃねぇか……!」

 

怪物は。

 

本気で。

 

この瞬間を楽しんでいた。

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