世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!
泥流迫る終末戦場!!
火炎・弾幕・質量兵器の三重地獄!!
だがついに少年が怪物へ肉薄!!
激突する暴力と暴力!!
そして世紀末最大の様式美――
つば競り合い発生!!
押し潰される希望!!
その瞬間、因果が牙を剥くゥ!!
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泥が世界を削っていた。
土石流は止まらない。
だが戦場もまた、止まらなかった。
焼かれようが。
撃たれようが。
潰されようが。
「前へぇぇぇ!!」
人間という生物は、時に異様なほどしぶとい。
ヒャッハーは笑っていた。
「ヒャッハッハァ!!」
火炎放射。
ミニガン。
硬鞭。
三重の暴力を振り撒きながら。
だが。
その時だった。
爆炎の向こう。
泥流の縁。
煙を切り裂いて飛び出す影。
少年。
血塗れ。
満身創痍。
それでも加速。
「……ッ!!」
ヒャッハーの瞳がわずかに見開かれる。
真正面。
逃げない。
逸れない。
一直線。
「ヒャッハー!!」
硬鞭が唸る。
ゴシャァッ!!
直撃――
の瞬間。
少年が踏み込んだ。
極限の前進。
極限の間合い侵入。
硬鞭の内側。
「――取った!!」
重刃刀が振り上げられる。
ヒャッハーの腕が動く。
迎撃。
激突。
ギィィィィィン!!
金属音が爆ぜる。
つば競り合い。
純粋な力の衝突。
押し合い。
削り合い。
逃げ場ゼロ。
「……ぐ……ッ!!」
少年の歯が軋む。
重刃刀の質量。
全身の筋力。
地面を踏み砕く脚力。
すべてを総動員。
だが。
「ヒャッハー……♪」
ヒャッハーは笑っていた。
余裕。
圧倒的余裕。
「いいねぇ……!」
ギギギギギ……
徐々に。
確実に。
少年が押され始める。
「……な……!」
筋力差ではない。
“存在強度”の差。
ヒャッハーの腕が沈む。
刃が押し返される。
視界が迫る。
「終わりかァ?」
楽しげな声。
少年の脚が震える。
踏ん張る。
だが。
限界。
ヒャッハーの力が爆発的に増す。
ドォンッ!!
少年の身体が沈む。
膝が砕けそうになる。
刃が顔面へ迫る。
圧殺。
物理的絶望。
その瞬間。
ヒャッハーの視界の外。
泥流の陰。
一つの影が跳んだ。
軍閥代表の息子。
怒り。
憎悪。
呪い。
すべてを圧縮した瞳。
「親父のォォォ!!」
叫び。
ヒャッハーが気付く。
だが遅い。
少年との力比べの最中。
完全な死角。
ズドォッ。
鋼が肉を裂く音。
刃。
ヒャッハーの胸部から突き出る刀身。
戦場凍結。
少年の目が見開かれる。
ヒャッハーの動きが止まる。
押し潰しかけた腕が停止。
時間が止まったかのような静寂。
息子の腕が震えていた。
「親父の……仇だ……!!」
全体重。
全怨念。
全人生。
一点へ叩き込んだ刺突。
ヒャッハーは。
ゆっくりと。
笑った。
「……ヒャッハー……」
奇妙な声音。
苦痛ではない。
歓喜。
「そうだ……」
小さく呟く。
「それでいい……」
血を吐きながら。
致命傷を受けながら。
満足げに。
「それが因果だ……」
少年も。
息子も。
全軍も。
誰一人動けない。
怪物は倒れない。
崩れない。
ただ。
心底嬉しそうに笑っていた。
「ヒャッハッハァ……!!」
世界の理を肯定するように。