世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
エピローグ 「世紀末ヒャッハー伝説」
ヒャッハーは消えた。
あの災害指定存在。
暴力の王。
理不尽の化身。
世紀末最大の異常。
土石流へと身を投じ、
二度と姿を現さなかった怪物。
だが。
世界は終わらなかった。
崩壊もしなかった。
むしろ――
奇妙な安定を見せ始めていた。
■ ダム
かつて戦場だった巨大構造物。
恐怖と混沌の象徴。
怪物の根城。
今やそこは、
荒野最大級の交易拠点となっていた。
水が流れる。
電力が供給される。
地下設備が稼働する。
旧世界の技術。
旧世界の秩序。
それらが、
皮肉にもヒャッハーの残した知識によって蘇った。
人が集まる。
物資が流れる。
争いは絶えない。
だが。
完全な無秩序ではない。
世紀末における、
あり得ないほどの「文明圏」がそこにあった。
誰もが知っている。
この場所の礎を築いたのが、
あの怪物であったことを。
誰もが口にはしないが。
誰もが忘れない。
■ 軍閥代表の息子
彼は本を読み続けた。
何度も。
何度も。
擦り切れるほどに。
そこに記されていたのは狂気ではない。
異様なほど精密な技術。
緻密な管理理論。
そして。
理解せざるを得ない事実。
ヒャッハーは、
ただの暴力装置ではなかった。
破壊者でありながら、
世界を誰よりも正確に理解していた存在。
その矛盾。
その異質さ。
時折、彼は苦笑する。
「……とんでもない怪物だったな……」
尊敬ではない。
賛美でもない。
ただの実感だった。
■ 少年
復讐は終わった。
憎悪は消えた。
生きる理由を失ったはずの少年は、
だが歩き続けていた。
荒野を。
静かに。
あてもなく。
戦うでもなく、
群れるでもなく。
ただ生きる。
それだけを続けながら。
時折、空を見上げる。
そして呟く。
「……ヒャッハー……」
その響きに宿るのは、
もはや敵意ではない。
理解でもない。
言葉にできぬ感情。
だが確かなのはひとつ。
彼の人生は、
あの怪物によって決定的に歪められたということだった。
良くも悪くも。
不可逆的に。
■ ハンターギルド
記録は更新された。
だが結論は出ない。
史上最悪の賞金首。
討伐確認不能。
死亡確認不能。
行方不明。
分類不能。
そして最終的に、
こう記された。
「災害」
生物ではない。
敵対存在でもない。
自然現象に近い何か。
それが最も正確な定義だった。
■ 荒野の噂
人々は語る。
酒場で。
キャンプで。
焚き火の前で。
半ば笑い話のように。
半ば本気で。
「ヒャッハーは死んでいない」
「絶対どこかで生きている」
「いや、あれはそもそも死ぬ生き物じゃない」
根拠はない。
証拠もない。
だが。
誰も完全には否定できなかった。
なぜなら。
ヒャッハーという存在そのものが、
常識の外側にあったからだ。
■ 誰も近づかぬ荒野の一角
ひび割れた大地。
朽ちた残骸。
風に削られた岩。
その中央。
地面へ深々と突き刺さったままの武器。
一本の硬鞭。
特殊合金製。
損壊なし。
劣化なし。
ただ静かに佇む異物。
風が吹く。
鞭が揺れる。
まるで。
まだ戦場を見下ろしているかのように。
通りすがりの旅人が足を止める。
息を呑む。
そして。
小さく呟く。
「……本当に……終わったのか……?」
荒野は答えない。
だが。
次の瞬間。
風が笑った気がした。
ヒャッハッハァ……
世紀末の世界は続く。
暴力は消えない。
争いも終わらない。
だが。
この時代を生きた者たちは知っている。
理不尽の極致。
暴力の極北。
そして。
理解不能の生き様を貫いた怪物の存在を。
人はそれをこう呼ぶ。
畏怖と苦笑を込めて。
世紀末ヒャッハー伝説。
ヒャッハー!!
ここまで生き延びた読者諸君、まずは敬意を表するぜェ!!
この世紀末物語に最後まで付き合ってくれたこと、
感謝!圧倒的感謝だァ!!
初投稿にもかかわらず、
最後の最後まで走り切れたのは間違いなく読んでくれた諸君のおかげだ!!
この物語は――
理屈?知らん!!
常識?粉砕!!
勢い?最重要資源!!
そんなノリとテンションとヒャッハー精神だけで
荒野を爆走した怪作であった!!
少しでも笑った者!
少しでも呆れた者!
少しでも脳を焼かれた者!!
すべて歓迎だベイベー!!
世紀末において最も重要なのは
整合性ではない。
「楽しんだかどうか」だァ!!
なお――
本作の世界観、設定、兵器、理不尽、狂気につきましては、
気に入った者がいたなら好きに使って構わん!!
二次創作でも!
ネタでも!
小話でも!
暴走でもだ!!
ヒャッハーワールドは閉鎖されない!!
誰かの頭の中で、
どこかの荒野で、
いつでも再稼働する!!
燃料不要!!
許可不要!!
理性不要!!
それが世紀末だァ!!
それでは読者諸君――
またどこかの荒野で会おう!!
次に出会う時もきっと、
ロクでもない騒ぎの最中だ!!
ヒャッハー!!