世紀末ヒャッハー伝説 〈汚物は消毒だァ!!〉 作:ヒツジ(ラム肉
ヒャッハー!
世紀末世界に法律なし!
道徳なし!
常識など砂より軽い!!
そこに存在するのはただ一つ――
生き残った者だけが正しいという絶対原理!
そして今日もまた、
最も信用ならぬ災害が荒野を爆走するゥ!!
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荒野には掟がある。
誰が決めたわけでもない。
だが確かに存在する絶対法則。
弱い者は奪われる。
遅い者は死ぬ。
躊躇した者は消える。
極めて単純。
極めて公平。
それがこの世界の理。
砂煙の向こう。
一台の輸送車両が進んでいた。
装甲は薄い。
武装も最低限。
積載物優先の典型的な世紀末仕様。
車内。
「……妙に静かだな」
運転席の男が呟く。
護衛車両なし。
周囲の気配なし。
風の音だけが耳障りに響く。
嫌な予感。
だが。
次の瞬間。
バララララララララ……!!
爆音。
背筋を走る悪寒。
「なッ――!?」
振り返るより早く現れる黒い影。
黒塗りのバイク。
溶接跡だらけの装甲。
見覚えのある狂気のシルエット。
そして。
「ヒャッハー!!」
絶叫。
存在そのものが警報装置のような男。
輸送車両の男が青ざめる。
「出たァァァ!!」
知らぬ者などいない。
荒野最悪の遭遇対象。
理屈の通じぬ災害。
ヒャッハー。
バイクが異様な軌道で接近する。
常識外れの加速。
無駄に洗練された操縦。
無駄に高い運転技術。
「やめ――」
言葉は最後まで続かなかった。
ドバァァァァッ!!
熱水噴射。
悲鳴。
絶叫。
視界を埋める白煙。
車体表面を叩きつける高温の暴力。
「ヒャッハー!!」
狂喜。
純粋な歓喜。
ヒャッハーは実に楽しそうだった。
「消毒だァ!!」
意味不明な宣言。
輸送車両が蛇行する。
制御を失う。
荒野を転がる。
沈黙。
砂煙だけが残った。
しばしの静寂。
そして。
「ヒャッハー……♪」
満足げな鼻歌。
転がった車両へ歩み寄るモヒカン。
躊躇なし。
感慨なし。
倫理観など存在しない。
「さて」
容赦なくハッチをこじ開ける。
中身。
物資。
燃料。
食料。
弾薬。
「ヒャッハッハァ!!」
歓喜。
「当たりじゃねぇか!!」
略奪ではない。
世紀末的資源再配分。
少なくとも本人はそう思っている。
荒野の掟。
奪われる側が悪い。
生き残れなかった側が弱い。
それだけの話。
ヒャッハーは物資を担ぎ上げる。
重さなど意に介さぬ怪物の動作。
「いいねぇ……」
空を見上げる。
白く濁った世紀末の空。
「最高だぜェ……この世界……!」
心底楽しそうだった。
破壊も。
暴力も。
混沌も。
すべてが娯楽。
すべてが祝祭。
荒野のど真ん中で笑う災害。
誰よりもこの世界に適応した男。
ヒャッハー。
彼にとって世紀末とは。
理想郷である。