ヤーナムの狩人とオラリオの導き手:啓蒙から始まる恋文字(れんじ)   作:もいもい130

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ここからコメディになっていく全てはミコラーシュ神拳のせい


第11話:説教の嵐と、深淵の萎縮

 

「……おはようございます、狩人さん。どこへ行こうとしているんですか?」

ダンジョンへ続く中央広場の手前、ギルドの入り口。

そこには、氷のような微笑を浮かべ、眼鏡の奥の瞳を怪しく光らせたエイナ・チュールが立ちはだかっていた。

「…………」

狩人は狩人の帽子を深く被り直し、視線を斜め下へと逸らした。

昨夜、宿に戻るまでの間に、使者たちが「クケケ」と楽しそうに主人の武勇伝を影絵で再現していたが、どうやらその結末は最悪の形でギルドに届いていたらしい。

「昨日の夜、『豊穣の女主人』で何があったか、説明していただけますか? 派閥連合の幹部を壁に叩きつけ、あまつさえ最大派閥の主神であるロキ様を路上で泣かせたとか……そんな話、私の聞き間違いですよね?」

「……羽虫が、煩かっただけだ」

「その『羽虫』はオラリオを支配する神様です!!」

エイナの怒号が響き、周囲の冒険者たちがビクッと肩を震わせる。

幾千の獣を屠り、上位者という神にすら等しい存在を狩ってきた男が、一人のハーフエルフの少女の剣幕に、目に見えて肩をすぼめて「萎縮」していた。

「いいですか、昨日も言いましたよね!? 目立つな、問題を起こすな、大人しくしてろって! 私はあなたの『ファミリア』の手続きで夜通し書類を書いていたんですよ!? それなのにあなたは、受理された数時間後には国際問題一歩手前の騒ぎを起こすなんて!」

「……すまぬ」

「謝って済むならギルドはいりません! もう、本当に……。あんなに震えてるロキ様なんて、私初めて見ましたよ。一体何をしたんですか?」

「……少し、啓蒙を分かち合っただけだ」

「その『啓蒙』って単語、禁止です! もう二度と、私の許可なく神様に近寄らないでください。いいですね!?」

「…………承知した」

一時間近くに及ぶ「お話(お説教)」が終わり、ようやく解放された時、狩人の精神的な疲弊は、ミノタウロス100頭を相手にするよりも深かった。

足元では、説教の間ずっと石像のように固まっていた使者たちが、解放された途端に狩人の裾を引っ張って「主様、災難だったな」と慰めるようにクケケと鳴いている。

「……ダンジョンへ行く。静寂が、必要だ」

狩人は逃げるように第15階層へと足を進めた。

だが、そんな彼を、説教の様子を物陰からじっと見守っていたアイズ・ヴァレンシュタインが、複雑な表情で追っていた。

「……あんなに叱られてるのに。……昨日の気配は、何?」

 

10文字足りないお化け

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