ヤーナムの狩人とオラリオの導き手:啓蒙から始まる恋文字(れんじ)   作:もいもい130

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第17話:絶望の邂逅、あるいは導き手の眼差し

 

リヴィラの街の広場。荒くれ者たちがたむろするこの場所に、白い閃光が飛び込んだ。

「助けてえええええ! 殺される、マジェスティックに殺されるうううう!!」

喉を枯らして叫ぶベルの後方、わずか数センチ。霧散する『古い狩人の遺骨』の残光を纏い、黒いコートが翻る。

「……捕まえたぞ、少年。今すぐその誤解という名の澱みを、私の言葉で上書きしてやるッ!」

狩人はついにベルの襟首を掴み取った。必死の形相。額には脂汗。上位者と対峙した際ですら見せなかったその「なりふり構わぬ必死さ」に、広場の冒険者たちが一斉に引いた。

だが、その勝利の瞬間。

「——……おや。狩人さん。こんなところで、何をしているんですか?」

聞き覚えのある、透き通るような、しかし心臓を凍らせるほどに冷ややかな声が響いた。

狩人の動きが、文字通り石像のように固まった。

ベルを掴んだまま、恐る恐る首を動かす。

そこには、ギルドの伝令制服を着たエルフの女性職員……ではなく、彼女から通信用の魔道具を受け取り、ちょうど投影された**「エイナ・チュール」**の立体映像が、怒りを通り越して虚無に近い微笑を浮かべてこちらを凝視していた。

「エイナ、さん……?」

ベルが救い主を見るような目で立体映像に縋り付く。

「エイナさん! 助けてください! アイズさんとこの人が、森の奥で凄く……凄くマジェスティックなことをしてて、それを言おうとしたら、凄い速さで消えたり現れたりしながら殺しに来たんです!」

「……マジェ……スティック……?」

エイナの眼鏡が、キィィィィィンと音を立てんばかりに白く光った。

投影機を預かっていた伝令の職員も、狩人から放たれる「終わった……」という絶望のオーラに、一歩、また一歩と後退りしていく。

「狩人。……私、言いましたよね? 『次に何かあったら、本当にファミリアの登録を取り消します』って」

「……違うのだ。聞いてくれ、導き手よ。これは、その、彼女のステイタスの自浄作用を促すための——」

「座 り な さ い。」

エイナの静かな一喝。立体映像越しであるにもかかわらず、狩人はその場でガタガタと震えながら、ベルの襟首を離して正座した。

周囲には、オラリオの最強候補を震撼させたあの男が、ギルドの受付嬢(の映像)を前に、狩人の帽子を膝の上に置いて小さくなっているという、前代未聞の光景が広がっていた。

「……素晴らしい(マジェスティック)。……私の冒険者人生が、ここで終わるとはな」

狩人は天を仰いだ。

背後から、ようやく追いついてきたアイズが「あ、まだ続き……」と口を開こうとしたが、狩人は全力で「今は黙っていろ! 死ぬぞ!」と目配せで制した。

「……アイズ・ヴァレンシュタインさんも。後でじっくり、事情を聴かせていただきますね?」

アイズもまた、エイナの背後に浮かぶ「絶対的な正義」の気配に、無言でコクコクと頷くしかなかった。

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