ヤーナムの狩人とオラリオの導き手:啓蒙から始まる恋文字(れんじ)   作:もいもい130

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第18話:狂気の礼賛、あるいは導き手の受難

 

リヴィラの街、宿屋の一室。

そこに広がるのは、凄惨な処刑場……もとい、地獄の「遠隔説教」の現場であった。

「いいですか、狩人。あなたがどれだけ腕が立とうと、この街のルールを守れないなら冒険者失格です! アイズさんを巻き込んで、一体どんな破廉恥な儀式をしていたんですか!?」

エイナの立体映像が、机を叩く勢いで激昂する。

対する狩人は、狩人の帽子を膝の上に乗せ、かつて上位者を屠ったその手で、行儀良く両膝を揃えて正座していた。

だが、この場の「悪夢」は説教だけではなかった。

「……クケケ……マジェスティック……!」

狩人の足元。エイナには見えていないはずの「使者」たちが、あまりの「導き手」の迫力に感動したのか、影の中から次々と這り出してきたのだ。

彼らはエイナの映像を囲むように立ち、まるで聖母を拝むかのように両手を天に掲げ、独自の「マジェスティック・ポーズ」を捧げ始めた。

(やめろ……。今、それだけはやめるのだ……!)

狩人は必死に目配せを送るが、使者たちは止まらない。

一人の使者が、エイナの映像の頭の上に、幻視の「小さなリボン」を載せようと手を伸ばす。

さらにもう一人の使者が、エイナの剣幕に合わせて「そうだそうだ!」と言わんばかりに、小さな足で床をぺちぺちと叩き始めた。

「……? さっきから何なんですか、その……ガタガタという音は。それに、あなたのその妙な目付き! 私の話、聞いてますか!?」

「……い、いや。聞いている。心底、身に染みている。……おい、よせ。叩くな、揺らすなッ!」

狩人はエイナを直視しつつ、手探りで足元の使者たちを影の底へ押し戻そうと必死に格闘する。

しかし、使者たちは「主様もこの素晴らしい教えを喜んでいる!」と勘違いしたのか、さらにヒートアップ。

あろうことか、エイナの映像の指先に合わせて、空中で「くるくる」と踊り狂い始めた。

「ちょっと! さっきから視線が泳いでますよ! 私はあなたの将来を心配して——」

「マジェスティック! 素晴らしいぞ、導き手よ! お前の言葉は、宇宙(そら)の真理よりも重いッ!」

使者たちを隠そうと焦るあまり、狩人の口からミコラーシュの如き咆哮が漏れ出してしまう。

「……なんですって?」

エイナの瞳が、完全に据わった。

「……狩人。……今の、煽り(あおり)ですか?」

「違う! 違うのだ、エイナ! 今のは、その……彼らが、いや、私が感銘を受けたという、その……!」

「あ と 三 時 間 追 加。」

「ああ……あああああああ……ッ!!」

狩人は絶望に打ちひしがれ、その場に突っ伏した。

その背中の上では、使者たちが「主様、次は三時間も聴けるぞ!」と、歓喜の舞を踊り続けていた。

一方、廊下で聞き耳を立てていたベルとアイズは、部屋の中から漏れ聞こえる「マジェスティック!」という叫び声と、狩人の悲鳴に、ただただ戦慄するしかなかった。

「……あの人、あんなに叱られてるのに、まだマジェスティックって……」

「……強い。……心が、強い……」

こうして、狩人の「誤解」は解けるどころか、さらなる深淵へと沈んでいくのであった。

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