ヨハネの四騎士と聖園ミカ   作:到頭

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禁足地の日記

「お久しぶりです。先生」

「久しぶり〜、先生!」

"久しぶり。ナギサ、ミカ"

「今日はわざわざ申し訳ないな。」

"大丈夫だよ。セイア"

 

トリニティ、ティーパーティ。エデン条約の騒乱は終わり空から帰還し、

平和な日々を送っていたある日そこに呼び出された。

シャーレに依頼がある。ただそれだけ、詳しいことは何一つ書かれず。

それだけの内容のメールが来ていた。

 

「先生、禁足地はご存知ですか?」

"禁足地?"

「カタコンベに並ぶ厄ネタの宝庫だよ。」

 

カタコンベ、アリウスと古聖堂が繋がる道のあるあの場所に並ぶ厄ネタの宝庫?

 

「禁足地で、異質なエネルギーを観測しました」

ナギサの顔は酷くやつれ、隈が見てとれた。

"異質なエネルギー?"

「そうだ。このキヴォトスのどれにも当てはまらない異質なものだ」

「私たちとしては流石に放っておけないんだよね。」

 

不吉な風が吹き込む。

空が薄暗く捲られ、嫌な光が差し込む。

今回の事態を象徴しているかのような空模様に悪寒が走った。

 

「それと、一応先生が来るまでに一度調査団を送っていまして」

「その時は最深部まで簡単に行けたんだ。」

"え?最深部まで行けたの?"

そう聞くと3人の顔に曇りと翳りが見えた。

きっとその最深部に何かあったのだろう。

私を呼ぶに至る理由が

「その最深部でゲートと日記らしいものを見つけてね。」

「今はウイさんに日記の読解を任せています。」

「ゲートに関しては今はまだ触れていない。何があるかわからない」

「調査団の報告だと禍々しさに怖気付いちゃう人がほとんどらしいよ」

それだけ危険な仕事ということか…たしかに、生徒だけに任せるわけにはいかない事案だ。

「そろそろ読解は終わる頃だろう。古関ウイを尋ねてみると良い。きっと必要な情報があるはずだ」

「私もついていくね!」

「もしもの時の保険は大切です。頼みましたよミカさん」

"よろしくね。ミカ"

〜〜古図書館〜〜

「お久しぶりです、先生。ゲッソリ」

本棚の隙間から音もなく出てきたウイにいきなり話しかけられた。

"うわっ!?……ウイ?大丈夫?"

「お急ぎでの解読だったので……」

"解読はできたの?"

ウイの顔は酷く疲弊しており、それだけで作業の過酷さを理解できた。

「あの本にはあのゲートの先のイロハが書いてありました。」

ウイは解読した日記の内容を話し始めた。

「結論から言いますとあの先にはゲームが広がってるようです」

"ゲーム?"

「ゲーム?」

まさかの答えに私もミカもそんな素朴な疑問が声に出た。

「はい、ゲームです。最初から話しましょうか」

"お願い"

「まず、トリニティが感じ取った異質なエネルギーの正体は」

「あのゲートの先に広がるゲームのボスとでもいえば良いでしょうか……」

「そういった存在が放っているものでした。」

本当に突拍子もなく、ウイが今考えた冗談のようにも聞こえた。

しかし、そんな考えはウイの真面目な表情によってすぐに打ち砕かれた。

「ゲームの詳細なんですが、聞きますか?」

"一応……"

以下ゲームのルール説明

1.一つのゲートでゲームに参加できる人数は二人まで

2.ゲートは二人が入った時点で消失する

3.ゲームに一度入ると死の騎士を倒すまで出ることはできない

4.ゲームの中での死によって本当の死を迎えることはない

5.ゲームの外の世界から持ち込んだ武器は弱体化する

6.敵は倒されるごとに強くなる

7.世界には12の封印の鍵を持ったボスとヨハネの四騎士がいる

8.12の封印の鍵は4本で一人の騎士を解放できる

9.3人の騎士を倒すことで死の騎士の封印を解く鍵を手に入れることができる。

10.ラスボス、死の騎士の討伐に失敗した場合、現実に顕現する。

 

 

“参加人数は二人だけかぁ…"

「私行ってみたいかも♪」

ミカがそう声を上げた。

ゲームでの死が現実の死にはならないとあるが心配ではある。

"一旦ナギサたちに話に行こっか"

「わたしは寝ますね……」

 

〜〜ティーパーティ〜〜

「まぁ、ミカさんなら良いでしょう」

「ミカだからな」

先ほどの話を二人にしたところ二つ返事でミカが参加することを了承した。

「あと1人はどうするつもりですか?」

"わたしがいくよ"

「先生ですか……先生がいくんですか!?」

"調査依頼が出されたからにはね。それに、生徒だけに任せるわけにはいかないよ"

ナギサとセイアの顔には一抹の不安が浮かんで見えた。ミカの時とは大違いで、これが信用の差かな。なんて思った。

「大丈夫だよ、セイアちゃんナギちゃん。わたしが守るからね♪」

ミカが元気な声で2人を元気付けた。

「そう、ですね。」

"じゃぁ行ってくるよ"

「もういくのかい?」

「何セイアちゃん寂しいの〜?」

「……」

気まずい空気がそこに流れた。図星と言えば良いのかな?

"大丈夫だよ。セイアナデナデ"

セイアの頭を優しく撫でる。少し心配そうな恥ずかしそうなそんな顔をしていたが、次第に心配そうな表情は消えていった。

「ナギちゃんも撫でて貰えばー?」

「いえ、わたしは……」

「せんせぇ!ナギちゃんも撫でて欲しいって!」

「ミカさん!?」

"おっけー!"

左手でナギサを、右手でセイアを撫でた。

最初の方はナギサは恥ずかしそうにしていたが次第に慣れたのか、静かに撫でられていた。

"そろそろ良いかな?"

「……!は、はい大丈夫…です///」

「私も十分だ。」

短いような長いような静かで優しい時間に区切りをつけてそろそろ出ることにした。

2人を撫でている間ミカは静かにしていた。このあとゲームに参加するとなると何日もの間会えない可能性もあるんだ。譲ってくれたのだろう。

"ミカも成長したね"

「そうかなぁっ///」

 

〜〜禁足地浅部〜〜

禁足地には車で行った。

しかし、

「これから先は徒歩でお願いします。」

「ここまでありがとうねー」

"なんで禁足地の中は車では行けないの?"

私は率直な疑問をミカに投げかけた。

ミカはむむむと悩ませて口を開いた。

「なんでだろうね?」

"…ミカを連れてきたのは間違いだったかな"

「ちょっとぉ!?」

ミカと適当な雑談をしながら深部へと向かった。

 

〜〜禁足地深部、ゲート前〜〜

「これがゲート?」

"ミカも実物は見てないの?"

「私が調査団に入って調査すると思う?」

"確かに"

ゲートは禍々しい…仰々しい雰囲気を感じた。ゲートの前に立つのすら少し引けるほどの威圧感を感じる。

「……先生大丈夫?」

"だ、大丈夫…"

一歩足を踏み出す。

生徒に情けない姿は見せられない。

「あっ、待ってよ先生!」

2人並んでゲートに入る。

ゲーム開始だ。

 

 

 

〜〜???〜〜

"ここは?"

「真っ白だね?これがゲームの世界?」

「ここはゲームのルール説明をする場所ですよ」

どこからともなく声が聞こえる。…あのゲートは本当にゲームに繋がっているらしい。

「ゲームの説明を聞きますか?」

"どうする?ミカ"

「うーん、どうしよ?一部はもう知ってるからね〜?」

「ほうほう、一部は知っているんですね……ではあなたたちの知っている10個のルール以外のものを説明しましょうか?」

「……!?」

心を読まれたようにそういった謎の声は私たちの驚きを気に介さずまた質問を投げかけた。

「知っているルール以外の説明を聞きますか?」

"そりゃ"

ミカの方を向く、答えは同じらしい。

"YES"

「聞くよ」

「分かりました。ルール説明をします。」

 

いろいろルールを羅列されたが正直理解できなかった。いくつか聞くことのできたルールを抜擢する。

・敵にはレベルがありレベルが高いと自己を強化するアイテムを落とすこともある。

・ルールは箱を介して何度でも見ることができる

・死の騎士の討伐に失敗すると死の騎士が現実に顕現するだけでなく、私たちはゲームの一部になるらしい。

"……は?"

「ですから、討伐失敗した場合あなたたちはこのゲームのNPCになります。その時点で現実にある肉体は朽ち果てますよ。」

「そんなの日記に!!」

「前回死の騎士を討伐したお方にはお知らせしませんでしたから」

予想外……そんなことなら1人できたというのに

「ちなみに実際にNPCになった子はいたりするのかな?」

「えー?たしか口無し?梔子という人がなりましたね。」

「その際は死の騎士どころか支配の騎士すら討伐に失敗したので顕現はありませんでしたが」

……重い気持ちが心にのしかかった。

「大丈夫だよ先生、クリア者がいるなら絶対」

ミカは変わらない声色でそう励ましてくれた。しかしその瞳には不安が見えた。

"ナデナデ、ありがとう。ミカ"

ミカの髪を、頬を優しく撫でた。ミカが側にいてくれてよかった。

「では、ゲームを楽しんでください。」

視界が真っ白に染められた。ゲームが始まる合図だろう。

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