ハリーポッター プリムローズ通りの怪物   作:匿名魔法使い

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3話

 

 3話 3つの欠片。

 

 

 

 

 

 「へぇ、ティアってめちゃくちゃお金持ちの御令嬢なんだね」

 

 

 「そうでもないよ。ただの普通の女の子さ」

 

 

 「いや、その雰囲気でそれは無いよ! 最初入ってきた時、びっくりしたもん。こんな可愛い子がなんでここに来たんだろうって」

 

 

 「ふふ。ありがとう。でも、私はここに入ってきて良かった。君たちと言う友達を作ることが出来た。コレは、一生の宝物だ」

 

 

 「え、な、なんか照れるなぁ……! アイリスも何か無いの? なんでも聞いてよ」

 

 

 

 

 「…………なら、あなたの孤独は?」

 

 

 

 

 場が静まり返る。気付いていた。この3人に全員が気付いていた。その目は、孤独を知っている目であり、諦めていた目だった

 

 それを知ろうとする勇気、話そうとする勇気は、絶大なものだった。しかし、アイリスは分かっていた。コレは、この3人が友達になるためには、かけがえのない存在になるためには必要なことだから、と

 

 アイリスは、嫌われる覚悟をとうに決めていた。それは、孤独を知っているため。嫌われて孤独になるかもしれないなら早いうちがいいと言うネガティブなものもあったが

 

 

 

 

 「…………正直に言うよ。僕は、愛が欲しかったんだと思う」

 

 

 「「…………」」

 

 

 「僕は、マグル出身だ。周りからは、悪魔憑き、怪物、化け物。色んな名前で呼ばれたよ

 

 よくある話だよ。公園で遊んでいたら、ガキ大将みたいなやつに絡まれたんだ。そして、靴を盗られた。そのとき、雷が落ちた。晴れてるのにだよ?

 

 悪魔、化け物、怪物。親からは、爆弾って呼ばれたよ。でも、まだ、愛してくれているとおもったんだ

 

 ホント数ヶ月前。僕は、親から捨てられた。多分僕の家お金持ちなんだろうね。家は好きにしてもいい、お金もやるから、こっちに来るなって、手紙に書いてあった

 

 初めて、お使いを頼まれたんだ。だから、このお使いさえ、キチンと出来れば、ぼくは、また、父さんが、かあ、さんが、愛して、くれると思っていたんだ

 

 ごめん、ちょっと重い話しで。コレが、僕のうぷ」

 

 

 

 セレスティアがアーサーの顔を自分の胸に抱き寄せる。そして、ハッキリと言う

 

 

 

 「大丈夫。大丈夫だ。私がいる。私達が居る。君は、化け物なんかじゃない、悪魔なんかじゃない、爆弾なんかじゃない! 君は、れっきとした人間だ! そんな顔にならないでくれ。頼む」

 

 

 「…………ティア、ありがとう。そう、だね。僕には、もう君達がいるから、ごめんね、こんな話をしちゃって。初対面なのに」

 

 

 「わ、私が、私が悪かった」

 

 

 

 アイリスが両手でアーサーの手を掴む。カッチリと掴む。アイリスの目は、涙が浮かんでいた

 

 

 

 「ご、ごめん、なさい。私が、軽率だった。貴方に、暗い過去があるのは、何となくわかっていた。でも、貴方がマグルだって、わかっていたのに、貴方に環境も考えたらわかるのに、ごめんなさい」

 

 

 「アイリス、ありがとう。でも、僕が言いたかったんだ。多分、僕達は仲間だ。だから、共有したかったんだ。ありがとう、アイリス」

 

 

 「………り、リズで、いいわよ。私は、両親からそう言われてるわ」

 

 

 

 恥ずかしそうに、しかし、決して手を離さないアイリス。そこには、同情よりも、彼女が培ってきた知識、知能そして、善性がそうさせていた

 

 

 

 「ハハッ。可愛い所もあるじゃないか、リズ。じゃあアーサーはなんて呼ぼうか?」

 

 

 「僕の略称か。うーん、アーサーとしか呼ばれたことしかないからなぁ」

 

 

 「なら、アートだ。これから、3人の時、もしくは2人の時は、その名で呼び合おう。いいね?」

 

 

 「うん!」

 「わかったわ」

 

 

 

 「なら、続きは私から話そう。

 

 私は、友が欲しかったんだ。私は、生まれは聖28家では無いが、それに匹敵するほどの良家だ。だから、幼い頃に色んな人物と話す機会があった

 

 その中で、半分ほどは私と同じ歳ぐらいの子達だった。私は、友達が欲しかった。なぜなら、私は8つの頃から5つ以上の習い事をしていた。本当につまらない子供時代だった

 

 くだらない遊び、くだらない話、くだらない喧嘩。全てに憧れがあった。けど、私に近づく人間は全てが打算で構成されていた

 

 親から私と友達になりなさいと言われた子、私の家にしか興味が無さそうな子、私の容姿にしか興味が無い子。全て、セレスティアでは無く、グレアム家を見ていた

 

 もう、諦めていた。友と呼べる人間は作れないのだと思っていた。けど、君たちに出会えた。コレは、本当に運命だと思ったよ。神はいるのかもしれないと本当に初めて思った

 

 アートに比べたら、ちっぽけな孤独だが、コレが私の孤独だ。あとは頼んだよ、リズ」

 

 

 

 コンパートメントの片方の席で2人が座って話を聞いていた。窓側のアイリス、真ん中のアーサー、廊下側のセレスティア。セレスティアは、最初、アーサーの向かいに座っていたが、アーサーを抱いた後、こちら側に座った

 

 そして、今度は、アーサーがセレスティアの手を無言で握る。俯いていたセレスティアがアーサーを見る。アーサーは、無言で俯いていた。言葉入らなかった。ただ、人の温もりが、今の彼らに必要なだけだった

 

 ちなみに、もう片方の手はアイリスが握っている。アーサー人生初の両手に花だ

 

 

 

 「私の孤独は、私自身のせいだ、と思う

 

 私は、半純血。だから、父親の要望でマグルの学校に少し通ったことがある。でも、そこでは、周りが幼稚すぎてあまりに話が合わなかった

 

 だから、マグルの学校もやめて、母親の親戚の子とかに会って話してみた。それでも、合わなかった

 

 そこで思ったの。周りが幼稚すぎて話が合わないんじゃない。私が異常だったんだって。そこで、好きだった読書も、勉強もやめて、みんなと無理して遊んでみた

 

 私は、負けなかった。どんな遊びでも、どんな競い合いも負けなかった。次第に、周りの子は離れていったわ。それでも構わなかった。心の奥で、多分、理解していた

 

 けど、私は、貴方達に出会った。わたしは、独りじゃなかった。それが、こんなにも嬉しいことだなんて、初めて知った

 

 そして、アートを、友達を悲しませるのが、こんなにも、辛いことなんて、は、初めて、知った。ごめん、ごめんなさい、アート。ごめんなさい!」

 

 

 

 アーサーは、泣きながら謝るアイリスを優しく抱きしめる

 

 

 

 「大丈夫だよ。リズ。もう僕には、君達がいる。もう、悲しくないんだ。本当だよ、リズ。だから、ほら、笑って。可愛い顔が台無しだよ」

 

 

 「……アートは、た、タラシやなんですね」

 「ふふ。それは私も思ったよ。まさか、こんなにも他意が無い言葉は初めてだよ」

 

 

 「ええ? なに、タラシって?」

 

 

 「まだアートには早かったね。じゃあ、暗い話も終わり! 楽しい話題にしよう。アートとリズは、どこの寮に入りたい?」

 

 

 

 セレスティアがぱん、と、手を打ち話を変える

 

 

 

 「んー、僕はグリフィンドール。次点でハッフルパフかなぁ」

 

 

 「私はレイブンクローですね。それ以外有り得ません」

 

 

 「あちゃー。私は、十中八九スリザリンだから、同じ寮にはなれないってことだね。残念」

 

 

 「でも、授業は合同ですることが多いんでしょ? いっぱい会えるよ!」

 

 

 「そうですね。まぁ、昼休みや、食事の時間は大体自由のはずです。あと、私の調べた結果、城の西棟の先にある古い温室があります。そこは、ほとんど使われていないそうなので、私の実験室にしようと思ってました。そこで、3人のたまり場にするには如何でしょうか?」

 

 

 「へぇ、そんなところがあるんだ。すごい! リズって本当にすごよねぇ」

 

 

 「ああ、そうしよう。うちの参謀は極めて優秀なようだね!」

 

 

 「や、やめて下さい。あ、あまり褒められるのは慣れていません。すこし、照れてしまいます」

 

 

 「ダメだよ、リズ。君はすごいんだ。誰に何を言われようが、君はすごいって僕は言い続けるよ」

 

 

 「ふふ。そうだよ、リズ。うちの参謀が舐められるなんて、言語道断だ。私も辞める気は無いよ」

 

 

 「……もう、2人は意地悪です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなたわいもない会話。それは、3人が望んだ小さな幸せ。しかし、3人にとっては、とても大きな幸せだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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