グラインドストーン   作:にわかミリヲタ

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初投稿です。


ファルコン隊

 なんやかんやあって、宇宙で人型ロボット兵器を使った戦争が発生する時代になった。なぜ戦争が発生したのかとか、人型の大型兵器が使われる理由など、色々疑問はあるだろうがここでは割愛させてもらう。もう本当に色々ありすぎて長くなるからだ。

 その戦争の最前線となっているとある宇宙基地では、久しぶりの補給を乗せた輸送船の到着が待たれていた。そしてこういった待ち望まれたものを持った部隊というのは大抵の場合、襲撃されるのがお約束というもの。今回の輸送船もその例に漏れなかった。つまり襲撃された。それはもうこの基地の人間は慌てた。開戦時の奇襲の報を受けた時くらい慌てた。整備に必要な物資に食料なんかが失われるのだから大騒ぎにもなる。

「すぐ出てくれ、今すぐに。どんだけ壊してもある程度までならまた直してやるから、なんとしても連れて帰って来てくれ」

 作業着を着た、整備兵らしき作業用の工具を取り付けた宇宙服を着た三十代くらいの男がパイロット用のごてごてと工具をつけた宇宙服を着た青年に話しかける。

「最初からそのつもりですけど、なんか圧がすごいですね」

「あったり前だろ! 何度も要請してやっと来た補給だぞ。お前らの乗ってるコレの補給問題もある程度解決されるしな。あ、あと食料なんかも積んでるから回収できないと飯がなくなるぞ」

「了解です。さっさと出ます。飯を削るのは流石に嫌ですからね」

 そんな冗談を飛ばしながら、コックピットに座りシートベルトを装着し、ヘルメットに付いたゴーグル型のモニターを下ろす。

 周りで出撃用意をしていた整備兵が整備機器を片付けながら、機体の拘束を解くための操作をしている。

「よし、全機体発進準備完了。作業員も退避中。お願いします」

 そう整備兵が退避してから合図を送ると、発進口のシャッターが開放されて、星の輝きと漆黒が見えてくる。

「機体各部、全システム異常無し。ハッチ開放よし。ファルコン1、発進いつでも可」

「ファルコン2以下全機、同じく異常なし。発進可能です」

「良し、了解した。発進を許可する。頼んだぞ」

「任せとけ。第三四三臨時MHF隊発進する」

 エンジンに火を灯した機体が次々に飛び出していく。全部で八機が出撃し、発進口が閉じてゆく。流れ弾やスペースデブリでも飛び込んで来れば基地機能を完全に喪失しかねないからだ。

 発進した機体たちは隊長機を頂点として二列の編隊を組む。

「データリンク、全機接続確認。第二小隊、足の速いお前達が先行して敵の注意を引け。第一小隊は第二が気を引いているうちに輸送船を保護する」

「了解。第二小隊続け。先頭はファルコン5だ。頼むぞ初陣でのスコア隊内最多」

「やめてくださいよ、そういうのは」

「あと、今回は撃墜ではなく輸送船から引き剥がすことが目的だ。撃破しなくてもいい。とにかく撃ちまくって敵機の気を引け」

 編隊の前方集団が加速して後方集団から離れてゆく。編隊の前方に位置する第二小隊は、現在二機種のMHFを運用する第三四三臨時MHF隊の新しい性能の良い機種で編成されている。故に先鋒としては申し分ない能力を持っていた。

 戦闘の光が近づいてくる。ゴーグルに映し出される画像に敵機を表すシーカーが表示される。

「敵機を確認。ミサイルで初撃を加える。3、2、1でタイミングを合わせろ」

 シーカーの奥の敵機がはっきりと見えるまで大きくなり、赤くなる。

「ターゲットロック。3、2、1、FOX2、FOX2!」

 熱源追尾式ミサイルを発射するときのコールを通信に流し、機体の肩に計四発装着されたミサイル管から各機二発、合計八発が敵機へ向かって加速していく。

 輸送船を攻撃していた敵機がミサイルの接近に気付き、回避のために不規則に加速し、オレンジに激しく燃えるフレアを機体の後方へと吐き出す。

 ミサイルが熱源探知を誤魔化されてフレアへと逸れて喰い付いていく。

「フレアに吸われた! 格闘戦に移行しろ!」

 ミサイルを回避した敵機がこちらを認識し、四機が主腕に懸架されている機関砲をこちらの編隊に向ける。

 機体各部のセンサーからの情報を処理してCGで加工され明るくなった視界の中、自機を狙っている一機の敵の予測された射線が赤く表示され、迫って来る。それに触れないよう、回避しながら自機の機関砲のトリガーを引く。

 こちらが相手の攻撃の予測を見て避けているのと同様に、相手も射線に入らないように回避行動を取っていた。

 そこに、後ろの僚機の放った光弾が敵機を掠める。同じ様に後ろにいた敵機からの可視化された赤い予測線が迫る。

 それを飛び越えるように避け、再度ロックされている敵の前衛へ機関砲の引き金を引く。

 放たれた砲弾が虚空に消え、相手の機関砲も火を吹く。やはり避けられて当たらない。

 射撃では埒が明かないと判断し、選択されている武装を切り替えてミサイルに変更する。

  変わらずロックオンされているその機体へ向けてミサイルを放ち、即座に機関砲へ切り替えて射撃で牽制を行って回避を阻害する。

 敵機は牽制の射撃を躱しながら自身に向かって来るミサイルに射撃を浴びせ、迎撃を試みる。

 機関砲としては大口径の四〇ミリ砲弾の直撃で弾頭を食い破られ、火球を作る。

 お互いの距離が詰まる。牽制射で無駄弾を費やしながら接近していく。

 機体に描かれているペイントまで識別できる距離まで縮まり、軌道を相手の上に向かってずらす。相手もこちらの下に軌道をずらし、お互いの後方を取ろうと円を描く様な機動で戦う巴戦に後衛共々移行する。これで分隊が別れ、二重の歪で、かつ光を放つ円が生まれる。

 これまでの前から向かって来て見上げるように見ていた敵機を正面に捉え、引き金を引く。

 飛行機の様に真正面で捉えずともアームの機関砲を向けて攻撃できる利点を活かして放たれた光弾が尾を曳きながら奥の闇へと消えていく。

 これまで直撃がなく、流石に倒せていない焦りが出てくる。残弾も気になるくらいの量まで減っている。

『そのまま引きつけ続けろ! 合図を出したら回避機動を取れ!』

 専用レーザー無線から、迂回して輸送船の保護に向かった隊長の声が聞こえて来た。どうやら無事に合流してこちらの援護に来たようだ。本来の任務はいつの間にか達成していたようだ。

『いまっ! FOX2、FOX2!』

 隊長からの合図に合わせて、これまでの後ろを取るためのいたちごっこから、不規則に機動を変える回避機動ヘと切り替え、全力で敵機から距離を取る。

 すぐさま、今まで散々追いかけっこを繰り広げていた敵機へと、ミサイル二発が迫る。

 ここでようやくミサイルの接近に気付いた敵機は、こちらと同じように不規則な機動を取りながらフレアを吐き出す。

 しかし、初っ端のミサイル回避時に比べてすぐに放出が途切れる。

 二発のうち、片方はフレアに食いついたが、残った一発は変わらず敵機を追い続ける。

 フレアによる回避が失敗した敵機は回避行動を継続しつつ、機関砲による迎撃を試みる。しかし、射撃を開始するのが遅すぎた。迎撃し切れず、懐に潜り込んだミサイルに寸前の所で機関砲弾が直撃し、爆発の加害範囲に機体の一部を巻き込まれ、撒き散らされた破片で装甲を抉り取る。

 機動のための脚部スラスターの片方が損傷し、目に見えて加速が鈍り、体勢を崩す。

 そこで最高速度で接近する隊長機と、爆発によって機体が体勢を崩し、主腕から脱落した機関砲が勢いよく頭部に衝突する。

「くそっ! 何やってんですか隊長!」

『すまん! 回避が間に合わなった!』

「このままだと何が起きるかわからないんで、俺が引っ張って帰投します。いいですね!? ファルコン6は援護たのむ!」

 敵機もこのまま兵装を失い、損傷した状態での戦闘は不可能だと判断したのかふらつきながらも後退していき、周りで同じように戦っていた敵機たちも、輸送船を保護してから援護に来た隊長機含む二機を見て数で不利になったから引いていく。

『敵機の撤退を確認。追撃は不要。第二小隊は帰投せよ。第一二分隊はそのまま護衛だ。ファルコン3は一二に合流しろ』

 今回の戦闘も乗り越え、基地も見えてきたことでようやく息がつけ、基地の着地位置へと自機と機関砲を懸架していないほうのアームで掴まれている、頭部の光学センサーを覆うカバーが砕け散った隊長の機体を下ろす。

 機体を所定の駐機位置へと止め、停止したことを確認してハッチを開けて機体から降りる。

 その時、輸送船が到着し、輸送船を護衛していた第一小隊の残りの機体が帰還する。

 さっきの自分と同じようにハッチを開けて降りてきた先輩方から声を掛けられる。

「隊長はミスったみたいだな。お前は大丈夫か?」

「かすりもしてませんよ、一応。隊長も頭部ぶつけた位みたいですし、きっちり命中弾当ててますし」

「まっ、隊長も運が無かったみたいだな。なんかギリギリまで近づいてから撃つって言ってたしな」

「そのおかげで戦ってた相手を撃退できたんだからとやかく言えないですし」

 そこで会話が終わり、自分達の機体へ自機の確認のために戻っていく。やはり気づかないうちに負っているかもしれない相棒の損傷が無いか確認する事くらいはしたい。

 自分の機体を見てみると、すでに自己診断システムの機材に繋がれていた。

「キリシマ少尉ですか。気になるのはわかりますが、これは我々の仕事なんで。ヘマはしてないみたいですし、休んでてください」

「いやそうなんだけどもさ。やっぱり、自分の命預けるものを完全に他人任せにするのはね。形だけでもこういうことはしときたいんですよ」

 そう言って自機だけではなく、周りの機体も見ると、隊内で唯一損傷している隊長の機体の周りが騒がしくなっていた。

「いや、分かってはいるんだぞ、仕方ないって。ただこうまで見事にセンサー類がやられていると、な」

「すまんが、パーツが無いかもしれん。さすがに無理だぞ、そうだったら」

「ごめんて。いやまじで」

「まあいい。さて、パイロットどもは休め! 後は我々整備の仕事だ。次に備えて休んでろ!」

 そう言って隊長と話していた彼は仕事に取り掛かる。




知識不足故に馬鹿なこと書いているかもしれませんが、そのときはやんわりとご指摘お願いします。
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