個性派ガンナー三人に悠真がどう立ち回るのか、ご期待下さい。
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はぐれ悪魔を討伐した翌日。授業が終わり学校から直でバイト先のレストランへ直行した俺はこの日も閉店までバイトをしていた。
「悠真くん。2番テーブルのお客さん、デザートでティラミス追加したからお願いね」
「了解。夏梅さん、5番テーブルのパスタ出来たから持って行って良いよ」
「OK!」
ホールを担当する女性ウェイターの
「シグネさん。これ2番テーブルにお願い」
「うん。あ、空閑くん。1番テーブルのお客さん、アクアパッツァと鴨肉のグリルだよ」
「うむ、了解」
2番テーブルのデザートをもう一人のホール担当の
うーむ、今日はお客さんが多いからちょっとバタバタするな。ペース上げて行くか。
「おい、空閑。洗いもんはこっちでやっとくぜ」
すると、この店で数少ない男性スタッフの
「ありがと、鮫島さん。助かります」
「おう、気にすんな。こっちこそ、鳶雄の代わりに厨房を任せて悪いな」
「いえいえ。バイトとして当然の事なので」
「バイトの仕事量超えてるけどな」
「その分、給料は良いので」
細かい事を気にする鮫島さんに俺はそう言いながら料理を続ける。ちなみに、鮫島さんたちは幾瀬さんの友人らしい。なんでも、高校からの付き合いだとか。
「ごめん!遅くなった!」
すると店の裏口から幾瀬さんが慌てた様子で現れた。
「良いタイミングで来たな、鳶雄」
「悪い。空閑くんもごめんね、一人で厨房任せてしまって」
「大丈夫。幾瀬さん、1番テーブルのアクアパッツァお願いして良い?俺は鴨肉のグリルやるから」
「分かった。任せて」
幾瀬さんは遅れた分を挽回する為に早速アクアパッツァを作り始める。幾瀬さんが来てくれたお陰で何とかなりそうだ。さて、俺も自分の仕事をやるとするかね。
◾️◾️◾️◾️
「ふぃ〜。何とかなった」
最後のお客さんが帰ったところで店を閉めて、本日の営業は終了。いやー、疲れた。
「お疲れ様、空閑くん。本当に助かったよ」
「いえいえ。幾瀬さんたち皆さんのお力があってこそです」
俺一人の力なんてたかが知れてるし、幾瀬さんたちが居なかったら店が回らなかったのは間違いない。
「謙遜すんなって。マジで感謝してるぜ」
「そうだよ!悠真くんが居なかったら店自体営業が出来なかったから!しかもとんでもない速さで料理してたから私たちとお客さんビックリしちゃった!もしかして忍者なの?」
「凄い残像が出てた」
「日々鍛えておりますので」
作業スピードの速さに驚く夏梅さんたちに俺はそう答える。
すると、グゥ〜と結構大きめな音が聞こえた。俺たちが視線を向けると、シグネさんが顔を真っ赤にして両手でお腹を抑えていた。
「ごめん。お腹空いちゃった」
どうやら空腹なシグネさんのお腹の音だったらしい。なんか似た様な光景を見たな。まあ、今日は忙しかったし、沢山体を動かしたせいでカロリーを大量に消費もするのは仕方ない。
「皆さん、お腹空いてる?良かったら賄い作るよ」
「悠真くんの賄い!?食べたい食べたい!」
「マジか。ソイツは楽しみだな」
「空閑くんの料理、興味ある」
俺の提案に夏梅さんたちは興味津々で頷く。
「空閑くん、今日は俺が作るよ。前にも作って貰ったし」
「いえいえ。俺が作りたいだけなので遠慮なさらず」
「え?鳶雄は悠真くんの料理食べた事あるの!?」
すると夏梅さんが驚いた表情で幾瀬さんに訊く。
「うん。前に作って貰った事があってね。その時はラヴィニアも食べてたよ」
「鳶雄だけじゃなくてラヴィニアも!?」
「おいおい、氷姫も空閑の料理を食ってたのかよ」
「二人だけずるい」
「いや、ずるいって言われても」
前に俺の賄いを食べた事がバレてしまい幾瀬さんが皆に問い詰められていた。
「まあまあ。今から作るから、少々お待ちを」
そう言って俺はキッチンに戻り、賄いを作り始める。
◾️◾️◾️◾️
作る事数十分。俺は完成した賄いをテーブルへ運ぶ。
「お待たせしました。今日の賄いはアッシパルマンティエです。付け合わせにはバゲットと玉ねぎのポタージュを用意しました」
『おお〜〜〜!!』
熱々のアッシパルマンティエを見て皆が興味津々な目で見つめる。今回は業務用のオーブンなので大きめな器二つで作ってみた。やっぱり大きいオーブンは使い易くて良い。欲しくなるけどお値段がなぁ。
「へえ。アッシパルマンティエか」
「これ知ってる!確かフランスのグラタンなんだよね」
「コイツは美味そうじゃねぇか」
「ポタージュも美味しそう」
「うむ。気に入ってくれてなにより」
幾瀬さんたちのリアクションを見て俺は頷く。よしよし、掴みは上々。後は味が気にいるかだ。
「さあさあ、冷めないうちに頂いて下さいな」
「うん。それじゃあ」
『頂きます』
各々器からアッシパルマンティエを受け皿に移して食べてみる。
「うん!美味しい!………ん?」
「何だ?この食感」
「シャクシャクするね」
一口食べてみるとシャクシャクとした食感に夏梅さんたちは首を傾げる。
「この食感………もしかして、筍が入ってる?」
「正解。流石だね、幾瀬さん」
食感の正体を見破った幾瀬さんに俺は満足そうに頷く。実はミートソースに薄切りにした筍を混ぜておいたのだ。
「へぇ〜、筍が入ってたのね!」
「食感が良いな。グラタンに筍って合うんだな」
「うん、風味も合ってて凄く美味しい」
サプライズの筍に皆は驚きながらも美味しそうに食べる。前にマカロニグラタン作った時に試しで入れてみたら思いの外良かったのでアッシパルマンティエでアレンジしてみた。
「うん。ポタージュも美味しいね。玉ねぎの甘みが出てる」
「美味しすぎて止まらない!バゲットに乗せて食べちゃお!」
「やべー、これ酒が飲みたくなるわ」
皆が食べる中、シグネさんが一番美味しそうにバクバク食べていた。この人、見た目によらず結構食べるな。
「シグネさん、結構食べるね」
「うん。凄く美味しくて。ご、ごめん。食べ過ぎちゃった?」
食べ過ぎた事が恥ずかしいのか少し顔を赤くするシグネさんに、俺は満足そうに笑う。
「良いんじゃよ。まだ沢山あるからね。気にせず一杯食べなさい」
「孫にたらふく食べさせる田舎のじーさんかよ」
「この中だと俺が一番年下だけどね」
一芝居すると鮫島さんからツッコまれた。いやー、だってこんなに食べてくれると作った側としては嬉しいじゃん?
そう言いながら、俺たちは談笑をしながら楽しく賄いを食べ続けた。
◾️◾️◾️◾️
賄いを食べ終え、駅まで鮫島さんにバイクで送って貰った俺は電車に乗って駒王町に戻って来た。
「あれ?兵藤じゃん。お疲れさん」
「あ、空閑。お前何で此処に居るんだよ」
夜道を歩きながら家まで歩いていると、一軒家の前に自転車を停める兵藤と遭遇する。
「バイト帰り。そっちは悪魔稼業か?」
「おう。今からこの家に訪問するんだ」
兵藤のお客さんって事は相手は人間の男性だろうな。しかし、悪魔が自転車に乗って人間の家を訪ねるってかなりのレアケースだな。
部長さんの話では、兵藤の魔力がもの凄く少ないせいで魔方陣での空間移動が出来ないんだっけ?これだけ魔力が少ないなら、元々のトリオン量もかなり少なかっただろうな。下手すると三雲修よりも低いかもしれない。
「ふむ?兵藤、この家の玄関開いてないか?」
「あ、ホントだ。不用心だな」
俺が兵藤に一軒家の玄関口が開いている事を指摘する。確かに不用心だけど、こんな深夜に玄関が開いてるのは変じゃないか?
俺は念の為にトリガーを起動させ、トリオン体に換装する。
「………兵藤、俺も行く」
「え?何で?」
「明らかに変だろ。こんな夜中に玄関が開いてるのはおかしい。警戒した方が良いよ」
「わ、分かった」
兵藤は戸惑いながら頷いて開いた玄関から家の中へ入って行き、俺も後ろをついて行く。廊下には灯りがついておらず、階段上の二階も電気がついていない様だった。
一階奥の部屋に淡い灯りがついている事に気が付いた俺たちは警戒しながら廊下を進む。
奥の部屋はリビングだった。部屋にはテレビやソファー、テーブルが置かれていた。至って普通の部屋だった。
しかし、壁の光景に俺は目を鋭くする。壁には首の無い男性の死体が上下逆さまになった状態で釘が刺さって貼り付けにされていた。
しかも、その死体は全身を鋭利な刃物の様な物で切り刻まれた痕跡があり、傷口から血が滴り床には赤黒い血溜まりが溜まっていた。
そして、死体の腹部の傷口からは内臓が飛び出ていた。
「コボッ」
あまりの悲惨な光景に兵藤は思わず嘔吐した。俺は兵藤の心配をしつつ、死体周辺を確認する。すると、壁には血で文字が書かれていた。
「…………ねぇ、
「え?」
俺は後ろに振り返り、リビングの出入口の方を見て訊く。
「イエス!『悪い事する人はおしおきよー』って、聖なるお方の言葉を借りたものさ」
後ろに立っていたのは神父の服を身に纏った白髪の外国人の男だった。年齢は見た目からして10代半ばと俺たちとあまり変わらないくらい少年だった。
「んーんー。これはこれは、悪魔くんではあーりませんかー。それに、人間の男の子もセットですかい」
神父の少年は俺たちを見るなりニンマリと嗤った。
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