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オカルト研究部と顔合わせして数日。時間がある日は部室に足を運んで部長さんたちと話をしたりして過ごしていた。
「空閑、今日は部室来るのか?」
放課後。兵藤が部室に来れるか確認して来たので、俺は両手を合わせて謝罪する。
「悪いな、今日はバイトだから行けない」
「了解。部長たちにもそう言っとく」
「サンキュー。今日も兵藤はチラシ配りか?」
「あー、どうだろ。多分そうじゃないか」
兵藤は今、部長さんの指示により悪魔稼業の下積みをやってる。悪魔は人間との契約を交わして相手の願いを叶えて対価を貰うのが生業らしい。部長さんや他の部員もお得意さんの人間と契約を結んでいる。
「まあ、目標の為に下積み頑張れ」
「おう!ハーレム王になる為に、絶対出世してやるぜ!」
そう言って兵藤は気合を入れて部室のある旧校舎へ向かった。兵藤はどうやら悪魔になった目標として上級悪魔になってハーレムを作りたいらしい。
悪魔にも階級があって、下級・中級・上級・最上級とカテゴリーされている。部長さんは悪魔でも名家であるグレモリー家の次期当主候補で上級悪魔だそうだ。ちなみに転生悪魔は下級悪魔からのスタートとなる。
兵藤はその上級を目指して実績を上げていく事に決めて頑張っている様だ。
「さて、バイトに行くか」
俺はバイトがあるので今日はオカルト研究部の部室に足を運ばず、そのままバイト先へ向かう事にした。
◾️◾️◾️◾️
「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」
「こんばんは、空閑くん。また来ちゃった」
「ありがとうございます。また来て頂いて嬉しいです。お席へご案内いたします」
俺はバイト先のレストランでホールとして接客をやっていた。今来店したお客さんはよく店に来る二十代半ばのOLさんである。
「ご注文はお決まりですか?」
お客さんをテーブルに案内した俺は水を注いだグラスを置いて注文を伺う。
「今日は何がオススメかな?」
「本日はこの時期が旬の魚介である鰆とアサリのアクアパッツァがオススメです。他にも桜鯛のパスタや初鰹のカルパッチョも今ならではのメニューとなっております」
「どれも美味しそう。それじゃあ、アクアパッツァとパスタをお願いしようかな」
「かしこまりました。お待ち下さい」
注文を受け取った俺はキッチンへ向かう。
「幾瀬さん、三番テーブルのオーダー"鰆とアサリのアクアパッツァ"と"桜鯛のパスタ"です」
「分かった。空閑くん、一番テーブルのカルパッチョが出来るから持って行ってくれるかな」
「分かりました」
レストランのコックをしている大学生の幾瀬鳶雄さんにオーダーを伝えた俺は出来上がった初鰹のカルパッチョを一番テーブルに持って行く。ちなみに此処のコックは幾瀬さんしか居らず、この人のワンマンでキッチンを回している。前から思ってたけど店としてそれは大丈夫なのか?
けど、店自体は繁盛してるんだよなぁ。この店は幾瀬さんの作る料理がどれも美味い事で評判だし、
そんなこんなで営業時間が無事終了し、今日のバイトは終わった。
「お疲れ様、空閑くん。今日は他のスタッフが予定で来れなくなったからホール任せっきりにしてごめんね」
「いえいえ。幾瀬さんもお疲れ様です」
お礼を言う幾瀬さんに俺は手を振りながら返事を振る。それにしても元気だな。俺もバイト中は接客ばっかりでお客さんに失礼の無い様に神経使ったから心身共に疲労が溜まっているけど、幾瀬さんに関してはずっと料理作っていたにも関わらず疲れを一切見せなかった。この人って結構超人だな。料理好きなのもあるんだろうけど。
「今から賄い作るけど、空閑くんも食べるかい?」
おお、賄い。それはありがたいが、幾瀬さんはさっきまでコックでフル稼働だったから流石に賄いまで作って貰う訳にはいかないな。
「良かったら賄い、俺に作らせて貰っても良いですかね」
「空閑くんがかい?良いの?」
「はい。幾瀬さん程の腕には敵いませんが」
「あはは、そんな事ないと思うよ。それじゃあ、折角だからお願いしようかな。余った材料は好きに使って大丈夫だから」
「了解」
許可を貰ったので念入りに手を洗い、エプロンを借りる。冷蔵庫の中を確認して、使う食材を吟味する。痛みやすい物から使っていこう。メインの食材は………鰆とアサリにするか。
「よし。やるかね」
気合を入れて作業に取り掛かろうとしたその時、店のドアが開いた。
「お疲れ様なのです、トビー」
店に入って来たのは金髪碧眼の美女だった。
「ラヴィニア?帰って来てたのかい?」
お?幾瀬さんが彼女を見て少し驚いた顔をした。しかも反応を見るに知り合いの様だ。それと、"トビー"って幾瀬さんの渾名か?あー、鳶雄でトビーか。
「さっき帰ったのです。あら?初めて見る人なのです」
「ああ。彼は最近バイトで入った空閑悠真くん。空閑くん、彼女はラヴィニア。俺の友人だよ」
「どうも、アルバイトの空閑悠真です。初めまして、ラヴィニアさん」
「ラヴィニア・レーニなのです。初めてましてなのです」
挨拶するとラヴィニアさんは優しく笑みを浮かべて挨拶を返した。
「紗枝たちも一緒かな?」
「シャーエたちとは別行動なのです」
ふむ?今度は別の人の名前が出て来たな。二人の友達とかか?
すると、クゥ………とお腹の鳴る音が聞こえた。
「晩ご飯がまだなのでお腹が鳴っちゃったのです」
音の発生源はラヴィニアさんだった様で、恥ずかしそうに頬が少し赤くなった。
「ふむ。ラヴィニアさん、今から賄い作るんですけど一緒にどうです?良いですよね、幾瀬さん」
「うん。俺は良いよ。お願い」
「一緒に食べて良いのですか?」
「大丈夫大丈夫。直ぐに作るので、幾瀬さんと少々お待ち下さい」
そう言って俺は三人分の賄いを作り始める。さて、食べて貰うからには美味いものを作ろうじゃないか。
◾️◾️◾️◾️
「お待たせしました。鰆とアサリのチーズリゾットです」
キッチンにあった材料で作ったチーズリゾットを三人分に分けてテーブルに並べる。
「へえ、鰆とアサリを使ったチーズリゾットか。考えたね」
「とても美味しそうなのです」
テーブルに置かれたチーズリゾットを見て幾瀬さんとラヴィニアさんが良い反応をしてくれた。
「ではでは、お二人とも。冷めないうちに召し上がって下さい」
「そうだね。それじゃあ、いただきます」
「いただきますなのです」
二人はスプーンでリゾットを掬って一口食べる。さて、お口に合ったか?
「うん!凄く美味しいよ。鰆とアサリの味がしっかりしてて、チーズに負けてない」
「
良かった。二人とも美味しそうに食べてくれた。しかもラヴィニアさんはイタリア語で喜んでくれた。やったぜ。
我ながら上手く作れたな。前に鱈を使ってチーズリゾットを作った事があったから、今回はそのアレンジだ。やっぱり旬ものはその時期に食べるのが一番美味いな。
「今度、店のメニューで出すのも良いかもしれないね」
「いやいやいや。流石にそこまでは」
「そんな事無いのです。
ん?ユゥーマー?
「"ユゥーマー"とは、もしや俺の事です?」
「はいです。悠真なのでユゥーマーなのです」
「あはは。ごめんね、ラヴィニアはよく人に渾名を付けるんだ」
それはワールドトリガーで色んなキャラの渾名を生み出した王子先輩こと王子一彰みたいなヤツですか?"ポカリ"とか"ジャクソン"的な。"クーガー"じゃなかったのは少し残念だけど、ユゥーマーも悪くないかな。
「ふむ。ユゥーマーか。良いですね。ありがとうございます、ラヴィニアさん」
「はいなのです。ユゥーマーが気に入ってくれて良かったのです」
ラヴィニアさんは嬉しそうに頷きながらリゾットを食べ続ける。そんな彼女を見て俺と幾瀬さんも笑ってリゾットを食べる。こうして、二人と談笑しながら賄い飯を完食した。
◾️◾️◾️◾️
「それじゃあ、お二人とも。お疲れ様でした」
「うん。またね、空閑くん」
「またなのです、ユゥーマー」
賄いを食べ終え、店の後片付けを済ませて幾瀬さんとラヴィニアさんに別れの挨拶をした俺は家へ帰宅する。
『ユーマ、少し良いか?』
すると、レプリカが指輪越しに話しかけて来た。
「どうした、レプリカ」
『先程のラヴィニア・レーニ。幾瀬鳶雄と同様、
レプリカの解析によると、幾瀬さんとラヴィニアさんは
「そっか。前から幾瀬さんは只者じゃないなとは思ってたけど、ラヴィニアさんもか」
『どうする、ユーマ。
危惧するレプリカに、俺は首を横に振る。
「まあ、面倒な事が起こったらその時に対処するよ。今のバイトは嫌いじゃないし、幾瀬さんとラヴィニアさんも良い人みたいだから。間違ってるか?」
『それを決めるのは私ではない。ユーマ自身だ』
「ありがとな、レプリカ」
一先ず幾瀬さんたちとの関係は継続して、向こうから何かアクションを起こすまでは俺からも何もしない事を決める。
「刃狗」チームから幾瀬鳶雄とラヴィニア・レーニを先行登場させました。
次回は三人目のヒロインが登場します。
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