『あなた』がスタレキャラと仲良く(意味深)なっちゃった!   作:ザワザワする人

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ケリュドラ

 

「何か言い分はあるか?」

 

あなたは今、あなたが仕えるケリュドラの前で正座させられていました。

 

【……た、ただセイレンスさんと買い物に行っただけで……】

 

「彼女である僕に、何も言わずにか?」

 

ケリュドラが言っている事は事実なのです。

あなたは付き合っているケリュドラに何も言わずに、あなたと同じようにケリュドラの忠実な臣下であるセイレンスとある物を買いに二人で出掛けてしまいました。

あなたは助けを求めて、チラチラとケリュドラの横に立つセイレンスに視線を向けます。

 

「……カイザー、そこまで怒らなくても良いだろう?彼も反省している」

 

「剣旗卿。これは僕と〇〇〇の話だ。僕の剣旗とはいえ口を挟むのは大罪だぞ」

 

「なんだ、珍しいなカイザー。君が嫉妬のような感情を抱くとは」

 

「……剣旗卿。この部屋からの退室を命じる」

 

「…従おう」

 

あなたの頼みの綱の筈のセイレンスはそそくさとどこかへ行ってしまいました。

バタンと扉が鳴った後に、ケリュドラは何も言いませんでした。

二人の間にはただ沈黙が流れます。

 

「……告白した時の事を覚えているか?」

 

先に口を開いたのはケリュドラでした。

 

「オンパロスが完全に銀河の一員と成った後、お前が僕を呼んだんだ」

 

「今思えば、ご丁寧に用意された舞台だった。金織卿が噛んでいたな」

 

「お前が僕に跪き、誓ったんだ」

 

「永遠を、共にすると。僕の後ろにいつでも着いてくると。だから…共に歩ませてくれと」

 

「あの言葉は……偽物だったのか?」

 

顔を下げていたあなたは、グリンと顔を上げました。

声が震えていたからです。

ケリュドラの小さな体に似合わない程の、大粒の涙が目に溜まっていました。

ケリュドラはあなたに見られ、そっぽを向きました。

 

「もう良い……下がれ」

 

今まで、ケリュドラはあなたにそんな命令を下しませんでした。

あなたとケリュドラは実際にいつも一緒だったからです。

 

ケリュドラが、降り積もる雪の寒さに凍えそうになる歳の時も。

ケリュドラが、カイザーとしての業務を執る時も。

ケリュドラが、戦地の指揮を執る時も。

ずっっと一緒にいたのです。

 

だから、ケリュドラにとってこの言葉はどうしようもない拒絶なのです。

 

でもだからこそ、あなたは後ろからケリュドラを抱きしめました。

 

「……離せ」

 

ケリュドラの声はまだ震えています。

 

「……離せ」

 

あなたは絶対に彼女を離しません。

 

「……離してくれ」

 

力いっぱいに彼女を抱きしめます。

 

そして、彼女の耳元でそっと囁きます。

 

【好きです】

 

「ひゃっ……な、何を……」

 

【世界で一番大好きです】

 

「僕を舐めるな……。そんな言葉だけで……」

 

【ずっと一緒です。好きです。大好きです】

 

「うぅ〜………分かった!分かったから離してくれ!!」

 

そう言われて、初めてあなたはケリュドラを離します。

 

「お前は……なぜこうも恥ずかしい言葉を……」

 

ケリュドラの恥ずかしがる反応で、あなたも正気に戻ります。

 

「なぜお前も赤くなるんだ……」

 

思い返してみると、結構自分でもやばい事を言っていた気がするあなたも頬を赤くします。

 

「………悪かった。僕も言いすぎた」

 

ケリュドラは視線をあなたには合わさずに、謝罪しました。

それに合わせて勿論、あなたも謝ります。

先程の事と、セイレンスと勝手にお出掛けに行った事です。

 

「……なぜ剣旗卿と出掛けたんだ」

 

ですがケリュドラの不安はまだ完全に晴れた訳ではありません。

どれだけあなたがケリュドラを愛している事を証明しても、あなたはケリュドラから見れば浮気野郎に他ならないのです。

あなたは買い物に行ったのだと、押し通します。

 

「ダメだ。なら、買ってきた物を見せてみろ」

「見せられない?なら僕達の仲は破却だ」

 

破却という言葉を聞いて、あなたは急いでポケットから買ってきた物を取り出します。

あなたは頬を更に赤くしながら、ケリュドラにそれを差し出しました。

 

「……?随分と小さな箱だな……どれどれ中身は———」

 

パカッと小さな純白の箱を開けたケリュドラは目を大きく見開きます。

そしてよく見た後に、ケリュドラはゆっくりと蓋をしました。

 

「………………」

 

【………………】

 

沈黙の間、ケリュドラはずっと小さな箱を両手で包むように握っていました。

 

「……これを、本当に僕に?」

 

小さく、確かめるような声だった。

あなたが頷くと、ケリュドラの肩がわずかに震えます。

 

「……剣旗卿と出掛けたのは、これのためか」

 

あなたは首を縦に振ります。

 

「僕に黙って?」

 

【驚かせたくて……】

 

「……馬鹿者」

 

叱責の言葉のはずなのに、声はひどく弱く、どこか甘かった。

 

ケリュドラは箱を胸に抱き寄せます。

 

まるで奪われまいとするように。

 

「……お前は、僕がどれだけ……」

 

そこで言葉が途切れました。

 

代わりに、彼女はゆっくりとあなたの方へ歩み寄ります。

 

視線の高さを、いつもとは違ってケリュドラから合わせました。

 

「……覚悟はあるのか」

 

「僕の傍に居続ける覚悟だ。途中で逃げる事は許さない。僕は———」

 

彼女は一度、言葉を飲み込みました。

 

「……重いぞ」

 

その瞳は、戦場で指揮を執るカイザーのものではなく、ただ一人の少女の、不安と期待が混じった目でした。

 

あなたが迷いなく頷くと、ケリュドラは息を呑みます。

 

「……本当に、馬鹿だな。お前は」

 

次の瞬間。

あなたの襟元を掴み、ぐいと引き寄せました。

 

「っ———」

 

触れたのは、一瞬。

 

けれど確かに、唇の柔らかな感触が残りました。

 

離れた後、ケリュドラは自分の口元を押さえ、顔を真っ赤にします。

 

「こ、これはだな……その……!」

 

完全に動揺しているくせに、必死に威厳を保とうとしています。

 

「僕からしてやったんだ!光栄に思え!」

 

【……はい】

 

「返事が素直すぎる!!」

 

さらに赤くなりました。

 

「……次は」

 

ケリュドラはそっぽを向いたまま、小さく呟きます。

 

「次は、お前からだ」

 

あなたはゆっくりと、あなたの彼女の頭を抱えて、その唇を———

 

 

 

 

 

 

「カイザー!!!大変だ!!!お一人様限定メニューの超大盛りだ!!カイザーと彼も一緒に……………何をしていたんだ?」

 

 

———奪うことになりませんでした。

 

 

「け、剣旗卿。ノックをしろ!!」

 

「あ、あぁすまなかった。それより、二人は何を」

 

【超大盛りなんて楽しそうですね!!は、早く行きましょう!!】

 

「そ、そうだな!剣旗卿!今すぐ連れて行ってくれ!!」

 

「……?それもそうだな、早く行こう!」

 

そうして、彼らはセイレンスに連れられて超大盛りを食べる羽目になったのでした。

 

その日の夜、ケリュドラの部屋からベットが軋む音が聞こえたのはきっとセイレンスの気のせいでしょう。

 

 






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