『あなた』がスタレキャラと仲良く(意味深)なっちゃった!   作:ザワザワする人

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キャストリス

これは3000万を超える輪廻の中で、一度たりとも変化の無かったある一幕です。

全ての輪廻の中で、この一幕はある一人の少女の心を揺さぶり続けました。

時には自ら火種をカスライナに差し出す選択肢を取らせることもあれば、カスライナを一歩手前まで追い詰めるほどに彼女の心を燃やし続けた事もありました。

それら全てを知った彼女は、全てが終わった今、何を思うのか。

どうか、美しく、儚く、そして勇猛な一幕をご堪能ください。

 

 

 

 

 

 

行く宛も無く、放浪していた少女がいました。

彼女の指先は常に冷たく、まるで生き物ではないようです。

実際に彼女の指は生命体に触れる事が出来ず、その温かさを感じる事が出来ませんでした。

彼女自身もまた、今まで彼女が経験してきた自らが奪った温かさを、感じる権利などないと思っていたのです。

 

ある日、彼女はこの星で最も大きな都市へと辿り着きました。

彼女が見てきたどんな都市よりも大きな場所です。

彼女はフラフラと歩いていました。

ここ数日何も食べていなかったからです。

しかし彼女に触れたものは皆死んでしまいます。それはもちろん故意に関わらずです。

彼女は精一杯の力を振り絞り、なんとかとある小さな建物へと入りました。

彼女が見たところ、その小屋は雨風はしのげどもとても人が住めるような場所ではありませんでした。

 

 

「え……?」

 

ですがそこにはあなたがいたのです。いつもの様に鉄を鍛えるあなたがいたのです。

彼女はすぐさまその場を立ち去ろうとします。

しかし、彼女が振り返ろうとした瞬間に彼女の頬を通り過ぎるものがありました。

それは熱です。あなたが鉄を打つのと同時に、辺りには熱風が吹きます。

その熱を彼女は全身で感じ取りました。

 

「…………(気づいていないようですし)」

 

彼女はほんの少しの間、その熱を感じていることにしました。

これが、最初のあなたとキャストリスの出会いでした。

結局キャストリスはあなたが気づく前にどこかへ消えてしまったので出会いと言えるかは怪しいですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、キャストリスはアグライアに拾われて正式に火を追う旅へと加わりました。

キャストリスにアグライアは、黄金裔やこの旅に協力している一般人を紹介していきました。

その中にはもちろんあなたもいます。

 

「あなたは………」

 

「彼は鍛冶師です。彼が言うには、オンパロス一の鍛冶師らしいですよ」

 

アグライアに呼ばれて急いできたと言うのに、なんて言い方でしょう。

 

(´・ω・`)

 

こんな可愛い顔をしても、アグライアは冷たい目でこちらを見てきます。

そんなあなたに溜め息を吐いてからアグライアは言い直します。

 

「……彼に頼めば大抵のものは作ってくれます。黄金裔の武器の中には彼が作ったものあります。

あの口うるさい樹庭の学者の武器も……

 

なにか愚痴が聞こえた気がしますが、たぶん気のせいでしょう。

あなたは目の前にいる儚げな少女に、親愛の意味を込めて片手を差し出します。

 

「あ………ごめんなさい。私に触れることはできないのです………」

 

首をかしげるあなたに、アグライアが補足します。

 

「彼女に触れることはできません。触れた瞬間に、生命体は活動を停止します。この注意を含めてあなたを呼んだのです。あなたは昔から、人たらし………人懐っこい節がありますので」

 

キャストリスは思わず下を向いてしまいます。

今までのどんな一般人であれ、彼女の性質を知った者は恐怖するものです。

蔑まれ、恐れられ、距離を置かれてきました。

 

しかし、そんな下を向く彼女に、あなたはゆっくりと近づいていきます。

 

そして彼女の手をじっくりと見て、あなたは言い放つのです。

 

[綺麗な手ですね!!]

 

「え………あ、ありがとうございま……す?」

 

「まったく………」

 

すると突然あなたは、ばびゅーんっと走り去ってしまいました。

決して、キャストリスが怖くなったわけではありません。あなたの工房に戻る為です。

 

「ど、どうなされたのでしょうか………」

 

「数分で戻ってきますよ。彼は、そういう人です」

 

「………?」

 

待っている間、キャストリスはずっと彼に言われた言葉を反芻していました。

なぜか、自分の頬が熱くなってしまいます。

こんな事は、今までに一度もありませんでした。

だってそういう時は必ず彼女は、涙を流していたのですから。

彼女が自分の感情に名前を付ける前に、あなたは戻ってきました。

その手には小さな箱が握られています。

 

「それで?今度は何を作ったのですか?」

 

アグライアが聞き、あなたは待ってましたと言わんばかりに箱を開けます。

 

「………………まったくあなたは………………」

 

「こ………これは指輪でしょうか?………」

 

首をかしげる彼女にあなたは説明します。

ただの指輪ではありません。

最近手に入れた自然発熱する金属でできているのです。

その性質からなかなか変形させるのは難しかったのですが、あなたはやはり天才かもしれません。

思わず、鼻が伸びてしまいます。

 

キャストリスにそれを渡した後、あなたはすぐさま工房に戻りました。

あの金属は、まだまだいろんな可能性を含んでいるのです。

早速、研究しなければいけません。

 

「よかったですね………キャストリス?」

 

「す、すみませんアグライア様………贈り物なんてほとんど貰ったことは無かったので………」

 

「………あなたの部屋を用意しています。このラフトラに付いていってください」

 

「ありがとう………ございます」

 

死の少女が。初めて嬉しみの涙を流した瞬間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「○○○様は、ぬいぐるみなどは作らないのですか?」

 

あれから、すっかりあなたとキャストリスは仲良くなりました。

大抵は、あなたの工房に彼女が来ていただけなのですが。

そんな彼女から、鍛冶師とは遠く縁のない言葉が聞こえてきました。

 

「あ……いえ、違います。そ……その、一緒に作りませんか………?」

 

[いいよ!]

 

二つ返事で、あなたは了承します。

早速あなたと彼女は向かい合って作業を始めました。

 

「意外と上手なのですね………」

 

彼女にそんな事を言われます。

あなたに思い当たる節が、無いわけではありません。

 

[小さい頃、アグライアと一緒にラプティスになろうとしてたから]

 

「そう……なのですね」

 

ただ昔話をしただけなのですが彼女の顔が、曇った気がします。

きっと気のせいでしょう。あなたは、作業を再び始めました。

 

 

 

[出来た!!]

 

 

あなたはやっとの思いで完成したライオンの人形を掲げます。

 

「すごいです。初めてなのにこんなきれいなぬいぐるみを……」

 

あなたは掲げたライオンをそのまま、キャストリスに渡しました。

 

「私にですか?……誘ってくれたお礼?……わかりました。アグライア様から○○○様は一度決めたら梃子でも動かないと聞いていますから」

 

そう言う彼女は少し微笑みながら、薬指に付けた指輪を撫でました。

 

 

 

 

 

 

それから数十年が経ちました。

キャストリスは死の半神となり、常世からいなくなりました。

アグライアはフレイムスティーラーとかいうやつに殺されてしまいました。

 

あなたは独りぼっちです。

ですが、あなたは今日も鉄を打ちます。

黄金裔はまだいます。彼らのために新たな武器を作らなければいけません。

 

だから、きっと気のせいです。

目の前に、自分がファイノンへと送った剣と酷似した物を持った剣士がいるのは。

そしてそれが自分に剣を向けているのは。

 

「………すまない………」

 

彼が謝った理由も、あなたには分かりませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

あなたは目を覚ますと、花畑の中にいました。

紫色の花が咲き乱れている、美しい花園です。

その中に、久しく見なかった友達(キャストリス)がいました。

 

「お、お久しぶりで……きゃっ!」

 

もう会えるだなんて思わず、あなたは彼女を抱きしめてしまいます。

一瞬あなたは彼女の力を思い出しましたが、すぐに違和感に気づきます。

あなたは彼女に触れても死んでいないのです。というよりもうすでに死んでいると言ったほうが正しいですが。

 

「……触れられるのですね」

 

腕の中から、かすかな笑いを含んだ声がする。

 

「ああ…そうか。あなたは分かりませんね。ここは、謂わば冥界なのです」

 

彼女の声は昔よりも少しだけ柔らかく、それでいてどこか遠い。

あなたはようやく体を離し、彼女の顔を見ます。

あの頃と変わらない儚げな瞳。

けれど、その奥に宿る光は確かに違っていた。

 

「……あなたは、変わりませんでしたね」

 

彼女は微笑みます。

彼女にとっては、あなたは唯一変わらなかった灯火でした。

 

触れれば死ぬ少女に、

ただ美しいと言った人。

恐れも、計算も、哀れみもなく。

ただ、まっすぐに。

 

「……あの時、私は初めて、奪う存在ではなくなれた気がしたのです」

 

彼女は薬指の指輪を撫でる。

あの、熱を宿す金属が確かに彼女を温め続けました。

あの時と同じぬくもりが、今も確かにある。

 

「あなたがくれた熱は、私を燃やし続けました」

 

時にそれは、彼女を火へと向かわせ。

時にそれは、世界そのものへと剣を向けさせた。

 

花畑の風が、ふたりの間をすり抜けます。

 

キャストリスもあなたも、しばらく互いの顔を見るだけで動かなかった。

 

「……ずっと、考えていたのです」

 

小さく、息のような声が漏れ出します。

 

「もし、あなたに触れられる日が来たら……私は何をするのだろう、と」

 

あなたが首を傾げます。

 

彼女はそっと顔を上げます。

 

紫の花弁が舞う中で、彼女の瞳はまっすぐあなたを映していました。

 

「私は、ずっと奪う側でした」

 

だから彼女は何かを“与える”という選択肢を、持ったことがありませんでした。

 

「今は、違います」

 

彼女は、ゆっくりとあなたの頬に手を伸ばす。

震えているのは、恐れではない。

これは、彼女が初めて自分の意思で選ぶ()()()()です。

 

「……目を閉じてください」

 

あなたは素直に目を閉じます。

 

キャストリスは一歩を踏み出します。

 

 

チュッ

 

 

そっと触れるだけの、羽のように軽い口づけです。

 

それは情熱でも、衝動でもありません。

 

感謝と、祈りと、ずっと言えなかった想いを込めた静かなキスです。

 

離れたあと、彼女は少しだけ照れたように笑います。

 

「……これが、私の初めての()()()です」

 

死をもたらす少女が。

 

初めて、誰かに何かを与えた瞬間だった。

 

花が揺れる。

 

そして彼女は、少しだけ勇猛な顔で言う。

 

「今度は、私があなたを守ります」

 

それは、彼女が“奪う存在”から“守る存在”へと変わった瞬間だった。

 

そう言った直後でした。

空気が焼け、甘い花の香りが一瞬で焦げ臭さに変わる。

遠くの空が、赤く裂ける。

ただ暗い影が、花畑の向こうに立っていた。

 

「やっぱりここにいた」

 

 

彼の足元で、紫の花が次々と灰になる。

あなたは反射的に一歩前へ出ようとする。

けれどその前に、キャストリスがあなたの前へ立ちました。

 

「だめです」

 

穏やかな声でした。

怒りも、憎しみもない。

決意です。

 

「あなたは、奪うことしかできない」

 

彼女の指輪が、赤く輝く。

 

あの日、あなたが作った熱を宿す金属。

 

「私は、与えることを知りました」

 

フレイムスティーラーが炎を解き放つ。

花畑が燃え、紫が赤に吞まれます。

けれどその炎の中心で、キャストリスは一歩も退かない。

 

あなたを振り返り、微笑む。

 

少し儚い笑顔で。

 

「愛しています。○○○様」

 

キャストリスは振り返って、そのままフレイムスティーラーへと対峙しました。

キャストリスは右手で自らの左手に触れます。

そっと、優しく。

薬指の温かさを確かめる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい。これがキャストリスのお話よ。楽しかったかしら?」

 

「うひゃ~ひきこもり姫大胆~!!」

 

「キャスたんにこんな一面があったなんて………」

 

やめてください………何も言わないでください………

 

[なんの話?]

 

「おっ!ご本人登場~!!」

 

「あはは……私たちはお暇しましょうか」

 

「そだね~。じゃっ!ひきこもり姫頑張ってね~」

 

[ん?なんの話してたの?]

 

「え………えと………その………」

 

[ん?」

 

「うぅぅ~~~………む、無理です!!!!

 

どこかに行ってしまったキャストリスよりも後ろでこそこそと隠れていた三人に聞くほうが早いと思ってあなたは聞こうとしました。

ですがあなたが口にする前に、三人は口を開きました。

 

「「「ほんとクソボケ」ですね」ね」

 

[なんで!?]

 

 

 





更新遅くなっちゃってすみません。
オンパロスキャラばっか書いてるので次はオンパロス以外書きます。

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