タクヤのカルパスは光らない   作:ニコラス―NICORUTH―

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サーフ系傭兵ファイター、タクヤ

LiberaliseFuture。通称、Life。

それは・・・

赤、青、白、黒の四色のカードで40のメインデッキ、20のライフデッキからなる60のデッキを構築し、

先に相手のライフを0にしたものが勝利する、カードゲームである。

 

 

 

 

 

 

「 ぬわぁぁぁあん、疲れたもぉぉぉおおん!! 」

 

「 しょっちゅう疲れてんなお前よぉ。 」

 

 常連の男、田所さんの叫びが店中に木霊するが、いつものことだ。この人はやけにやかましい。つっても他の客も大概煩くなったりするけどな。

この街、下北沢はやけに同性愛者が多い。が同時に、みんな共通して、あるものが好きなヤツが大半を占める。

カードゲーム、つまりLifeだ。

オレのこの店、『 拓屋 』はこのカードで楽しめる飲み屋って体を成している。

Lifeはアメリカ発祥のゲームなんだが、それが日本でも人気で国内独自のテーマが開発されて先行実装されてたりもする。

年間飛ぶように売れてんだぜ?

勿論オレもやってるし、この田所さんたちの周りも皆んなやってる。それくらいの大人気コンテンツってわけだわ。

 

老若男女問わずにカードゲームをしているもんだからそれと一緒に酒を楽しめるのをウリにしてるのが、ウチだ。

んで、オレの目の前では、大学の帰りに寄ったらしい田所さんとその先輩の三浦さんが試合をしているわけだが、こいつら飽きもせずにもう114試合はやってる。

 

すげぇ集中力だぜぇ?ぜってぇどっかの業界で結果だせんだろコレ。

こいつらと適当なメスのさ、子どもができたらどうする?

総理大臣の誕生か?なんて可笑しなことを考えそうになる。

実際こいつらが子を産んだら優秀な奴になりそうではあるんだが、オレたちはホモだからな。

女には、なびかないぜ。

 

前に別の客に聞いてみたんだ。結婚とかって考えてらっしゃるんですか?ってな。そしたらそいつ、そんなもんちっとも頭にないらしくてな。曰く仕事や学問に励み、Lifeをやる。これだけで充分だとさ。

謙虚なもんだよな?

その今を大事にする姿勢、学びたいもんだぜ。

 

「 田所、お前のプレイングせっかち過ぎるゾ。もうちょっと不利対面での立ち回り咥え入れろぉ?

あんなところで突っ込む必要多分ないゾ。 」

 

「 でもよ三浦はん、オレのデッキはアグロよりっすよ。テーマのコンセプト的にも攻めなきゃ弱いってそれ一番いわれてるからね、多少はね? 」

 

「 あっそっかぁ・・・だが速攻デッキだと勢いはでるが、凌がれると後がキツイゾ。

ミッドレンジくらいの速度がいいゾコレ。 」

 

 二人はLifeの用語を交えながら楽しそうに会話をしている。こんな風景見るたびに思うが、これだよなぁカードゲームの良いところは。

共通の話題で友だちを作りやすい。

 

競技性だデッキビルドの幅広さだというが、カテゴリーである程度纏まっていて、汎用カードが殆ど使われない、そしてある迷信が蔓延っているせいでそんなもの二の字になっているから、こっちがカードゲームの一番の特徴ってことになるな。

 

二人いないとそもそもゲームとして成立しないってのもあるけどさ、友だちってのはいいもんだよな。それができやすいのは何よりの利点だとオレは思うぜ。

どんなときだって、コミュニケーションを取るってのも大事だしな。

 

ウチもそんなプレイヤーたちの憩いの場として親しまれているらしい。実際サービスがいいって言われたことあるしな。嬉しいぜ、タクヤ!

 

 そんな時、オレのスマホから着信音が流れてきた。

誰からだと思いながら画面を覗き込むと、ホモであるオレにとって、一番身近な女性の名前がドンとでていた。

 

 そう、マネージャーの呼び出しはいつでも突然だ。

 

『 タクヤ、少し面倒なことになっています。すぐこれますか? 』

 

 ウリ専をやめた今のオレにとって、そのころからの付き合いのマネージャーのいう面倒とは、大概は、アレ絡みだ。

それに関しては、オレには実質拒否権はないようなものだった。

なにしろ、マネージャーは怒ったら怖いからな。

 

「 ウッス、今行きます。んで場所は? 」

 

『 場所は・・・ 』

 

 マネージャーに指定された場所に行くべく、オレは店子の少年に声を掛けることにした。

 

「 ポイテーロ、オレちょっくらいってくるから。

閉店時間まで戻ってこなかったら店閉めてていいからな。 」

 

「 ウッス! 」

 

 最近雇った均衡の取れた身体の店子の激エロ少年が元気に返事をしたのを確認したオレは、身支度を始めた。

ボードを腕に装備し、

普段使いのデッキを一枚一枚、まるでケツマンを舐め回すかのように、カルパスを弄くるかのように確認する。

60枚全部バッチリ揃っていた。

その中で目を引く一枚。このデッキの切り札ともいえるカードのイラストに描かれた、黒い鳳が、ジッとオレを見ているように感じたが、すぐにそれをしまった。

 

ウッス!サーフ系傭兵ファイター、タクヤ準備完了ッス!

 

「 ん?タクヤさんどっか行くのか? 」

 

「 あぁ、急用が入ってね。キミたちは問題なくカードと酒楽しんでていいから。

・・・そんじゃポイテーロ、店番頼んだぜ。 」

 

「 ウッス!店長いってらっしゃい!! 」

 

 ポイテーロの爽やかな笑顔を尻目に、オレは目的地に向かう。

もう夜が深いからか、人の姿は少なく、漆黒と街灯に彩られた下北沢の街中をオレは激エロボディを晒しながら足を進めていく。

網越しに、夜風がタクヤのカルパスに触れ、その涼しさに気持ちよくなり、つい勃ちそうになるが、タクヤは歩みを止めない。

マネージャーを待たせると悪いからな。

よくそんな格好で表通りを歩き回れるなと、他人に言われるけれど、この時間帯ではそんなこと些細な問題じゃない。

そもそも下北沢はホモの街だからな。

都市人口も男のほうが遥かに多い。

だから、女の目なんてものは気にもしなくていい。

オレの周りにも、女といえば、マネージャーくらいのものだ。

 

オレの目的地は下北沢郊外にある超古代文明の遺跡だ。

歩いている途中で、マネージャーがオレにLINEで教えてくれた。

なんでもキモティカ文明という、その昔あのアトランティスとほぼ同時期に発展して、その後滅んだ文明らしい。

この滅んだ原因というのは、今のところ明らかにはなっていない。ただ、そんなところにオレを呼び出すということは、やはりなにかあるんだろう。

元ウリ専ボーイは遺跡調査には必要ない。

必要なのは偉い学者さんと、インディージョーンズだってことぐらい、タクヤにもわかっていた。

だが、実際のところは行ってみなければわからない。

十中八九やはりアレ絡みだ。

Lifeに纏わる、というだけでは片付けられないほどに染み付いた、ある存在の。

オレは、暗い夜の闇を進んだ。

 

 

「 タクヤ、こっちです。 」

 

 目的地に着くと、マネージャーがタクヤを複数人もの調査員らしき身なりの人たちと一緒に待っていてくれていた。

この人たちはどこの方々なのかは知るところではないが、おそらくマネージャーの同僚かなにかなんだろう。

今、福祉局に務めていると表向きはいっているが、実際のところは、下北沢政府の要職らしきところに就いていると聞いている。

俗に言う、秘密結社ってやつなのかもしれない。

福祉局って名乗ってる奴は、大概怪しいからね。

それは、あのディズニーのエイリアンの映画もそうだったんだし。

でも、そんな人たちが居ないと、またたく間にこの下北沢は、アークとかいうカルト宗教に乗っ取られてしまう。

この街で、神様はGOだけで充分だ。

 

下北沢は、日本国内の中でも数少ない、アークを完全に根絶した街だ。この宗教上の関係により、この街は自治権が認められており、事実上、もう一つの国家ともいえる。

そう、ホモの楽園という言葉こそが、下北沢には似つかわしかった。

その為、アーク関係者はこの街に立ち寄ることは基本できない。

それによって、この街のホモやノンケたちの平穏は保たれている。

本当に、マネージャーや周りの人たちにはご苦労さまと一言

労ってやりたい。

そう思ってマネージャーに近づくと、これまた懐かしい顔とご対面することになり、タクヤは驚いた。

 

「 タクヤ、久しぶりじゃないか。 」

 

「 先輩!ウッスウッス! 」

 

 先輩は満面の笑みでオレに相も変わらぬ元気な姿を見せてくれた。この人はオレのウリでの文字通りの先輩なのだが、そんなオレと同じ元男娼の彼が、何故ここにいるのか疑問に残るところかもしれないが、それはオレよりも自然な理由だ。

 

「 研究の方はどうですか? 」

 

「 あぁ。立教大で楽しくやらせてもらっているよ。

ボクがお呼ばれされた時、ちょうどキモティカ文明の文献を漁っててね、いやあドンピシャってのもあるものなんだなと感心したもんだよ。 」

 

 ウリを辞めたあと、先輩は考古学者になった。

普段は本人のいっているように、立教大学で大昔の人たちの暮らしや文化について、研究しているらしい。

それで、この文明遺跡の調査にマネージャーとの縁もあって声が掛かったらしい。

 

「 タクヤ、ここで話していてもなにも進みません。至急、あの遺跡のなかに突入できますか? 」

 

 ええ、まだなにかあるのかもわかっていないのに唐突だな。

でも仕方ないね。マネージャーの無茶振りはいつでも突然だ。

だが、NOとは言い辛い。

 

「 ウッス!鬼のタクヤ、シャワーも浴びずに突撃します。 」

 

 こうしてオレは、流れに沿うように、超古代文明キモティカの遺跡に足を踏み入れることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中は暗く、ものがよく見えない。マネージャーが持参して持たせた懐中電灯の灯りと、既にだれか入っていたのか、そこらかしこに点けられたを頼りに、オレたち3人は進んでいく。

真っ暗闇の中、男女3人。

 

「 ここは、なにかの墓場か?キモティカの王様とか。 」

 

「 あり得なくはないが、おそらくその線は薄い。前にまさしく王族の墳墓が見つかっているが、そのいずれも弥生人の古墳やエジプト文明のピラミッドのような、巨大な石造りの建物だった。

キモティカ文明がこれらと同じ葬儀様式であると仮定すれば、ここが地下墳墓である可能性はゼロではないが、そこそこ低いはずだ。

間違いなく、ここは地下神殿だろう。 」

 

 先輩は、専門家らしくそういって、ここが墓だという可能性を否定した。

でも、こんなところでお化けとかでてこられたらマジ狂いになる自信しか今のタクヤにはない。

ホントになんでこんなところに呼び出されたのかはっきりさせておきたかったので、マネージャーに聞いてみると、やっぱり俺の考えていた通りの答えがでてきた。

 

「 結論からいえば、この遺跡には"精霊"が封印されているからです。 」

 

「 ウッス。やっぱり精霊なんですか? 」

 

「 はい。おそらくは古代にいた現代のカードのいずれでもない未知数の存在。それらしき反応をキャッチした後、調査隊をそのまま突っ込ませるのは却って危険ということで、腕の立つ傭兵ファイターであるタクヤを呼び立てました。 」

 

 この精霊というのは、人類の発展に大きく関わっている存在だ。

現代においては奴らはLifeのカードに宿り、日常の中で過ごしている。

 

俺からすれば、良いものにはみえない。スマホ並みに日常の一部にこそなっているが、Lifeはね、ゲームなんだよ。カードプール、構築に差異はあれど、ファイターは平等に勝負に挑むべきであり、お互いに作ったデッキの回し合いを見抜きし合う公開オナニーでなくてはならない。

共鳴率が高いカードを入れれば、それしか手札に来なくなる。それじゃせっかく作ったデッキの意味がない。

 

共鳴率なんて必要ねぇんだよ!勿論それにたかる精霊もだ!

そんなもの、Lifeから"ゲームとしての公平性"を奪う、いってしまえば寄生虫だ。

 

この下北沢の外のファイターたちは、みんなやれ共鳴率だやれ精霊だなどといい、奴らの顔を伺い立ててデッキの構築に制限がかけられている。粗チン以下だ。みんなみんなデッキ構築の話をしてやれば共鳴率が下がる、精霊が拗ねるとしか返さない。

ファイトにおいても、どいつもこいつも相手の手の内を探るよりも、どのカードを狙って引くかばかり考えてばかり。

対戦相手よりも、精霊やら共鳴率やらが先に頭にくる。

もうマジ狂い!

ファイターが見るべきは精霊なんてオカルトじゃない。

見るべきは相手であるべきだ。

セ○クスと同じなんだ。

ヤる相手がいて成立するんだから雄膣にデカマラぶち込む相手を意識するべきなんだよ。

顔が見えないプレイも興奮するが、見えないと見ないでは雲泥の差だ。

 

俺はそんな信念の元今日まで戦い続けてきたが、

どいつもこいつも対戦相手であるはずの俺を見ない。

みんなタクヤより非生産的なカードの精霊とやらに夢中だ。

ただ一つの例外を除けば、ちゃんと相手を見るのは、共鳴率が低い(つわもの)だらけのこの下北沢の住民くらいだ。

 

 話が長くなってしまった。申し訳ないッス!

それで精霊たちや共鳴率を過信するばかりのファイターたちへの憤りに心を燃やしながら遺跡の中を進んだタクヤたちの前に現れたのは、北京原人の末裔であるといわれているキモティカ文明の遺した遺産たちだ。

 

 精巧な石かなにかでできた造りは、三千年以上も経った今でも強固で、朽ちる気配を微塵も感じさせない。

タクヤの鍛え抜かれた上半身を思わせた。

 

「 タクヤ、下半身を鍛えないといけませんよ。 」

 

「 ウッス! 」

 

 マネージャーがオレにツッコミを入れているのを意にも介さず、先輩は舐め回すように碑文を見ていた。

博物館なんかで見たことがあるが、キモティカ文明の碑文というのは、基本的に彼らの性的趣向を描いたものが多いらしい。

なんでも彼らにもホモ文化が根付いたいたんだとか。

きっとタクヤみたいに激エロボディのウリ専ボーイもいたのかもね(笑)

だが、先輩の次の反応を見た時、オレはこの象形文字を書いたキモティカ人たちは、そんなことをやっている場合ではなかったのだと知ることになった。

 

「 これは、描かれている内容が、これまで出土したものとまったく違う。彼らの性癖についてのものではない。 」

 

「 では、なにが書かれているんです? 」

 

「 ・・・精霊についてだ。彼らを性病のようだと嫌悪し、その力を危険視している。

札から沸いてくる汚物の化身であると。 」

 

 そうして先輩による、碑文の解析が進んでいった。

キモティカ文明は、精霊やそれらを宿した者たちを敵対視して、奴らに対抗できる力を生み出したらしい。

このような行為にでた理由、そしてそんな結論に至った原因までは記されていなかったが、このような精霊信仰へ対抗する意識があったのは、今日まで滅んだ古代文明や古代王朝いずれにも共通しているらしい。

あのエジプト王朝のファラオたちも、自分たちの神の信仰や現人神である王の権威を保つ為に、精霊を悪霊として扱い、それらを闇の魔術によってしばいていったとかって先輩が教えてくれた。

キモティカ人たちも、精霊を危うい存在だとして、それらを弾圧していった。

滅亡の理由も、性病よりも、そういった宗教上の理由に基づくものであるのかもしれない。

 

 そして、その力というのはどこにいったのか?

おそらくは、奥にあるあの要石みたいなタクヤの顔みたいな奴に封印されているのだろうか。

 

「 タクヤ、それに触れてはいけませんよ。

それからとてつもない精霊反応がでています。 」

 

「 ウッス。マネージャー、申し訳ないッス。

もう、触っちゃいました。 」

 

 そう、あまりにも俺にそっくりなもんだから、ついつい触ってしまっていた。

気持ち良い岩のひんやりした触り心地が手のひらからタクヤの身体にじんわりと伝わってくるが、そんなものどうでもよくなるような現象にオレたちは見舞われることになった。

要石が突然光を放ったかと思うと、無数の人魂みたいなヤツがその中から溢れ出てきて、そのうち一つが、タクヤの激エロボディに激突、そのなかに入り込んでしまった。

この衝撃に身体中がひくつき、思わず射精しそうになるが、こんな歴史的建造物でマジイキするわけにもいかず、タクヤはマジ狂いになりそうになりながらもなんとか強靭な上半身で持って耐えてみせる。

やがて光は消え、人魂もどこかにいってしまった。

今のは一体―――

しかしそんなことを考えている暇など与えられなかった。

神さまは超Sだよな!その後すぐに地震が起こるんだから!

 

「 なにっ!急に地震だと! 」

 

「 タクヤ、このままだと生き埋めになりかねません!

すぐ外に出れますか!? 」

 

「 ウッス!脱出! 」

 

 凄まじい勢いでち○ぽビンビンになりながらも、タクヤたち3人はなんとか遺跡の外まで走り、外の空気までこぎつくことができた。

しかし、脅威はすぐ側に現れ、またしてもタクヤたちはそれに驚かされることになる!

 

「 なんだアレは!? 」

 

「 幻術か!また幻術だというのか!? 」

 

 マネージャーの連れの作業員さんたちが空を見て、なにかに戦々恐々としている。

タクヤをその視線の先をみてみることにすると、

そこにいたのは山ほどデカいドジョウだった。

遺跡から人魂がでたかと思ったら、今度は怪獣か。

 

「 タクヤ、あれは怪獣ではありません。精霊です。 」

 

「 精霊!?あんなデカいのもいるのか! 」

 

「 間違いないありません。ほら、みなさい! 」

 

 マネージャーのスマホの画面に何かしらのレーダーみたいなものが、あのドジョウに当てられるとビンビンと反応を示していた。

 

「 間違いありません。先ほど探知したのは、彼の反応と考えていいでしょう。 」

 

「 んでも、あんな幻獣(クリーチャー)みたことないっす! 」

 

「 ドジョウ総理だ・・・ 」

 

 先輩の口から、あの巨大なドジョウの幻獣の名前らしき単語がでてきたのを、俺は見逃さなかった。

 

「 ドジョウ総理っていうんすか? 」

 

「 そうだ。その昔、日本一体で暴れ回ったという、伝説の幻獣(クリーチャー)だ。キモティカ文明に封印されたと文献にあったが、まさかここだとは・・・ 」

 

 先輩はすごくポジポジしていて、にこやかな笑顔を浮かべているが、それどころではない。

先輩にとっては一生のうちに見れるかどうかもわからない伝説の生物、ドラゴンとかみたいなものなのだろうが、他のホモたちにとっては生ける厄災そのものだからだ。

その巨体が飛び跳ねるとその衝撃によって地が揺れ、周りの人たちはそれに耐えられずに地面に倒れ込んでしまう。

 

「 震度3ほどの揺れです。全貌は未だ不明ですが、もしあの幻獣が全力で飛び跳ね、移動し始めた場合、日本は未曾有の大災害に見舞われ、被害は甚大なものになってしまいます!

タクヤ、貴方の責任です。すぐに総理を止めてください! 」

 

 マネージャーからまたしても無茶振りが振られるが、そんなもの無理な話だと思っていた。

相手は意思疎通ができるかどうかもわからない古代の幻獣。

幾多の精霊憑き、闇のファイター、果てはレガシーカード持ちまでレイプしてきたタクヤだが、これはどうも分が悪いと感じた。

所詮俺は、一介のボディビルダー兼傭兵ファイターに過ぎないのだから。

しかし、案外そうでもないらしいのだ。

 

「 タクヤ、アレを見ろ! 」

 

 先輩が指さした先、ドジョウ総理のすぐ側に、なにかが浮かんでいる。

小さくてよく見えないが、かろうじて、四角い物体だとわかり、だんだんとそれがなんなのかがわかってきた。

あれは、デッキだ。

 

「 彼は精霊です。である以上はLifeとは無縁では居られません。

ならば、ファイトによって調伏させることができるかもしれません。

タクヤ、総理を止めてください。

すぐファイトできますか? 」

 

「 ウッス! 」

 

 身から出た錆とはいえ、こうなっては否応なしにウッスと答えるしかない。

俺はデッキを取り出して、総理と対峙し、奴も俺の闘志を汲んでか、デッキからカードを展開し始めた。

こちらもカードを広げる。

60のカードデッキのうち、40のメインデッキをシャッフルの後手札を5枚引き、20のライフデッキをセットする。

このライフがそのままプレイヤーのライフポイントになっていて、相手のライフを先にゼロにしたほうが勝ちだ。

 

 手札のカードは青一色、コスト帯はバラバラ。いつものことだ。だが、なんだ?この違和感は。

 

「 これは・・・! 」

 

「 どうしたんだ、マネ君? 」

 

「 タクヤの共鳴率が、0になっています! 」

 

 なに!?マネージャーの言葉に俺は驚きを隠せなかった。

共鳴率というのは、ファイターとカードの相性みたいなものだ。

この共鳴率の数値が高いほど手札のまわりがよくなり、

精霊も、この共鳴率と密接な関係にある。

これが高い奴に集ってくる感じかな。

タクヤや他のホモたちにも数値は低いながらも少なからず存在し、それに頼らない為に、ありとあらゆる戦術が考案されてきた。

これによって下北沢のファイターたちは一定以上の成果をだしてきたが、実際になくなってみるとこんな感じなのかと、タクヤのその強靭な上半身とカルパス、そして股間のアレと雄膣に、全身が性器になったが如く、ビンビンに不安が募り始めている。

しかし、その時だ。

どこからともなく声が聴こえた。

渋かっこいいジャニ系のオッサンの声だ。

 

『 恐れるな、タクヤ・・・ 』

 

「 ウッス、誰だ? 」

 

『 お前は共鳴率の力を失ったのではない、共鳴率の軛より解き放たれたのだ。

それに、今は私のことよりも、奴だ。 』

 

 そうだ、忘れかけていた。ファイトはもう始まっている。

総理の先行であるらしく、ライフデッキから2枚ドローし、コストゾーンに土地をセット、さらに手札から0マナの秘宝カード、〈 金属結晶 〉を〈 蔑み 〉を刻印(手札から追放)して設置。

おいおい、ガン回ってんなぁ。1コスのハンデス魔法をコストに使ったとはいえ、もう2マナ出るようになってる。先行1ターン目からこんだけ回るともうマジ狂いだぜ。

その後にそのマナを使って、〈 腐肉の案山子 〉を召喚、効果でデッキから2枚のカードを墓地に送ってライフデッキから上一枚をコストゾーンにブースト、俺にターンが回ってくる。

なるほど、あいつのデッキは、〈 水田内閣 〉か。

マナ加速によってアドバンテージを稼ぐ中速のビートダウン、三浦くんのいう、ミッドレンジと呼ばれるタイプのデッキだ。

こいつが精霊でそのカードを使っているということは、ドジョウ総理自身もこのカテゴリーなんだろう。

とすれば、自ずと戦術も察しがついてくる。

 

 俺のターンは、ライフデッキが2枚ドローの後、青一マナ生む土地カードを置くだけで終わった。

 

 そして総理の第二ターン、土地をブーストし、はやくもヤツ、〈ドジョウ総理〉が登場だ。

お前四マナだったのか・・・!

四マナ5/5、黒一マナですべてのプレイヤーと幻獣に1点ダメージか。

均衡の取れている、スタイリッシュなマナレシオだ。

パワータフネス5とか、お前主人公みたいだな。

調教しがいがあるぜ。

 

「 俺のターン、メインからドロー! 」

 

「 土地をセットして、こっちも〈金属結晶〉を設置。

刻印するのは、〈卍魔のコンパス〉だ。 」

 

 これで俺も青マナが三つ出るようになった。

さて、こっからが、俺のキメションドバドバオ○ニーの始まりだ。

 

「 2マナを支払い、付与魔法カード、〈卍魔界〉を発動する。 」

 

 俺のデッキ、卍魔は大きく分けて3種類存在する。

一つは、黒一色のパーミッション。

二つ目は、青一色の魔法主体のコントロール。

そして三つ目にこの二つの混合。

俺が今使っているのは二つ目だ。

そして、この付与魔法〈卍魔界〉は、この青単卍魔のキーカードだ。

フィールドそのものに付与され、これから俺が使用する青い卍魔の魔法カードは、すべてコストが一軽減され、一つ唱えられる度にこのカードの上に卍魔カウンターを置く。

そして4つカウンターが乗ったら、まぁ、その時のお楽しみかな(笑)

 

「 ターン終了。 」

 

 総理三ターン目。メインから一枚ドロー。

マナをチャージした後に早速自分の力を見せようと思ったのか、四マナを支払って、ドジョウ総理の効果を四回使用し、オレと自分に四点のダメージを与えた。

これで互いの残りライフは14。

が、そのダメージが、タクヤの強靭な身体にまで来るとは、思いもよらなかった。

たった四点だが、それでもズシンと響いてくる。

30人を相手に夜通しセ○クスファイトしていた時に似た、あの痙攣がやってくる。

その痛みによって、あそことカルパスがまたしても立ってくる。

これを喰らい続けたら、まずいかもしれない。

ライフデッキから捲れたのは、土地三枚と、呪言一枚。

 

「 土地三枚をコストゾーンに送り、呪言カード、

〈 七代卍魔王の印 〉を発動。

オメェのパワー、タフネスを−4する。

残念だったな。 」

 

 タフネスが0になって、自分があっさり倒され、そのまんま死んだ魚のように唖然とするドジョウ総理だが、

即座に立て直しに入った。

効果でコストにいった土地のうち三マナを使用し、

〈 イナゴ産業大臣 〉を召喚。

こいつはパワー3、タフネス2の飛行持ち。

そして、墓地からカードを二枚墓地に送って、クリーチャーを一枚回収できる。

これで勿論、〈ドジョウ総理〉を回収し、そのターンは終わった。

 

「 ウッス、ターン終了前に、一マナで〈卍魔のコンパス〉を使うぜ!

デッキの上から三枚みて、うち一枚を手札に加え、

カウンターを一つ。

続いて同じく一マナで〈卍魔の小樽〉を使用。

カードを2枚引いて、一枚捨てて、カウンター二個目。

そして、俺のターンだ。 」

 

『 ・・・やはりな。 』

 

 ん?またあの声が聴こえてくる。お前誰だよ?

 

『 ドジョウ総理のやつ、目覚めて間もないからだろう、

まだ本調子ではないらしい。 』

 

「 本調子じゃない?あの地響きでか? 」

 

『 加えてヤツは、本職のファイターではない。

共鳴率の権化たる精霊の一柱、いうなれば一兵卒に過ぎん。

腕っぷしの強いというだけの戦士が、指揮官不在につき、やむなく部隊指揮を執っているような状態だ。

その為プレイングも詰めが甘い。

先のターン、攻撃した後に効果を使わず、先走ったのもその証左だ。 』

 

「 なるほどな。ちゃんと扱えるファイターが使えば強いが、あいつ自身はそうじゃない。」

 

『 そうだ。その点はタクヤ、お前の幸運だな。

さて、お前のターンだ。カードを引け。 』

 

「 ウッス! 」

 

 いわれるがまま、カードドロー。目を引くのは、99という払いたくとも、払えぬような数字。

これが、俺のデッキの切り札。

普段なら、こんなにすぐ手元には来ないはずのカードだ。

 

『 今のお前に、共鳴率は意味を成さぬ。プレイヤーの引く手札に、いかなる干渉も与えられぬ。

これぞ我ら(人造精霊)の力。

北京原人どもの知恵の賜物よ。

さぁ、早いが奴にとどめを刺してやれ。 』

 

「 ウッス! 」

 

 先ずは2マナと探査コストでコンパスを追放、〈卍魔界〉の軽減コストと合わせて無色2マナを踏み倒して

〈 卍魔の壺 〉を発動。デッキからカードを三枚ドローし、カウンターを乗せ、

最後に〈 卍魔の小樽 〉二枚目を発動。

二枚ドローし、一枚捨てる。

さて、揃ったぜ。

 

「 カウンターが四つ乗った〈卍魔界〉の効果発動!

手札より、水の魔法を一枚詠唱!

それは打ち消されない!! 」

 

 ドジョウ総理もまずいことに気づいたか、危険予知によって身悶えし始めた。

だが、もう遅い。

もうキミは、タクヤの世界に入ってるんだ。

さぁ、お前を芸術品にしてやるよ。

 

「 砕けろ――――― 」

 

「 〈 森羅卍衝 狂歌酔月(しんらばんしょう きょうかすいげつ) 〉!! 」

 

 俺が魔法の発動を宣言すると、卍魔界に闇の門が開いて、その中から、蒼黒い影が姿を現す。

全身が炎に焼かれて生かさず殺さずの状態になっている、いや、これは闇の炎そのものだ。

悍ましいまでの闇が、鳳の姿を得ている。

それが、この幻獣の実態だ。

卍魔の切り札、"卍月"と呼ばれる、伝承に残る幻獣の姿を象った、闇の炎たち。

この魔法も、その一枚であり、コスト99に見合ったチョーSだよな!と思わず言いたくなる強力な効果がある。

 

「 これで俺は、追加ターン(エクストラターン)を得る!さらに!! 」

 

 〈狂歌酔月〉のでてきた門から、さらに五体もの闇の炎の幻獣たちが出現した。

そのおどろおどろしさに、ドジョウ総理は悶絶している。

 

「 手札墓地から、可能な限り、卍月を呼び出す!!

そして、このターンは終わって、また俺のターンだ!! 」

 

 卍月たちに集団レ○プされ、ドジョウ総理のライフは0になる。

俺の勝ちだ。総理も負けたことで、消滅した。

 

 それを見たマネージャーも先輩も、どこかホッとしていた。

俺は、下北沢を救ったらしい。

 

 その後、俺たちはこのオッサンの正体を知ったり、

あの人魂の所在を探したり、

また幾多もの精霊憑きをレ○プしたり、あのジャニ系の茶髪モブ店員とイキ狂い(ファイト)したりするのだが、それはまた別の話だ。

やっぱり店の名前は変えたほうがいいかな?




 続きはないんだ・・・(ライダー)
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