こち亀とよう実のクロスオーバー考えてたらいつの間にかこんな時間に。
やっぱ同時に何作品もやるよりも一つずつ終わらせた方がいいに決まってんじゃんね。
能力の範囲外のことはするもんじゃありません。
「デンジの心臓を寄越せ!!それ以外に生き残る道はないぞ。デビルハンター!!」
突如として形状を変化させたあの悪魔の変化はおそらくこの場にいるものの恐怖によるものだろう。悪魔は人々の恐怖を糧に強くなる。荒井やコベニのように臆病な者たちは悪魔にとって格好の的だ。
もちろん、臆病であることが悪いとは思わない。恐れがない狩人などただの獣と変わりはしないのだから。ただ、この状況ではそれが命取りとなる。
敵が強くなるたびに恐怖が肥大化し、それが更なる敵の強化を引き起こす。まさに悪循環だ。
「いよいよまずいですよ……そいつを悪魔に食わせましょう!」
荒井の必死の懇願に対し、アキはデンジの方を一瞥すると頬に汗を垂らしながら目を閉じて考え込む。そして、何かを決心したかのように背後にかけてある刀に手をかけた。
「刀を使う……それでいいですよね姫野先輩」
「アキ君……それだけはだめ」
姫野は、自身の契約する『幽霊の悪魔』の力を使いアキが動けぬよう多数の腕を使いその場へと拘束する。いきなりの姫野の行動に、抵抗するアキだったが、体を取り囲む幽霊の腕がアキをその場から動かさまいと力強く押さえつけた。
「その刀を使うとアキ君の寿命が大幅に減っちゃうの。それだけは避けないといけない。だからごめんねデンジ君」
姫野が言い終わるとほぼ同時、荒井がデンジの方へとタックルをかまし、いつのまにか目を覚ましていたコベニが、目に狂気を宿しながらナイフをデンジの方へと突き刺そうとする。
「死んでぇぇぇぇ!!」
コベニのナイフがデンジの心臓へと突き刺されそうになる瞬間、これまで黙り込んでいた狩人がその場に割って入るように腕を差し込む。狩人は手のひらを貫通したナイフの側面へと力を加えることで真っ二つに折る。
狩人の腕を刺してしまったことで動揺するコベニだったが、狩人が不死身だったことを思い出し落ち着きを取り戻した。
「勝手にデンジを食わせようとするのはやめてもらおうか」
「なんで邪魔するのかな狩人君。もうこれしか手がないってのは狩人君もわかるでしょ。それともほかに何か案があるの?」
姫野の苛々し気な目に対して、狩人はいたって冷静に返す。
「いいや、案はない。それにデンジを食わせるという話もこの状況に至っては致し方ないことだと私も思う」
事実、恐怖によって強化されてしまうあの悪魔はもはや手を付けられない状態と言っても過言ではい。食料もほぼなく、助けが来る保証もない。そんな中で簡単に助かる方法があると言ったら全員それを選ぶだろう。
「だったらなんで!?」
「簡単な話さ。私があの獣悪魔を狩りたいだけだ」
そう。狩りたいだけ。狩人の頭の中にあるのはそれだけだ。あの獣悪魔がどのように血を出し、肉を裂き、命を燃やすのか。それを知りたいだけだった。
ここで、デンジを差し出してしまえばここからは脱出できる。だが、そうすればあの獣悪魔と会うことはなくなってしまうだろう。逃げるのはかまわない。武器を整え、戦術を立て、獣と向き合う。何よりも大切なことだ。
しかし、
腕がもげようと、銃で撃たれようと、脳を吸われようと、発狂しようと。最後に立ってるのは狩人であるならばそれでいい。それは、あの地獄のような夜の中。何度、敗北しようが目的を達成させるために狩人が選んだ一つの狂気だった。
「とりあえず、行ってくるとしよう」
「……倒す手立てはあるか?」
パワーにしては珍しい、冷静な目つきで解いてきた。
「今にはない。だが……肉を裂き、骨を砕き、内臓を抜いてやれば自然と答えとやらは見つかってくるはずだ」
「悪魔みたいな発想じゃな!」
「悪魔ではなく、狩人的思考と言ってほしいところだね」
狩人はそう言い残し部屋から飛び出すと、ノコ鉈を壁に差し込み、落下の速度を減速させながら悪魔の元へと飛び込む。口を大きく開いた悪魔の口内へと突っ込むとともに真っ赤な鮮血があたりに飛び散る。誰もが、狩人の死を確信した──瞬間。ノコ鉈によって切り刻んだ悪魔の肉片と共に狩人が飛び出すと同時に、悪魔の苦痛に満ちた悲鳴がホテル中に響き渡る。
「ギャアアア!デビルハンターー死ににきた──痛ッ!痛イィ!!」
「しゃべる獣とはやはり慣れないものだな」
耳元で叫ぶ悪魔に対して、うっとおしいと言わんばかりに大きく顔を歪める。
獣の状態でしゃべったのは、禁域の森にいた人肉を食っていた男と、ルドウイークぐらいだったが、こちらの方で出会った奴らはほとんどしゃべっていたような気がする。まぁ、やることは変わらんが。
再び、ノコ鉈を変形するのを合図に悪魔側も激しい攻撃を繰り出し始める。つかまれれば、致命傷は避けられないであろう腕を四方八方から振り回し狩人を追い詰める。しかし、腕が狩人へと命中しようとする刹那、物理法則を半ば無視したようなステップで悪魔の攻撃をかわし続ける。そしてすれ違いざまに伸びきった腕に対し、リーチの伸びたノコ鉈による一撃ですべてを切り落とす。
避けては、殴り。避けては殴り。ゆっくりと、しかし確実に悪魔へとダメージを入れている──はずだった。
悪魔は驚異的な回復速度で狩人によって傷つけられた肉体を修復し続ける。いや、むしろ傷つけられるごとに攻撃の手数が増え、狩人が不利になっていく。
増える攻撃パターンに対処しきれなかった狩人が後方から迫りくる攻撃に気づかず、そのまま腹を貫かれる。常人であれば死に至るような傷。しかし、狩人は自身の心臓を貫いた腕を切り落とし、悪魔から流れ出る血を浴びることにより、傷口を修復させる。
「ふ、はははは!!リゲインし放題じゃないか!!素晴らしい!輸血液いらずだ!」
腹を貫かれ死にかけていたとは思えない笑い声をあげる狩人と、悲鳴を上げ続ける悪魔。もはやどちらが悪魔なのかわからないほどだ。
悪魔の攻撃のパターンが増えたのを見た狩人は、ヒット・アンド・アウェイでは効率が悪いと悟り、リゲインを生かした
殴り殴られ、切り切られ。互いに、傷つきあいながら桁違いな回復力により元通りに戻る。しかし、悪魔の再生スピードの方が速いのか、より多くの本数で復活した腕たちにより両手両足を拘束された狩人は体を力任せに引きちぎられてしまう。悪魔は、狩人の体がピクリとも動かないのを見て勝利を確信した大きな笑い声をあげた。
「ハハハ!哀れなデビルハンターめ!!チェンソーの心臓を渡さなければお前達もこいつように──」
「誰のようになると?」
高揚した気分と共に、アキたちのいる部屋へと向かって叫び声をあげていた悪魔の目に移りこんできたのは、先ほど殺したはずの狩人だった。
「なぜおまえは生きている!!」
「あいにく様。こちらは不死身なんでな。確か『永遠の悪魔』といったか。ちょうどいい。私がお前を狩るまで”永遠”に付き合ってもらおうじゃないか」
思わず、身震いしたくなるような笑みを浮かべた狩人に対して、悪魔は恐怖を振り払うかのように叫ぶ。
「無駄だ!!私の心臓はこの八階にはない!私を殺すのは不可能だ!」
悪魔の血によってできた池の中、狩人は素早く迫りくる多数の腕に対して横なぎの一閃で切り落とす。しかし、狩人は悪魔のもつ無限再生と再生するほど手数が多くなる性質のせいで苦戦を強いられる。今度は、背後から忍び寄った手により頭蓋を破壊され死亡してしまう。
そして、再び復活した狩人はすぐに悪魔の元へと向かおうとするところでデンジによって行く足を止められる。
「ちょっと待てよ。このままお前にいいとこばっか見せられたらよ~。俺が姫野パイセンのキスもらえねーじゃねーかよ!」
「別に、奪おうというつもりは毛頭ないぞ」
というか、この状況になってもそんなことを考えていたのか。恐ろしく楽観的なのか、現実を見たうえでキスの方が大切なのか。おそらく後者でありそうなのが怖いところだ。
「うるせェ~よ。それにあの悪魔の叫び声聞いてたら思いついたんだよ。あいつずっと『痛い!痛い!』って叫んでんだろ?だったらよぉ!あいつが死にたくなるぐらい痛めつけて自殺させちまえばいい!」
「悪魔みたいな発想パート2じゃな!」
なるほど。確かに、あの悪魔獣には確かに意思も、痛覚もあった。となれば死んだ方がましと思わせるような状況を作らせてしまえばいいというわけだ。あの一瞬でそれを考え付く、思考力と洞察力。もしヤーナムにいればデンジは立派な狩人に慣れたに違いないだろう。
「だったら、協力プレーと行こうじゃないか。私とデンジであの獣を狩る。その時の手柄は全部君にあげるとしよう」
「いいぜ!!やってやるよ!!俺は目的のために努力できる男だからな」
デンジは胸のスターターを引きながら落下すると、ブゥン!という音と共に驚愕の変化を遂げた。
顔面全体が黒色の大きな機械のへと変貌し、腕とその先端には子供の背丈ほどの大きさのチェーンソーがついていた。ギャインギャインと音を立てながら回転するチェンソーはまさに命を刈り取る形をしている。迫りくる腕たちを上手に切り落としながら悪魔の元へと着地すると同時に激しく火花を散らしながら、悪魔の肉をチェンソーの高速回転によりそぎ取ってゆく。
「なんと、貴公。素晴らしい武器じゃないか!」
『つまらないものは、それだけで良い武器ではあり得ない』火薬庫の残した数多くの武器にはその信念が刻まれたようなユニークな武器が数多く存在した。パイルバンカー、銃槍、爆発金槌、回転ノコギリ。そのどれもが素晴らしいものだった。デンジのチェンソーにも確かにその神髄が垣間見える。
「ならばこちらも合わせようじゃないか」
そう言って狩人が取り出したのは、巨大な槌。否、それは背後にある巨大な車輪のようなカッターに取り付けることにより、ジャキジャキとすさまじい音を鳴らしながら回転する回転ノコギリへと変貌する。
チェンソーとノコギリでは多少違うところもあるだろうが、回転と刃物の力によって戦うのは同じだ。それに、機動力が弱点であるこの武器も、この閉所では完璧な活躍を見せるにちがいないだろう。
狩人は、回転ノコギリをそのまま悪魔へと押し付ける。それは、すさまじい勢いで肉を巻き込みながら、そぎ落とすことで相手に絶えまないダメージを送り続ける。
デンジのチェンソーと狩人の回転ノコギリ。一つでも驚異のそれらが合わさってしまえばどうなるかは容易に想像できる。ガリガリガリガリと悪魔の肉を削り続け、攻撃の手をまったく緩めない。時折、飛んでくる攻撃も、狩人のリゲインと、デンジのチェンソーの力によって回復する。
「ひらめいたぜ~。狩人が切った血を俺が飲んで回復!!そんで俺が切った血を狩人が浴びて回復!!永久機関が完成しちまったなアア~。これでノーベル賞は俺のモンだぜ~!!」
最高に狂った二人にもはや負ける道理はどこにもなかった。
▲▽
「悪魔が恐れるデビルハンターはなあ……頭のネジがぶっ飛んでるやつだ」
姫野は己の師匠である岸部が口癖のようにいつもいっていたことを思い出した。まともな人間であれば悪魔に対して恐怖を抱き、かえって相手を強くさせてしまうからだ。岸部の言っていることは少々極論すぎるところもあるが、今回のコベニちゃんや荒井君たちのようなことを考えてみると間違ってないのだろう。
まともな奴から死んでいく。
今までのバディたちもそうだった。死んでいったバディたちのどれもが、まじめで、優しくて、仲間重いのいい人たちだった。アキ君だってそうだ。だから、このままいけば彼はいつか死んでしまうだろうという確信があった。
あの女から送られてきた新しい新人はどれも変わった奴ばかりだったが、今回、特に目立ったのが狩人という人物だった。日本人とは思えない西洋顔に、中世ヨーロッパを思わせるような仮装束にトップハット。そして、目には何かが住み着いているように淀んでおり、見たことない奇妙な武器すら携えていた。しかし、初対面の印象とは裏腹に話は通じるし、理性的な面も見られ、紳士的な人物であるように思えた。
だが、ひとたび悪魔に相対すればすべてが変わった。
腕を砕かれようが、内臓を抜かれようが、命が尽きようが、彼は悪魔を殺すまで絶対に止まらない。しまいには、狩りを楽しんでいるかのような笑みを浮かべながら、戦う始末だった。
「まずい。武器が両方とも壊れた。デンジ!!腕をかせ!!」
「ああ?腕なら今貸してんだろ?」
「違う。私が欲しいのはそのチェンソーだ!」
「ぎゃあああ!!テメェ!!勝手に俺の腕ちぎって持ってくンじゃねェ!」
「小アメンの腕ならぬ、デンジの腕だな!」
このドアの先を隔てた地獄の先で戦っている二人を見つめながら姫野は思う
この最高にネジがぶっ飛んだ二人なら銃野郎を殺せるかもしれない。
叫び声と笑い声が混じり合うホテルの中。姫野は大きな希望を抱いていた。
そしてそれからおよそ一日後。全員が疲れ果て、眠っていると下の方からの戦闘音が聞こえなくなっていることに気づいて起き上がる。下を覗いてみると、疲れ果て声すら出なくなっている悪魔が消えてしまいそうなほど小さな声でつぶやいていた。
「これが私の急所です。もう殺してください……痛いのはもう嫌だ」
「もう終わりかね?まだまだ使ってない武器がたくさんあるのだがね。ガラシャの拳とか」
「も~終わるのか?プールに入っているみてえで気持ちよかったのによ!」
もう一度、胸にあるスタータを引き、ブゥンという音を響かせると、回転の速度を増したチェンソーによって「永遠の悪魔」の心臓を両断する。
そして、この瞬間。8階の永縛は解かれ、狩人の初任務。および狩りはようやく完了した。
なるべく更新は早めていくつもり。あくまでつもりだけど