ダンジョンマスターになりました   作:饅頭怖い

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閑話 迷宮都市潜入/リリスの検証

 閑話:クドラクとシャナの迷宮都市調査

 

 クドはクドラク。パパに仕える吸血鬼。

 

 パパのためなら、どんな任務でもこなす。……ううん、こなしたい。

 

 今日はパパから調査をお願いされて、眷属のシャナと一緒にダンジョンの外に来ている。

 

 パパからの指令は三つ。

 

・誰にも見つからないこと

・人間側の計画を調べること

・使えそうな手駒を見つけて魅了すること

 

 ……パパの役に立てる。それだけで胸があったかくなる。

 

 迷宮都市は、まだ“都市”とは呼べない。

 

 木材と石材が積まれ、仮設の柵と監視塔が立ち並ぶだけの、未完成の巨大工事現場。

 

 でも――人間の数は多い。作業員、騎士、商人……。

 

 まるで蟻の巣みたいに忙しなく動いている。

 

 クドは影に溶け、シャナも影に潜る。

 

 影を移動すれば、誰にも見つからない。

 

 パパの命令の一つ目は簡単。

 

 影の中でも外の音は聞こえる。人間の影を順番に移動すると会話が聞こえてくる。

 

 建設作業員が「ダンジョン怖ぇよ……」と愚痴る

 

 騎士たちが「右ルートは地獄だったらしい」と噂している

 

 商人が「宝石がまた出回るぞ」と目を輝かせている

 

 こういう噂話も馬鹿にはできない。耳に入った情報は全て記憶しておく。

 

 

 

 

 人間の計画を調べることは、シャナの案内で偉い人がいる場所に忍び込んで、会話を記録したり、書類を書き写したりすることにした。

 

 シャナが小声で囁く。

 

 

「……クドラク様。あの大きなテント、多分“偉い人”がいる」

 

「……うん。行く」

 

 

 影から影へ。

 

 テントの隙間から忍び込み、私は耳を澄ませる。

 

 中では、鎧を着た騎士と、書類を抱えた役人が話していた。

 

 

「ダンジョン右ルートは危険区域と判断する。左ルートの財宝回収を優先しろ」

 

「迷宮都市の外壁は三ヶ月以内に完成予定です。騎士団の詰所は……」

 

「北部戦線に戦力を送る以上、国内の守りは薄くなる。ダンジョンの管理は慎重に行え」

 

 

 ……ふむ。

 

 パパが言っていた通り、人間側は右ルートを危険視している。

 

 ゴブリンキング、よく頑張った。

 

 クドは魅了で二人の意識をぼんやりさせて、シャナと連携して書類を書き写していく。

 

 人が近づいてくる気配を感じると影に入ってやり過ごした。偉そうな人が来たときはシャナに教えてもらって魅了で情報を聞き出した。

 

 力で解決できないのは思ったより不便だったけど楽しかった。苦労して集めた情報には迷宮都市の建設計画や、騎士団によるダンジョン調査計画、ダンジョンの運用計画などパパが喜びそうな情報がたくさんあった。

 

 シャナが影から顔を出す。

 

 

「……クドラク様、次はどうする?」

 

「……手駒。探す」

 

 

 夜の迷宮都市は、昼とは違う顔を見せていた。

 

 昼間は騎士や作業員が忙しなく動き回っていたが、夜になると代わりに“別の人間”が動き出す。

 

 シャナが影から顔を出し、私に囁く。

 

 

「……クドラク様。あそこ、怪しい」

 

 

 彼女が指差したのは、建設予定地の外れにある古い倉庫。

 

 昼間は資材置き場として使われていたが、今は灯りが漏れている。

 

 私は頷き、影に溶ける。

 

 

 「……行く」

 

 

 二人で影を伝い、倉庫の内部へ侵入した。

 

 倉庫の中には十数名の男たちが集まっていた。

 

 粗末な鎧、刃こぼれした剣、そして何より――血の匂い。

 

 シャナが小声で呟く。

 

 

「……盗賊じゃない。もっと組織的。……裏社会の人間」

 

 

 クドは耳を澄ませる。

 

 

「――迷宮都市が完成すれば、仕事はいくらでも転がってくる」

 

「騎士団の目を盗んで、ダンジョンの富を横流しするんだ」

 

「ギルドの連中も雇い主様が買収したらしいぜ」

 

 

 シャナがクドを見上げる。

 

 

「……クドラク様。あれ、使える」

 

「……うん。パパ、喜ぶ」

 

 

 クドは影から抜け出し、倉庫の中央に立った。

 

 男たちが一斉に振り向く。

 

 

「な、なんだお前は――」

 

「【魅了】」

 

 

 淡い紅の光が倉庫全体に広がり、目を合わせた男たちの瞳が虚ろになる。

 

 シャナが続けて影を伸ばし、抵抗しようとした男たちの意識を刈り取った。

 

 

「……終わった?」

 

「……うん。これで“手駒”」

 

 

 クドは男たちの首筋に軽く牙を立て、魔力を流し込む。

 

 吸血鬼の魅了は、ただの洗脳ではない。

 

 “主”を中心とした支配構造を作り上げる。

 

 これで《黒犬団》は、パパの“下部組織”になった。

 

 洗脳した構成員の一人に尋ねる。

 

 

「……迷宮都市の計画。全部、話して」

 

「……は、はい……」

 

 

 男は震えながら語り始めた。

 

 騎士団はダンジョンの右ルートを“危険区域”として冒険者に調査を依頼。

 

 左ルートを財宝回収ルートとして騎士団が整備。

 

 迷宮都市はダンジョンのスタンピードに備えて“砦”としても運用可能な構造にする。

 

 ギルドと貴族の一部が裏で利権争いをしている。

 

 《黒犬団》はその調整役として雇われている。

 

 シャナが書類を漁りながら言う。

 

 

「……これ、全部お館様に渡す。……役に立つ」

 

「……うん。パパ、褒めてくれる」

 

 

 クドは少しだけ頬が緩んだ。

 

 男たちに命じる。

 

 

「……これからは、パパのために動く。迷宮都市の情報、全部集める。騎士団、貴族、ギルド……全部監視」

 

「……御意……女王様……」

 

 

 必要な情報はすべて集めた。手駒も確保した。誰にもバレてない。

 

 パパのもとへ帰る。きっと褒めてもらえる。頭を撫でてもらえる。

 

 それを思うだけで、胸がぽかぽかする。

 

 

「……パパ、待ってて」

 

 

 クドとシャナは影を駆け抜け、ダンジョンへと帰還した。

 

 

 

 

 

 帰還したクドたちを見て、パパが微笑んだ。

 

 

「おかえり、クド、シャナ。どうだった?」

 

 

 クドは胸を張って答える。

 

 

「……パパ。全部、調べた。迷宮都市の計画も、騎士団の動きも……“手駒”も、作った」

 

「手駒?」

 

「……闇組織《黒犬団》。パパの下部組織にした」

 

 

 パパが目を丸くする。

 

 

「……お前ら、優秀すぎない?」

 

 

 シャナが照れたように影に隠れ、クドはパパの胸に飛び込んだ。

 

 

「……褒めて」

 

「はいはい、よくやったよクド。シャナも」

 

「……ん。嬉しい」

 

 シャナと一緒にパパの膝の上で抱きしめられる。今夜はシャナと一緒にパパにご奉仕しよう。絶対パパも喜んでくれる。

 

 シャナと一緒に頭を撫でられながら、幸せな気分に浸る。

 

 

 

 

 

 こうして、迷宮都市の裏側は静かにダンジョンの支配下へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 閑話:リリスの固有スキル検証

 

 私はリリス。

 

 マスターに仕える淫魔であり、マスターの“最古参の側近”でもある。

 

 ……まあ、シャルロットやクドラクが何かと張り合ってくるけど。

 

 でも、マスターが一番最初に抱いたのは私なんだから。

 

 そこは譲れない。

 

 今日は、マスターから“あるお願い”をされた。

 

 

「リリス。お前の固有スキル【淫紋】【輪廻】……そろそろ本格的に検証したい」

 

「ふふっ、ようやくその気になったのね? いいわよ、マスター。私、協力するわ♪」

 

 

 マスターは真剣な顔で頷く。

 

 

「ただし、実験は“安全に”だ。眷属の誰かに負担がかかるのは避けたい」

 

「……あら、私に負担がかかるのは?」

 

「それは……まあ、リリスなら大丈夫だろ」

 

「ちょっと! 今の言い方、なんか失礼じゃない!?」

 

 

 ぷんすか怒ってみせたけど、内心は嬉しい。

 

 マスターが私を信頼してくれている証拠だから。

 

 

「リリス自身は固有スキルの効果は分かっているのか?」

 

「自分のスキルだからもちろん分かるわよ!【淫紋】は選んだ相手と私が契約するスキルよ。契約すると私のお腹の淫紋と同じ模様が、相手の身体の何処かに現れるわ。私と契約者は互いに力の受け渡しが出来るようになるの。色々と制限はあるけど、契約者をたくさん用意したら基礎戦闘力の二倍くらいまでは力を取り込めると思う。だからシャルは無理だけどクドには勝てるようになるわ!」

 

「マジかよ!?【淫紋】って名前なのにパワーアップ系のスキルなのか。しかも基礎戦闘力の二倍!?メチャクチャ強いじゃねーか!」

 

「ふふん♪どう?惚れ直したかしら?」

 

 

 マスターが大好きな胸を腕で強調しながら問いかける。マスターの視線が一瞬吸い寄せられたけど、触ってはくれなかった。スキルの検証が優先ってことね。……むう。

 

 

「じゃあ【輪廻】はどんな効果なんだ?」

 

「【輪廻】は対象を魔力に変換して、私の体内で再構成して産みなおすスキルよ。対象は淫魔の力を持った種族に生まれ変わるの」

 

「……ふむ。なるほど」

 

 

 私の話を聞くと、マスターはとても真剣な顔で問いかけてくる。どうしたのかしら急に。

 

 

「つまり、男のラミアを女のラミアに変えられるのか!?」

 

「……はぁ」

 

 

 急に真剣な顔をするから何かと思えば……はぁ。目の前に淫魔がいるのに他の女に興味を持つなんて……いや、男だったわね……。

 

 

「固有スキルは魂に刻まれたスキルよ。強靭な魂の持ち主だけが持つ力。恐らく【輪廻】で再構成してもラミアの【益荒男】の影響は受けるでしょうね」

 

 

 そう告げるとマスターは本気で悔しそうな顔をして声を絞り出す。

 

 

「そう……か。リリスの力でも無理……なのか…」

 

 

 落ち込みすぎでしょ。

 

 私という最高の美女が目の前にいるのに、なんでラミアの性別でそんなにショック受けるのよ。

 

 これはもう、私に対する挑発ね。後で絶対にぶち犯すわ。初めての時同様に泣かせてやる!

 

 私の内心も知らずにマスターは吞気に提案してきた。

 

 

 「じゃあ、実際に試してみるか」

 

 

 マスターが手を叩くと、キングスライムが一匹、ぷるぷると跳ねて現れた。部屋Bに配置されていた子ね。

 

 

「まずは【淫紋】の契約実験だ。キングスライムなら負担も少ないだろ」

 

「了解♪」

 

 

 私はキングスライムにそっと触れ、魔力を流し込む。

 

 ――ぴしゅんっ。

 

 スライムの体表に、淡いピンク色の淫紋が浮かび上がった。

 

 

「おお……! ちゃんと刻まれてる!」

 

「当然よ。契約したからには、私の眷属だもの」

 

 

 キングスライムの魔力が私に流れ込み、私の魔力がキングスライムに流れ込む。

 

 魔力の循環が心地よくて、思わず身体が震えた。

 

 

「……ふふっ、悪くないわね。後でレオンにもやろうかしら?」

 

 

「確かに、レオンはダンジョン外で活動させるからな。いざって時のために強化できるようにしておくのはありだな」

 

 

 マスターの許可も得られたし、後でやりましょう。

 

 

「じゃあ次は【輪廻】だ。キングスライムを……その、再構成してみてくれ」

 

「了解♪」

 

 

 私はキングスライムを抱き寄せ、魔力を吸い上げる。

 

 キングスライムの身体が淡い光に包まれ、魔力の粒子へと分解されていく。

 

 

「……んっ……ふぅ……」

 

 

 魔力を体内で再構成し、形を与える。

 

 光が収束し――

 

 そこに現れたのは、小さな女の子の姿をした“スライムガール”だった。

 

 

「おおおおお!? 可愛い!!」

 

「ふふん♪ どう?私の【輪廻】は。すごいでしょ?」

 

 

 

Dランク

名無し

種族名 スライムガール

戦闘力 1029 

種族スキル 【物理軽減:大】 【粘液大拡散】 

      【拘束】 【妖香】 【吸精】

技能スキル 【搾精】

 

 

 

 マスターはスライムガールを抱き上げて大喜びしていた。

 

 ……ちょっと嫉妬したけど、まあいいわ。

 

 私のスキルを褒められるのは悪くない。

 

 マスターはメモを取りながら言った。

 

 

「淫紋は“契約による魔力循環”によるパワーアップ。輪廻は“魔力変換による再構成”で行う種族進化。……どっちも強すぎるな」

 

「当然よ。私は淫魔の中でも特別なんだから」

 

「よし、次は実戦応用も考えたいな」

 

「ふふっ、マスターが望むなら、いくらでも協力するわ♪……その代わり、あとでいっぱい可愛がってね?」

 

「はいはい、分かってるよ」

 

 

 マスターが私の頭を撫でる。……それだけで、胸がとろけそうになる。

 

 ……だけど今日は私が可愛がるわ。言質も取ったし、覚悟することね♪

 

 

「じゃあ次はレオンだな。忘れないうちにやっておこう」

 

 

 呼ばれたレオンが緊張した顔でやってくる。

 

 

「リ、リリス様……優しくお願いします……?」

 

「大丈夫よ。ちょっと気持ちいいだけだから♪」

 

「えっ」

 

 

 私はレオンの胸に手を当て、魔力を流し込む。

 

 ――ぴしゅん。

 

 レオンの鎖骨の下に淫紋が刻まれた。

 

 

「うっ……!? な、なんだこれ……身体が……軽い……!」

 

「契約完了。これでレオンは私の魔力を借りられるし、私もレオンの魔力を使えるわ」

 

「すげぇ……! 俺、強くなってる……!」

 

 

 マスターが満足そうに頷く。

 

 

「これでレオンの生存率も上がるな。外で活動させる以上なにが起こるかわからないからな」

 

「ふふっ、マスターのためならいくらでも契約してあげるわよ?」

 

「いや、あんまり増やすとリリスが壊れそうだからほどほどにな」

 

「どういう意味よ!」

 

「いや、調子に乗って限界以上に自分を強化しそうだと思ってな」

 

 

 へえ?今夜は焦らしだけじゃなくてお尻も追加かしら?

 

 実験が終わったあと、私はマスターの腕に絡みついた。

 

 

「ねぇマスター……実験、頑張ったご褒美……欲しいなぁ?」

 

「……お前、絶対それが目的だっただろ」

 

「ふふっ、バレた?」

 

 

 私はマスターの耳元で囁いた。

 

 

「――私のココにマスターをもっと深く刻んでほしいの。はやくベッドに行きましょう♪」

 

「なんか……嫌な予感がする」

 

 

 感がいいわね。でも逃がさないわ。尻尾をマスターの胴体に巻き付けてベッドまで連行する。

 

 その夜、私はマスターをたっぷり可愛がった。私を蹂躙する時の凛々しい顔も好きだけど、私に蹂躙されて泣きながら懇願する顔も可愛いわ♪

 

 肌をツヤツヤさせながらマスターを抱きしめて添い寝した。

 

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