――ダンジョンマスターとしての“最初の尋問”
監禁部屋に入ると、ひんやりとした空気が流れ、重たい空気を演出している。
部屋の中には三つの牢屋があり、一つの牢屋に一人ずつ閉じ込められている。
アル、カイル、そしてレックス。さっきまで画面越しに見ていた“村人”たちだ。
看守として配置していたデスが静かに膝をつき、俺に頭を垂れる。
相変わらず怖い顔だ……。リリスの後ろに隠れながらデスに声を掛ける。
「……よくやった、デス。しばらく見張りを頼む」
デスは無言で頷き、霧になって後方へ下がった。
俺はゆっくりと三人に近づく。
まず最初に目を覚ましたのは、魔法使いのアルだった。彼は薄く目を開け、俺を見て……凍りついた。
「……っ……ここは……?あなたは……誰、ですか……?」
声が震えている。……当然か。見知らぬ空間、監禁、そして牢屋の外に見知らぬ男。動揺しないほうがおかしい状況だ。
俺は落ち着いた声で答える。
「俺はこのダンジョンの主だ。君たちは侵入してきたから、捕らえさせてもらった」
アルの顔が青ざめる。
「……やっぱり……ダンジョン……」
その横で、レックスが呻き声を上げて目を覚ました。
「……っ……てめぇ……!俺たちををどうする気だ……!」
怒りと恐怖が混ざった声。だが、拘束されている以上、何もできない。
最後にカイルが目を開けた。彼は状況を理解した瞬間、静かに息を呑んだ。
「……僕たち……死ぬの……?」
その問いに、俺は首を横に振る。
「まだ殺すつもりはない。むしろ、君たちには“協力”してほしい」
三人の視線が俺に集中する。シャルロットが俺の後ろに立ち、静かに言葉を添えた。
「そなたらの命は、主様の気まぐれ一つ。だが、主様は慈悲深い。従うならば、害は加えぬ」
リリスは逆に、甘い声で囁く。
「ねぇ、怖がらなくていいのよ。あなたたち、役に立つものを持ってるんだから」
三人はますます混乱した顔をする。
俺は持ち込んだ椅子を置いて、三人の前に座った。
「まずは質問に答えてほしい。外の世界のことを知りたい。国の名前、村の位置、冒険者の強さ、ギルドの反応……全部だ」
アルが唾を飲み込む。
「……答えたら……助けてくれるんですか?」
「もちろんだ。むしろ、協力してくれた方が“待遇”は良くなる」
レックスが歯を食いしばりながら言う。
「……嘘ついたら……どうなる?」
俺は淡々と答える。
「デスが判断する。アンデッドは嘘を嗅ぎ分けるのが得意なんだ」
三人が一斉にデスを見る。デスは無表情のまま、赤い眼窩を光らせた。
もちろんそんな能力はないが、デスの顔を見てビビらない奴はいない。
カイルが震えながら口を開く。
「……わかった……。話すよ……全部……」
その瞬間、俺は心の中で小さく息をついた。これでようやく“外の世界の情報”が手に入る。
「じゃあまず、君たちの村の名前は?」
「リーシャ村……マルス王国の領地です……」
「このダンジョンに近い村や街はあるか?」
「はい……ミルスという街があって……冒険者ギルドがあります……」
冒険者ギルド……やっぱいるよな冒険者。
「ギルドは……ダンジョンが発見されたらどう動く?」
アルが答える。
「……報告があれば、すぐ調査隊が来ます……危険度が低ければ国が管理します……高ければ……冒険者が攻略に来ます……」
レックスが続ける。
「……俺たちが帰らなかったら……村の奴らが探しに来る……その後、ギルドに報告される……」
カイルが最後に言う。
「……だから……僕たちが戻らなかったら……数日以内に……誰か来る……」
俺は静かに目を閉じた。予想していた最悪の展開が、現実として突きつけられた。
「……なるほど。じゃあ、急いで強化しないといけないな」
シャルロットが微笑む。
「主様、我がいる。どれほどの者が来ようと、蹴散らしてみせよう」
リリスが俺の肩に手を置く。
「捕虜も増えるし、戦力も増えるわよ。マスターのダンジョン、これから忙しくなるわね」
俺は三人の捕虜を見つめた。
「君たちには、まだ聞きたいことがある。そして……役割もある」
三人は息を呑む。
「安心しろ。殺しはしない。ただしーー」
俺はゆっくりと笑った。
「協力してもらうぞ。俺のダンジョンを“守るため”にな」
マルス王国に属する村リーシャ。特に裕福でも貧しくもない普通の村。普段は静かな村だが、今日は多くの人が広場に集まっていた。
先日、隣町のミルスまで出掛けた若者達が帰らないのだ。1日なら気にすることはないが2日も音沙汰がないのは異常だった。そして今日で3日目。
村人たちは三人の捜索をするために話し合っていた。
「あの三人が行方不明となると賊に襲われたのでは?」
「だがあの三人はそこまで金目のものは持っておらんぞ。賊に狙われるような理由がない。魔物では?」
「いや、あの三人がそこらの魔物にやられるとは思えん。特にアルは固有スキル持ちの魔法使いだぞ。……賊もだが、戦って負けたのではなく、ミルスでトラブルに巻き込まれたのでは?」
「原因はどうでも良い!問題はどう行動するかじゃ。取り敢えずミルスまで行って調べるべきじゃろう。ミルスにいるなら解決、目撃情報がなければ冒険者ギルドに捜索依頼を出すべきじゃな」
「……確かに、それしかないでしょうな。外を闇雲に探してもキリがない。ミルスには行くべきですな」
「うむ、決まりじゃな。賊や強力な魔物が発生した可能性も考慮して自警団10人で向かってくれ」
「了解しました、村長。それではさっそくミルスに向かいます。私も息子が心配ですので」
「ああ、くれぐれも気を付けるのじゃぞ。息子のレックスが行方不明で焦る気持ちは分かるが、お前たちまで失えばこの村は終わりじゃ。必ず戻れ」
「承知しております。では失礼します」
「うむ」
こうしてリーシャ村自警団10人はミルスに向かって出発したのだった。
俺はレオン。リーシャ村自警団の団長兼狩人だ。バカ息子のレックスが行方不明となったため、ミルスに移動中だ。
ただ移動しているのではなく、バカ息子たちの痕跡を探りながら進んでいる。直近で村からミルスに向かったのはあの三人だけ。しかも雨も降っていない。これだけの条件ならば、狩人として獲物の足跡を見続けてきた俺にかかれば朝飯前よ。
あの三人の足跡を追うこと1時間、三人の足跡が街道の外に向かっているのを発見した。どうやらあの馬鹿どもは、安全な街道を逸れて行方不明になったようだ。生きていたらぶん殴ってやると誓いながらも冷静な思考が俺の歩みを止める。
若い頃の俺なら、何も考えずに三人の痕跡を追いかけたが、今の俺は責任ある自警団の団長だ。周囲を巻き込むわけにはいかないし、俺自身も生きて帰らないと村の損失になる。若い男が既に3人も生死不明なんだ。これ以上の犠牲は出せない。
だが、息子たちが心配なのも事実。とりあえず、街道に賊や魔物が出たわけでもなさそうだ。数合わせだった非戦闘員を3人ミルスに向かわせ、残りの7人で足跡を追うことにした。
足跡を追いかけ、あの3人が街道を逸れた理由を察した。崖に大きな洞窟が出来ている。最近は息子に任せてミルスに出向いていなかったから気が付かなかったが、こんな場所に洞窟はなかったはずだ。
急にできた洞窟、3人が行方不明になったことを考えると……間違いなくダンジョンだな。まさか村の近くにダンジョンができるとはな。……若い頃の俺なら間違いなく入っている、……息子のことを責めれんな。
「エイ、副団長のお前を失う訳にはいかん。お前は村に戻ってダンジョンの事を村長に報告してくれ」
「はいよ。アンタは入るのかい?」
「ああ、まだ生きている可能性があるからな。可能性があるなら諦めんよ。……俺は父親だからな」
「ハッ、中のこと後で教えてくれや」
「ああ、もちろんだ」
俺達リーシャ村自警団6人は未知のダンジョンに突入した。
ダンジョンの中は一本道のただの洞窟だ。見たところ魔物も居ないな。だが、あの3人が戻らない何かがあるはず。陣形を取りつつ全方位を警戒しながら進む。
しばらく進むと開けた空間に出た。見たところここにも何もなさそうだ。この空間は左右に道が分かれている。あの三人がどちらに向かったか痕跡を探るが“やはり”分からない。
洞窟に入るまでは三人の足跡を確認できたのだが、洞窟の中では三人の足跡や痕跡が確認できないのだ。これもダンジョンの特性なのだろうか?”ダンジョン内では何が起きても不思議ではない”と言われているのは知っているが、これでは捜索に時間が掛かり過ぎる。
「団長、どうしますか?」
「……左に向かおう。なんとなくだが左にいる気がする」
「団長の直感は当たりますからね。信じますよ」
俺の直感はよく当たる。もちろん外れたこともあるのだが普通の人よりも確実に的中率は高い。これまでも直感でいくつもの修羅場を潜り抜けてきた。
俺達は全員で左に向かうことにした。"これ以上は進むべきではない"と訴えかけてくる自分の直感に気が付かないフリをして。
左の道に入ってからどれくらいの時間が経過しただろうか。あれから二つの開けた空間を通ってきたのだが何もない。ダンジョンの中に仕掛けられているという罠もなく、魔物にも遭遇しない。
「……何もないな」
「ええ、……不気味ですね。まるで誘い込まれているような気がします」
「ああ、何もないからといって油断するなよ!特に背後を警戒しておけ!」
「「「了解!」」」
そのまま通路を進み続けるともう一度開けた空間が見える。だが、今までの場所とは少し趣が違う。今までは何もない空間だったが、まるで檻のような格子が見える。中には誰かが倒れているようだ。……まさかレックスか!!
倒れているのが息子かもしれないと思うと身体が勝手に動いた。部屋の中に突入し周囲を探る。部屋の中には檻が三つあり、それぞれの檻の中に一人が倒れていて全員意識はないようだ。顔は見えないが、服装から間違いなくアル、カイル、レックスの三人だと分かる。
急いでレックスの檻に駆け寄り扉を壊そうとすると……一つの違和感に気が付いた。檻の扉が開いているのだ。本当に少しだけで、近づかないと気が付かなかったが、確かに檻は開いている。それが何とも不気味で、無意識に一歩だけ後ろに下がっていた。
そして俺が一歩下がった瞬間、レックスが起き上がった。いや、アルとカイルもだ。三人ともゆっくりと起き上がる。
愛する息子と息子の友人たちが起き上がったというのに俺は……俺達は絶望していた。
「な、なんなんだコレは!!!」
「どうなっているんだ!?」
「……なんてことだ」
起き上がった三人は明らかに死んでいた。顔色は血の気がなく土色で目は虚ろ。口はだらんと空いていて舌が出ている。死んでいるはずなのに動く者達。動く死体、アンデッドだ。
存在は知っていたが自分の息子がアンデッドになったショックは大きく、身体が動かない。呆然と変わり果てた息子を眺めていると、ゆっくりと動き出し自分達で檻から出てきた。
「て、撤退だ!脱出するぞ!!!」
それを見て我に返った俺達は、急いで脱出することにした。三人は見つかったし、アンデッドになったとはいえ自分の息子を倒すことなどできはしない。ここは一旦退却してアンデッドについて調べるべきだろう。もしかしたら治す手段もあるのかもしれない。
全力で撤退する俺達は直ぐに開けた空間に戻った。そのまま通り過ぎようとした俺達の前に、いきなり魔物達が現れる。
濃密な死の気配を放つ小柄な少女のアンデッド。それを守護するように囲む変わり果てた息子達。
そしていつの間にか俺の目の前にいる可憐な少女。桃色の髪に真っ白な肌、身長の割には大人の女性に匹敵するほどの豊満な発育の良さ。今すぐにでも口説いてしまいそうになるほど可憐だが、その背中の羽と、腰から伸びた尻尾が人ならざるものだと主張している。
迎撃するために剣を構えるが、気が付くと自分が不必要に深呼吸をしているのに気が付いた。香りだ。少女が放っている良い香りを堪能するために深呼吸をしてしまう。
俺の直感が”呼吸を止めるべき”だと訴えかけているが止められない。深呼吸を続けて香りを取り込むことで身体が心地よくなってくる。
「あらあら、すっかり私の虜ね。まだ何もしていないのに」
少女が近づいてきてゆっくりと俺の頬に手を触れる。
「ほら、私の目を見なさい。【催眠】」
少女に命令されるままに目を合わせる。合わせた瞬間に身体の力が抜けて睡魔が襲ってきた。仲間たちの悲鳴が聞こえ、鮮血で視界が赤く染まる。
ーーーごめんな、レックス。父さんもそっちに行くよ。……レイナ。お前を置いていくことが心残りだ……。
家族のことを思い浮かべながら、俺の意識は闇に飲まれた。
「気持ちの良い夢を見せてあげるわ。【淫夢】」
意識が沈んでいく。暗闇の底へ落ちていくような感覚の中で、俺は最後に妻レイナの顔を思い浮かべた。
――すまん……レイナ……。
その瞬間、暗闇がふっと揺らぎ、甘い香りが鼻腔を満たした。
「……起きて。ほら、目を開けなさい」
耳元で囁くような声。柔らかく、甘く、しかし抗いがたい強制力を帯びた声。
レオンはゆっくりと目を開けた。
視界に映ったのは――桃色の髪、白い肌、妖艶な微笑みを浮かべる少女。リリスが、彼の胸の上に跨っていた。
「おはよう、レオン。あなた、すごく良い顔で眠ってたわよ?」
レオンは反射的に身体を起こそうとするが、腕も脚も、まるで自分のものではないように動かない。
「……っ……な、んだ……これは……」
「動かなくて当然よ。あなたの身体は、もう“私の香り”で満たされてるんだから」
リリスは指先でレオンの胸をなぞり、そのまま首筋に唇を寄せた。
「ねえ……あなた、家族がいるんでしょう?」
レオンの瞳が大きく揺れた。
「……っ……やめ……ろ……」
「ふふ“守りたいものがある男”ほど、堕とすのが楽しいのよ」
リリスの瞳が妖しく光る。
「【魅了】、【妖香】」
レオンの呼吸が乱れ、心臓が早鐘のように打ち始める。
「ほら……深呼吸して。あなたの身体が、私を求めてるでしょう?」
レオンは必死に抗おうとするが、肺が勝手に空気を吸い込み、甘い香りが全身に染み渡る。
「……っ……あ……」
「あら♪いい声で鳴くじゃない。じゃあ、次は目を合わせて?」
リリスはレオンの顎を掴み、強制的に自分の瞳を覗き込ませた。
「【催眠】」
レオンの瞳から光が抜け、代わりに淡い桃色の輝きが宿る。
「そう……そのまま。あなたは今から、私の騎士になるの」
リリスはレオンの耳元に唇を寄せ、甘く、蕩けるような声で命じた。
「――堕としてあげる。あなたの誇りも、家族も、人生も……全部、私に捧げなさい」
リリスの尻尾がレオンのズボンに侵入する。レオンの雄を絡み取り、蹂躙する。
「淫魔にここを責められて耐えられる雄なんていないわ。さあ果てなさい」
体感したことのない強烈な快楽に襲われ、やがてレオンの身体から完全に力が抜ける。リリスに服従したことで、ダンジョンの魔力がレオンを魔人に変質させる。
赤い髪は灰色に染まり、瞳はリリスの色である桃色が定着した。
リリスが身体から降りると、レオンはリリスに跪いた。
「・・・リリス様の命ずるままに」
「ふふっ、いい子。じゃあ、マスターのところに行きましょう。あなたの新しい“主”に挨拶しないとね?」
リリスはレオンの頬を撫で、満足げに微笑む。
レオンは無言で頷き、リリスの後ろに従って歩き出した。
捕虜を捕まえて三日が経過した。DPが振り込まれるのは一時間に一回、既に72回DPが振り込まれた。そしてDPの量は一人当たり一回10DPだった。
捕虜の数は三人。振り込まれた回数は72回なので2160DPを手に入れることができた。
しかし、ダンジョンコアが毎日100DPずつ消費するので実際は+1860DP。
なので500+1860で俺の所持DPは2360DPとなる。Dランクを基準にすると戦力の補充なんて夢のまた夢だ。DPが圧倒的に足りない。
「DP貯まらないな・・・監禁部屋を増やして捕虜を捕まえまくるのが正解なのか?」
まさかこんなにもDPで困ることになるとは・・・誰かオススメの金策を教えてくれ!!!
そんな現実逃避をしているとパソコンから緊急アラートが鳴り響く。侵入者が来たのだ。あの三人からの情報通りだな。
侵入者を監視すると侵入者の数は6人。全員武装しているな。前回の侵入者よりしっかりと武装していて、まるで兵士みたいな格好だ。
入ってきた侵入者たちは周囲を警戒しながらゆっくりと進んでいる。そのまま休憩部屋に辿り着き監禁部屋のある左側に向かった。
それを確認した俺は監禁部屋の防衛を諦めて、監禁していたアル、カイル、レックスを殺して眷属にするようにデスに命じた。デスの手で殺された三人は、デスの【眷属作成】によってアンデッドに生まれ変わる。…………人を殺したのに何も感じないな。あの三人とはそこそこ会話も楽しんだんだが。
ステータス
D-ランク
名前 カイル
種族名 ゾンビ・ウォーリア
戦闘力 740
種族スキル 【再生】
技能スキル 【武術:剣術(中級)】 【武術:体術(下級)】
ステータス
D-ランク
名前 アル
種族名 ワイト
戦闘力 920
固有スキル 【魔力解放】
種族スキル 【霧生成】 【再生】
魔法 【攻撃魔法:火(中級)】
ステータス
D-ランク
名前 レックス
種族名 ゾンビ・ハンター
戦闘力 840
種族スキル 【再生】
技能スキル 【武術:剣術(中級)】 【武術:体術(下級)】
【武術:弓術(下級)】 【索敵】
三人とも中々の戦力になってくれたな。本当は魔人にして生きたまま仲間にしたかったんだが、魔人にしてしまうとDPが手に入らなくなりそうだったからな。デスのスキルの検証もかねてアンデッドにすることにした。
ふと、あの三人に殺すつもりはないと言ったことを思い出す。……まあ、どうでもいいか。所詮はただの口約束だ。守る義理はないな。
この三人はそのまま監禁部屋の看守として配置する。倒れているフリでもさせておけば油断も誘えるかもしれない。
あと殺したときに3000DPを獲得した。1人殺せば1000DPみたいだな。
監禁部屋には3体までしか配置できないので、デスは戦闘部屋Bに戻しておく。
「さてと、やることはやったな。あとは高みの見物だ」
「ねえ、マスター。私も部下欲しいー!」
「我は要らぬな」
シャルとリリスを隣に侍らせながらデスの【眷属作成】を見ていたのだが、リリスも自分の部下が欲しいみたいだ。
「だけどリリスは眷属作成のスキル持ってないだろ?」
「舐めないでよね!進化した今なら可能よ。人間なんて性欲を管理してあげたら簡単に堕とせるんだから。今回侵入してきたリーダー格の男で良いわよ!……あと、マスターのココも……管理してあげようか?」
そう言いながら怪しい手つきで俺の股間を指さす。まさか主人である俺を【魅了】しようとするとは……けしからんメスガキだ。ぜひお願いしてみたいが、シャルから途轍もない怒気を感じるのでやめておこう。
「おい、小娘!主様の貞操は我のものじゃ、貴様はあの男と乳繰り合っていろ」
「はぁ!?誰があんなオッサンと乳繰り合うですって!?冗談にしてもやめてよね!!」
「まあまあ二人共落ち着いて、どうやら監禁部屋に着いたみたいだ」
二人がじゃれ合っている間に侵入者達は監禁部屋までたどり着いた。リーダーと思われる男が先行して檻の前まで駆け寄り、檻の扉を壊そうと剣を振りかぶって止まった。
なるほど。流石に扉が開いていれば違和感を感じるか。捕虜が中に居ないと檻の扉は閉まらないようになっているみたいで少しだけ隙間ができるのだ。近付けばそりゃバレるだろう。
これ以上引き付けることは出来ないと判断して三人に侵入者を撃退するように命令を送る。
俺の命令を受信したアル、カイル、レックスの三人はゆっくりと起き上がり自分から檻の扉を開けて外に出た。……どんな戦闘を見せてくれるのか期待していたんだが、そのまま侵入者達が反転して逃げ始めた。
見た感じ知り合いみたいだったし、戦闘ではなく逃走を選んだみたいだ。だが逃がすわけにはいかない。まだダンジョンの情報は秘匿しておきたいし監禁部屋の捕虜も新たに必要だ。
部屋Bにデスと、アル、カイル、レックスの眷属トリオ、それと部下が欲しいと言っていたリリスを配置する。【眷属作成】のスキルもなしにどうやって部下を手に入れるのかお手並み拝見だな。
「やっと邪魔な小娘がいなくなったのじゃ。んっ……ちゅ」
そういってシャルが俺の身体に覆いかぶさって口付けをしてきた。いや、見えないんだが……。
「安心せい。主様が見るほどの事はおこらん。あの小娘が手駒を獲得し、アンデッド共が監禁部屋の養分を捕らえて終いじゃ」
シャルが言うならそうなるんだろうな。どうやら全てが上手くいくらしい。リリスの活躍も見てあげたかったのだが、シャルが離してくれそうにないので諦めて舌を絡ませる。
「どうよ、マスター!私だって人間の雄の一匹くらい……って何やってんのよおぉぉおお!!!」
どうやらリリスが戻って来たみたいだ。スマン、お前の活躍は見れなかった。
尻尾を床にたたきつけながら迫るリリスにビビりながらも、シャルとの口付けを楽しむのだった。