無能治癒師だった私ですが、魔獣や魔族には効くようです。   作:麗紫 水晶

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 私の事を知っておられる方々はご無沙汰してます。初めての方々はよろしくお願いいたします。
 自分に見合うジャンルを探し求めて早数年……今回も至るのかどうかは分かりませんが、書いてみたのでよろしくお願いします。
なろう様には投稿をさせて頂いております。
では……………。



……プロローグ……。

 私は”イザリア・キャンベラ”27歳女性、独身……もう少しでアラサー世代だが何か?

 銀髪のポニーテールで、体型は……まあ、太過ぎず瘦せ過ぎず……至って普通?も、勿論出るところは出ている!ナイスバディとは言わないが……。

 私は治癒師を生業としていて、魔法やポーションを使い病気や怪我を回復させて人々を助ける仕事をしていた。しかし、私の治癒力は皆無に等しく擦り傷切り傷程度を治せると言うだけで、大怪我や大病といったものを治す迄に至らない……。お陰でその日暮らしでマトモな食事もありつけない状況にある。治癒師ギルドにも登録はしているが、転職を勧められるばかり……更には人々からも無能だ!役立たずが!治癒師の恥だ!治癒師を辞めてしまえ!云々……。

 周りから信用されるどころか、毛嫌いされる始末になってしまった……。何故こうなってしまったのかは……私にもよく分からない。

 唯一、分かった事と言えば友人であった“セイリーン”と言う女性が、急に治癒力に目覚め聖女となった事だった……。

 彼女は優しく、私とは普通に接してくれ気さくで笑いあえる仲だった……。

 しかし聖女になった途端、彼女とは会うことが出来なくなった……忙しいからと自分に言い聞かせてはいたものの、彼女のあの性格ならば会える筈と彼女の元へ向かってみた……だが、周りに数人の騎士と司教が護衛の様に取り巻き、取り合って貰えない。一番驚いたのは、その時彼女自身が上から私を見下ろし侮蔑の表情で私を見て、その場から立ち去った事だった……。

 何が……急に……何もしていないのに、どうしたのか……私には訳が分からず途方に暮れてしまって……街を乏しく歩いていたが、人々から罵られ罵詈雑言を浴びせられ、街に留まる事も出来ずに着のみ着のまま国の外に飛び出していた……。

 その国はラドル国と言い、西方に位置する国……。街も活気があり、軍事的にも名声が高い。卑下されている私が言うのも何だが、裕福な方だろう。と言っても一部なだけか……路地裏界隈は善く言えたものじゃないな……。

 私の自宅の荷物と思ってもちょっとの着替えとガラクタとも言える瓶や薬草があっただけ……、もっと治癒力があったなら品揃えも良かっただろう。だから、持ち出す物など何もない。

 

 私は行き先も無いままに歩き続け、道から外れた事にも気付かないまま森の方へと進んでいた。

 

 (「……森には魔物が徘徊している、近付いてはいけない……」)

 

 誰しもが口にする台詞を聞いていたにも関わらず、何故か奥に奥にと進んでいた。自信喪失で、無気力のまま何処へと辿り着く事の無いままに……自分はどうなっても構わないし、助けてくれる奇特な人間など誰も居ないと自暴自棄になりながら……。

 森の中は木々の枝の葉を抜けて、日差しが差し込んでいた。私の気持ちなど無視するかの様に……。

 そうして森の中を歩いて彷徨っていると、草むらの影に何かが動いたのを見た!

 マズイ……今更だが、魔物に襲われたら一瞬で終わりだ!か、隠れなくては……って何処に隠れると言うのだろう?森の中は、魔物の方が得意とする領域だ。私の方が部が悪い!ここまでか……いやまあ、今更生き残った所でこの先どのみち良いことなんて無いだろうな……いっそのこと……。

 そう観念して、魔物が飛び出して来るのを待った……。

 

 ……ん?……あれ?……出て……来ない?……確かに気配はまだある……普通ならとっくに私は襲われて喰われて死んでいる筈……何故だ?

 私は気配がまだあるのを理解しつつ、ゆっくりと茂みを掻き分けた。

 すると、そこには確かに魔物…いや、魔獣が存在した。四肢があり、真っ黒な艶のある体毛に細身の体躯で、2本の長い牙と尻尾の先端が三矛の形になっている猫型魔獣の様だった。黒豹と言った方が分かりやすいかな。

 しかし、その黒豹は怪我をしていてそこに踞っていた……後ろ左足を切りつけられたのか、少し深めの切り傷で歩く事が出来ない様だ。今の私の治癒力では、治すのは無理だろうと思った。まして魔獣を治癒するなんてしたことがない。こんな私に出来るのか……?

 しかし、見てしまったからには、これを放置するのも後々寝心地が悪そうだし……。といって私の治癒が効くのだろうか……ええぃっ!どうせ死ぬ覚悟は出来ている!こうなれば私もヤケだ!やってやろうじゃないか!

 私が覚悟を決めて、黒豹に近付こうとすると恐怖と警戒心からか、凄い形相で威嚇してくる…当然のリアクションだとは理解していた。しかし私は怯むことなくしゃがんで近付いた。

 黒豹は更に牙を剥き出して近付くなと脅して来る、私はそれに目もくれず足の怪我の上から手をかざして祈った。

 

「……ヒール……。」

 

 すると、どうだろう?眩い光が溢れて深手を負った黒豹の足の傷を完全回復させたではないか!

 

《魔獣治癒・レベル1を獲得しました》

 

 な!?なに今の!何かのお告げ?魔獣治癒って……。

 私にも…訳が分からなかった……人間相手には……ほとんど効果が無かった私の治癒が、モンスターには効果抜群なんて………自分で自分が信じられない……。

 私は自身の手を、まじまじと見つめていた……自分でも何が起こっているのか全く理解できずにいた。

 

「………ゴロゴロゴロゴロ……。」

 

「えっ!」

 

 更に私は驚いてしまった……治癒してあげた黒豹の魔獣が喉を鳴らして私に額を擦り付けて来たのだ……。

 明らかにさっきの威嚇の表情ではなく、甘えた顔になっている。

 ま、魔獣なのに……か、可愛い……。な、撫でても良いかな?ああ、凄く毛並みが良くて……堪らない……え、え、お腹まで?ホ、ホントニ?あ、あははははは……魔獣に懐かれちゃったマジ?……でも……。

 

「ゴメンね、助けてあげたけど私と居ても良いことなんて無いからここでお別れだね。」

 

 そう言って私は立ち上がった。

 

「じゃあね。」

 

 私はまた奥へと歩き出す。いく宛が有るわけではないが、国から少しでも離れたい気持ちがあった……辛い思い出しかないあの国から……。

 

 !?!?!?ちょ、ちょ、ちょっと!後ろからさっきの黒豹が付いて来るし!?

 

「私には関わらない方がいいよ……ここでさよならだ。」

 

 話が通じる訳は無いのにそう説得して、また歩き出す。

 しばらく進むと、間隔を置いてやはり付いて来ている。

 私は観念して、黒豹を呼んだ。

 

「おいで……。」

 

 しゃがんで手招きすると、ゴロゴロと喉を鳴らして近付いてくる。頭を擦り付けて甘えて来た。ここまでされたら、離れる訳にもいかないだろう。

 

「お前も一緒に来る?」

 

「ガルッ!」

 

 嬉しいのか、返事をする様に声をあげてきた。少しは人語を理解しているのだろうか?

 

「じゃあ、名前を付けないとだね。……う~ん。」

 

 私は頭の中で色んな呼び方を模索した。あんまり長い名前は呼びづらいし……あ、これだ!

 

「名前は、メリル!どうかな?」

 

「ゴロゴロゴロゴロ……。」

 

 喉を鳴らして甘えて来た、気に入ってくれたらしい。

 

「じゃ、ヨロシクメリル。」

 

《魔獣使役・レベル1を獲得しました。》

 

 えっ!またっ!なになになに!何なのこの声!今度は魔獣使役って……。

 ……私って……ホントに治癒師!?自分でも分からなくなって来た……。

 でも……魔獣であったとしても、寄り添ってくれるのは凄く懐かしい感じがするし……嬉しい……。

 私は友達が出来た、メリルを抱き締めて毛並みを堪能する。メリルも喉を鳴らして甘えてくれてた……。

 それからは少し安心感と言うか……ぽっちじゃなくなった感じがして、嬉しかった。

 メリルが先導してくれるので、闇雲に歩くよりも進みやすかった。茂みを掻き分け、木々の間を抜けてちょっと広い場所に出た。

 そこには直径で5m程の池?があり、溢れて1本の川が奥へと続いていた。

 その池の水は凄く綺麗で、底がハッキリと見える。何この透明感!触れてみると冷たい、喉が乾いていたから飲みたくなってきた……でも、大丈夫かな?

 …って、メリルが既に飲みまくってる……よし、じゃ、私も!

 両手ですくって匂いを確認して、一口飲んでみた………つ、冷たくて凄く美味しい!思わずごくごく飲んでた。こんな美味しい水は初めて!一体どこから……と池を眺めていたら、底から泡が漏れて来ていた。

 もしかして湧水なのかな?確かに至る所に気泡が底から漏れてきてる。それで綺麗なんだ!凄く貴重だよね、森の中じゃ特に水は大事な資源だし……。

 う~ん、水を確保する物も何も持ってないしなぁ……まさか治癒の術で確保できるなんて……そんな都合の良いことなんて無いよね。どうやったら良いかも分からないし……。

 

《収納・レベル1を獲得しました。》

 

 …………はいっ!?

 いや、ちょ、ちょっと待って!チートでしょ!余りに都合が良すぎて信じられないんだけど!

 だげど、レベル1だがらそんな強力な術じゃ無いよね。ま、まあ、使ってみようかな? 

 

 私は水面に手をかざして使ってみる事にした。

 

「収納……。」

 

 お、おおおおお!手のひらに水が吸い込まれていく……かなりの量が入った気がする……凄い……。

 湧水は相変わらず、出て来るので枯渇する事は無かった。あっ、でもこれって……少しだけ出したい時にはどうすれば……?

 

《分量調節レベル1を獲得しました。》

 

 ……は?……なんかレベル1ばっかりだけど……でも、何なのこのお告げ……有り難いから良いんだけど。

 

「分量調節……。」

 

 あ、水が少し両手サイズの量が水玉になって出てきた……綺麗だ……。

 私はそれに口を付けて飲んでみた。さっき飲んだように冷たくて美味しい、その分大きさが小さくなった。

 

「メリルも飲む?」

 

 私はその水玉をメリルの顔に近付ける。メリルは一度臭いを嗅いで、舌で飲みだした。これなら、途中でもお互いに水分補給は出来る。生命線の1つだ……あれ?……私は一体何をしてるんだ?生きる望みなんて失っていた筈なのに……。

 私は微笑みながらメリルを撫でていた。

 

「そっか……ぽっちじゃ無くなったんだ……ふふ……。」

 

 たとえ魔獣だろうと、傍に居てくれるモノがいるのは癒されるし力が沸く。

 お告げ?の力も付きだしたし、絶望のままではなくたった。こうなれば足掻いてみるまでだ!私なりに生き延びてやろう!

 

「じゃあ、行こうかメリル。」

 

「ガルッ。」

 

 私はメリルと共に森の中を歩きだした。目的地がある訳じゃないけど、メリルと一緒に生き延びて国を見返してやろうと誓う私だった…………。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 ……これは治癒の力を奪い呪いを掛けて聖女となった女と、呪いを掛けられ人間界から追放されたものの、魔獣や魔族・獣人や異種族を治癒する力で聖女に対抗する力を持った主人公との凄絶な治癒バトルの物語り………。

 




 いかがでしたでしょうか?続けて読んで頂けるならば、次話へとお進み下さい。
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