無能治癒師だった私ですが、魔獣や魔族には効くようです。   作:麗紫 水晶

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 10話目でございます。
 では………。



……骨侍…見参……。(前編)

 私は、イザリア・キャンベラ”27歳女性、独身……毎日が生きるために必死で彼氏どころじゃなく、仕事もオシャレも食事すらもまともに出来なかったのが現状だった私だ……。

 

 ある日、突然人間の治癒が皆無になり……治癒師と言う職業から見放され、人々全てから忌み嫌われ、国を飛び出して森を彷徨い歩き、逆に出会った魔獣や魔族を治癒出来るという奇跡的能力が備わっている事を森の中で知った。

 

 私にとっては立場がどうあれ、治癒師と言う職を辞めないで良かったと思っている。種族は違えど、誰かを治す事が出来て役に立てる事が分かったのだから……。

 

 それにこんな私にも仲間と言うものが出来た。私を慕ってくれるなど恥ずかしくも嬉しいのだが、頼もしい魔獣3匹とダークエルフにミノタウロスと言う異色!?なメンバーに巡り会えた。

 

 私には大切なメンバーで十分に知識や力があり、その辺の冒険者達よりはこのメンバーなら強いと自負している……まあ、私を除いてではあるが……ねw

 フフフ、先日は森の中で露天風呂とも言える湯船に浸かれるとは思わなかった。しかも雷(電気)風呂とは……滅茶苦茶痺れたぁ気持ち良かったぁ、止められないねぇ………あ、えっと…まだまだお婆さんの年齢じゃないんで。30前のイケてるお姉さんですので!(豪語)

 

 フフフフ、このお風呂収納してあるからこれからも入る事が出来るんだよねぇ、良いわぁ。だって勿体無いからね、持っていける物は何だって!

 でも、魔都に着いたら宿に泊まるから暫く使えなくなるかなぁ、お金貯めて一軒家か中古家を……買う?それとも建てる?

 まあ、それは着いてから考えよう。まだ程遠いんだけどね。ドルクの体力を考えながら進んでるから、そんなに距離は稼げて無い感じがする。それでも感謝!ドルクや皆が居るお陰で、そう易々と魔獣は襲って来ないし、逆に来ようモノなら食材にされてご苦労様だし…合掌……。

 ホントに何処で人生が一変するかわかんないよね、私は皆に出逢えた事に凄く感謝してる。今の方がよっぽど充実してるし、幸せに感じてるから……国にいた頃の比じゃないからね、今は。

 ダークエルフの奥方様が言ってくれた様にアルミラの故郷が私の故郷にもなりそう……その方が私にとってホントに幸せかも知れない……。

 さてと、しんみりした話はこの位にしてと。

 

 いや、実はね移動中なんだけど、さっきから視線を感じるんだよねぇ。

 やっぱり、アルミラもアルバスも、まあメリル達も勘づいてるみたいで頷きあって気付かないふりで、警戒はしつつ進んでいた。

 数人……居るよね。何だろう私にも視線を感じるなんて?今までの経験が私のレベルも上げてくれてるのかな?

 あ、そう言えばあのスキルがあったよね?使ってみるか。

 

「……集音……。」

 

「お姉さま?」

 

 私が目を瞑って言葉を発したので、ジュエラが気になった様だ。しかし私はそのまま集中する。

 居た!私達の位置から南東の方角1km位の後方の距離……。ってか、全員そんな凄い距離の気配に気付いたの!?…………ないわぁ。

 

「あの、魔族や魔獣と一緒に居る人間の女は探している者の可能性が高い。人相も似ている。お前は戻って部隊に通達、残り我らは部隊と合流するまで動向を見張りつつ待機。」

 

「「「「「はっ。」」」」」

 

 1人が、駆けて離れて行く。残った人数で、こちらを遠巻きに見張って様子を伺ってる……どうやら、目的は私の様なんだけど。でもどうして私なんか今更追って来るの?普通、あの状態なら私でも死んでるだろうと思うけどね。

 余程、心配性な人物が居るのかな?……………って、ああ……居たね。1人だけ、気にしなくてもいいのに私がどうしてるのかやたら気にする人が……。

 と言う事は、兵士を向けて来る位だから私を抹殺したいと。確実に死んだ事を確定にしたいと……ないわぁ。

 

「イザリア?」

 

 アルミラも心配したのか私を覗き込んで来た。

 

「皆、そのままで聞いて。」

 

 私の話し掛けに皆頷いてくれた。

 

「私達の位置から南東に1kmの所に人間の兵士が5人程居て距離を保ったまま付いて来てる。その後方から部隊が合流するみたい。その狙いは私……。」

 

「な、マジかよ!こんな所までイザリアを追って……!?」

 

 前を向きつつもアルミラが驚いていた。普通その反応だよねぇ。

 

「そう、アルミラの村で皆に話したけど、私も向こうが勝手に私が死んだものと思ってくれてるものだと思ってた……ただ、1人だけ私の死んだ証拠が無いことに気付いた人物が居たようね。」

 

「おいおい、お嬢。そいつはまさか……?」

 

「ええ、そのまさかね。彼女は確定でなければ信用しない人物だから。」

 

 さすがに、皆の溜め息が聞こえる。呆れているのが丸分かりだ、私もだから……。

 

「では、お姉さま。この後どうされますか?」

 

「う~ん、あまり相対したくないんだよねぇ……かといって兵士を国に返さないと余計に目の敵にされそうだし見逃してくれそうに無いし……。」

 

「何か、めんどくさい奴だな。」

 

「はあ……そうなんだよねぇ…アルミラ。私はね、貴女の方がよっぽど好き!」

 

「ななな、こんな時に何を……。」汗!

 

「ええ!お姉さま私はぁ?」甘!

 

「勿論!ジュエラもよ。メリルもドルクもアルバスも皆好き!」

 

「当然だ!お嬢の事は恩人で、認めてるしいい女だって事は皆が思ってる!じゃなきゃ誰も付いて行きはしねえさ。」

 

「ええっ!えっと、いい女だなんて……そんな…私なんか地味だしブスだしゴニョ、ゴニョ、ゴニョ……。」

 

「とんでもないですわ、お姉さま。私はお姉さまの事をブスだとか醜いだとか思った事は1度もありません。むしろ純粋で……美しい位です!」

 

「や、やめてジュエラ!恥ずかしいっ!」

 

「まあ、それだけイザリアも好かれてるって事さ。なあみんな!」

 

「ガルッ!」

 

「ドルッ!」

 

「そう言う事だ!」

 

「んもうっ!考えが纏まらないよぅっ!」

 

 みんな笑いながら進んでいた。でもやっぱり今が1番幸せ!ありがとうみんな!

 

「じゃあどうする?何か足止めの罠を貼るか?」

 

「気付かれないようにする事って出来る?」

 

「任せてお姉さま。メリルとアルバスはドルクと気付かれないように進んで下さい。私とアルミラで罠を貼ります。直ぐに追い付けると思いますので。」

 

 ジュエラは賢い子だ。ドルクと行動出来ない今、アルミラと動くしかないと。

 

「でも、大丈夫なの?」

 

 いくら手際が良い2人と言っても心配にはなる。万が一戻る前に見付かったら……。

 

「心配入りません、お姉さま。ここは森の中です。気配を消しながら行動出来ます。任せてお姉さま。」

 

 ここまで言われたら、駄目とも言えないな……万が一な心配もあるけど……。

 

「分かった、信じるよ。くれぐれも気を付けてね!」

 

「了解です!」

 

「任せな!」

 

 ジュエラとアルミラはドルクを背にして、敵側から見えない方から降りてその場を離れる。私達はそれを悟られないように何食わぬ顔で前を見て前進する。

 どうやら気づかれていないようだ。2人とも任せたよ……。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「なるほど、そうですか。あのお方が言っていた通りと言うことですか……。」

 

 この男は後続部隊の部隊長。金髪のショートヘアでまあまあの顔立ちをしている。凡人ではなさそうな雰囲気は醸し出している。

 今、私達を追っている騎士団と言うことになる。こっちは30名ほどで、小隊規模クラスと言ったところか……。わざわざ私のために中隊や大隊を出してくることは無いだろうけど。

 部隊長とその側近3名が騎馬に乗っている。後は剣と盾を装備して移動中だ。部隊長はフルアーマーで、側近は軽アーマーと言ったところか……と言っても私にはさっぱり見えてないから遭遇したときに見たんだけどね。

 

「合流するまで様子を見るとのことです。」

 

 斥候の戻った1人が部隊長にそう報告した。

 

「良いでしょう、目標を見失わないように伝えなさい。こちらも急ぎ合流すると。」

 

「はっ!」

 

 そう返事をすると、すぐに斥候は引き返していった。

 

「フム、何故あのお方がこの女にこだわるのか分かりませんが、まあ良いでしょう。不安が解消されるなら、その様にするまでです。それに、どうせ亡骸を持ち帰るのですからどの様な姿であっても良いと言うこと……これはなぶりがいがありそうですねww…皆さん!急ぎますよ!」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

 部隊を合流するために走り出した。これは早くに合流しそう……。

 その頃、ジュエラとアルミラは残って罠を準備していた。ジュエラが粘着糸を出し、アルミラが木々に固定していく……手際の良さは職人芸だ。

だが、アルミラ達は追い付かれるタイミングを見誤っていた。

 

「そこで、何をしている!」

 

「しまった!ジュエラ!逃げ………がっ!?」

 

「アルミラ!」

 

 アルミラが一瞬で羽交い締めにされてナイフを喉元に突き付けられていた。

 

「動くなよ……動けばこの女の首と胴体が離れる事になる……。」

 

「くっ!」

 

「そのアラクネも捕らえなさい、聞きたいこともありますし、それぞれ可愛い顔が苦痛に歪む顔も楽しみたいですしねww」

 

 そう、この男は部隊長。もう既に斥候と本隊は合流していたのだ。辿り着く迄はもう少し時間があると読み違えたアルミラ達の誤算……。

 1人と1匹は手足を縛られ、太い木の枝に吊り下げられた。

 

「な、何しやがる!」

 

 アルミラの抵抗も数人で抑えられては身動きが取れない。ジュエラも同じように吊り下げられた。

 

「鞭を持ってきて下さい。これから、ショータイムといきましょうかww」

 

 騎士には到底釣り合わない下卑た笑みを浮かべながら、鞭を振り回し始めた……。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 ………待って!戻って来るのが遅い気がする……まさか……。

 

「ドルク、1度止まって!」

 

「ドルッ!」

 

 ドルクが進行を止める。私の傍に居たメリルも後方を気にしていた。

 

「どうした、お嬢?」

 

「待って……集音……。」

 

 私は目を瞑って遥か後方に集中する。何やらうなり音と高く鈍い音が響き、呻き声も聞こえる……この声はまさか……。

 

「アルミラ達が危ないわ!助けに行かなきゃ!」

 

「ヴモッ!捕まったのか?」

 

「そうみたい、アルバス、メリル、ドルク、力を貸して。」

 

「勿論だ!だが、さっき聞いた人数に勝てるかどうか……。」

 

「私には、仲間を見捨てる選択肢は無いわ。皆が居なくなる位なら私も一緒……。」

 

「お嬢、俺達はあんたを守る。お嬢が生きている事が俺達の価値であり、生き甲斐だ。勿論あいつらを助けに行くが、一緒に死ぬなんて言わないでくれ。」

 

「アルバス……。」

 

「なに、俺とドルクが蹴散らしながら2人を助ければ良いことさ。奴等を惹き付けてる間にお嬢は治癒を頼むぜ!」

 

 アルバスがグッドポーズでウィンクして来る。クスッ、ドルクも一緒に……。

 私はなんて幸せ者だろうか……こんなに私の事を信じてくれるなんて……。

 

「分かったわ、いきましょう!」

 

 頷きあって、元の道を引き返す。倒した木々を避けながらじゃなく、あえて跨がせて進んだ。その方が、部隊から離脱する際に追い付かれ無いようにするためだ。

 

「居たっ!あそこだ!」

 

 アルバスが団体を見付けて叫ぶ!

 

「アルミラッ!!ジュエラッ!!」

 

「……ば…ばか…何で……戻って……。」

 

「…そ、そうです……逃げて……下さい……。」

 

 2人が木に吊るされ、身体中に鞭で拷問を受け、血が滲んでいる箇所もある……。

 

「私が貴女達を残して行くと思う?」

 

「そ、そうだな……な、納得だ……。」

 

「お姉さまらしい……ですわ……。」

 

 まだ話せるなら少しは余裕がありそうね。だけど、こいつが隊長か?拷問の様に2人をなぶるなんて、絶対好きになれないね、女性を大事に出来ない男は……怒!

 

「お初にお目にかかります。私はこの隊の部隊長をしています、ベルモンドと言います。お見知り置きを。わざわざご足労頂き、恐縮です。」

 

 口角を吊り上げながら、丁寧な物言いだけど上から目線な感じで、嫌みにしか聞こえない。

 しかも、ドルクやメリル、アルバスが一緒にいてもあまり動じて無いみたいだし、手練れ……と思っていた方が良いよね。

 

「目的は私ですよね?その2人を解放して欲しいのですが?」

 

「そうしてあげたいのですが、あのお方の命により一緒に居る者達も生かしてはならないと厳命されましてね。魔獣や魔族は根絶やしにすると……。」

 

 囲まれた!ベルモンドを含めて20名程でこっちを。後の十数名で、アルミラとジュエラを!人質にされている分、身動きが……。

 

「動かないで下さいね。動けば、あのお二人の胴体が二つに分かれる事になりますよ……ククク。」

 

 うわぁ…ホントにこれで騎士様か?盗賊とか山賊、追い剥ぎ連中と大差ないんだけど。でもアルミラとジュエラを人質に取られて、下手に動けない!どうしたら…………。

 

「弱いもの苛めは良くないでござるな。」

 

 全く別の方から声がした!いったい誰!?

 

「がぁっ!」

 

「ぐわっ!」

 

「がはっ!」

 

「な、何者か!」

 

 アルミラ達の傍に居た兵士が、なすすべもなく次々と地面に崩れていく。

 深くローブを纏った者が1人、剣を片手にアルミラ達の傍に立っていた。

 左腰には2本の細身な剣を、背中には腰の剣よりも長く細身な剣を左斜め上に背中に装備している。

 周りの兵士は全員地面に崩れて動かない。

 

「騎士様とお見受けいたす。先程から、様子を見るに騎士ならば騎士道と言うものがあると思っていたでござるが?」

 

「勿論です。我が主を崇拝し、主の為に尽くす……我等はあのお方御為にこの身を捧げる所存。それが何か?」

 

「成る程。ならば、そのお方とやらも大した御仁では無いで御座るな。」

 

「何が言いたいのですか?」

 

「そなたらの所業は騎士道と言うには余りにも目に余る…と言うことでござるよ。」

 

「ならばどうすると?」

 

「そちらの御仁に助太刀いたす!」

 

 え?私達に味方してくれるの?マジ!?

 

「良いでしょう。その強気な態度を改めさせてあげましょう……皆、生かしてはなりませんよ!」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

 5、6人の騎士がローブの剣士に襲い掛かる!

 剣士は持っていた剣を鞘に戻した、すると左斜め上に背中に装備していた細身の剣が握り部分が下がって左腰に。

 

「柳生淵冥流(やぎゅうえんめいりゅう)二の型“斬月”(ざんげつ)!!」

 

 両手で握りを掴み身体を捻らせ横に一閃抜刀する!

 一瞬で襲い掛かった10人程が鎧ごと横に凪ぎ払われ吹き飛ばされる!!

 その動作にマントが大きく翻った………。

 

「「「ガ……ガイコツ!!」」」

 

 周り全員がハモった………マントの下はスケルトンだったのだ……………マジで!?ないわぁ……………。

 




 読了ありがとうございます。
 次話は今しばらくお待ち頂ければと思います。投稿は続けていきますのでよろしくお願いいたします。
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