無能治癒師だった私ですが、魔獣や魔族には効くようです。   作:麗紫 水晶

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 4話目でございます。
 では………。



何でも有りか?このチート!

 私は”イザリア・キャンベラ”27歳女性、独身……もう少しでアラサー………まあいい。

 

 私は人間の治癒師の筈だった……しかしある時から力が発揮出来ず、周りから散々な言われようで、居場所も失いついにその国……ラドル国を身一つで飛び出していた……絶望で生きる気力も皆無で、いく宛の無いまま森にさ迷い込んでいた……そのまま私は消えてしまった方が良いのだ、とも思いながら……。

 だが、実際に森の中で私には仲間が出来た……私の治癒の力は使えなかった訳じゃなく……人ではなくて、魔獣や魔族を治す事が出来る治癒……これが分かったのと同時に、私と一緒に旅してくれる事になった3匹の魔獣とダークエルフ。

 ニュアンスだけでいくと何かの童話に似てる……?

 い、いや気にしないでおこう。

 3匹の希少種の魔獣と1人のダークエルフが治癒がキッカケで大事な仲間になり……。

 更には私自身にチートなスキルが付き放題!絶対スキル制覇だな、うん!

 全てのスキルをMAXにレベルを上げて、どや顔で見返して見せよう。

 

 で、私はここから湧き水の泉まで1度戻ろうとみんなに提案した。

 その水は新鮮で冷たく美味しい。収納レベルが上がった事で更に水の確保が出来る様になった。先に進む事も一理ある、だけど水と食料に関しては大事なので優先したい事柄だ。

 なので、その事を説明すると確かに……と頷いてくれた。みんなも辛いことがあったのかな?

 

「さてと……ここまでの道のりを記憶しておきたいけど……ん!?」

 

「ガルッ!」

 

「キュルッ!」

 

 トライデントパンサーのメリルとフレイムスパイダーのジュエラがその役をかって出てくれるらしい。スゴい……素直に素晴らしい……可愛いくて可愛いくて…………。

 それぞれの方法は違えど、利に叶った記憶方法だった。

 

「ドルル!」

 

「えっ!?背中良いの?」

 

 なんと言う事でしょう!(どっかの受け売り?)シザーズスコーピオンのドルクがみんなを背に乗せてくれると言うではありませんか!

 

「ありがとう!じゃあお言葉に……じゃなかった、紳士な所に甘えて……。」

 

 ちゃんと挟む触手を台替わりにして乗りやすくしてくれて……良いわぁ、治癒してあげた甲斐があった。

 ん!?アルミラが……どしたの?

 ドルクを目の前にして、モジモジしている。ダークエルフにしては珍しい光景……。

 

「さ、さっきはゴメン!」

 

 へ!?謝った?ドルクに?

 

「ほんとにごめん、自分の事で一杯になってて敵でも無いのに倒そうとした……でも今は吹っ切れた気がする。一緒にイザリアに付いて行かないか?」

 

 言語が通じるかは別として、アルミラが真面目にドルクに話し掛けていた。私が上から見ているとアルミラも気付いた様だ。ウィンクすると、分かる程に頬を染めて俯いていた……可愛い。

 

「ドルッ!」

 

 何気に、挟む触手をアルミラの前にゆっくりと出す。顔を上げると、鋏の方の触手で鋏の片刃を立てている…恐らくそれは……グッドポーズ?をしていた。アルミラも喜んで頷き、ドルクの背に乗る。

 

「じゃあ、みんな乗ったね?ただ……。」

 

「そ、そうだな。」

 

「ガ、ガルッ!」

 

「キュルルルル…。」

 

 そう、ドルクの背中は立派な甲殻。艶も丸みもあって滑るのだ……。

 

「あっ、ちょっと待って。」

 

 私はある物を収納から取り出した。

 それはジュエラオリジナルの気持ちの良い敷物。

 

「これなら滑らなくて済むわ。」

 

「な、なんだこの気持ちの良い弾力と感触は?」

 

「これはね、ジュエラ特製の糸で作った敷物なの。野宿した筈なのに、熟睡出来る程の最高級感!」

 

「ホントか?アタシにも作ってくれないかな?ってゴメン、これから宜しくなメリルとジュエラ。」

 

「ガルッ!」

 

「キュルッ!」

 

 良かった、打ち解けた様で。

 

「ねぇ、ジュエラ今度この敷物をもう一枚作って欲しいの。しかもサイズが3倍位の……って駄目かな?」

 

「キュル?」

 

「みんなで寝るための……ね。」

 

「キュルッ!」

 

 ちょちょっと!どこで敬礼なんて覚えたの!しかも器用に触手を曲げて……いい加減心臓が幾つあっても足りなさそう……。

 

「よし、じゃあ泉へと向かおうか?」

 

 全員頷きあって、一路泉へと引き返した。水と食料確保の為である。 

 道なき道を………あれ、後ろに道が出来てる……。

 まあ、ドルクが通る位ですから木々を薙ぎ倒して行くのは目に見えているわけで……どうしようもない。

 お陰で私達は快適な移動が出来ている訳だ、後でドルクを労ってあげよう。

 っと、泉に着いた。メリルとジュエラがドルクを先導してくれたお陰で思っていたよりも早く着いた。ってドルクの移動速度を馬鹿にしちゃいけないな、済まない。

 

「へぇ、凄いな……。」

 

 アルミラも初めての様で、その透き通った曇りのない泉に感動していた。私だって改めて見ても感動だ。

 

「こ、これ…湧き水なのか?」

 

「キュルッ!」

 

 ジュエラが私の代わりに返事をしてくれていた、希少種だからなのかな?ホントに賢い……。

 みんな水を飲んで、一息着いた。

 

「ドルクもちょっと休憩ね。」

 

「ドルッ!」

 

 私が触手を撫でるとゆっくりお腹を地面に着けて休んでいた。

 私はその間に水を確保する事にした。収納は3倍に増えたから良いとして、一気に吸い上げたら干上がってしまうので、それは避けたい。前に収納した量を基準にして……1度収納したらまた一杯になるまで待って、また同じ量を収納する……これを繰り返せば……よし!

 

「収納!」

 

 私はそう言って手をかざして水を吸収する。全部ではなく、前と同じ量で。

 

「す……凄いなイザリア。そんな魔法が有るのか?」

 

 アルミラが驚いてる?私はてっきり当たり前に有るんだと思ってた……ん!?……いや、これ考えたら魔法でもないな。そう言えばスキル自体無くはないだろうが、人の中でも使っているのを見たことがない……。

 

「だ、誰か周りに使う人が居なかったの?」

 

「そんな魔法が有ること自体を知らなかったと思うぞ。少なくとも誰も使った者は居なかった。」

 

「そ、そうなんだぁ。」

 

 あ、ああ……そうなんだね、自分でもチートと思う位なんだからそうなるかぁ気を付けないとだねぇ。

 さてとう~ん、勿論すぐに水が溜まる訳がないから待つとしても……時間が掛かるから、ここで野宿になるかな?

 

「ねぇみんな。まだ、水の確保にかなりの時間が掛かりそうだから、ここで野宿しよう。」

 

「ガルッ!」

 

「キュルッ!」

 

「ドルッ!」

 

「分かった、肉を調達してくる。」

 

「へっ!?」

 

 あ、行っちゃった…早っ!

 じゃあ、そっちは任せてこっちの準備をしますか?

 

「よし、ジュエラとドルクに焚き火の木材を拾って来てくれる?メリルは私と魚を準備ね。アルミラが戻って来たら、察知の仕掛けを貼ってもらって……良い?」

 

 ちょっと……3匹とも、どうやってグッドポーズを覚えた?私は大きな冷や汗を流しながら、行動に移った。

 

 私は食料として確保していた魚を取り出し、メリルに枝を拾ってもらい突起になる所を落とす。メリルが尻尾で挟む様に魚を押さえてくれるので、魚にその枝を刺して焼く準備をしていく。

 

「キュルッ!」

 

 ジュエラが声を掛けて来たので、振り向くと…………って何その薪の量は?しかも綺麗に山積みされてる……。

 

「す、スゴいね2人とも。しかもこんな短時間で……。」

 

 いや、人じゃないんだけどね、グッドポーズが段々決まって来てる……もしかしてそれ……定着する?

 あはは…でもどうしようか?確かに薙ぎ倒して来た木々をドルクが伐って、ジュエラが糸の網で集めたんだろうけど……。

 そうか!私には収納たるものがあるではないか!このままにして行くには絶対勿体無い、焚き火に必要な分だけを残して持っていこう。いざというときに役に立つ、ならば……。

 

「収納……。」

 

 私は、薪の側に寄り手をかざして薪を収納していく。今日必要な分を残して、収納させた。

 

「ご苦労様、ジュエラ、ドルク、メリル。」

 

 私は両手で3匹を撫でる。照れてるのか甘えてるのか、嬉しそうだった……可愛い過ぎるでしょ……私って変?

 

「ただいま~捕って来たぞ~。」

 

 わっ!角が前後に2本生えている2角ウサギが5匹に、バッファローの角に似た角の生やした猪?3倍位の大きさだけどそれを1頭……アルミラさん、貴女何者?……あ、ダークエルフだった……しかも美人。

 

「ご、ご苦労様!で…あの…私は肉になった物しか料理したことがなくて…その……。」

 

「なんだ、捌いた事が無いのか?良いぞ、アタシが捌いてやるよ。」

 

「ゴメン!ありがとう!助かる!」

 

 アルミラは早速茂みの中に引きずって行き、ナイフで捌き始めた。聞いてはならないような音と共に次々と捌かれているのが何となくだが分かる……。

 

「よし、これでどうだ?」

 

 オウッ!素晴らしい!見事に街で売られているようなお肉と素材に変貌している。

 これなら焼くことが出来る。

 

「ありがとう!これなら料理が出来る。早速切り分けて焼いて食べよう、残りの分と素材は収納して食材は2、3日分として備えよう。いつ、ピンチになるか分からないしね。」

 

「そうだな、用心に越したことはない。アタシもそれが良いと思うぞ。」

 

 みんなそこは素直に納得してくれた、ホントに過去に何かあった?

 だが、これで少しの間は食料確保の目処も立った。後は残りの水の確保で準備万端だな、良かった。

 

《魔獣使役レベル6になりました。トライデントパンサーがレベル4になりました。フレイムスパイダーがレベル4になりました。シザーズスコーピオンがレベル3になりました。魔族従属レベル3になりました。ダークエルフがレベル5になりました。》

 

 おお、久々に聞いた。アルミラはレベル5になったって……どおりであれだけの狩りをして来れる訳だ。頼もしい限りだね。

 

 私は薪を重ね、ジュエラに火を付けてもらう。周りに魚と肉を焼きながら、香辛料代わりに採ってきた薬草を1枚ずつ乗せて焼く。

 香ばしい匂いが、周りに広まる……3匹どころかアルミラまで涎を溢して焼き上がるのを待ちわびていた。その光景は私しか見られないものだろうな……クスクス笑いながら焼き上がりを確認する。

 

「みんな、熱いからね。気を付けてね。」

 

「ガルッ!」

 

「キュルッ!」

 

「ドルッ!」

 

「アタシも…あっつ!」

 

 だから言ったのに……私は苦笑いをしながら、自分もほくほくさせながら魚と肉を味わった。まるっきりの味気ないものよりは、香辛かかっているのでましだった。

 みんなはそれでも旨い!と大絶賛で、どんな食生活だったんだと疑いたくなった。でもまあ、私自身魚料理・肉料理なんてしかもこんな贅沢に食べられた事が無かった……良くてパン1つ……今の方が充実してるなんてね……。

 

「旨い!旨すぎるぞ!イザリア、料理が上手いんだな。」

 

「い、いや、ただ焼いただけだし、料理には程遠いと言うか……。」

 

「そんな事はない、アタシ達は今までで1番旨いと思った。食材はアタシ達が確保するからイザリアに料理を頼みたい……ダメか?」

 

 アルミラの言葉に合わせて3匹が相槌をしてる……不思議な絶妙感が……。

 

「そ、そんな事はないよ。私程度の料理で良ければ……。」

 

「やったぞみんな!これで美味しい食料にありつける!」

 

 フフ……みんなで喜んでるし……まあその位はね、出来ないと申し訳ないし。

 

「よしと、それじゃ丁度水が溜まったみたいだから、収納するね。ジュエラとメリルで侵入者用の罠を、ドルクとアルミラは周りの警戒をお願いね。」

 

「任せな!やるよみんな!」

 

 頷いて一斉に動き出す。その間に私も2度目の水を収納した。これで朝には3度目の収納が出来て、出発できる。

 戻って来た所で、ジュエラに敷物の大きなサイズを頼んだ。ジュエラも頷いて自身の糸を出して編み出した。私は薪をくべて火がなるべく消えないようにした。

 辺りも暗くなり、月明かりがかろうじて木々の間をすり抜けて地面を照らしていた。

 

「キュルッ!」

 

「おおっ!」

 

 確かに前と比べると、明きらかに大きなサイズの敷物が出来ていた。ホントに約3倍である。弾力も感触も心地好く、大きさも申し分ない。

 

「これ……ホントに凄いな……地面に敷いても、堅さが感じられなくて気持ちが良い。確かに寝心地が良さそうだ。」

 

「だからと言って、内密にね。ジュエラを狙ってくる輩が増えても困るし。」

 

「そうだな、これが知られてはかなり危険な気がする。それでなくとも希少種だし。」

 

 傍にはメリルとジュエラがくっついて寝ている、寝息も可愛い。

 

「アタシも傍で寝ても良いか?」

 

「勿論!」

 

 横になりながら暫くアルミラと話をした。違う場所ながら……境遇が似ている事を知った。違ったのは生きる事をアルミラは諦めていなかった事……。

 私はほぼ諦めていたからね……。

 そうこうしている内に朝になり……話しすぎて仮眠を取ったぐらいかな。それでも秒で寝られたのはジュエラの敷物のおかげ……。

 食事を済ませて、3度目の水の収納。無事に済んだので撤収作業をして……大きい敷物も収納してと。

 

「さて、出かけましょうか。」

 

「そうだな、行こう。」

 

 ドルクの背に乗り”出来た道”を進んでいく。その先に何があろうとみんなと居るから進むことが出来る……大事な仲間を失ってたまるものか!……守り抜く!……………。

 

 

 

 




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