一部、他の作品の要素が含まれるシーンがございますが、気にせずそのまま読み進めていただけますと嬉しいです。
アンケートが全項目1票ずつで来週以降どうしようかずっと考えているところです。本当に難しい…
「いえーい、死刑取り消し~!」
高専の教室に、白制服を着た照の能天気な声が響いた。
その様子に、パンダが呆れたようにツッコミを入れる。
「やっぱ次はお前だったか……てか死刑だったのかよ!?」
「ツナツナ!」
棘も驚きを隠せない。その時、憂太がふと辺りを見回した。
「あれ、月詠君は?」
――ガン。
手荒く教室のドアを開けて入ってきた月詠の制服は、白ではなく、いつもの黒い通常の制服のままだった。
月詠は照の白い上着を一瞥し、短く鼻を鳴らす。
「似合ってるぞ、照」
「なんで着てないのさ!」
「悟のときはなかったらしいぞ? じゃあ俺も別にいいだろ」
「えぇ……」
双子の温度差に照が肩を落とす。その横で、真希は照の白制服をじっと見つめ、小さく、誰にも聞こえない声で呟いた。
「特級か……」
だが、その呟きを隣のパンダだけは見逃さなかった。
(お~?)
そこへ、タイミングよく五条が軽い足取りで教室に入ってきた。
「はいはーい! 今年教えることもう終わっちゃったし、今日の授業はなし! それぞれペアで適当に鍛錬ね。はいクジ、せーの!」
五条が差し出したクジを、全員が一斉に引く。
「3!」と照
「3」と月詠
「1」と真希
「1!」とパンダ
「2番だ」と憂太
「こんぶ」と棘、手には2番の割り箸を握っていた
「じゃあ解散!」
五条の号令とともに、生徒たちはそれぞれ校庭の別々の場所へと散っていった。
グラウンドの隅、そして林の奥。それぞれ分かれた場所で、パンダと月詠は、目の前の相手に対して同時に口を開いた。
「そんで、照とは順調か?」
「いつまで嘘つくんだよ」
突拍子もない質問に、それぞれの相手が眉をひそめる。
「なんでそれ聞くんだよ」
「ん? なにが?」
パンダと月詠は、確信を込めてそれぞれに言い放った。
「だってお前――」
「照のこと好きなんだろ?」「真希のこと好きだろ」」
「なんでそうなんだよ! 殺すぞパンダ!」
真希はいきなり大刀の刀身を剥き出しにして、猛烈な勢いでパンダに斬りかかった。
「いやいやいや! 思っただけ! 思っただけ!」
大慌てで武器を受け止め、パンダが必死に弁明する。
「まあ落ち着けよ、別にからかうつもりはねえって。片想いってわけじゃなさそうだしさ」
「なっ……!」
真希の顔がみるみる赤く染まっていく。
一方、林の奥で月詠と対峙していた照は、視線を逸らして力なく笑った。
「真希は友達だよ。別に好きってわけじゃ……」
「あいつのこと、まだ気にしてるんだろ」
月詠の言葉が引き金となり、照の脳裏に、
『幸せになってね、照』
「……気にしてないって」
「あいつがそれを望んでるわけ――」
「気にしてないって言ってるでしょ!」
照がこれまでにない大声を上げ、月詠の言葉を遮った。周囲の空気が凍りつく。
月詠は静かに照を睨みつけ、容赦のない言葉を叩きつけた。
「……気持ち悪い生き方してんじゃねえよ。
「……」
「あいつのことは俺にもお前にもわからねえ。けど、お前に幸せになってほしいんなら、お前に正直に生きてほしいって思ってるはずだ。自分のために嘘ついてまで生きるお前なんか、あいつは見たくないだろ」
「……っ」
「呪術師なんて、いつ死んでもおかしくない仕事だろ」
月詠は一度視線を落とし、少しだけ声を和らげて言った。
「……手遅れになる前に、言いたいことは言っておけよ」
「あぁー! わーったよ! 私は照が好きだ!」
パンダのしつこい追及に耐えかね、真希がついに怒鳴るように白状した。
「きっかけは?」
ニヤニヤとするパンダに、真希はバツが悪そうにそっぽを向く。
「……あいつは私よりずっと強いのに、なんて言うか……ずっと真っ直ぐで……」
ニヤニヤが止まらないパンダに、真希は再び大刀を突きつけた。
「ニヤニヤすんじゃねえ! 殺すぞ!」
「いや~、いいこと聞いちゃったな~。早く告っちまえよ……曖昧な距離でいられても、こっちが困っちゃうぞ」
パンダの言葉に、真希はふと寂しげに目を伏せた。
「……私にはまだ、あいつの隣に立つ資格はねえんだよ」
「それって、あいつが前言ってた『背中を任せる』ってやつか?」
「……私は、一級術師にならなきゃいけないんだ」
「関係ないだろ。東堂に聞かれて適当に答えたんじゃねえの?」
その時、林の奥から月詠がゆっくりと歩いてきた。
「ペア変えようぜ。パンダ、手合わせ」
「うい」
パンダが空気を察して即座に頷く。
「おい!」
真希が呼び止めるが、パンダは親指を立てながらそのまま二人で立ち去ってしまった。
「あの野郎……」
一人ベンチに居残ることになった真希。そこへ、少し遅れて照が静かにやってきた。
「真希……」
真希は隣のスペースを顎でしゃくる。
「……座れよ」
二人が同じベンチに腰を下ろす。カサカサと風に揺れる木の葉の音だけが響き、気まずい時間が流れていく。
「なあ」「ねえ」
声が重なり、二人は弾かれたように顔を見合わせた。
「あ、ごめん、先いいよ」
照が譲ると、真希は拳をぎゅっと握りしめ、前を見据えたまま、決意を口にした。
「……私は、自分の意思を曲げるつもりはねえ」
続く言葉を察し、照は俯きながら最後まで聞こうとする。
「だから……」
真希は照の方を真っ直ぐに向き直り、その瞳に強い光を宿して言い切った。
「私が強くなって、堂々とお前と立てるようになるまで……待ってくれないか」
照は驚いたように目を見開いた。だが、胸の奥にあった冷たい霧が、彼女の真っ直ぐな言葉で溶けていくのを感じた。
過去の約束も、彼女の願いも、全部抱えたままでいい。
今、目の前で自分を見てくれているこの人のために、正直に生きようと。
「……うん、待ってる」
照は、心からの優しい笑みを浮かべて頷いた。
出てきてほしいキャラ、絡みを見たいキャラを教えてください(複数の場合は感想に加えてください)
-
九十九由基
-
東堂葵
-
七海建人
-
伏黒恵
-
京都校メンバー
-
ドブカス
-
秤、綺羅羅