あんまり反応よくなかったら書き直すので感想の方で教えてくださると嬉しいです
放課後の教室
西日が差し込む中、五条悟が軽い足取りで現れ突拍子もない話題を切り出した
「京都姉妹校交流会?」
照、月詠、そして乙骨憂太の声が重なる
「そ、毎年この時期に恒例で行われるんだよね〜」
「お前ら、そんなことも知らなかったのか?」
パンダが不思議そうに首を傾げたが、真希は不機嫌そうに鼻を鳴らした
「でもあれは2年と3年がメインだろ。なんで私たちに話してんだよ」
「いやー、実はさ。向こうの人数がこっちより多くてね。3年の先輩たちから『優秀なやつを数合わせに寄越せ』って言われちゃってさ」
五条の言葉に、照が首を傾げる
「何人必要なんですか?」
「3人」
その言葉を聞いた瞬間、真希が迷いなく言い切った
「じゃあ、決まりじゃん」
「しゃけ」
「うんうん」
真希、棘、パンダの視線が自然と三人——照、月詠、憂太に集まる
当の憂太は申し訳なさそうに眉を下げた
「……みんなは出なくていいの?」
「おかか」
「悔しいけどな、今の私らが出たところで満足に動けねえよ。土産期待してんぞ」
真希の言葉に五条が笑った
「3人も京都に行っていいよ。照たちの活躍次第では、帰りに何か奢ってあげちゃうかもね」
「「絶対勝てよ!」」「ツナツナ!しゃけ!」
パンダと真希の
「こいつら……」
「じゃあ、交流会は明後日だから! みんな準備しといてね〜」
五条が軽やかに手を振って去ろうとする
一瞬の間を置いて、教室に絶叫が響いた
「「「「「「明後日!?」」」」」」
慌てて寮に戻ろうとする一同の中で、五条が不意に足を止めた
「あ、月詠。ちょっと話があるんだけど」
呼び止められた月詠は、先行する照たちの背中を見送ってから、足を止める
「……わかった」
人気のない廊下で、五条がいつになく低い声で切り出した
「この前は災難だったね」
「マジで死にかけたぞ。あいつが舐めプしてくれたおかげで助かったわ」
月詠の言葉に、五条の目隠しの奥の視線が鋭くなる
「状況はどんなだった?」
「2級相当のムカデの呪霊が突然消えた。祓われたっていうより……消えた。気配も残ってないし、雷で蒸発したような感じでもなかった」
五条は顎に手を当て、しばし沈黙した
「そうか……」
「なんだよ、上層部関連の案件か?」
探るような月詠の問いに、五条は再びいつもの軽い調子を取り戻して微笑んだ
「いや……なんでもない。交流会、期待してるよ」
「ああ」
交流会当日 京都校
「ここが京都校……」
重厚な門構えを前に、憂太が圧倒されたように呟く
すると奥から、見覚えのある2年生たちが姿を現した
「お、いたいた。こっちだぞ1年」
「やっほ〜、ひーちゃんに、つーちゃん! その子は?」
声を掛けてきたのは秤金次と星綺羅羅だ
憂太は緊張した面持ちで深々と頭を下げた
「乙骨憂太です。よろしくお願いします」
そんな彼らを、3年生の一人が冷ややかな視線で見定める
「秤、そいつら本当に使えるのか?」
「2人は間違いないっすよ。で、もう一人は例の『特級』じゃないすかね」
「こいつらが……」と3年生は不服そうに鼻を鳴らしたが、すぐに指示を飛ばした
「乙骨は3年の指示通りに動いてもらう。来い」
憂太は不安げに照と月詠を振り返ったが、秤に促されるまま東京校生徒の待機室へと連れられていった
残されたのは照、月詠、そして秤と綺羅羅の四人だけだ
「で、問題はお前ら二人だ」
秤の言葉に、月詠が怪訝そうに眉を寄せる
「俺らが?」
「実はな、京都の2年にちょっとめんどくせえのがいてさ。俺らはいろいろあって相手にされねえんだ。だから、お前らで適当に足止めしてくれ」
「えぇ……」
照が困惑の声を漏らすが、隣で綺羅羅が申し訳なさそうに手を合わせた
「ごめんね、ひーちゃん。これ、もう決まっちゃってることだから」
「……で、そいつの術式は?」
月詠が実戦的な問いを投げたが、秤は気まずそうに視線を逸らした
「それがわかんねえんだよな。あいつ、術式を使わねえんだわ」
「等級は?」
「準一。来年には一級になるだろうな。……まあ、勝てとは言ってねえ。一応、先輩だしな。足止めだけで十分だ」
「金ちゃんさー、目から期待が溢れてるよ?」
綺羅羅のツッコミに、秤は「……うるせえな」と毒づいた
「ま、頑張ってね。ひーちゃん、つーちゃん」
嵐のような予感を残し、2年生たちもその場を後にした
残された照と月詠は、顔を見合わせるしかなかった
東京校の作戦は極めてシンプルかつ合理的だった。
開始直後に一直線に突っ込んでくるであろう「例の2年」に特異な術式を持つ照と月詠をぶつけ、その隙に他のメンバーが散る。その後は二人一組で行動し、呪霊を祓いつつ各個撃破。単独行動となる憂太の護衛は、実質的に里香が担う。二年と三年の先輩たちが練り上げた、盤石の布陣のはずだった。
校舎内では、冥冥の術式によって映し出された複数のモニターを教師陣と共に見守る真希たちの姿があった。
「じゃあ始まるけど、三人に何か言いたいことある?」
五条の軽い問いかけに、真希とパンダは声を揃えた。
「「ない」」「おかか」
「可愛くねえー」
『それでは、姉妹校交流会……スタァートォ!!!』
外では五条の合図が響き渡る。
「それじゃ、ひーちゃん、つーちゃんよろしくー!」
綺羅羅の声を合図に、照と月詠以外のメンバーが一斉に散った。
手筈通り、だが現れた例の2年は、想定を遥かに超える圧を纏っていた。
月詠が牽制のために生成した氷の壁を、その男は紙細工のように突き破り、そのまま月詠を軽々と投げ飛ばした。
「いってえ……」
受け身を取った月詠が顔を上げる。
そこにいたのは、上半身が裸で、独特な髪型をした大男だった。秤から聞かされていた、あのあだ名が口をついて出る。
「ちょんまげゴリラ……」
「コラ、東堂先輩ね」
照が苦笑いしながら訂正するが、東堂と呼ばれた男は意に介さず、二人を射貫くような視線で見据えた。
「お前らが秤が言ってた後輩か……名前は?」
「天野照です」「黒羽月詠」
「そうか。天野、黒羽。お前らに一つ聞きたいことがある」
東堂は凄まじい威圧感と共に、突拍子もない問いを投げかけた。
「どんな女がタイプだ?」
二人の脳裏に、出発前の秤との会話がフラッシュバックする。
『そのゴリラが女の好みを聞いてくるが、納得いかないと退屈と言われてボコられるぞ』
『一応正解があるが、言っても面倒なことになるから教えねえ。熱いの期待してるぞ』
(……何が熱いだ、あのパチカスゴリラ)
心の中で毒づく月詠だったが、東堂の目は一切の妥協を許さない。
「思い付かねえ……」
「えー……」
「少しくらいなら待ってやるが、早くしろよ? なんなら男でもいいぞ」
東堂の妙な寛大さに、月詠は早々に匙を投げた。
「俺パス。照、なんかいいの言ってくれ」
「えっ!? うーん……」
「互いに背中を任せて戦ってくれる人、でしょうか。同じ場所にいなくても、ピンチの時に駆けつけてくれたら熱くないですか?」
「ふむ……もっと簡単になんかないのか?」
東堂の不満げな声に、月詠が横から口を出す。
「胸派とか尻派とか身長とか、そういうのだろ?」
「そうだ! それだ!」
「だとよ、照」
「えぇ……じゃあ……」
照は顔を赤らめながら、観念したように呟いた。
「胸派です……。身長は、僕と同じくらいでしょうか」
校舎内
モニター越しにその回答を聞いたパンダが、ニヤリと笑う
「真希だな」「しゃけ」
「うるせえ! 殺すぞ!」
真希の怒号が響くが、モニターの中の空気はさらに冷え切っていた。
照の身長は175センチほど。
その回答を聞いた瞬間、東堂の眼光から期待の光が消え、底冷えするような失望が溢れ出した。
「退屈だよ、天野」
東堂の拳に、爆発的な呪力が宿る。
秤たちがかつて味わった、理不尽な暴力の時間が始まろうとしていた。
東堂の攻撃には、一切の迷いがない。術式すら介さない純粋な呪力操作のみで放たれる拳は、防戦に回った照をやすやすと森の奥深くまで殴り飛ばした。
「お前はさらにつまらん! 女の好みすら語れぬ男が、一流の術師になれると思うな!」
東堂の矛先が月詠に向く。月詠は氷の礫で牽制しながら、不機嫌そうに吐き捨てた。
「うっせえ……こっちは直感で生きてんだよ。タイプだなんだと型にはめる趣味はねえんだ。……じゃあ、あんたは何が好きなんだよ」
「ケツとタッパがデカい女がタイプだ! 具体的に言えば高田ちゃんだ!」
「しょーもな……。まあ、俺はともかく、照の答えはあんたの理想とそう遠くないんじゃねえの?」
月詠の言葉に、東堂の動きが一瞬止まる。
「170超えは一般的には十分デカいだろ。それに、胸がデカい奴は尻もデカいのが道理だ。その高田ちゃんとかいうアイドルも、テレビで見た時は結構胸があった気がするしな。……そういや、あの九十九さんも似たような感じだったか」
「まあ両方でかいって感じだけど」
月詠はボソッと付け足すが、聞こえなかった東堂は脳内で奇妙な化学反応を起こした。
その瞬間――東堂の脳内に、溢れ出す「存在しない記憶」。
舞台は春の選抜高校野球、地区大会1回戦。
相手は隣町の高校。血の滲むような練習を重ね、練習試合では互角の勝負を繰り広げ、試合後には河川敷で寝転びながら夢を語り合った、唯一無二の好敵手。
『……いやー、危なかった』
泥だらけのユニフォームを着た照が、爽やかに笑ってマウンドを降りる。
『勝ったら、高田ちゃんに告白するつもりだったんだがな……』
悔しげに膝をつく東堂に、照はグラブを叩いて言った。
『へーでも知ってても本気でやらなきゃダメだよね。次も全力でやるよ』
『全力でやってこそ俺のライバルだ!次は絶対に勝つ!』
「……はっ!」
現実に引き戻された東堂の頬を、熱い涙が伝う。
ちょうどそこへ、土埃を払った照が戦線に復帰してきた。
「痛たた……。月詠、状況は? なんでこの人泣いてるの……?」
「戻ってきたか、我が友よ……。いや、今は
「……どう考えても力の差がありすぎるでしょ」
困惑する照を無視して、東堂は不敵な笑みを浮かべ、構えを解いた。
「出し惜しみは無しだ。全力で来い! 俺も、術式を解禁する」
照と月詠がアイコンタクトを交わし、同時に地を蹴る。連携の取れた左右からの同時攻撃。
だが。
――パァン!
乾いた拍手の音が響いた瞬間、月詠と東堂の位置が入れ替わった。
勢い余って、互いに殴り合う形になった照と月詠。
「「!?」」
「……なるほど。シンプルだけど、これ以上なく厄介な術式だ」
「くっ……大丈夫、月詠?」
月詠は即座に戦況を分析した。この術式がある限り、多人数での連携は逆手に取られる。そして何より、目の前の男は照との一騎打ちを望んでいる。
(……足止めは一人で十分だ。あいつは照とやりたがってる。なら――)
「照、悟から許可は取ってある。あとは任せた」
「えっ、ちょっ――」
月詠はそれだけ言い残すと、驚くほどの速さで戦域から離脱した。
一人残された照は、唖然としながらその背中を見送るしかない。
「ほう。気が利くじゃないか、黒羽。判断も速い」
東堂が満足げに頷き、一歩、また一歩と距離を詰める。その瞳には、ライバルに対する最高級の敬意が宿っていた。
「さあ、全てをぶつけろ! 好敵手!」
静まり返った森に、新たな激闘の幕開けを告げる雷鳴が轟いた。
ドブカス
-
早めに出てきてほしい
-
2年になったら出てきてほしい
-
死滅回遊のとこだけでいい