異世界迷宮でオリジナルハーレムを   作:獣人スキー

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旅立ちの準備

盗賊たちとの戦闘が終わり、村に静寂が戻ると、俺はまず「後始末」に取り掛かった。

地面に転がる盗賊たちの死体。赤い血が乾きかけ、鉄臭い匂いが鼻を突く。現代日本人としての倫理観が「逃げろ」と叫んでいるが、俺の脳はエルフの冷静さでそれを抑えつけていた。

「……やるしかないな。これがこの世界のルールだ」

俺はデュランダルを鞘から払い、無造作に、しかし確実な手つきで盗賊の死体の左手首を切り落としていった。

 

切り落とした十人分の左手を、村の広場の隅に集める。

原作の描写によれば、ここから「しばらく待つ」必要がある。

血の通わなくなった手首から、淡い光が漏れ出し始めた。それはまるで、肉体という檻から魂の記録が解き放たれるような、幻想的でいてグロテスクな光景だった。

数分後、光が収まると、手首の掌の上に一枚の半透明なカードが形成されていた。

インテリジェンスカードだ。

 

俺は十枚のカードを拾い上げ、一枚ずつ内容を確認する。

名前、年齢、ジョブ。犯罪履歴は書かれていないが、身元の証明にはなる。

(……とりあえず、この十枚を騎士団に持ち込めば、相当な額になるはずだ)

原作の知識では、四人の賊で十万ナールを超えていた。十人なら、その倍以上は期待できるだろう。

 

火消しを終え、煤で汚れた村人たちが俺の周りに集まってくる中、老村長が再び俺の前に立った。

「エルフ様……改めまして、村を救っていただき感謝の言葉もございません。これは村の貯えから出した心ばかりの品です。どうか受け取ってください」

村長が差し出したのは、ずっしりと重い皮袋だった。中を確認すると、黄金色の輝きが目に飛び込んできた。金貨が十五枚――十五万ナール分だ。

「……助かる。有効に使わせてもらうよ」

俺は村長から紹介状とカッセルまでの地図を受け取り、翌朝、ヴァラーラ村を後にした。

 

 

迷宮都市カッセルに到着した俺が最初に向かったのは、騎士団ギルドの支部だった。

「盗賊の討伐証明だ。指名手配の確認と換金をお願いしたい」

受付の職員に、回収した十枚のカードを差し出す。

職員がカードを専用の魔導具に通すと、三枚のカードが鮮やかな朱色に発光した。

「……ほう。指名手配犯が三名含まれていますね。重犯罪者のリストに載っている者もいます」

 

職員は手際よく書類を作成し、俺にずっしりと膨らんだ革袋を差し出した。

「懸賞金と討伐報奨金、合わせて二十五万ナールになります。ご確認ください」

二十五万ナール。

原作のミチオが村を襲った賊を倒した時の十六万ナールを優に超える大金だ。俺は内心でほくそ笑みながら、ずっしりと重い袋をリュックの奥へと収めた。

 

次に向かったのは、美術商『ラセッティ商会』だ。

俺は周囲に客がいないことを確認してから、リュックの奥から「ビー玉」を十個取り出し、カウンターの上に並べた。青、赤、緑、透明なガラス玉が、店内の灯りを反射して宝石のように煌めく。

 

店主のラセッティは、椅子から転げ落ちそうになりながらそれらを凝視した。

「……これは……すべて、本物ですか?」

「ああ。全部売る。いくらになる?」

ラセッティは震える手でルーペをはめ、一つ一つを数分かけて鑑定していった。

「信じられない……。一つだけでもすばらしい透明度だというのに、それが十個も。しかも、すべてが完璧な球体だ。これほどの品、一度に買い取れるだけの現金を用意するのは骨が折れますな」

ラセッティは額の汗を拭いながら俺に向き直った。

「……即金でお出しできるのは、これでも店中の現金をかき集めて、五十万ナールが限界ですが……」

 

「五十万ナールか。……いや、六十五万ナールにならないか?」

俺が静かに告げると、ラセッティは息を呑んだ。

俺が設定したスキル「買取価格三十パーセント上昇:一」が発動している。商人の心理的な限界値を、システム的に三割押し上げたのだ。

ラセッティは激しく葛藤するような表情を見せた後、ついに観念したように肩を落とした。

「……分かりました。ヴァラーラ村長のご紹介ということもあります。六十五万ナール、全額即金で用意いたしましょう」

 

『条件を満たしました』

『ジョブ:商人 が解放されました』

 

脳内に響く無機質なアナウンス。狙い通りだ。

これだけの巨額取引を行ったのだ、商人のジョブが解放されないはずがない。

俺は六十五万ナールという大金を、金貨の詰まった複数の袋として受け取り、リュックの中に丁寧に収めた。

 

村からのお礼十五万、騎士団での賞金二十五万、そしてビー玉の六十五万。

合計で百五万ナール。

ミチオがロクサーヌを買うために奔走した額の倍以上が、一瞬にして手に入った。

 

宿屋『琥珀の月亭』にチェックインした俺は、ようやく一息ついた。

(資金は百五万ナールを超えた。これだけあれば、ロクサーヌの定価六十万ナールなど誤差に過ぎない。最初から最高峰の狼人族を狙えるはずだ)

まずは狼人族。あの索敵能力と回避能力は、迷宮攻略において不可欠だ。

俺はカッセルでの最初の夜、エルフ特有の冴えた頭脳で明日の奴隷選定の基準をまとめながら、深い眠りについた。

 

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